穀雨

山の色溌剌として穀雨かな
春深し梅の実りんごの種ほどに
木の芽する沖の小島を囲む潮

春落葉

春の陽やソーラーパネルいっぱいに
春落葉降る音森に続きおり
山肌は若き緑に春時雨

朧月

釣り人を並べて光る春の海
紫の春夕焼けを電車来る
山の端に朧月ある家路かな

残る桜

山奥に知る人ぞなき花吹雪
快晴が残る桜に広がりぬ
春の野辺彼方に見ゆる淡路島

花屑

散り敷ける花屑踏んで山路ゆく
満開のいま頂点に山桜
花吹雪紛れて蝶の舞い降りる

桜吹雪

吹くたびに桜吹雪の起こりけり
心地よし桜渡りて吹く風の
梅桜ともに咲いたり陽の高し

芽吹く

快晴の空へ小楢の芽吹きける
池の面に姿映して山桜
花屑を甲羅に受けて亀浮かぶ

春宵

ゆっくりと桜大樹の影に入る
春宵や薄墨流す西の空
上弦の月満開の花の上

桜

囀りの追いかけあいて森の陰
本堂は開け放たれて桜かな
濃き桜薄き桜と咲きにけり

花吹雪

散り敷いてひしめきあいて藪椿
花吹雪浴びつつ山路歩きけり
菜の花や午後の日差しをいっぱいに