当緩和ケア病棟では、面会は24時間可能で、人だけでなく、動物も可能です。
私の最近の役割のひとつに、「緩和ケア病棟はどんなところだろう?」「緩和ケアって何だろう?」「緩和ケア病棟って、暗くて寂れた場所にあるんじゃなかろうな?」と思い、興味やら危惧やらの気持ちを抱いているご家族の方の、緩和ケア病棟の見学を受け入れることがあります。
当病棟に入院されている患者さんは、これまでの生活パターンを尊重するため、少しでも慣れ親しんだ存在との時間を大切にするため、それまでの癒しを入院生活に取り入れるために、動物を病室に連れてこられる場合があります。
幸い、当院の緩和ケア病棟は、病院の1階に面していて、庭から病室に入れます。ですから、動物を病室に連れてくるにも、エントランスを通らなくてもいい、というのが利点であります。
さて。
当病棟の緩和ケア病棟の案内を、私が見学にいらした患者さんのご家族にさせていただいていたあるとき。
「ワンっ!!」
…と、犬の鳴き声が聞こえました。
(私には、○○さんの○○が吠えているとわかっていましたが~~)
これはとてもいいタイミングです。
当病棟では、動物も面会することができます、とお伝えしている最中でした。
これには、見学に来たご家族も驚かれます。そりゃ、そうでしょうね~~~。病院に「ワンっ!」という音は似つかわしくありませんから。
勿論、あまりにも無駄吠えをする動物や、排泄物が問題になったり、飼い主以外には対応が困難な動物の場合には、病室に連れてくることをお断りすることも想定できますが、今のところ、「出入り禁止動物」事例はでておりません。
不思議です。動物は家族と同等のなじみがあるせいでしょうか。
とても苦しくて、苦しくて仕方なく、笑顔をどこかに置き忘れてきたような患者さんが、慣れ親しんだペットを見て、笑顔になり、「ソイツ」を笑顔で撫でたりします。
これは、苦しみから解放された一瞬だと思います。
ちなみに、患者さんのそばにいる動物達に私たち医療者も癒されることが多々あります。
私の属する緩和ケア病棟は、患者さんがその人らしくあるために、そこに貢献するために、どれだけの自由度を調整できるか、あらゆる面で考えています。