緩和ケアで行こう

へなちょこ緩和ケアナース?!のネガティブ傾向な日記です。

大晦日も夜勤☆

2007-12-30 22:14:09 | 日々の「ケア」

 明日は大晦日です。大晦日は家でゆっくりと過ごして…。夜はテレビを見て、そして初詣に早朝から出かけて…。

 …ということはありえず…。
 今年も、大晦日は夜勤です。

 緩和ケア病棟では、ほとんどの患者さんが外泊をすることができません。ですから、年越しは病室で過ごす患者さんが大半です。
 そして、年越しに仕事をして過ごす私も、患者さんの年越しの時間におつきあいさせていただくことになります。

 年越しくらい、患者さんのみなさんが安楽に過ごせればいいのに、と思いますが、体調は年末だからといってにっこりと微笑むようによくなるわけではありません。
 去年の年越しは、旅立ちのお手伝いをしてました。今年はどうだろう。

 へんてこなことかもしれませんが、大晦日に勤務している私は、消灯のときは、「おやすみなさい」とともに、「良いお年を」なんぞと患者さんに声かけします。
 そして、翌日の元旦に患者さんが目覚めた時には「あけましておめでとうございます」と声をかけます。
 このやりとりには、多くの患者さんがにんまりと笑ってくださいます。

 今年も、少しでも心身ともに安楽な年越しが過ごせるよう、患者さんとの時間を一生懸命に大切にさせていただこうと思っています。

 

うるさい!

2007-12-28 15:52:27 | 患者さん
 
 いつも怒られっぱなしの患者さんがいます。
 河合さん、82歳、腎臓がんの患者さんです。脳梗塞の既往があります。

 この河合さん、「おかげんはいかがですか?」と声をかけても「うるさい!」、「体を横に向けますね」と声をかけても「あっち行け!」と怒ってばかりです。
 看護師には本音で接しても、医師には「いい顔」をする患者さんって結構いらっしゃるものなのですが、担当医が声をかけても「何をゆうとんや!」とぷいっ!とソッポを向いてしまいます。
 河合さんは入院してからまだ1ヶ月も経たないのですが、担当医を含め、スタッフはどうしてあんなにいつも怒っているのかな?と頭を抱えました。

 そこで、ご家族にお話を伺いましたところ、怒りやすくなったのは数ヶ月前からだ、とのことでした。脳梗塞を発症したのは数年前で、以前の脳梗塞の発症が直接的な原因ではないことは明らかでした。それまでは温厚な方だったそうです。

 スタッフは、ベッドで過ごすばかりではメリハリのない生活になってしまうと考え、お茶会やイベントがあれば河合さんをお連れするようにしています。
 先日のクリスマス会にも参加していただきました。
 クリスマス会が盛り上がる中、河合さんの近くにいたスタッフは、「もし、怒られたらどうしよう…。」とハラハラしていたのですが。
 河合さんは無表情のまま、車椅子で過ごされていました。スタッフ一同、ほっとしました。
 そして、クリスマス会が終わり、お部屋にお連れして、車椅子からベッドに移乗していただこうと「ベッドに移りますよ~~」と声をかけながら、私が屈んで河合さんの靴を取った途端。

 「何するんや!」

 …と、蹴りが入りました。
 
 「およよ~~~~~!」(私の衝撃)

 クリスマス会のときは、あんなに普通(無表情だったけどさぁ)だったのに…。クリスマス会、お気に召さなかった????
 そばにいた助手さんも目がテンでした。

 河合さんが怒りやすくなっているのは、体に何らかの変化が起こったからなのでしょう。けれど、大勢の人の中で過ごされている時には、ごく普通に過ごされているようにも見えました。きっと、そのあたりは社会性やら体裁というものは河合さんにちゃんと存在しているのだろう…と思いました。外面がいいのも普通の人間性!!

 初めてお会いした時、河合さんが「あっちいけ!」といいながら手が飛んできた時にはびっくりしました。今は、怒っている河合さんそのものを河合さんだと受け止めるようにしてます。
 がお~~~!っと怒られても、これが今の河合さんの普通の受け答えなんだと思うと、怒られないと拍子抜けしちゃったりもします。

 ところで。精神科のスペシャリストの先生なら、どんな風にアセスメントしてくださるのかしら?
 

協働すること

2007-12-21 23:33:08 | 日々の「ケア」
 
 私ががん看護を専門としている看護師であるということを、自分の病院でどれだけ認識されているか、それは今の私にはよくわかりません。
 しかし、私が何かを専門としてやっている看護師になったということは、資格を取って以来、少しずつ院内で伝わりつつあるのかもしれない、と思っています。
 廊下で出会う師長さんやスタッフには、「おめでとうございます」「すごーーい!」という声をかけていただいていますが、正念場こそ、これからだし、私一人がスタンドプレーで何でもできるわけでなく、声をかけていただくと複雑な気持ちいなるときがあります。
 とにかく、誰か一人がファインプレーをできても、周囲のスタッフが「あれれ~~!?」な状態では患者さんへのケアの質は向上しません。

 チーム医療が必要だと言われ始めて久しくなっております。
 アメリカのテキサス州のM.D.アンダーソンでチーム医療の普及に取り組んでいらっしゃる先生の講演を聞いたときには、医療従事者といわれるいろんな職種同士がいかに協働するかの大切さを痛感いたしました。
 
 理想の医療って何?

 上を見ればキリがないし、下を見ていても仕方がありません。
 自分の病院では何ができる?さまざまな病院でのチーム医療についての取り組みを聞くたびに、考えさせられました。

 私は、自分の病院の中で、主にがん患者さんが入院している緩和ケア病棟だけでなく、一般病棟にも出向いてがん患者さんのケアを行っています。
 私が所属する病院は、がん医療またはがん看護においては「まだまだこれから」な状態です(自分のことを棚において言わせていただきます…)。
 
 日々の業務に追われ、スタッフが一同に集まってカンファレンスを開く時間すら作れないほど、殺伐とした雰囲気が漂う病棟…。
 自分の住まう地域では仕方がないのかもしれませんが、看護師のうちパートさんが30%も占める状況…。スタッフの仕事に対する満足度も低く、士気が地を這いかねない業務の煩雑さ…。業務改善をするよりも、現状維持でばたばたと仕事をこなすほうがまだましだ、と考えたくなるのも無理はない状況です。
 変化を起こすには、時間とエネルギーが必要ですから。

 それでも、看護師は看護師です。看護師を志そうと思って、その資格を取った集団です。
 殺伐とした一般病棟に出向いた時には、目を凝らし、じっくりと耳を傾けます。そうすると、冷静にスタッフの能力、やる気などの計算ができます。
 目に付くのは、ぱっとみるとマイナスばかりのことが多いものですが、よく見てみるとプラスのことがちゃんと存在します。じゃないと、ケアが継続できるわけがありませんから。
 時々、マイナスばかりが目に付くと、きーーーーーぃっ!っとなりそうなこともあります。
 でも、いいところを見つけ、プラスをさらにプラスにしながら、プラスがプラスであると気づいてもらいながら、マイナスをプラスにできればいいんじゃないかな?そんな風に、一般病棟でケアを行いながら考えています。

 患者さんにしてみれば、最高のケアを受けたいという気持ちがあって当然だと思います。しかし、現状はそんなに甘くはなく、患者さんに申し訳なく思うときも多々あります。
 
 今、一般病棟に出向いて患者さんのケアを行うことによって、少しずつではありますが、スタッフとの協働ができてきているような気がします。
 
 私一人では何もできないけど、協働ができれば、ケアはきっと良くなる…。
 そう信じています。

 日々、ぼやきながら…。
 

傷つくよ…

2007-12-19 23:17:22 | ぼやき

 1月からは、生活のパターンが変わりそうです。これまでは病棟のスタッフとして勤務をしながら、自分の専門分野の活動を行っていました。これからは自分の活動に専念する時間を確保できそうです。

 ただ。
 過渡期である今月ははちゃめちゃな状況です。私は緩和ケア病棟のスタッフですが、一般病棟にも依頼があれば出向きます。依頼があって出向く時間は、ほぼ自分のプライベートな時間です。日勤が終わって夜遅く、または夜勤明けに数時間仮眠をとってその後に出向くといった感じです。
 そして、さまざまな研究会に顔を出して、院内の講義用の資料を作成して…。
 そして、そして、必要な情報や知識を得るために文献を読んで…。

 私のプライベートな時間はあまりないのが現状…。

 そんな私の姿を見て、スタッフは「仕事、好きなん?」「仕事に人生をささげている」とひそひそ…。
 勿論、仕事が嫌いなわけじゃないし、仕事をがんばりたいという気持ちがあることは間違いありません。けれど、私だって、ちょっと気分転換をしたり、旅行をしたり…、そんなことだってしたいと思っているし、もともと、空いた時間にでかけるのは得意だったのだけど…。
 周りからみたら、私は「仕事人間」でしかないようです。

 これって、私の仕事の要領が悪いってこともあるんだと思います。これからの自分のために、今がとても必要な時間であるということはわかっています。
 でも…。

 突然、自分の今の状況が虚しくなって、夜遅くの誰もいないナースステーションで大泣きしてしまいました。
 
 自分のことを話せる相手がいたとしても、実際には自分のポジションは孤独である時があります。

 今月の公休が7日を切りました。
 こんな生活をしている方はたくさんいらっしゃることでしょうし、私だけではないことでしょう。だけど…、今の私はとにかく、滅入っている
 
 どうやってエネルギーを盛り返すか…。
 せめて、疲労をカバーするだけの「空元気力」でも鍛えなきゃ。
 
 とほほ~~。


出会いの場を生かさねば

2007-12-16 16:02:31 | 日々の「ケア」

 最近、ちょこちょこと、近隣で行われているがん医療についての研究会や研修に参加させていただいています。
 
 その場は、自分に知識をいただける場だけでなく、出会いの場でもあります。
 参加していつも感じるのは、参加したことで自分が元気付けられているなぁ、ということです。

 がん対策基本法が施行され、がん医療に力が注がれるようになったとはいえ、まだまだどの施設も試行錯誤の段階だと思います。通常の業務の傍ら、緩和ケアに従事している方もとても多いと思います。
 
 あれこれと考えながら、苦労しながら、がんばられているほかの施設の方々のお話を聞いていると、自分もがんばらなきゃな~~と思わされることが多々あります。
 仲間がいるんだと思えると、心強いものです。

 さて。
 この出会いの場を生かすために私には必要なアイテムがあります。でも、ないのです。
 それは、「名刺」。
 今まで、私は名刺を持って仕事をしたことがないのです。名刺をいただくたびに、「ああ、名刺を作らなきゃ。」と思いつつ、今日まで来てしまいました。
 
 頂いた名刺も増えてきました。
 名刺を増やすだけでなく、自分の知識と経験、出会いももっともっと増やしていきたいなぁ。
 

もうすぐクリスマス

2007-12-07 21:10:24 | 緩和ケア病棟

 もうすぐ、クリスマスですね。
 わが緩和ケア病棟でもクリスマスの準備の真っ最中です。
 
 スタッフは仕事の合間に病棟のクリスマスの飾りつけをせっせと作ってくれています。お金をかけることはできませんから、殆ど、手作りです。

 写真は、折り紙で作る小さなリースのパーツです。できあがりがとても可愛いので、わが病棟のクラークさんに「これ、スタッフみんなに作って渡したら~~?」なんて冗談で言ったのですが、彼女はなんと、本当にスタッフの人数分だけ作ってくれたのでした。
 このリースは直径が5センチくらいしかないので、作っていた彼女は「腱鞘炎になるわー」といいながら根気を振り絞ってくれました。

 で、そのリースをどうしているかというと、ネームプレートに挟み込んでいます。(その写真を載せればよかったのに
 
 患者さんや家族からは「それ、可愛いねー」とか、中には「どうやって作るのか教えてほしい」といわれる方もいらっしゃいます。

 病棟の飾りはほぼ出来上がっていますが、患者さんへのクリスマスプレゼントの用意はまだまだこれから、です。

 

生きた知識がほしい!

2007-12-04 21:02:47 | 日々の「ケア」

 大学院を卒業してから2年近くになります。
 大学院でがん看護を学びましたが、卒業したばかりの私は、自信のなさの塊でした。
 私は、それまでに臨床でがん看護にどっぷりと漬かっていたわけではありませんでした。ですから、私の経験も知識も「苔が生えたまま」だったのですが、大学院で座学、演習、実習の経験を経るたびに、少し経験と知識が豊富になったつもりでいました。
 
 しかし、実際に卒業してから臨床に出てみると、患者さんの疼痛のケアでさえうまくいかないことが多々ありました。
 何せ、卒業したての私は、「デュロテップパッチ(フェンタニルパッチ)」すら触ったことも貼ったこともありませんでしたから。オキシコンチン(オキシコドン)も、実習中に知りました(およよ)。
 当然、必死こいて文献を読み漁って、セミナーなどに参加して学習しなおしました。でも、うまくいかない。どうしても、薬剤の微妙な匙加減がわからない…。

 匙加減。私は知識だけでなく、匙加減のできる技術がほしいと思いました。
 その時、私は思いました。「生きた知識がほしい!!!!」

 そして、私がとった行動とは、セミナーの講師の先生にメールでダイレクトアタックして、患者さんの疼痛に対する薬剤を相談したのでありました。その講師の先生には今でもとても感謝しています。

 それでも、やっぱり物足りなかった私は、緩和ケア病棟のある病院に飛び込んでしまったのです。それが今、というわけです。
 
 一般病院で緩和ケアがうまくいかない理由のひとつに、スタッフに十分な知識や技能がないということがあります。これは私個人に当てはまっていたことでした。

 緩和ケアを行っていくには、生きた知識を得ることはとても必要だと思います。日本では緩和ケアを専門とする医師はとても少ないと思います。勿論、疼痛ケア自体がtry and errorであるには違いありません。しかし、患者さんの利益を考えると、スムーズに問題を解決する方法を考えなくてはならないと思います。

 自分の施設に緩和ケアの専門家がいないとき、施設外でもいいから相談ができるというのはとても心強いものです。
 大阪には、ネット上のやりとりですが、大阪がん緩和ネットという相談ができるシステムがあります。

 で、今の私が、匙加減がうまくなったのか、生きた知識が得られたのか、というところは…。
 そりゃ…、卒業したての時よりはある…、ある…、ある…(祈っとんのか!)と思います。

 

休日の勤務

2007-12-02 12:45:06 | 日々

 今日は、とても天気が良くて、お出かけ日和というのに、これから仕事です。
 今月は見事に週末のお休みが少ない。

 みんなが休んでいる時に働くのは寂しい気もしますが、みんなが働いている時に休めるのはとても嬉しい…。
 
 時々、休日に働いているのだから、とてもたくさん給料をもらっているんじゃない?なんていわれます。が。
 そんなことは全くなくて。通常の勤務が月曜日から金曜日だとすると、その5日分が不規則にあてがわれているだけで、不規則な勤務が私たち看護師の通常の勤務なのです。手当てがでたら、病院が潰れちゃう…。

 というわけで、不規則な勤務をしていると、盆も、正月もないわけです。
 今年の大晦日は仕事です。
 あ。まだクリスマスも終わっていないのに、大晦日の話をしちゃった。
 ぞぞぞーー。