太陽の家 太陽建築研究所 <solarchis>

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太陽の家 脱ウサギ小屋

2012-11-29 23:01:14 | スタッフ Blog
科学ジャーナリストの小出五郎さんに
先日の完成内覧会のお知らせをしたところ、
11月18日のブログに批評を書いてくれたので
ちょっと遅くなりましたが紹介したいと思います。


Posted by goro | 5656短評 | 日曜日 18 11月 2012 10:56 PM

山形県酒田市の建築家、井山武司さんが設計する
新しい「太陽の家」が酒田市に近い鶴岡市に完成、
11月23日から3日間「完成内覧会」が行われるという案内状が来ました。
先約があって内覧会には行けませんが、お祝いのエールを送りたいと思います。

太陽の家は、酒田市や鶴岡市のように
冬にシベリア高気圧が強風と豪雪を運んでくる日本海側でも、
ほとんど光熱費ゼロ(つまり原発はいらない)で暮らせる住宅のことです。
井山さんが数十年にわたって研究所をつくり実際の住宅に応用してきた成果です。

カギは住宅の構造(躯体)に分厚いコンクリートを使用していることです。
コンクリートは温まればさめにくく冷えれば温まりにくい性質がありますが、
その性質を巧みに利用して、屋内の温度が年間を通じて一定に保たれるようにしています。

熱源となるのは太陽光線のエネルギーです。
太陽の軌跡を考慮した設計になっていて、
太陽光を最大限屋内に取り込みコンクリートの躯体が温まるようにしています。
そしていったん温まった熱を無駄にしないように
壁には断熱材、窓は二重窓にしています。

夏はなるべく太陽光線が室内に入らないようひさしの長さを工夫し、
自然に換気できるような空気の流れをつくっています。
夜の間に躯体を冷やし、昼はその冷熱を利用して冷房をします。
そのほか、照明に電気を食うことがないように
自然採光にも配慮しています。
もちろん太陽光発電、太陽熱給湯も利用しています。
夜になれば電気の供給を受け、異常な寒気に備えて床暖房も備えていますが、
屋根の電気の発電分で帳消しにして、
全体としてゼロエネルギーを達成することになるようです。

躯体が頑丈なので地震に強いのも利点です。
室内は東北の地元の木材を使用しているので住み心地は
「木造りの家」で快適です。
建築コストは少々高くなりますが、
電気、ガスの購入費が少なくて済むので、維持費は安いということです。

私はこれまでに、井山さんの太陽の家
(個人住宅もあれば、集会所のような施設もありました)
を酒田市と鶴岡市で何軒も見学しましたが、
今の時代にこそ必要な考え方をバックボーンにした優れた住まいと思います。

東日本大震災の被害地である気仙沼市から
見学者グループの訪問があったと最近のブログに載っていました。
気仙沼市だったら、床暖房は不要ではないかと感想が書かれていましたが、
エネルギー収支を計算した結果を知りたいところです。

住宅という高価なものでも
「大量生産、大量消費、大量廃棄」の経済の中では、商品の一つに過ぎません。
消費者からすれば住宅購入は一生の大事業ですが、
経済の仕組みの中では単なる消費財の扱いなのです。

このような貧しい「ウサギ小屋の住宅思想」に終止符を打ちたいものです。
心豊かに暮らせる住宅をめざす井山さんの太陽の家を私は応援しています。






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