読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

曽根圭介著「図地反転」

2010-05-12 | さ行
主人公は犯罪被害者の遺族としての過去を持ちながらもある地方都市で起きた幼女殺害事件の
捜査に携わりながらその捜査の進展に違和感を抱く若手刑事、一杉研志の行動を軸に展開される。
「だれが見ても、あいつが犯人だ。」総力を挙げた地取り捜査で集められた膨大な情報。
そのなかから、浮かび上がった1人の男。目撃証言、前歴、異様な言動。
すべての要素が、あいつをクロだと示しているのだが、捜査員たちは「最後の決め手」を欲していた。・・・
足利事件で関心が高まる「冤罪(えんざい)」をテーマに、人が人を裁く難しさを問いかける長編ミステリー。
『無実の人を犯人にするだけでなく真犯人を逃してしまう。冤罪にはそんな二重の怖さがある。
少しの間違いで、悪意のない人間が事件に巻き込まれる様子を描きたかった』(著者談)
表題の「「図地反転」とは表紙に写真のように壷と2人の顔に見える. ルビン「ルビンの壷(ルビンの杯)」(1915年)
デンマークの心理学者ルビンが1915年に発表し、「図地反転図形」の
存在を初めて紹介した。
「図」とは、形として認識される部分、「地」とは、そのとき背景となる部分を指す。
壺が図として認識されるときは、
その他の部分は地であり、2人の顔が図として認識されるときは、その他の部分は地である。
壺と2人の顔が同時に見えることはない。(騙し絵)
目撃証言の信憑性の部分でルビンの杯の説明シーンはまるでドキュメンタリータッチの様相、
大家と娘のエピソードも効果的でいい。
ラストの終り方も不満な人もあると思うが私は余韻を残していいと思う。
何故か昔何処かで聞いた『心ここにあらずんば,見えども見えず,聞けども聞こえず、喰えどもその味を知らず』を思い出した。
2009年9月講談社刊  

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