家族とのわだかまりを抱えた中学生の雨音は都会を離れ、愛犬と共に山麓で暮らす伯父のもとへ。自然と犬が与えてくれた、生きるためのヒントが満載。父親を病で失い、母親との確執を抱えた女子中学生の雨音(あまね)は不登校になり、バーニーズ・マウンテン・ドッグのワルテルとともに自前のログハウスに住んでいる山岳写真家の伯父・道夫のもとに身を寄せた。そのログハウスの近くには大きな別荘があり、雨音はそこの持ち主の長男で高校生の国枝正樹と知り合う。正樹は再婚した父親と若い継母に対して、複雑な感情を抱えていた。やがて雨音と正樹は道夫の影響で登山の魅力を知るようになり、道夫の愛犬ワルテルや自然との触れ合いで、心を少しずつ癒していき自らの生きる方向性を見出していく。雨音を中心として、田舎での正樹やワルテルとの触れ合いが中心に描かれ、登場人物の心の動きや出来事が臨場感たっぷりで、ワルテルが絶妙な緩衝材となってくれている。山好きの自分とっては、犬好きの人にとっても静かな感動作です。ありきたりの設定だが優しくほのぼのとしたその世界観がいい。
2018年6月集英社刊

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