犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
犬のこと、人の心身のこと、音楽や自作のいろいろなものについて

本州を走る

2023年07月20日 | 犬と暮らす
空梅雨と言えるのだろう。
東京はひどく雨が少ない。
天気予報で傘マークが付いていても、
その日その時が近付くと傘は閉じられそして消えてゆく。
夕立ちも無く、ただ熱気がこもる。

毎朝行っているドッグランの地面も乾ききっている。
犬たちが戯れると、もうもうと埃が上がる。
取っ組み合って受け身を取った犬は全身埃まみれになる。
毛の奥まで埃が入る。
犬の身体を叩くといつまでも埃が立つ。



8年前の今日未明、
当時2頭飼っていたうちの、雌犬が息を引き取った。
カバサという名だった。

他の犬と喧嘩してしまう犬だったので、
ドッグランには行っていなかった。

猫にも鳥にも犬にも喧嘩を売った。
しかも脱走癖が有った。
あの手この手で対策した。
神経をすり減らしたものだ。

同居のきょうだいの雄犬に対しても、威張り散らしていた。
自分の寝ている横を通ろうとしただけで、
「ウ~~~~~」と脅した。

2年に一回くらい、きょうだい喧嘩で血を見た。
とにかく飼うのがたいへんな犬だった。



それでも飼い主にとってはかわいい犬であった。
内弁慶で甘えん坊なのだ。

死の前日、私は語りかけた。
もし、また私に飼われたいと思うなら、憶えていてくれ。
必ず見付けてやるから。
でもあんまり遠くに行ったら見付けられないから、
そうだな、せめて本州から出ないようにしなさい。

死んだら突っ走ってどこかへ行ってしまいそうだった。
言い聞かせながら、私は、この犬がとにかく西へ西へと走りそうに思った。
どこか、中国地方あたりへ行きそうな気がしていた。



きょうだいの雄犬ジーロくんはその後4年生きた。
脅されることなく、ビクビクせずに餌も食べられる、
散歩も今までより自由にできる。

最期の1年半は慢性腎不全のため苦しい日々であった。

そのジーロも他界した1ヶ月半後、
新しい犬を迎えた。
インターネットの里親探しのサイトで見付けた保護犬である。

広島で保護されて施設で育ち、
4歳を過ぎて東京にやって来たのだ。
ウーゴと名付けた。

保護されたのは10月18日だったそうだ。
その時に生後3ヶ月くらいだったので、
誕生日は7月18日頃、と推定された。



あの威張りんぼの雌犬カバサは、私の思ったとおり、
死んですぐに西へ走って、本州の端っこ近くまで行って
ふいっと新たな仔犬として生まれ変わったのではないだろうか。

ウーゴは猫に見向きもしないし、
他の犬と喧嘩はしないし、
怒ることは有っても絶対に咬まない。
家では一ヶ所に寝ていて、脱走なんて思いも寄らない。
カバサとは似ても似つかない。

けれど、どこか一部分にカバサが宿っているような、そんな気がする。



梅雨前線はいまだに九州の緯度にいる。
東京は、梅雨明けを待つと言うより、
まともに梅雨入りしていない、と言えるような天気図である。
この後、前線はめまぐるしく本州を北へと駆け抜けるのだろうか。
東京はとにかくひと雨欲しい。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ドジョウの命 | トップ | 夜の庭のイキモノタチ »

コメントを投稿

犬と暮らす」カテゴリの最新記事