復活カレンダー

風邪を引いた。
と、数日前に書いた。

母87歳パーキンソン病ヤール４要介護５認知症状少々、が
特別養護老人ホームに入居した後、十日目くらいから、
ハナが出た。

いきなり黄色いハナだったので、
風邪ではなく、何か菌が入ったのだろう、と思った。
しかし、一日おきくらいにのども痛む。
いやそれは、鼻が詰まっているから、寝ている間に口呼吸になっているせいだろう。
とは言えダルい。
やはり風邪だろう。
いやそれにしては黄色いハナが止まらない。

左の鼻が詰まる。
かんでもハナが出尽くさず、残る。

たまに左上の歯が痛む。
いやこれは、鼻の奥が腫れているせいではないか。

※

副鼻腔炎をこじらせると、怖い。
中耳炎を併発するとか、副鼻腔炎が慢性化するとか、それが好酸球性になるとか、
こじらせて苦しんでいる知人友人がいる。
「早めに医者や薬に頼るべきものも有る。」
と鼻炎もちの友人Ｈも言っていた。
その金言を無駄にしてはいけないじゃないの。

※

と、かれこれ2，3週間は経った頃に、やっと耳鼻咽喉科に行った。

鼻からカメラを入れるのも、左は痛い。無理。
右から挿入して、喉頭も見る。

「咽頭のこれは正常の範囲です。
鼻の奥はこっちが右で、こっちの左はこうやって鼻汁が粘着していますね。
これが声帯です。
のどにも少し炎症が有りますね。
逆流性食道炎が有るんじゃないですか。
歯は痛みませんか。
虫歯が有ってそこから菌が入ったという可能性も有ります。」

虫歯は無いと思うけれど、あやしくないわけでもない。
胃酸の逆流は、この数ヶ月、たまに有った。
この頃は収まっていたが。

「抗生剤と、鼻炎の薬と、鼻汁をゆるめる薬を出しておきますね。」

※

薬をのむのは何年ぶりか。
6，7年前に花粉症がつらくて何かの薬をのんだら、
鼻はカッサカサに通ったが、眠気がひどくて日中に活動ができず、
寝たきりになるせいか全身が痛くてたまらなくなった。

あの副作用がおそろしくて、薬から遠ざかっていた。

※

戸棚の整理を始めた。

上のほうには紙袋やビニール袋のきれいめなものが
たくさん詰まっている。
下は引き出しが入れてあって、電球やら針金やらハエトリガミやら何かの部品やらが
ごっちゃになって詰まっている。
ちょうどいい大きさの段ボール箱が詰め込まれ、
その中には軍手やら使わない関節サポーターやら
古いスプレー剤やらゴム手袋やらスポンジやら金タワシやら
雑多な物が詰まっている。

中ほどの棚は、年賀状と薬が主なようだ。
薬は、ほとんどが古い。
薬箱のデザインもおそろしく昭和でかわいい。
おそろしく賞味期限の過ぎた謎のサプリメントなども出てくる。
誰かがくれたのだろうか。
あるいは亡父が精力剤として購入したものか。

そんな奥から、茶封筒が出てきた。
「くすり　のみはずれ」
中の薬は、漢方の下剤とパーキンソン病のためのスタレボだった。
３年くらい前のものだろうか。
「飲み忘れ」でも「飲み外し」でもなく「飲みはずれ」というところが
自分のせいじゃないと言いたげだ。

※

最初は緊張感をもっていたが、
３日目だかには飲み忘れた。
食後１時間くらいして気付いて飲む、ということが何度か有ってから
やっと思い出した。

ウチには「おくすりカレンダー」が有るではないか。

母が薬の自己管理ができなくなった初期は、
このおくすりカレンダーに薬を入れてあげて、
そこから自分で取って飲むことにしていた。
１年半くらいはそうしていたか。
そのうち、おくすりカレンダーから取るのを忘れたり、
まるで別のポケットから取って飲んでしまったりして、
おくすりカレンダーでは管理できなくなった。

それもあって、定期巡回介護サービスに入ってもらうようになったのだ。

※

おくすりカレンダーに事前に入れておけば、
「さっきの食後に薬を飲んだか飲んでいないか」が思い出せない時に
すぐに確認することができる。
あら便利。

のみはずれの薬が出てきた戸棚に掛けて、私が使用することとなった。



※※※

飲み忘れた薬は、次回の受診の際に、医師に
どの薬がいくつ余っているか、正直に言いましょう。怒られないから。
次の処方の数をその分、減らしてもらえます。
捨てるのはもったいないし、薬品には捨て方に気を付けなければならないものも有ります。
薬局で申し出るのでも良いです。