冬落暉

銀杏染め楓を染めて冬落暉
赤楓黄色の楓と散りにけり
山茶花の生垣数多の蕾あり

冬の蝶飛び来て小菊に憩いけり

木の葉

横笛を吹く人つつみ冬紅葉
見上げれば木の葉はらはらよき日和
散り敷ける紅葉の坂を山の寺

よく晴れて播磨総社の神無月

冬青空

オープンの店に行列冬の朝
冬青空六甲連山紅葉して
冬の川渡り浪花の街に入る

茶の花や黄金の蘂をあふれさせ

冬の雨

金色に窓染め冬の入日かな
はつ冬の銀杏染まりし黄一色
マッチ擦ることもなくなり冬の雨

紅葉の増位山随願寺経堂

焚火

朝の窓開ければどこかで焚火の香
快晴の淡路の上の冬の雲
フリースのシャツ一枚の小春空

冬菊の咲きしところにひかり満つ

ストーブ

ストーブを初めてつけて絵を描きぬ
手袋が嬉しき午後の山歩く
灯油売る車の周る日短か

今も残りぬ青雲の志

冬めく

優嵐スケッチブック


枝にある熟柿の色を深めおり
遠山の上ゆく雲の冬めきぬ
木枯らしの去りし窓辺に夕日影

石蕗の花黄色き蝶の来て止まる

冬の雷

ある場所は冬の日差しに照らされて
冬菊やあちこちに虫とまらせて
気づくことひとつありけり冬の雷

ダリアなお輝いて咲く冬はじめ

十一月

目覚めれば紅葉散らしの風の音
よく晴れて沖は霞か十一月
冬ぬくし頂にしばし談笑す

初冬やもちむぎ麺を食べに入る

冬の森

自転車の鈴が鳴るなり冬の森
子芋むく外は静かな冬の雨
冬紅葉ひと日の雨に打たれおり

やわらかく色を重ねし冬の薔薇