いつも怒られっぱなしの患者さんがいます。
河合さん、82歳、腎臓がんの患者さんです。脳梗塞の既往があります。
この河合さん、「おかげんはいかがですか?」と声をかけても「うるさい!」、「体を横に向けますね」と声をかけても「あっち行け!」と怒ってばかりです。
看護師には本音で接しても、医師には「いい顔」をする患者さんって結構いらっしゃるものなのですが、担当医が声をかけても「何をゆうとんや!」とぷいっ!とソッポを向いてしまいます。
河合さんは入院してからまだ1ヶ月も経たないのですが、担当医を含め、スタッフはどうしてあんなにいつも怒っているのかな?と頭を抱えました。
そこで、ご家族にお話を伺いましたところ、怒りやすくなったのは数ヶ月前からだ、とのことでした。脳梗塞を発症したのは数年前で、以前の脳梗塞の発症が直接的な原因ではないことは明らかでした。それまでは温厚な方だったそうです。
スタッフは、ベッドで過ごすばかりではメリハリのない生活になってしまうと考え、お茶会やイベントがあれば河合さんをお連れするようにしています。
先日のクリスマス会にも参加していただきました。
クリスマス会が盛り上がる中、河合さんの近くにいたスタッフは、「もし、怒られたらどうしよう…。」とハラハラしていたのですが。
河合さんは無表情のまま、車椅子で過ごされていました。スタッフ一同、ほっとしました。
そして、クリスマス会が終わり、お部屋にお連れして、車椅子からベッドに移乗していただこうと「ベッドに移りますよ~~」と声をかけながら、私が屈んで河合さんの靴を取った途端。
「何するんや!」
…と、蹴りが入りました。
「およよ~~~~~!」(私の衝撃)
クリスマス会のときは、あんなに普通(無表情だったけどさぁ)だったのに…。クリスマス会、お気に召さなかった????
そばにいた助手さんも目がテンでした。
河合さんが怒りやすくなっているのは、体に何らかの変化が起こったからなのでしょう。けれど、大勢の人の中で過ごされている時には、ごく普通に過ごされているようにも見えました。きっと、そのあたりは社会性やら体裁というものは河合さんにちゃんと存在しているのだろう…と思いました。外面がいいのも普通の人間性!!
初めてお会いした時、河合さんが「あっちいけ!」といいながら手が飛んできた時にはびっくりしました。今は、怒っている河合さんそのものを河合さんだと受け止めるようにしてます。
がお~~~!っと怒られても、これが今の河合さんの普通の受け答えなんだと思うと、怒られないと拍子抜けしちゃったりもします。
ところで。精神科のスペシャリストの先生なら、どんな風にアセスメントしてくださるのかしら?
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます