『昭和十一年七月、白根山に登る途中、万座峠からドーム型の笠岳を初めて間近に見た。ついで八月横手山の覗きから、その立派な尖峯を山日記にスケッチして、すっかりそのとりことなり、すぐに翌日笠岳の登ろうとしたが、途中で体調をくずし泣く泣く引き返さざるを得なかった。その翌年の三月、横手山のスキー登頂を果たした時も、覗きから真っ白な来たアルプスを背景にした剽悍な笠岳の姿に、意欲を燃え立たせたのであった。全く笠岳は志賀高原のシンボルであり、こんな登高欲を駆り立てる山は、上信国境にも少ないと思われる。』
信州百名山の著者、清水栄一はこのように書く。
この笠岳は、信州百名山であるばかりではなく、日本三百名山のひとつでもある。
この山は、実は登山口から三十分もあれば楽に登れる。
紅葉が山を包み始めたので、笠岳に登りに行った。
日本のサンモリッツと呼ばれる山田牧場を見下ろす。
県外からの訪問者も多い。
笠岳の全景。
ここが登山口。
山小屋任せのトイレだが、主は店を閉めて、勤めに出ているという。
北アルプスにあるようなバイオトイレを村は設置して欲しい。
ここには水もない、電気もない。だが、車道はある。素晴らしい山もある。
工夫とやる気次第で不可能ではないはず。一億一千万円もかけて、少し下の山田牧場に足湯を作る計画は中止すべきだと強く思う。
全国の登山愛好者の皆さんには是非笠岳に登りに来て欲しい。
そして、ここに公共のトイレをという声を上げて欲しい。
登山口から十一分五十秒で山頂。
新しく看板が付けられていた。
なかなかいいじゃないか。
ただ、日本三百名山だけじゃなく、信州百名山の文字も入れて欲しかった。
全く素晴らしい紅葉。
この山は急な階段がある。
全部で四百段近くある。
この日、車に自転車を積んで行った。
千九百メートル付近からのダウンヒルを楽しもうという目論み。
火野正平さんではないが、人生下り坂最高!
紅葉の中を自転車で下った。
美しかった。そして寒かった。
一日たって、気温はさらに下がった。
紅葉は里にも迫っているのだろう。
夕暮れの鹿島槍が美しかった。