昨日に続いて日系企業の駐在員の方たちから聞いた話で、労務管理以外の悩みをまとめてみます。一番は反日感情への配慮、次いで役所などとの付き合いが難しいようです。
蘇州は中国の中で反日感情の弱い地域だと思いますし、ここ1年ほどは中央政府が日中友好ムードをかもしているので、具体的に問題が起きているわけではありません。しかし、駐在の方々の気の使いようはかなりのものです。
例えば、公害規制、労働法規など法令に対して現地企業はいいかげんだけれど、日本企業はしっかり守る。もともと法令順守の考えが強い上に、もし違反で摘発されたときに反日感情に火がつくことを恐れる、と皆さん口をそろえておられました。
1年ほど前に労働法が施行され、従業員の解雇条件が厳しくなったのですが、中国人を総務担当にしている日系企業では、従来と同じように簡単に首を切ろうとする総務担当と日本人駐在員の間でしばしば衝突が起きるそうです。
次に役人や電力会社など準役所とのつきあいです。この国では役人が民間企業から飲食などの接待を受けたり、季節の挨拶など理由のつく贈り物を受け取るのは問題にされません。また、電力会社などは工事業者を指定することが多いようです。日本では汚職につながるこのような付き合いをどの程度まですればいいのか、悩みの種になっています。
もうひとつ、日本の本社または親会社が中国の特殊事情を理解してくれないという悩みが大きいようです。これは経営を現地に任せないという大半の日本企業が持つ特性と裏腹です。
中国にある日系企業の今後の最大の課題は、この現地に経営判断を任せることだと思います。単なる工場としてでなく、巨大な市場としての中国、しかも特殊な経営風土の中国で臨機応変に対応するには中国に精通した人材を登用し、判断を任せないとダメでしょう。
写真は日系企業もたくさん進出している新区を獅山から写したものです。
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