読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

吉田修一著「横道世之介」

2009-10-06 | や・ら・わ行
風薫る80年代青春群像。 傑作青春小説。
なんにもなかった。だけどなんだか楽しかった。懐かしい時間。
愛しい人々の物語。
大学進学のために九州の田舎から上京した「横道世之介」18歳の、なんでもない一年間の話。
どこか不器用、素朴、天然・単純、人懐っこいくて何故かに前向きな、世之介。
なんでもない話なのに、呑気でお気楽な世之介の日常をくすっと笑いながら読んでいると、とつぜんジーンと来るシーンがあったりする。
登場人物も個性的で魅力的に描かれており楽しい。
80年代の世相や風物が懐かしく描かれているのも楽しい。
世之介と関わって知る人々の20年後の現在の姿が物語に挟み込まれた構成がとってもいい。
読み終わって気がつけば、このヒロイン世之介のことが好きになっていたほんわかする青春物語です。
『大切に育てるということは、「大切なもの」を与えてやるのではなく、「大切なもの」を失った時にどうやってそれを乗り越えるか、その強さを教えてやることではないかと思う。』(364P)

2009年9月毎日新聞社刊

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