菅原貴与志の書庫

A Lawyer's Library

講義録:会社とは(2) ~組合と社団

2011-01-04 09:00:00 | 会社法学への誘い
 共同企業形態では、組合のように、出資者が相互に直接の契約関係によって結合する場合もあれば、まず出資者の団体を形成し、この団体と構成員とが結びつく方法もあります。後者の方法では、構成員相互間に直接の契約関係は存在していません。そこにあるのは、団体と構成員との関係だけなのです。このように、一定の目的のもとに人が結合し、団体としての組織を備えたものを、法律上「社団」といいます。

 繰返しになりますが、組合が組合員との契約関係によって結合するものであるのに対して、社団は、構成員が社団自身との社員関係によって結合する団体なのです。なお、この場合の「社員」とは、一般用語の従業員という意味ではなく、社団の構成員のことを指しています。ちなみに、株式会社の場合には、株主がこの社員に該当します。

 社団では、団体の財産は社団自身の所有に属しており、構成員である社員は単に観念的な持分を有するにすぎません。団体財産は、構成員の直接的な支配を離れて、社団自身の財産として独立することとなり、社員が勝手に処分することもできなくなります。個人企業の営業主や組合の構成員(組合員)は、事業のための財産を自ら所有するわけですが、この点で社団は決定的に異なっているのです。

 社団とは、一定の目的のもとに人が結合した組織体です。共同企業形態において、利益追求ないし営利という一定目的のもとに出資者が結合すれば、その組織体もまた社団となります。そして、社団の場合には、組合と異なり、その財産が社団自身の財産として独立しているなど、社員から独立した主体性が認められます。会社とは、そうした出資者の組織体なのです。

(次回に続く)


最新の画像もっと見る