緻密な心理描写か迫真の演技のどちら一方でも、そのゲームは傑作となりうる。そして君望はその両方が融合しているがゆえに、傑作の中でも一際飛びぬけている存在なのだ。
心理描写については何度も書いてきたのでくり返さないが、演技については少し触れる必要があるだろう。君が望む永遠でキャラの声が真に「演技」と言いうるレベルまで昇華されているのは、いわゆる「間」や息を飲む声をしっかりと実演しているからに他なら . . . 本文を読む
本来恋愛ゲームにおいて、妊娠というイベントはご法度である。その理由は(容易に想像のつくとおり)生々しくてヘビーなものだからである。
だから例えば、結婚や妊娠が出てくるとしてもエンディングの内容であったり、あるいは妊娠したことでバッドエンドになるといったものになるわけである。これを言い換えれば、「結果としての妊娠」となるだろう(※)。
しかし君が望む永遠は、それと違って「過程としての妊娠」が . . . 本文を読む
(はじめに)
君が望む永遠のレビューをいろいろ見ていると、「感情移入」「共感」という単語にしばしば出くわす。
私は以前、それが根本的な誤りであって、主人公鳴海孝之はどのような感情の動きをしているのか理解・推測していくべき「感情理解型」の人物であると述べたのであった(これについては君望関係の過去ログ、特にこれらの記事を参照)。その時は、簡単に言えば、君が望む永遠の主人公の描き方を通して、「感情 . . . 本文を読む
引き続いて、新しく追加された水月のシナリオの批判。以下ネタバレ注意。
(水月新エンド)
新しく追加されたのは、「水月奴隷エンド」と「水月犬エンド」である。以下、内容的にはかなり似ているので「新エンド」という書き方で統一することにする。
さて、この「新エンド」が追加された意図は、おそらく遥ルートにおいて水月と孝之がいかに追いつめられ、行くところまで行くしかない状態になっているかを表現 . . . 本文を読む
君が望む永遠DVD SpecifictionがCD-Rom版と比較してどのように変わったか、またそれによってよくなった具体的な部分については既に述べた。よって今回は、変更されて悪くなった点、すなわち新シナリオの追加に関して書いていこう。
そもそも君望は無駄な部分が多く、何かを追加するより削るほうが重要なゲームである(詳しくは別の機会に述べるつもりだが、とりあえず第二章で挿入される遥と付き合って . . . 本文を読む
さて久しぶりに君望の話題でも書くとしようか。
今回は、CD-ROM版からDVD版になった際の主な変更点及びそれについての評価を述べたいと思う。先に総評をしておけば、(CD-ROM版と比較して)いいところも悪いところもそれぞれあるので、「総じて微妙」というところである。以下、わかりやすくするため最初に変更点を箇条書きにし、後でそれぞれのコメントを「良くなったところ」「微妙なところ」のカテゴリーに分け . . . 本文を読む
まあ読めばいいだけのことだが、孝之の例も挙げておこう。
(8月9日夜、病室での会話)
※未だ現状を認識できていない状態の遥に対して
もう…いいよ。現実なんて思い出さなくていいよ。三年なんて経ってない。オレが…オレが戻るから。三年前に戻るから。
そう言いそうになった。無責任なことに。
それが、同情の域を出ないことは十分わかってる。
オレは強くなんかない。オレは強くない。たった3年…お前を待つ . . . 本文を読む
今まで君望に関して理論的なことを書いてきたが、何度も強調しているようにそのほとんどは本文に書かれている。その内容は、興味を持った方が(再)プレイして自分で確認してもらったほうが良いと思ったため、あえて書かなかった部分がある(決して手抜きじゃないですよw)。しかし、穂村ルートを再プレイしていると改めて重い言葉の数々に目を見張らされる。そこで、たかだか一時間程度のプレイだが、印象的なセリフを引用してみ . . . 本文を読む
最近レビューを書くついでに再プレイしてるんだが、少しやっただけで再発見があるわあるわ。水月と水泳もその一つ。以前「本文からは水月が水泳を止めたことを後悔しているかわからない」などと書いたが、関連の記述を見落としてるくせに何をか語らんや、である。まあそれはともかく、以下に該当部分を引用してみよう。
1.孝之宅における慎二との会話(8月7日夜)。地の文は省略。孝之は「た」、慎二は「し」で表記。
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蛍シナリオは孝之が蛍の誘いを受けるところから始まる。蛍が孝之を誘う理由も結構ムチャな内容だが、しかし孝之が蛍の誘いを受ける理由と比べればよっぽどましだ。それは必然性が無いなどというレベルではない。他のシナリオと明らかに矛盾しているのである。
第二章の冒頭でファミレス(すかいてんぷる)のあり方について、孝之は前の店長が(見た目の)ロリなウェイトレスばかり雇う変人だったと嘆いている。そしてまた、大空 . . . 本文を読む