読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

柴田よしき著「水底の森」

2010-07-19 | 柴田よしき
シャンソンがエンドレスで流れる下町のアパートの一室で、顔を潰された身元不明の男の死体が発見された。
その部屋に住んでいた部屋の借主である高見健児は絞殺死体で発見されるが、妻の風子は姿を消したまま行方不明。
現場のエンドレステープに録音されたシャンソンは誰が、何の為に?
「もう森へなんか行かない」という題名のフランス語の歌に込められた犯人のメッセージは何か?やがて第二の殺人が・・・。
所轄刑事の遠野要は行方をくらましたその女・風子を追い始める。
犯人は果たして彼女なのか。犯した罪を償うために死に場所を探しているのか。
運命に翻弄された風子の薄幸な人生をたどるうちに、5年ほど前、遠山が警察に入る前に偶然入ったファッションヘルスで、風子は働いていたのです。
忘れ得ぬ出来事の相手が彼女であることに気づき、烈しく彼女を求める。
追う者と追われる者。逃避行に行き着く先は再生か破滅か。ひとはひとりで生きるのが怖いから愛しあい、ひとりで死ぬのが怖いから愛しあうのか。
夫が殺された日、何があったのか。愛とは何か、人間性とは何か?
時間と距離を超え、謎が繋がっていくラストの結末までそこに至るまでの過程がなんとも切ない人間性の深淵を描いた感動作。
2004年2月 集英社刊 集英社文庫


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