あなたがそこにいるだけで

2006-03-01 20:19:15 | Notebook
     
そのひとの存在そのものが、わたしの支えになってくれている。そんなひとがいる。
べつに恋をしているわけでもない。あいたいというわけでもない。どこかで元気でいてくれて、笑っていてくれればそれでいい。元気に歩いていてくれればいい。

つらいことがあったとき、そのひとだったらどうするだろう、とかんがえる。
どうしたらいいか分からないとき、そのひとだったらどうするだろう、とかんがえる。
そうしてすこし、正気にもどる。

そのひとにたいして、わたしには何ができるだろうか。よくよく考えてみれば、考えてみるほど、何もしないほうがいいのだということを知る。

実体以上に高く見れば、たぶんそのひとを損なうだろう。真実よりも低く見れば、そのひとを辱めることだろう。
きたない部分もふくめて、愚かな部分もふくめて、ありのままに見つめることができなければ、そのひとを駄目にするだろう。

いま自分がいる場所で、遠くから見つめる。できるだけ精確に見ようとする。鏡に写し取るように。それがいちばんの、相手に対する礼儀なのだということを知る。

わたしがここに立っていて、できるだけ正気であろうとすること。自分らしくあろうとすること。できるだけ背筋をのばしていようとすること。それがいちばんいいことだと知る。