菅原貴与志の書庫

A Lawyer's Library

法律英語の特色(4)

2012-11-25 00:00:00 | 国際法務

国際法務入門 第27回
 頻出用語の例(中)

・counterpart
 契約書の正本・副本のうち一通のことを指す。

・execute
 英文契約書では、「契約を履行する」、「証書を作成する」、「契約書に署名する」などの意味で用いられている。

・here-
英文契約書には、hereafter・hereinafter(以後本契約書では)、hereby(本契約書により)、herein(本契約書に、本条に)、hereto(本契約書に関し)など、hereから始まる単語が多用されている。この”here”は、”this (agreement)”の意味に置き換えればよい。たとえば、
“Buyer and Seller hereby (= by this agreement) agree…”
“The Parties hereto (= to this agreement) acknowledge the terms and conditions set forth herein (= in this agreement).”
などと置き換えて読めば、その意味は分かりやすくなる。

・premises
 一般には家屋敷や構内という意味の単語であるが、英文契約書では「前記の事項」といった意味で用いられている。


(次回に続く)


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 菅原=松嶋ほか『英文契約書の法実務 -ドラフティング技法と解説-』(三協法規出版、ISBN978-4-88260-236-1)、全国書店にて。

      

Mediation in Delhi

2012-11-18 12:00:00 | 日記

 デリー高等裁判所の調停(mediation)期日に出るため、今夜成田空港からインドへ出張します(NH917)。

     

 現地企業に対する債権回収の事案です。手続そのものは、我が国の民事調停と似ているように思います。

       

 19日(月)、午前中に現地法律事務所で打合せをし、午後は裁判所に出廷。その日のうちに成田行きの便(NH918)に搭乗します。1泊3日の強行軍。初めてのインドなのですが、観光する時間的余裕はまったくありません(残念)。

人権教育講演会(大磯町)

2012-11-14 06:21:57 | 日記

 本日1/21、神奈川県大磯町教育委員会 「人権教育講演会」に出講させていただきます。


       



 「噺(はなし)から人権問題が見えてくる -落語にみる人権意識」

第一部 落語 、『妾馬』 金原亭駒与志(映像出演)

第二部 講演 『落語にみる人権意識』 菅原貴与志

1.落語「妾馬」を題材に
(1)お鶴の方さま    ~ 一夫多妻制の許容
(2)お世とり      ~ 長子相続の合理性
(3)士農工商      ~ 近代化以前の身分制度

2.平等の歴史的沿革
(1)近代化と四民平等  ~ 身分から契約へ
(2)現代化と男女同権  ~ 憲法14条と現代社会

3.日本国憲法の基本構造
(1)究極目的は「個人尊厳の確保」
(2)平等権を保障することの意味
(3)達成手段としての「民主主義」と「権力分立」

4.江戸期の人権意識
(1)屋敷と長屋の違い  ~ 江戸期の人口比と男女の力関係
(2)相続法の不存在   ~ 近代的な長子相続
(3)江戸期ビジネスにおける契約自由

5.その他


聖賢の学

2012-11-09 00:00:00 | 伝える言葉
◆伝える言葉(11)◆


 聖賢の学、いとまありて後修ることをきかず。 (熊沢蕃山)



 かつて江戸前期の陽明学者・熊沢蕃山は、「自分は本当の学問をしたいのだが、どうも仕事が忙しくて、思うように勉強ができません」という人に対して、「聖賢の学問は、暇があって後に修学するものだとは聞いていない」と答えている(『集義和書』巻第十義論之三)。
 すなわち、蕃山はこう説くのである。学問とは、自分の仕事や生活とまったくの別物ではない。したがって、忙しくても学問はできるはずだ。せっかくの自分の仕事を捨ててまで学問をしようなどと考えるのは、心得違いである。それは本当の意味での学問ではない、と。

講義録:会社法の議論とは

2012-11-01 00:00:00 | 会社法学への誘い

 前回までに議論したとおり、会社側の保護すべき利益は、①企業経営の合理性・機動性の確保と、②資金調達の便宜の2点であり、株主の利益は、①オーナーとして会社経営を監督できる地位の保持と、②株式の自由譲渡性の保障の2点です。また、債権者にとっては、株主有限責任の原則と所有と経営の分離のなかで、実効性ある債権回収の方策をいかに確保するかが重要となります。
 そして、下図に示したとおり、一方当事者の利益は他方の利益に反する場合が通常でしょう。

       

 会社法の議論の多くは、これら会社・株主・債権者の三者の利害をいかに適切に調整するかを検討するものです。問題となっているのが誰と誰のどういう利益なのか、これらの利益をどう調整するのが最も公平なのか、という点にあるのです。

(次回に続く)