読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

佐々木譲著「降るがいい」

2020-10-16 | 佐々木譲
朗読会で「読む」ために書き上げた作品含む人間ドラマ、全13篇の短編集。就職直前の不採用に年末のクレーム・・・「降るがいい」。海外旅行中偶然見つけた美しい中庭を求め再訪を試みるが見つからない・・・「迷い街」。本番当日に失踪した舞台女優と数年ぶりに再会した脚本家の心に去来したもの・・・「不在の百合」。かつての仕事仲間の訃報を私に告げた、意外な人物・・・「隠したこと」。自堕落な生活を続ける後輩との会食で、私がとったある行動・・・「反復」。痛快75歳のマンション清掃の女性の物語『ゴミの扱いにはずいぶん習熟してきた』・・・「分別上手」。世話になった先輩の私的写真集を選考編集中に見つけたかって愛した女の写真を・・・「リコレクション」。SNSの友達申請で昔の記憶が蘇った・・・「時差もなく」。スーパーの食品売り場で偶然出くわした社長の奥さんが・・・・・「ショッピングモールで」。お別れの会に飾られた遺影の写真と悪意・・・「遺影」。あまり出たくなかった同級生の藍綬褒章受章を祝う会・・・「褒章と罰」。コロナ・ウィルス禍最中に書き下ろされた2編が今時で新しく感じた・・・客がすっかり減ったスナック。今宵も御客がなくもう閉めようかと思った時・・・「3月の雪」。こだわりがあった距離をとっていた父が危篤と連絡が来て・・・「終わる日々」
都会の片隅で生きる人々の埋もれた真相が明かされるとき、過去の重みが忍び寄る。人々の苦い経験や切ない過去、日常の出来事の話などどの作品も余韻が濃く残った。
2020年8月河出書房新社刊

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