中国旅行記: スーの「あら!中国」

中国・蘇州を拠点に定年後を楽しむ男が、中国での日常生活や旅行で「あら」「おや」「へー」と感じたことを文章と写真で綴る。

消えた船旅(蘇州ー杭州)

2008-09-30 08:07:16 | 交通事情

蘇州に来れば、早いうちにやろうと思っていたことがあった。杭州までの運河の船旅である。それが、06年末で廃止になっていた。

初めて蘇州に来たのは、もう20年ほど前だったか。妻と二人で、この船旅をした。ポン、ポン、ポンと音を出す機関船を先頭に十数艘の客船がつながれ、波のない運河をすべるようにゆっくり走っていく。午後5時ごろ出て、着いたのは翌朝7時ごろだった。

途中、全く光がない真っ暗闇が随分続いた。機関船の音が全くしない時間もあった。真っ暗闇は日本で経験できないので、光も音もない世界は印象的だった。

1艘の客船には4,50人の客が乗れたのではないか。私たちは一番安い、2段ベッド2組の部屋を取った。杭州まで百数十キロの運賃(宿泊料込み)が一人500円ぐらいだったと記憶している。相部屋をしたのは新婚夫婦。杭州まで新婚旅行に行くところだった。

この旅をもう一度してみたかった。日本人が書いているWEB「蘇州com.」に紹介されていたので、今も続いていると思っていたが、バスや列車などの交通手段に負けて廃止されたのではないか。残念。

代わりといってはおかしいが、旧市街地を取り巻く運河を巡る遊覧船に乗った。半周ほどを往復する1時間のコースだが、歴史があるだけに見所が多く、今まで乗った遊覧船の中では一番よかった。10年ほど前と比べ、運河のごみは少なくなっていたし、見た目にはきれいになった感じだが、水質がどうなったかは分からない。


蘇州・南林飯店の変遷

2008-09-30 07:56:30 | 蘇州の園林(街)

ほぼ長方形をした蘇州旧市街地の南半分の真ん中あたりに、南林飯店というホテルがある。プラタナスの街路樹が覆う十全街という中規模道路を北に少し入ったところだ。このホテルの変遷に興味を持ったので、書いておきたい。

初めて蘇州を訪ねた20年ほど前に泊まったのがこのホテルだった。当時、蘇州のホテルの数はそんなに多くなかった。蘇州駅の看板で見当をつけ、直接交渉したのを覚えている。本館は満員で、離れの長屋風2階建ての部屋に泊まった。1泊数千円で、質素だけれど清潔ないい感じの部屋だった。

庭が広々として大きな木が生えていたのもよかったが、特に気に入ったのは朝食。一人100円程度の料金で、おかゆがおいしく、チャイナドレスを着た、きれいなお嬢さんがついてくれて、お茶がなくなるとすぐ注ぎ足してくれるという心配りだった。このホテルのいい印象で、蘇州に対する第一印象が随分よくなった気がする。

2回目に来たのは10年ほど前。昼食を食べに来ただけだった。建物は古くなり、3つ星の看板が玄関に張ってあった。中華レストランに入ると、派手な飾り付けで、余り品がない制服の従業員がやかましく動き回っていた。料金は街の食堂よりはかなり高いが、味も料金もそれ相応だったと記憶している。

今回も昼食だけを食べにいった。建物の外観はそのままだが、内がきれいに改装されていた。雑木林のような自然の雰囲気があった庭は、太湖石を使った庭園に造り直されている最中だった。5つ星ホテルに昇格したらしく、公称の部屋代は最低で1010元(1万6000円ほど)

中華レストランは内装も従業員の服装も高級店の雰囲気に変わっていた。チンゲン菜の炒め物、少し手の込んだチャーシュー、小籠包、青島ビールを注文した。160元(2500円ほど)と思ったより高かった。

それに、ビールを持って来るのを忘れ、お茶が切れてもおかまいなし。ウエートレスにお茶の追加を頼んでもすぐ動かず、別のテーブルの接待に入ってしまった(すでに1時半ごろで、女性従業員は2,3人しかいなかったが、十数人の欧米ツアー客が入り、10人近くの家族連れの客もあった)。

長々とレストランのサービスを書いたのは、蘇州全体の雰囲気を表している感じがしたからである。つまり、人々が高い料金にも慣れてしまい、心のこもった接客態度を忘れてしまったのではないか、という心配だ。


多彩な蘇州の交通手段

2008-09-30 07:41:35 | 交通事情

ここ蘇州は中国の中でも最も多彩な交通手段が活きている都市ではないか。利用頻度の高いものから紹介していくと――

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  《バス》料金はだいたい1元か2元(1元は約16円)。空調車だと1元上乗せ。ラッシュアワーはもちろん、休日などは客が開いたドアにしがみついたまま走っている。停留場で止まらないことも多い。路線、便数ともに多いが、人口増加に追いつかない感じだ。

車は古い壊れそうなものから新しいものまでさまざま。いずれも、客が運転手に停車を知らせるボタンがついていないから、下車するときは大声で「下車」と叫んで、下車用の後方のドアまで人を押しのけていかねばならない。

来た当初、最寄りのバス停から蘇州駅に行く69路線に乗ったら1元だったのに、同じ路線<st1:StationName StationName="に蘇州" w:st="on">に蘇州駅</st1:StationName>で乗ったら5元取られて驚いた。乗った場所から終着までの距離で料金を計算しているためだ。だから、このバスに近距離で乗ると損をする。運賃は運転手の横に電光表示してある。いったん乗って、高いことに気づき、降りる人がたくさんいる。この路線はずっと西方の太湖まで1時間半ほど走る。

早朝、郊外から都心に向うバスは農作物や湖で取れた魚介類で占領される。農家が街の飲食店などに収めるか、路上で売る品物だ。

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  《自転車とバイク》蘇州は非常に平らな街。運河をまたぐ橋の前後がゆるいスロープになっているほかは、上り下りがない。自転車に最も適した地形だが、自転車とバイクの合計を100とすると、自転車は10もないぐらいだ。後は電動自転車とバイクが2分している。自転車のほうが健康にも環境にもいいと思うのだが、蘇州の人も贅沢になったということだろう。

幹線道路には1.5車線ほどの専用道路がついているが、自転車を買った私としては1車線をバイクと電動自動車に、0.5車線を自転車専用に分けてほしい。そうすれば自転車が増えるのではないか。

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  《タクシー》初乗りが10元。4~5キロ走って20元ほどだ。車は小型で古いものが多く、運転席はプラスティックの板で囲まれている。休日など中心地域では空車が少なく、なかなか乗れない。

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  《営業用の人力車、バイク、オートバイ》自転車やバイクに屋根付きリヤカーのような座席をつけたものが非常に多い。観光地巡り用に発展したのだと思うが、一般の市街地にも多い。バスは満席、タクシーもつかまらない時はこれに頼るしかない。

車は古いものが多く、私が乗ったバイクは最高時速で10数キロ、自動車のローで走っているようなスピードだった。そのうえ、大きなうめき声のような音を出し、いつ分解するかと心配したほどだ。

人力車のこぎ手が女性のこともしばしばある。オートバイはそのままで後部座席に人を二人まで乗せてかなりのスピードで走る。郊外に多い。

これらの料金は全て事前の交渉で決まる。タクシーが取れないときに、人力車や営業バイクを頼むとタクシーの倍ぐらいの料金を言ってくる。この営業用の人力車やバイクも、自転車と同じ専用道路を走るので、混雑のもとだ。


蘇州の概要

2008-09-30 05:55:00 | 蘇州の園林(街)

蘇州は運河が張り巡らされ、いい庭園が多い。6つの庭園が世界遺産になっている。寒山寺、虎丘も市内にあり、杭州とともに「人間天堂(人の世界の天国)」といわれる中国有数の観光地である。

2500年ほど前に都市が形成され、唐の時代にすでに文人墨客が住む街として有名で、明清時代に富豪や退職した官僚らによって競って庭園が造られた。

旧市街は南北6キロ、東西4キロほどのほぼ長方形をしており、大きな運河と城壁で取り巻かれていた。運河は今に残るが、城壁は一部しか残っていない。

1992年から旧市街の西方に中央政府肝いりの工業新区が開発され、世界各国から企業が進出した。その後2年して、今度は東方、金鶏湖の周辺をシンガポール政府が中国政府との合弁で工業園区として開発した。日本企業は新区に多く、欧米企業、韓国企業は園区に多く立地している。中核の産業は両方とも電子工業。

台湾企業の進出で有名な昆山市や呉江市を含む周辺5市が蘇州市の管轄下にあり、これらを含めた拡大蘇州市の人口は公称約620万(06年末)、建設現場の出稼ぎ労働者らを入れるとさらに100万単位で増えるという。

住んでいる日本人は公称約6,000人。

外資導入の成功で急速に経済発展した。07年の一人当たり域内総生産(GDP)は約1万3000ドルで、上海(9100ドル)、北京(7000ドル)より高い。

大小の道路がほぼ東西に碁盤の目のように走っている。幹線道路には広い歩道と1.5車線ほどの自転車・バイク専用道路が両側に設定されている。中規模の道路は歩道と車線の間にスズカケ、クスノキなどが植えられ、道路全体を覆っていることが多い。旧市街地の外側を取り巻く運河の更に一回り外側に、幅数十メートルの環状道路ができ(東環路、西環路、南環路、北環路)、高架道路との2重構造になっていて、高架はそのまま他都市と結ぶ高速道路につながっている。上海・虹橋空港から市の中心部まで約80キロ。浦東国際空港から約100キロ。

気候は温暖、夏は蒸し暑い。