連休だというのに何処にもいかないなんて珍しいね。
マスターの店に行ったら、いきなり突っ込まれてしまった。
「コロナでしょ?」
冬子さんが、苦笑いした。
「まあ、そんなとこです。
なんせ、不要不急の外出は、控えなくちゃですもんね。」
「この季節、いつもなら何処かに出かけてるものね。」
マスターが、コーヒーをテーブルに置きながら、気の毒そうに呟いた。
「結局、マスターの店しか行くとこなくて・・・。」
冬子さんの隣に座っている久実さんも、此のところ売り上げが減っちゃってとこぼしてる。
「私には、あんまり関係ないけど、通勤の人は、大変だね。」
加藤のおじいちゃんが、豆大福をほおばりながら、話に加わる。
加藤のおじいちゃんが差し入れしてくれた豆大福は、意外にもコーヒーに、合う。
カウンターに生けられた侘助が、ひっそり春の訪れを告げているようだ。