枯枝

枯枝の上に出ており昼の月
池の水少なきに鴨散りばめて
ぽつぽつと人来て冬の植物園

古窯跡つつみドームの冬うらら

落葉

稜線の空透けて来し冬半ば
石灯籠包むいっぱいの落葉
時雨雲淡路四国を包みおり

華やかに球根ベゴニアの師走

葉牡丹

ベゴニアの温室出れば冬の雨
葉牡丹を積みし車の後をゆく
北東の山越え時雨里へ来る

冬晴れの歴史民俗資料館

待降節

冬三日月すでに落ちいし帰りの刻
キャンドルに灯り点して待降節
「よいお年を」言いつつ別れ日短か

クリスマス近づく園に薔薇の咲く

冬空

雲晴れて明石海峡年の暮
年の瀬や海の最も輝きぬ
冬空へ大きくクレーンの動きけり

歩こうよ山茶花さざんか咲いた道

日短か

冬の雨降る音を聞く夜明け前
まだ少し新車に慣れず日短か
木版画の淡き色合い冬の暮

山ももは今も青々鈴の森

歳暮

優嵐スケッチブック


暖かく山河を包む冬霞
散りつくし歳暮の山となりにけり
捨てるもの捨ててしまおう年の暮

友来るポインセチアの赤を抱き

強霜

強霜の夜明けの中を出勤す
よく晴れて影に残れる朝の霜
極月に届く新車の匂いかな

登り来る菩薩の名前持つ山へ

山茶花

さくと割る蜜たっぷりの冬林檎
しぐるるや赤き煉瓦の美術館
傾ける陽が山茶花を照らしおり

寒波来るこの朝にも薔薇開く

霜柱

奥山に雪化粧させ風荒れる
霜柱かさかさ崩しおもしろき
散り終えし枝にはしかと梅冬芽

日本一小さき家に冬陽さす