私ががん看護を専門としている看護師であるということを、自分の病院でどれだけ認識されているか、それは今の私にはよくわかりません。
しかし、私が何かを専門としてやっている看護師になったということは、資格を取って以来、少しずつ院内で伝わりつつあるのかもしれない、と思っています。
廊下で出会う師長さんやスタッフには、「おめでとうございます」「すごーーい!」という声をかけていただいていますが、正念場こそ、これからだし、私一人がスタンドプレーで何でもできるわけでなく、声をかけていただくと複雑な気持ちいなるときがあります。
とにかく、誰か一人がファインプレーをできても、周囲のスタッフが「あれれ~~!?」な状態では患者さんへのケアの質は向上しません。
チーム医療が必要だと言われ始めて久しくなっております。
アメリカのテキサス州のM.D.アンダーソンでチーム医療の普及に取り組んでいらっしゃる先生の講演を聞いたときには、医療従事者といわれるいろんな職種同士がいかに協働するかの大切さを痛感いたしました。
理想の医療って何?
上を見ればキリがないし、下を見ていても仕方がありません。
自分の病院では何ができる?さまざまな病院でのチーム医療についての取り組みを聞くたびに、考えさせられました。
私は、自分の病院の中で、主にがん患者さんが入院している緩和ケア病棟だけでなく、一般病棟にも出向いてがん患者さんのケアを行っています。
私が所属する病院は、がん医療またはがん看護においては「まだまだこれから」な状態です(自分のことを棚において言わせていただきます…)。
日々の業務に追われ、スタッフが一同に集まってカンファレンスを開く時間すら作れないほど、殺伐とした雰囲気が漂う病棟…。
自分の住まう地域では仕方がないのかもしれませんが、看護師のうちパートさんが30%も占める状況…。スタッフの仕事に対する満足度も低く、士気が地を這いかねない業務の煩雑さ…。業務改善をするよりも、現状維持でばたばたと仕事をこなすほうがまだましだ、と考えたくなるのも無理はない状況です。
変化を起こすには、時間とエネルギーが必要ですから。
それでも、看護師は看護師です。看護師を志そうと思って、その資格を取った集団です。
殺伐とした一般病棟に出向いた時には、目を凝らし、じっくりと耳を傾けます。そうすると、冷静にスタッフの能力、やる気などの計算ができます。
目に付くのは、ぱっとみるとマイナスばかりのことが多いものですが、よく見てみるとプラスのことがちゃんと存在します。じゃないと、ケアが継続できるわけがありませんから。
時々、マイナスばかりが目に付くと、きーーーーーぃっ!っとなりそうなこともあります。
でも、いいところを見つけ、プラスをさらにプラスにしながら、プラスがプラスであると気づいてもらいながら、マイナスをプラスにできればいいんじゃないかな?そんな風に、一般病棟でケアを行いながら考えています。
患者さんにしてみれば、最高のケアを受けたいという気持ちがあって当然だと思います。しかし、現状はそんなに甘くはなく、患者さんに申し訳なく思うときも多々あります。
今、一般病棟に出向いて患者さんのケアを行うことによって、少しずつではありますが、スタッフとの協働ができてきているような気がします。
私一人では何もできないけど、協働ができれば、ケアはきっと良くなる…。
そう信じています。
日々、ぼやきながら…。