秋彼岸

秋晴れや屋台新調幟立つ
一面に刈田となりて陽を受ける
秋彼岸風雨の中で入りにけり

清しきは真白き萩の揺れ心地

敬老日

ぽっかりと青空のぞく秋驟雨
晴れ曇り雨に風荒れ敬老日
母が剥く初物の梨をともに食ぶ

パンケーキのような茸の森に生う

稲架

稲架しっとり昨日の雨に濡れ並ぶ
ゆるやかに陽を返しおり秋の海
海峡に集う小舟や秋高し

雲はみないずこも違う秋の夕暮れ

中秋

優嵐スケッチブック


半分まで刈られし稲田雨の中
秋半ば古き手紙を焼きにけり
中秋やカラー写真の色褪せて

そういえば上り藤なり葛の花

稲刈り

ぽつぽつと播州平野に刈田見ゆ
雨の来る前に精出す稲刈り機
稲刈りの終りし田へと静かな雨

サンつがる林檎の季節始まりぬ

秋景色

丹波へと続く山なみ秋景色
吹く風に翅光らせて赤とんぼ
稲刈りの後に白鷺集いけり

秋の朝山々すでに目覚めたり

立待月

洗い髪そのまま仰ぐ立待月
森の道茸いろいろ愛でながら
有明月色を褪ましつ入りにけり

椿の実つらつらとまたつやつやと

十六夜

月光の増せば高鳴る虫の声
こおろぎがテニスコートの真ん中に
十六夜の雲なく晴れし暑さかな

雲の峰生んで秋暑の続くなり

満月

（十五夜句会）
満月も街の灯りも光増す
名月を有明の峰で仰ぎけり
灯の下にそれぞれ暮し良夜かな

月今宵

街灯り船の灯りと月今宵
猪の走り出るなり芋名月
森の木々透かし名月昇りけり

終わるときもっともあでやか花芙蓉