メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

少年少女サスペンス推理 4 土曜日のゆうかい ロイ・ブラウン/著 学研

2023-06-29 12:04:50 | 
昭和48年初版 磯村愛子/訳 小林与志/絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください


なんとものんびりとした男の子の徘徊から始まる
たった3歳のコを外に出したままなんて信じられないけど

それぞれ2人組で探す間に繰り広げられる冒険がメインの面白い構成
同時に宝石泥棒の事件とも関連するのが気になる

子どもたちなりに想像力をフルに使う様子や
弟想いの兄の想いもひしひし伝わる


【内容抜粋メモ】

登場人物
ディッキー 事故で父を亡くした家族思いな少年
ウィリー ディッキーの弟 3歳
ジョニー
モッグス×バタースコッチ
モニカ×クイニー
モーリス×デイブ
イエミシ×バーニー

トランパー署長
ロイス警部
ハマー・ハリス 昔サーカスで働いていた
チャック・マシューズ



●ウィリーはどこ?




土曜の朝7時
母に追い出されたウィリーは郵便屋から棒あめをもらう

フィッシャー老人は、エセックスにいる娘の家に引っ越し

フレッド運送屋のトラックに荷物を積む金髪のゴールディとフレッドは
キングボルトがゆるんでいると話し
近所の人が近くにジョージの店があると教える

フィッシャー老人の古いピアノは重すぎて乗せられないと言われて
後で取りに来ることになる

ウィリーの兄ディッキーは新聞配達を終えて戻ると
ウィリーがいなくて母を責める

ウィリーの友だちのトニーの店にもいない
ジョージの店に行くと、つっけんどんな態度でおかしいと思う

頭のいい友だちジョニーに相談する


●宝石泥棒




朝6時半、宝石屋の小型トラックがのっとられた
パドニー警察でトランパー署長とロイス警部が捜査にあたる
すぐに非常線を張り、聞き込みもしたのに引っかからないのはおかしいと頭を抱える

国内で宝石をさばくのは難しいから海外に持ち出すつもりだろう
外国船なら運河から出るはずだとあたりをつける


●アルブリーストリート捜索隊




トニーの店にディッキーの友だちが集まる
それぞれ助手を1人見つけて
トニーの店を本部とし、ジョニーとディッキーが残り、報告を待つ


●モッグス×バタースコッチ
モッグスは愛犬を助手にしてドックループ付近を探す
そこでベインズと鉢合わせる





ベインズはモッグスと友だちになりたくて
腕時計と動物カード一式を交換しようとしつこく要求する

バタースコッチをけしかけると、チョコレートを出して
愛犬はまんまとエサにつられてしっぽを振るのを見て
“裏切り者の雑種”に胸が張り裂けそうになりながら走るモッグス(泣

そこに通りかかったトラックのスペアタイヤに乗るが
想像以上に猛スピードで走るため、途中で降りれず


●イエミシ×バーニー
イエミシは弟バーニーを助手にする

運河にボーイスカウトの帽子を見つけて
ウィリーのものだと誤解して拾おうとして
イエミシは泳げないのに川に落ちる





近くでパイプをふかしていた老人が川から引き上げる
自分の力がまだ人の役に立つことを喜ぶ

イエミシが持っていった帽子はウィリーのものではなかったと分かり
くず屋のチャーリーが馬車に乗せて家に送ってやると言う

フィッシャー老人の家に寄ると、ピアノが残されているのに驚く
運送屋が古くてダメだと言って断り
後で売り飛ばすつもりだったのではないかと疑い警察に届ける!


●モーリス×デイブ
モーリスは友だちのデイブを誘ってパドニー駅に向かう
小さい子どもを連れたおばさんが怪しいとにらんで電車に乗って尾ける

2人はウィリーの顔を覚えていないため、そのコがウィリーだと思って連れて行くが
ウィリーではないと分かった上、母親が半狂乱で探していると警官に怒られる






●モニカ×クイニー
なにかにつけケチをつけるクセがあるクイニーを助手にしたモニカ

ウィリーはさらわれたのでは?と推理して
ウィリーのサンダルを持つ古い乳母車をひく女性を尾ける

近くの家の老婆に呼ばれて行くと
今朝、金髪の若い男にウィリーが連れ去られたのを見たと聞く
手にピエロの人形を持っていた
それを警察に話に行く


●推理
ディッキーは以前ウィリーを連れて行った教会に行くが
そこにもいなくて泣いて祈る
オルガン弾きは、その兄弟を覚えていて、同情する

ボーイスカウトの少年たちはジョージのガレージの屋根から棒あめを見つける

宝石屋の小型トラックは沼地で見つかる
以前、郵便車が襲われた時、トラックに車ごと隠して逃げた男がいたのを思い出すロイス警部

犯人はハリスという元サーカスにいた怪力の男で2、3か月前に出所した
相棒のチャック・マシューズはもっと早く釈放された

悪者は一度思いついたアイデアを成功するまでやり続けるもの
フィッシャー老人の運送屋とピアノの話がつながる

ハリスは出所後、ロンドンでおもちゃの輸出の仕事についた

ウィリーはトラックについた人形にひかれてついて行ったのかもしれない
ジョージも前科があり、店で都合の悪いところを見られて人質にされた可能性もある

キングボルトが壊れたと言って、ジョージの店に行くのも計画のうち
フィッシャー老人のピアノを置いていったのも
宝石屋のトラックを隠す予定があったからと推理

署長は、ハリスがピストルを持っているから
今後は子どもたちは手出ししないようにと注意する


●ハリス×マシューズ




2人は船に宝石を積んで逃げるまで空き地に待機している
ウィリーに睡眠薬を飲ませて、スカンジナビア行きの船に乗るまで人質としていた

トラックから降りたモッグスは、ハリスに追いかけられて
くず鉄山の中に逃げ込むと、クレーン車でかき回される前に
廃車になったバスの中に隠れて、閉じ込められる







しつこく追ってきたベインズに、スマイカーの空き地で
犯人がウィリーを連れているのを見たから警察に話してくれと頼む

ベインズは途中で“モンク通りのいのち知らずたち”というグループに捕まり
リーダーのミンスに弟を殴ったと言われてのされる

バーニーは御者になった気で老馬に乗り、そのまま暴走
ミンスが勇敢にも暴走を止めて、バーニーを助ける





バーニーもベインズもウィリーの捜索途中だと知り
馬車で倉庫に行って、自分たちで助けようと言い
また馬車を暴走させて、巡回中のパトカーにぶつかりそうになる


●最後の舞台
スマイカーの空き地と聞いて、ディッキーはすぐに飛び出す
ジョニーもディッキーが無茶をしないよう止めようとついていく

モッグスから事情を聞いて、すぐ建物に入ると
2人とも手足を縛られてしまう






警官が倉庫を取り囲んだことに気づいたハリスは
ポケットに宝石をつっこみ、ウィリーを担いで
屋根づたいに隣りの建物に飛び移ろうとする





観念したマシューズはウィリーを助ける側に回る
ハリスがくず鉄山に逃げようとした時、モッグスの怒りが爆発して山が崩れ
ハリスは下敷きになる

ウィリーは救出され、事件は解決



訳者あとがき
いじめっ子は逃げる者を追いかける習性があるようです
弱い犬ほどよく吠えるもので、寂しがりやなのではないでしょうか

ベインズもモッグスと友だちになりたくて追いかけた
ミンスは悪いグループを作っているが、バーニーを助けています

マシューズが強盗になったのも、貧しかったり、愛情に恵まれなかったからかもしれません
残酷なハリスも、サーカスに売られて辛い目に遭い、心が捻じ曲げられたかもしれないのです
そう考えると、本当は可哀想と言えますね

イギリスでは、小学校から中学に進む時、グラマースクールとモダンスクールに分かれます
グラマースクールのあとは、私立の名門大学への道が開け
モダンスクールには職業教育の科目があり、早くに社会で働かなければならない子が多い

本書はロイの初めて書いた長編小説
もとは学校の先生で、子どもに対する思いやりが深く
子どもたちが何が好きかよく知っている人と言える



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