高知の自然 Nature Column In Kochi

南四国で見かけた蛾をおもに紹介していましたが、現在更新を中止しています。

オオハガタヨトウ

2009年10月21日 09時34分19秒 | Weblog
長らくお待たせしました。
昨日やっと帰宅したのでまたブログを始めます。

これは灯火に飛来したオオハガタヨトウである。
黒くあまり目立つことはないが、よく見るとただのヨトウガなどと比べて前翅は尖り、よく見るとギザギザ模様がなかなか格好よく素敵に感じられる。

日本では北海道、本州、四国、九州に分布している。
幼虫はユリ科のシオデを食べることが知られている。
成虫は秋の10月から11月にかけて発生し越冬はしないようだ。

手元にある高知県内20個体の標本をみると一番早い発生が9月14日、一番遅い個体で11月23日の記録がある。
普通種ではあるが多数灯火に飛来することはない。

(撮影:いの町瓶ケ森林道 2009.10.9)

キトガリキリガ

2009年10月12日 10時07分26秒 | Weblog
今年もキトガリキリガが灯火に多数飛来しはじめた。

北海道、本州、四国、九州、対馬に分布している。
成虫は年1回秋の10~11月に発生する。

四国では中央山地でみられ、この夜は数えてみると21頭見つかった。
多い時には100頭以上の飛来がある。
四国では一番多いキリガなのに講談社の蛾類大図鑑には四国が分布領域にないのは不思議な気がする。
記載者の単なる記入漏れなのかもしれない。

幼虫はナシを食べるが、周辺環境から他の樹木も食べていることがうかがえる。

(撮影:瓶ケ森林道 2009.10.9)

所用で県外に出かけるのでこのブログは一週間ほど更新を休みます。

ニシキキンウワバ

2009年10月11日 09時35分09秒 | Weblog
ニシキキンウワバはピンク色の光沢模様をもつ美しいキンウワバである。
この色模様からニシキ(錦)と名がついたのだろう。

北海道を除く本州、四国、九州、対馬、屋久島、奄美大島、沖縄にかけて分布しており、やや西日本の蛾といえるだろう。
講談社の蛾類大図鑑によると幼虫は記載されているが食草はわかっていないとのこと。

四国では低山地から1000m以上の中央山地まで広く分布しているが少ない。
成虫は低山地では6月から現れ始め、深山では11月にかけて見られる。
足摺岬では真冬の1月12日にも見つかっているので低地では成虫越冬しているようだ。
秋に見つかることがやや多く、これらを総合すると春以外は成虫がいることになる。

高知県中部の横浪半島では前翅中央の銀紋がない小型のよく似た個体が見つかっているが、これはニシキキンウワバの突然変異なのか、それとも別種(新種?)なのか未だに謎である。

(撮影:瓶ケ森林道 2009.9.28)

シロモンノメイガ

2009年10月10日 10時34分21秒 | Weblog
シロモンノメイガは名前の通り黒地に白い紋がよく目立つ小さく可愛いノメイガである。

昼間も飛びまわり訪花するそうだが、私はほとんどが夜間に野山に行くばかりのせいかまだ見たことはない。

日本では北海道から沖縄まで全国に分布している普通種だが、まだ食草はわかっていないようだ。

四国では低地から標高1000m以上の中央山地までどこでも春から秋にかけて見られるが、灯火に飛来してもせいぜい1~2頭程度で普通種とはいっても多くない。

(撮影:瓶ケ森林道 2009.9.28)

クスサン ♀

2009年10月09日 09時11分56秒 | Weblog
久しぶりにクスサンがお目見えした。

クスサンは昔は秋になると毎年どこに行ってもヤママユと共にごく普通に見られたが近年はずいぶん個体数が減ったみたいだ。
ヤママユと比べると一回り小さいが、それでも巨大で飛ぶ姿はとても迫力がある。
また前翅は丸みを帯びていて優しさを感じる。

♂は色彩の個体変異が著しく、ヤママユのように紫がかったもの、茶色いもの、灰色がかったものなどさまざまである。

日本では北海道、本州、四国、九州、対馬、屋久島に分布していて、奄美大島から沖縄にかけては色の濃い別亜種が分布している。
幼虫はクヌギ、コナラ、クリ、サクラ、ウメ、モモ、ナシ、リンゴ、ケヤキ、ヌルデ、ハゼノキ、ミズナラ、カシワ、エノキ、ヤナギ、クスノキ、イチョウ、その他きわめて多食性でたくましい。
成虫は年1回秋に発生し、卵で越冬する。

この画像の個体は止まったところを少し刺激して後翅の眼状紋を見せたときに撮影したものである。

(撮影:瓶ケ森林道 2009.9.28)

コカバスジナミシャク

2009年10月08日 09時09分44秒 | Weblog
昨夜の台風18号は進路の北側だったため少し風が吹いた程度で幸い何の被害もなく安堵した。
台風が上陸した本州中部、北部の被害が今後心配される。

台風一過で虫がいなくなったのではとこちらも気にかかる。
いても傷物ばかりではないだろうか。
この悪天候でここしばらく山にも行けず鬱憤がたまっている。
愚痴はさておいて・・・、

今回は小さく可愛らしいコカバスジナミシャクを紹介することにした。
一見ヒメカバスジナミシャクに似ているがオレンシ色の細い筋が2本あることで区別できる。

本州、四国、九州に分布している。
年2化で5~6月と9~10月に発生し、四国では深山で出会うがやや少ない。
個体変異があり、新鮮な個体はとても美しい。

(撮影:瓶ケ森林道 2009.9.28)

ハコベヤガ

2009年10月07日 09時23分30秒 | Weblog
昨年も紹介したハコベヤガが今年もまたお目見えした。
ヤガの仲間では大きい方ではっきりした色模様はなかなか魅力高い。

前翅中央付近が赤褐色を帯び、外横線あたりから外にかけて紫灰色になっていることですぐにこれとわかる。

日本では北海道、本州、四国、九州、対馬に分布している。
幼虫の食草は不明。

四国では8月下旬から10月にかけて見られるので秋のヤガといえるだろう。
秋になると深山で灯火によく飛来する普通種である。

(撮影:瓶ケ森林道 2009.9.28)

フタテンナカジロナミシャク

2009年10月06日 09時14分01秒 | Weblog
前肢を横に伸ばしてベタっと張り付いてだらしなく止まるのはフタテンナカジロナミシャク

フタテンンナカジロナミシャクは色彩変異があり、他に似た種も多いのでいったい何なのかよく惑わされる。
通常は名前のように前翅中央付近がかなり白いのでわかるのだが、これは黒っぽいので同定しづらかった。
時にはほとんど全体が黒くなる個体も見つかる。

本州、四国、九州に分布している。
幼虫はキイチゴを食べる。

四国では5~7月と9~11月に中央山地で見つかるが多くない。

(撮影:瓶ケ森林道 2009.9.28)

ホソバミドリヨトウ

2009年10月05日 09時40分00秒 | Weblog
ホソバミドリヨトウは緑色の模様をもつ美しいヨトウガである。

しかし、四国では多数飛来するということはないがどこの山でもあまりにも頻繁に見るのでどうしても見過ごしてしまうのだ。
このように撮影してじっくり見直してみるとなかなか捨てたものではないなと再任認識した。

日本では本州の中部以西、四国、九州、対馬、屋久島に分布しているので西日本の蛾といってよいだろう。
沖縄ではまだ見つかっていないようだが、台湾にもいることから今後はさまれた沖縄でも発見される可能性が高い。

四国では5月から11月上旬にかけてごく普通に見られる。
幼虫の食草はまだわかっていない。

(撮影:瓶ケ森林道 2009.9.28)

エゾキイロキリガ

2009年10月04日 09時38分42秒 | Weblog
今年も出会えたエゾキイロキリガ。

橙黄色の前翅に茶色の筋があるこの模様は独特で、秋の一定時期しか見られないこともあってなかなか魅力高い。

日本では北海道、本州、四国に分布している。
幼虫はシナノキ属を食べる。

四国では標高の高い1000m級の中央山地でしか見られない。
成虫は9月中旬から10月中旬にかけてと発生期間が短い。
発生期は一夜に4~5頭飛来することもありそれほど少なくはない。
エゾという名がついていて九州にいないことからやや北方系のキリガといえるだろう。

(撮影:瓶ケ森林道 2009.9.28)