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緩和ケアで行こう

へなちょこ緩和ケアナース?!のネガティブ傾向な日記です。

患者さんやご家族から怒りをぶつけられたら…

2012-09-30 04:09:20 | 日々の「ケア」

 患者さんやご家族から看護師である自分自身を否定されるような言動を受け取るのは、看護師にとってとてもつらい体験です。

 
 そんなつらい体験をした看護師のフォローをしてつらい体験をしてしまった自分自身がいます。
 どうしたものかと…。



 患者さんやご家族が怒りや不満を医療者にぶつけてくる場合、理由はいくつかあると思います。
 ひとつは、単純に医療者の言動を考え直さないといけない時。
 ひとつは、患者さんやご家族の気持ちがめいいっぱいになっているので、医療者に怒りをぶつけることで現状を何とか乗り切ろうとしている時。

 どちらか一方が原因であるってことはめったになくって、この二つの比重はさまざまであっても、織り交ぜられていることが多いのではないかと個人的には思います。



 さて。


 自分が怒りをぶつけられた場合にはどうするのか。


 私の傾向?としては、まずはそれを受け止めちゃいます。
 なんで、この人は起こっているんだろう?って話を聴きながら状況と感情をすり合わせて考えます。
 「そんな感情をもつのは無理もない、自然なこと」と思うところがあるので、自分たち医療者が普段、気が付かないところで患者さんやご家族に不自由な思いをさせたり、感情を傷つけたりしていることもよくあることです。
 不自由な思いや感情を傷つけた引き金が自分以外のところにあっても、チームの一員として自分があるのであれば、それを受け止めるのも自分の役割であると思っています。


 とにかく、話を聴く。
 時間をできるだけ取る。
 話を聴く心構えがあることを、話を聴く姿勢でもって伝えてみる。
 謝罪すべきところは謝罪する。
 怒りの原因が対処しうることなのか、その感情を受け止めることが必要なのかを判断する。


 そして、その場で考えられうる対処を伝えて、そのあとはチームで話し合って、対処をちゃんとチームで共有する。


 ざっとこんなところでしょうか。

 

 これが模範解答とは思っていませんが。


 実際のところ、普段から一生懸命にお手伝いしているのに怒りをぶつけられることがある医療者としては、やりきれない思いもあるのは確かです。



 ナースステーションに帰ってきて、釈然としない思いをスタッフに聴いてもらうこともしばしば。


 愚痴ることだって、あるあるっ。






 ただ。


 こんな場面に遭遇した時の、看護師の反応って本当に人それぞれです。
 看護師の反応に影響するものって、経験年数、年齢、性格、価値観、死生観、その時の体調、仕事に対する思い、その看護師の生育環境、それまでの経験などなど、いろいろあると思います。


 怒りをぶつけられた看護師をフォローするときに、ああ、困ったなーと思う看護師のタイプとしては、「私は絶対に間違っていない」と自分以外のところにすべての問題があり、状況はちょっとした言動などから怒りを買ってしまうことがあると捉えきれずに、怒りをぶつけられたことで完全に自分は被害者となってしまうタイプです。


 


 実際に、ご家族から怒りをぶつけられ、そんな感情を抱いている看護師のフォローをいたしましたところ、今度はその看護師からポンに怒りが向けられることになってしまいました。
 私は状況を把握したいと思い、実際に怒りをぶつけたご家族の一人にもしっかりとお話を聴き、そのほかのご家族のひとりひとりにも声をかけてお話を聴きました。


 そして、自分が判断したところは、やはり、前述したとおり、ご家族が医療者に怒りをぶつけやすい状況であったことと、看護師の普段のかかわり方と医療者がもう少し普段からご家族の感情を受け止めるかかわりをしていたならば、こんなことにはならなかったのではないか、ということでした。



 
 こんな状況ってね。

 誰が悪いってことではなく、チームで患者さんやご家族へのかかわりを見直すいい機会なのですが…。



 

 緩和ケア病棟でのお仕事は、かなりの感情労働を強いられます。おそらく、一般病棟以上のものがあると思います。
 私は、感情労働という言葉が嫌いです。


 まるで、自分の感情を抑えて仕事をするということを強いられているようなニュアンスに聴こえるから。
 でも、今の病棟の現状は、緩和ケア病棟で仕事をしたいと思って異動してくるスタッフはいません。
 だから、彼女たちのねぎらいのために、「ここは感情労働がたくさんあるからね」と声をかけてしまいます。


 
 

 患者さんやご家族から怒りをぶつけられるような場面に遭遇した後の自分の在り様って…。
 その患者さんやご家族に対して「なんでそんなこといわれんとあかんのじゃーーーーっ」って自分自身の怒りをどっかで発散するのもとっても大切。
 そして、周りの者も、「おお、大変やったねー。」「よー、がんばったねー」って声をかけてあげるのが大切。

 でも。
 そこで終わってしまったら、自分たちがどうすればよかったのだろうという視点を見失うことと、患者さんやご家族が聞き分けのない人になってしまい、モンスターになりかねません。


 

 やっぱり、チームには、医療者のつらい感情をお互いが受け止める、ピアサポートの部分は必要だけど、このピアサポートが「自分たちのかかわりに非はない」というスタンスのままではよくないと思う…。


 
 


 そんなこんなありまして。






 大嫌いな言葉のはずだけど…。


 今、必死に感情労働をしているポンなのでありました。