菅原貴与志の書庫

A Lawyer's Library

講義録:会社法の議論とは

2012-11-01 00:00:00 | 会社法学への誘い

 前回までに議論したとおり、会社側の保護すべき利益は、①企業経営の合理性・機動性の確保と、②資金調達の便宜の2点であり、株主の利益は、①オーナーとして会社経営を監督できる地位の保持と、②株式の自由譲渡性の保障の2点です。また、債権者にとっては、株主有限責任の原則と所有と経営の分離のなかで、実効性ある債権回収の方策をいかに確保するかが重要となります。
 そして、下図に示したとおり、一方当事者の利益は他方の利益に反する場合が通常でしょう。

       

 会社法の議論の多くは、これら会社・株主・債権者の三者の利害をいかに適切に調整するかを検討するものです。問題となっているのが誰と誰のどういう利益なのか、これらの利益をどう調整するのが最も公平なのか、という点にあるのです。

(次回に続く)


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