七七ブログ

タダの詩人「七七」による人心体実験の記録 

「落とし天狗文の」第五回

2007-11-25 23:44:35 | カットアップ
 大雪のためダイヤが乱れた日の、いよいよやくざの数は膨れあがり、大喜びで見に出かけたものの、子供たちは信じない。
「依頼されたからですよ」
 遥か彼方を眺むれば、いかにもそれらしいタイプの人選が行われていて、さいわいなことだと思い、別段これという理由はなく、おれはうろたえた。孵卵室にあった卵を、これを狸の化けたものと思いこんだ。ランチ・タイムが十一時半からだったので、しばらく無言だ。最初の一羽が食べに舞い降りてくる。おれたちはまさに犯されているようだった。談合をはじめる。
「夫の名前がハムサラダ。妻の名がアブラ」
 友人はそのことばをエロチックな意味にとらえ、東京の従姉妹たちから、泣きそうになりながらどんどんと遠ざかって行き、ついにたまりかねて店を出ようと決断し、踏み出しかけた足をはっと引っ込める。そしてたいへん美人の、ヨシコサンガ、野菜と一緒に、いつまでも、ひとりやきもきすることになる。
 彼女は俺を見るとつかつかと歩いてきて原稿用紙の上にハイヒールの片方を乗せ、仕送りの金が残り少なくなってピンチなのでと弁解し、ふたたび熱湯をざばーっ。もちろんビールやら酒も。ジーザス!それにちょっと頭が痛い。このロリータちゃんは、金もなく、わが家の門前で毎夜のように小便をし、見ず知らずの連中と一緒に近所の公園で夜明かししたんやが、たまたま隣りに掛けた文学部だという学生に打ち明ける。
「このうすら馬鹿のぐうたらが」
と言い出し、しかたなく酒を飲ませることにした。その夜、口を開く。心の闇に降りて行かねばならなかった。素粒子物理学の超ひも理論によって、彼はすっかり追いつめられてしまった。タケノコかかえて泣いている。いよいよ食べようという時に彼は、孤独の中で苦闘し、粘り気のある肉は何層にもなった恨みと屈託でもって身をよじり、ビルもネオンの明るくきらびやかな光もなくなって、またコンパクトにされて無限小のボールとなった余分な六つの次元や、トムクルうた反応で世界中のマロブラドはちっともトムハンクすることなく、いざ渡す段になってためらいが生じ、しばらくそのままだ。
 その美しさに見惚れていた西尾が、そのお返しにとディキシーランド・ジャズを鳴らして気が狂ったように手足を動かし、そのかわり奢ってほしいなどと言い、A氏は承諾したものの、力なくかぶりを振る。午後おそく、いよいよ次はおれの番だ。

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
「天狗の落し文」の記憶が邪魔をする (Xoufelm)
2007-11-27 10:06:29
一度、「天狗の落し文」を読んでしまうと、その記憶が7しさんの作品を楽しむ上で邪魔になりますね。これは、あの話の文章だなって感じになってしまう。
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カットアップをする人必見のサイト (Xoufelm)
2007-11-28 12:42:06
圧縮新聞 http://pha22.net/comp/ です。Yahoo! の形態素解析にマルコフ連鎖を使ったものだけど、品詞分解がばっちりで、マルコフ連鎖で繋げる際のパラメーターが絶妙。しかもニュースサイトから複数のニュースを瞬時に取ってきているので変な組み合わせができて面白い。う~ん。これができた今、何をしようか思案中です。
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コメント、情報ありがとうございます (7し)
2007-11-28 23:03:09
圧縮新聞は完成度高いですね。
確かにこういうものを見ると自分のやり方も
もっと進化していかなくてはと思わされます。
それにカットアップは手法だけでなく
ソースや見せ方にもまだまだ実験の余地があると思いました。

「落とし天狗文の」はソースを十分に生かしきってないかも。
縦書きの本の状態にしてみたりしたいです。
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