菅原貴与志の書庫

A Lawyer's Library

講義録:株式会社の基本構造(9) ~適正な経営のための監督

2012-10-01 00:00:00 | 会社法学への誘い

 会社の執行部は、合理的な企業経営の実現を志向します。簡単に言えば、経営者は日ごろから「商売のやりやすさ」を追求しているのです。しかし、それが行き過ぎとなってしまう場合もあります。また、もともと経営者というものは、他から経営に口出しされるのを好みません。その意味で、経営陣が誤った判断する危険性はつねにあるのです。

 特に会社の業務執行機関である代表取締役(会社法349条)は、その権限の広範さ強大さから、事実上の最高権力者として会社経営に君臨しています。それだけに不適法な、あるいは著しく妥当性を欠くような権限行使がなされる危険も大きいといえます。

 これを防止し、適正な経営を実現する手段として、会社法は様々なシステムを用意しています(下図)。

     

 取締役会(会社法362条)と監査役(同法381条)は、株式会社組織の内部から業務執行を監督します。これに対して、株主や会計監査人(会社法396条)は、会社組織の外部から監督を担うものです。こうして会社の内部と外部から、適正な経営実現のためのコントロールが施されているのです。

 以上の株式会社の基本構造について、マクロ的にまとめたのが左図、ミクロ的チャートが右図です。


        




(次回に続く)


最新の画像もっと見る