緩和ケアで行こう

へなちょこ緩和ケアナース?!のネガティブ傾向な日記です。

緩和ケア病棟は化学療法と無縁ではないと思う

2012-08-26 21:05:21 | 日々の「ケア」

 「緩和ケアがサブスペシャリティ」として緩和ケア病棟で勤務してそれなりの年月が経ちました。


 そういえば、化学療法の現場から離れて久しい…。


 自分は、緩和ケア病棟で主に勤務していますが、化学療法とは関係がないとは一度も思ったことがありません。
 それは、化学療法が症状の緩和を目的として行われることがあるから…という理由だけではなくて…。



 個人的な見解ですが、緩和ケアに携わる者も、いわゆる積極的治療のために用いられる化学療法について、知っておくべきであると思っています。
 そうそう。
 化学療法の最新の知見も含めて、です。



 緩和ケア病棟に勤務していても、化学療法を知っておくことのメリットとしては、
1)患者さんがどのような治療を受けてこられたのかを把握することにより、どんな副作用に苦しんでこられたのかがわかる。
2)最終の化学療法からあまり期間が空いていない時には、副作用のアセスメントと対策が可能になる。
3)患者さんが治療の過程をお話されるときに、だいたいのアウトラインを自分の中で描きながらお話を聴くことができる。
4)緩和ケア科外来を受診された段階で、化学療法を受けておられる患者さんの把握ができる。
 (分子標的治療薬の場合は、内服をされている方がいらっしゃいます。診療情報提供書に記載されている投薬内容をきちんと把握しておく必要があります)
5)化学療法を受けておられる患者さん・ご家族の心身および、経済的な負担がよくわかる。
6)それぞれの疾患でどのような治療が行われているのかの知識が増す。
7)比較的体力のある患者さんが治療に対する意欲を取り戻された時には、適応となる化学療法についてアセスメントできる。


 思いつくまま書いてみたので、十分ではありません。




 
 分子標的治療薬は、これからの緩和ケア病棟にとって、お付き合いが必要かもしれない薬剤ですね…。

 分子標的治療薬を投与している間に悪化しても、続けて投与していた方が、生存期間の延長が見込めるのであれば…。






 それにしても、分子標的治療薬の薬剤名って…。
 一般名にしろ、商品名にしろ…。

 罪作りやなぁ…


 ゲムツズマブオゾガマイシン・・・・・・・・。
 覚えられへんがなぁーーーーーーっ。



 
 


 できるだけ、スタッフにも抗がん剤の副作用について知ってもらいたくて、入院患者さんのレジメンと副作用を考慮した勉強会を行って、情報提供を行っています。


 だって、緩和ケア病棟に勤務していたら、ひょっとしたら、「手足症候群」、そりゃ、なんじゃ????ってこともありうることですから。



 

 現場から離れているとはいえど…。


 こつこつと勉強するしかありませんなぁ。

 

 

バイクちゃん

2012-08-15 21:13:54 | 日々

 気分転換すること。
 大切ねー。

 その引き出しは、多いほどいいかもしれないですね。


 ああ。
 そろそろ、私は、「バイク王」さんに連絡しようかと思っている今日この頃…。


 
 バイクに乗る気持ちになれない私…。


 バイクだって、一期一会のはずだけど…。
 ほんまに、ごめんね、バイクちゃん。



 今日は、バイクのミラーにセミが止まっていた。



 そうか、そうか、セミにとってはいい休憩場所やったんや。
 それなら駐輪場にたたずむ価値もあったかな。



 は~~~。



 とほほ。



 

手って、臭うんです

2012-08-04 13:18:19 | 日々の「ケア」
 
 田辺さん(仮称)夫妻は、結婚して3年目。

 ご夫婦ともに再婚でした。
 60歳を超えての再婚でしたので、まさに、「これから」の生活を描いておられました。


 ご主人さんが治ることができないがんに罹られ、治療もこれ以上はできないという状態で入院されてこられました。



 脳にも転移があって、会話も徐々に難しくなっていきました。
 奥さんとしては、とてもじゃないけど、受け入れられる状態ではなかったと思います。

 
 奥さんは毎日、面会に来られていました。
 もうすぐ、お別れが来てしてしまう…、そんな状況で、入院されてから、ほんの少しですが落ち着くことができておられました。



 ポンがお部屋を訪れると、奥さんは私に尋ねました。



 「ちょっとー。今、手を握って声かけてたんやけど、私の手に臭いが…。臭いが移ったんです。これって、加齢臭ですかね????」




 これを聴いたポンは、しまったーーーっと思いました。
 手浴ができていなかったんだ、とすぐさま感じました。



 
 しかし、よくよく奥さんのお話を聴くと、これまでに自分が感じている手を清潔にすることができない患者さんの手の臭いについて、とても感心してしまう内容を語られました。




 「この人にはねー、できるだけしゃんとしていてもらいたかったんですー。だから、加齢臭には気ーぃつけやーって、しつこくゆうてて。とくに、耳の後ろはちゃんと洗いやーって言い聞かせてたんです。結構、身なりには気を遣ってくれてたみたいですけど。」


 なるほど。奥さんは実年齢よりは若くみえる。
 奥さんも見た目には気を遣われてきたんだ。
 そんでもって、奥さんの好みではあるけれど、ご本人さんもできるだけ奥さんのご要望に応えるようにしてこられたんだ…。


 お二人の写真を飾っておられたので、それをみて、思いました。





 それにしても、
 加齢臭。。。。。。。。。



 すぐさま、ポンは奥さんに謝りました。

 「奥さん、すみません。その手の臭いは単に手を洗えなくなって、こちらの方がきちんときれいにできていないから臭っているのだと思います。加齢臭ではありません…。」


 なんともかんとも。
 



 
 そうそう。
 日々のケアでは、患者さんの手の悪臭?に遭遇することは珍しいことではございません。
 ただ、その悪臭は、単に手をきれいにできていなかったから、という認識で私はいましたから、この場面ではっと目が覚めた感じでした。




 そうやー。
 お別れが近くなってきたご家族に、手を握ってあげてください、声をかけてくださいっていつも声をかけているのにー。



 
 ベッド上で過ごす時間が長くなり、自分のことを自分でできなくなった患者さんに対して、清潔という観点から考えると、体を拭いたり、お下を洗ったり、髪を洗ったりということはよくやりますが、それと同じく、手をきれいにすることもとても、とても、とても大切なんだということにあらためて気が付きました。



 それ以来。ベッド上で自分のことが自分でできなくなったり、意識が低下してている患者さんの手を臭ってみるということをいつもしております。



 清潔にできていない手というのは、へそゴマほどじゃーござんせんが、やっぱり臭いです。


 
 臭いから、患者さんの手を握れない、臭いけど我慢して患者さんの手を握っているなーんてことがあってはならんと思います。


 お別れが近くなってくると、患者さんの手は、ご家族にとってとても大切な「触れ合いスポット」になるのですから。