goo blog サービス終了のお知らせ 

メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

海外SFミステリー傑作選 15 ハエが夜をねらう! ジャン・ブリュース/原作 国土社

2023-06-07 20:44:15 | 
1995年初版 福島正実/訳 森徹志/装画・挿絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください


ハエが襲うってSFか?と思ったら一応ミステリ

ハエそっくりな姿の男って
映画『ザ・フライ』を思い出すけど
読んでみたらちょっと怪人二十面相ぽくもある

変装がストッキングをかぶっただけって
近くにいて気づかないんかい!爆

犯人当てクイズくらいの軽さで二転三転して
被害者は殺されてるし、なんだかガッカリ

007シリーズ他、冷戦のスパイものって相当流行ったんだな

OSSという怪しい組織が、今のCIAの前身て/驚

女性もプロだろうに、男性の情報部員の重荷になってるだけで全然活躍していない
こうした男女差別的表現がいちいち気になるんだよな

そして、どんどんゆるくなっていくイラストw


【内容抜粋メモ】






エルジー・ベックは父を探すためホテルに来て
ハエと名乗る男に公園に呼び出される

父がスパイ容疑で捕まり、5000ドルの身代金を払えば釈放してやるという条件








●OSS(アメリカ戦略情報部)
スミス長官は有能な情報部員のユベールとミュリエルを呼び出す

西ドイツの新聞記者ノエル・ミュラーが
ベルギーのアントワープに来たが行方不明になった

ノエルの弟アドルフが兄を探しに来て、そのまま行方不明
アドルフの妻ヘルタも夫を探しに来て行方不明

西ドイツの哲学教授アーサー・ジェロルド博士がアントワープで行方不明
その娘エルジー・ペックも行方不明

2人はエルジーの夫ヘルマン、その妹キャトラインに扮して犯人を暴く任務を受ける
暗号名はOSS117号、118号

エルジーの残したハエの絵が描かれた紙に手紙を書いた跡があり、専門家に回す


●あやしい刑事
新聞に広告を出して、エルジーの行方を探し始めると
ベルギー国家警察の身分証明書を見せて、オーステンス警部だと言う男が来て
捜索は警察に任せろと止める

ヨーロッパ新聞の記者マムウ・シュミットはハエについて知っていると言って
2人に近づく

その時、ハエから電話があり、公園に呼び出される







●ハエ、現れる
シュミットは以前OSSに所属していたから
犯人を捕まえるため、2人を車で送ると言う

ハエに会うと、怪物のような醜い顔に驚く
呼び出しておいて、何をするでもなく、近いうちに連絡すると言って消える

アントワープ警察にオーステンスという警部はいないと分かる


●ド・ベルス中尉
今度はベルギー陸軍参謀本部のド・ベルス中尉だと名乗る男が来て
彼も事件から手を引くように止める

再びハエと会うと、10万ドル払えばエルジーは返すと言い
明日の午後9時に公園のトンネルのそばを指定する

荷船に乗り、船室で取引するが、新聞紙のニセ札がバレる
銃撃戦の後、ハエはタラップを海に落として逃げる

船と堤防は3m離れているため、引き寄せて跳び移る

シュミットはホテルにハエと内通しているスパイがいると推理
受付のボーイのニコラが怪しい

家を訪ねると、安い給料では買えないようなモノがたくさんある
スパイをして、身代金の一部をもらっていたことを話す

明日の朝5時に荷船でハエの他3人と会う約束がある

ユベールらは先に行って、タンスに隠れて、穴を開けて覗く
シュミットが来て、女性のストッキングをかぶるとハエそっくり(w
ハエはシュミットの変装だと分かる







ユベールはシュミットと殴り合い、スーツケースの中に時限爆弾を見つける

ユベールはミュリエルのストッキングを貸してもらい(!
ハエに化けて、他の仲間と会う
それはエルジーに傘を貸した男、タクシー運転手だった

彼らは本物のハエとは知らず、シュミットをセメントづけにして海に沈めて殺そうとする
これまでの行方不明者もそうして殺されたに違いない(オーソドックスだな

ユベールは後ろから殴られて気を失う

気づくと、ド・ベルス中尉らに車に乗せられている

ハエは東ドイツ側のスパイだったが、立場を利用して誘拐して金儲けをしていた

アントワープ駅裏の倉庫に閉じ込められて、抜け出し、ホテルに戻る

シュミットからの手紙があり、ハエから連絡があり
荷船に行き、ストッキングをかぶるよう指示されたとある


●ハエの正体
高級住宅に入ると、男が10万ドルをスーツケースに入れている
ハエの正体はド・ベルス中尉だった

そこにオーステンス警部が来て、ベルギー秘密警察だと名乗りハエを逮捕する
ミュリエルも無事


解説 各務三郎
1945年、第二次世界大戦は終わったが
アメリカとロシアは主義や利害の対立から敵国同士となり「冷戦」が始まる
西ヨーロッパ(資本主義)と東ヨーロッパ(共産主義)に二分されてスパイ合戦となる

イアン・フレミングのボンド中佐(暗号名007)シリーズ
ジョン・ル・カレの名作『寒い国から帰って来たスパイ』など
スパイ小説も冷戦をテーマに描いた


アメリカのスパイ組織OSS
第二次世界大戦中に組織され、戦後に廃止された
CIAの前身


ジャン・ブリュース
1921~1963 冷戦をテーマにしたスパイ小説を最も早く書き始めた
フランスのミステリ作家

第二次世界大戦中、戦闘機パイロットとして戦い
フランスが負けてからは、地下抵抗運動に加わった

自ら産業スパイ事務所を開いた
1950年頃から小説を書き始めたのがOSS117シリーズ

日本では『ガラスの目』『最後の15分間』などが翻訳された

1963年、時速100マイルでスポーツカーを運転中
トラックに衝突して死んだ

本書のシリーズは約70冊あり、日本が舞台の作品もある
スリルと観光気分を同時に味わえる



交通事故で早世ってほうが疑わしい事件のようだ
ネットで調べても、詳しい情報は何もひっかからなかったし

コメント    この記事についてブログを書く
« ルルージュ事件 エミール・... | トップ | 未来の不安との付き合い方【... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。