1964年初版 1987年 第18刷 伊藤佐喜雄/訳 野々口重/挿画
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください
今作がアイリッシュの代表作で、推理小説の中でも3つの指に入る名作と知って
楽しみに読んだら、以前読んだアイリッシュ作品とほぼ似た展開で
一気に読める面白さには違いないけれども、新しさは感じなかった
この作家の得意なスタイルなんだな
殺人事件が起こって、アリバイがあいまいな男が証明しようとすると
会った人みんな「知らない」と答えるって、『アリスが消えた』と同じで
死刑が決まってから知人が犯人を探してって展開は『死刑六日前』と同じ
で、けっこう冒頭から犯人じゃないか?と思われる人物がうっすら分かる
にしても、事件を解くにあたり、最初の殺人事件が薄れるほど人が死んで
解決した後の説明でもハッキリしない部分があるのは
ジュブナイルの意訳だからなのかなあ?
きっと原書はもっと事細かい状況説明があるとしても
大体の雰囲気をサクっと楽しめるのはジュブナイルの良さでもある
【内容抜粋メモ】
登場人物
スコット・ヘンダーソン 32歳のセールスマン
マーセラ 妻
キャロル・リッチマン ヘンダーソンの愛人
ジャック・ロンバート ヘンダーソンの親友 南米の石油会社の技師
バージェス ニューヨーク警察の捜査主任
エステラ・メンドーザ 南米生まれの歌手
クリッフ ドラマー
●変わった帽子
スコット・ヘンダーソンは憂鬱に歩いて、アンセルモという酒場にフラっと立ち寄り
ウィスキーを注文する
つまみに手を伸ばして、隣りの女性の手とぶつかりそうになる
カボチャそっくりなオレンジの帽子が目立つが、それ以外は黒っぽく地味な様子
ヘンダーソン:6時10分ですね カジノ劇場の切符を2枚持っているので一緒に観ませんか?
ヘンダーソンは住所も名前も互いに聞かない約束で誘う
予約していた有名レストランで夕食を食べてから、劇場の最前列に座る
ショーが始まるとバンド席のドラマーが女をジロジロと見る
南アメリカ出身の人気歌手エステラ・メンドーザが出てくると
女とまったく同じ帽子で驚く
歌が終わり、女が立ち上がると、ちょうどスポットライトが当たって
観客とメンドーザは同じ帽子に気づく
プライドが高いメンドーザは激怒して、ステージに戻ろうとするのを
マネージャーに止められる
女は今夜の記念だと言って、自分とヘンダーソンのプログラムをカバンに入れた
ヘンダーソンはイライラすると、雑誌でもなんでも折り曲げるクセがある
外に出ると、盲目のこじきがコップを出したところに
女が知らずに火のついたタバコを入れてしまい火傷する
ヘンダーソンはお詫びに札を入れる
またアンセルモに戻り、軽く飲んでから女と別れる
●青いネクタイ
家に戻ると、警官3人が迎える 主任刑事はバージェス
妻のマーセラはベッドで死んでいた
事情聴取が始まる
結婚して5年目 家を出たのは夕方5時半~6時の間
青いネクタイをしめようと思ったが、口喧嘩をして落としたらしく、別のをしめた
それでマーセラは首をしめられたと知らされる
●愛するキャロル
刑事はヘンダーソンにキャロルという愛人がいることも知っている
マーセラも知っていて、離婚しようとしたが断わられた
レストランと劇場を予約して妻の機嫌をとって話し合おうとしたが
出かける気がないと分かり、ケンカとなり
最初に会った女と行くと言って家を出て、その通りにした
マーセラの死亡時刻は6時8分
オレンジ色の帽子の女がアリバイを証明する唯一の証人だが、顔や姿を全然思い出せない
バージェス:
そんなまぼろしみたいな女を信じ込ませようとせず
アリバイをつくるなら、もっと上手にウソをついたほうがいい
●実地検証
その夜を再現して時間をはかるバージェス
アンセルモのバーテンダーはヘンダーソンは覚えていても、1人だったと言い切る
タクシー運転手も、レストランのボーイ長も同様でヘンダーソンは泣き出しそうになる
●有罪判決
ヘンダーソンは殺人罪で起訴され、2か月後に裁判が行われる
キャロルの名はふせられ、有罪と言われるが、あくまで否定する
裁判長は陪審の評決から電気いすによる死刑を宣告する
●刑事のこころ
ヘンダーソンはニューヨーク州の刑務所で2か月過ごす
バージェス:
私は君の無罪を信じるようになってきた
アリバイは作ったものほど隙がないものだが、君のは隙だらけだ
捜査をやり直すなら、君のために働いてくれる人間が欲しい
5年契約で南アメリカの石油会社に雇われた親友のジャック・ロンバートを呼ぶ
●親しい友だち
ロンバートはすぐ来てくれて、協力を惜しまないと約束する
ヘンダーソン:
犯人はドアの影で僕たちの会話を見ていたに違いない
ダイヤの指輪がそのままだから強盗じゃない
どうか帽子の女を探し出してくれ!
●アリバイの証人
死刑執行の予定日まで2週間あまり
ロンバートは証人以外にその場にいた人間を思い出すよう言う
劇場のドアマン、マイケル・オバノンを訪ねると覚えていなかった
●神経戦術
キャロルは毎晩アンセルモに行き、バーテンダーをじっと見つめる
店が終わると家まで尾行し、3日続けるとすっかり怯えるバーテンダー
店が休みの日も、外出先を尾行すると、バーテンダーはヨロヨロと歩き
赤の信号に気づかず横断してクルマに轢かれてしまう!(これも殺人では?汗
ロンバートは盲目のこじきを尾行して家に押し入る
盲目はいかさまで、女のことを覚えていたし、その後も別の場所で見たと言うが
やはり容姿は覚えていない
バージェスを呼ぶと、こじきは階段を踏み外して首の骨を折って死んでいる
●愛のための冒険
キャロルはグレた女の扮装をして、劇場の最前列に座り、ドラマーのクリッフを誘惑
クリッフはキャロルをたまり場に連れて行くと
地下で強い酒と麻薬入りタバコで乱痴気騒ぎをしている
その後、クリッフのアパートまで来て、フラフラしている間に
あの夜、女のことは証言するなと言われて500ドルもらった話をする
正気に戻ったクリッフはキャロルを襲おうとして、逃げ、バージェを呼ぶ
部屋に戻ると、クリッフは浴室で死んでいる
そばにカミソリを見つける
●人気歌手の部屋
ロンバートはメンドーザの好きな花束を届けて、部屋に入れてもらう
帽子のことを聞くと、怒ったメンドーザは帽子デザイナーの所に行って
世界に1つだけだと言ったのに騙されたと話す
帽子デザイナー、ケティシャに聞くと、たしかに複製品が作られたと分かる
店をやめさせたマッジ・ベートンの住所を聞き出す
田舎でみすぼらしい店をやっているマッジに問いただすと
自分と赤ちゃんを残して夫に捨てられ生活に困っている様子
帽子を売ったのはピエレット・ダグラスと聞いて、訪ねると
とても美人だが、落ちぶれた女性
金をやると、入院中に仲のいい友だちが来て、帽子をあげてしまった
名前はフローラ 住所に行ってみると、消防本部
バージェスとともにピエレットの部屋に戻ると、窓から落ちて死んでいる
●プログラム集め
死刑執行3日前 ロンバートはヘンダーソンから女がプログラムを持って帰った話を聞き
“コレクターが劇場のプログラムを高く買う”と新聞広告を打つ
死刑執行当日
ロンバートは借り事務所で3日間もあらゆるプログラムを見ていた
もう閉めようという時間になって、若い女性がプログラムを持ってくる
ヘンダーソンが言ったように右上のかどが折り曲げられている!
女は6時10分にアンセルモで会ったことを話す
●ぶきみな森の中
ロンバートは女をクルマに乗せて、州刑務所に連れて行くと言って
途中でさびしい脇道に入る
途中振り向かないようにと言って歩かせ、背中からピストルで撃ち殺そうとして
バージェスがロンバートを撃つ
バージェス:マーセラ殺害の容疑で君を逮捕する
バージェスはロンバートのクルマのトランクにずっと隠れていた
ロンバートの乗せた女は扮装したキャロル
唯一の証人がいると知って消そうとした
●捜査経過
ヘンダーソンは無罪釈放、ロンバートはすべてを自供
バージェス:
ロンバートはマーセラに遊ばれていた
南アメリカで一緒に暮らそうという約束もウソだと言って
嘲笑したため、落ちていた青いネクタイで発作的に絞殺
その罪をヘンダーソンにかぶせようとした
突然の心変わりは、ヘンダーソンへの愛が戻ったからと逆恨みしたのかもしれない
劇場とレストランの話は聞いていたが
アンセルモにふらりと立ち寄ったことまでは分からなかった
女を尾行し、ホテルで泊まると分かると
ロンバートはバーテンダー、レストランのボーイ、タクシー運転手に
金を渡して口を封じてから女を殺すつもりが
女はフラリと出て行った後だった
女を消さねばならないが、南アメリカに発たなければならない
バージェスはロンバートの身辺を洗うと
3日遅れてハバナから船に乗ったと分かった
バーテンダーは交通事故、ドラマーは自殺だったが
盲目のこじきの死体の脚には糸が食い込んだような跡があった
階段にヒモを張ったのだろう
ピエレットはカーペットの端をつかんで引っ張ると
ちょうど窓から落ちるという仕掛け
(ちょっと強引すぎないか?
フランシスは精神病院の患者で記憶喪失
故買商の店からオレンジの帽子が出てきた
売ったばあさんは、ゴミ箱から拾ったという
ゴミ箱を探して、捨てたのは店の女中
その家に精神病の奥さんがいると分かった
バージェスが女の名前を言おうとすると、キャロルは止める
キャロル:
私たちは新しい人生に出発するのよ
これ以上、まぼろしみたいな女にとりつかれないで
■解説
本書は、世界のミステリー文学の中でもベスト3に数えられる名作で古典の1つになるほど
コーネル・ウールリッチ
1906年生まれ アイリッシュのペンネームで本書を書いた
20歳頃から作家志望
大学の小説コンクールに一等入選し、賞金でパリに行って使い果たし、豊かな体験を得た
チャンドラー、ハメットなどを愛読し、『黒衣の花嫁』は出世作
推理作家は描写がヘタと言われる中
アイリッシュは風俗描写、女性の姿や心理を巧みに描く
独特の哀愁が漂い読者をひきつける
『暁の死線』『深夜の追跡』は本シリーズにあり
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください
今作がアイリッシュの代表作で、推理小説の中でも3つの指に入る名作と知って
楽しみに読んだら、以前読んだアイリッシュ作品とほぼ似た展開で
一気に読める面白さには違いないけれども、新しさは感じなかった
この作家の得意なスタイルなんだな
殺人事件が起こって、アリバイがあいまいな男が証明しようとすると
会った人みんな「知らない」と答えるって、『アリスが消えた』と同じで
死刑が決まってから知人が犯人を探してって展開は『死刑六日前』と同じ
で、けっこう冒頭から犯人じゃないか?と思われる人物がうっすら分かる
にしても、事件を解くにあたり、最初の殺人事件が薄れるほど人が死んで
解決した後の説明でもハッキリしない部分があるのは
ジュブナイルの意訳だからなのかなあ?
きっと原書はもっと事細かい状況説明があるとしても
大体の雰囲気をサクっと楽しめるのはジュブナイルの良さでもある
【内容抜粋メモ】
登場人物
スコット・ヘンダーソン 32歳のセールスマン
マーセラ 妻
キャロル・リッチマン ヘンダーソンの愛人
ジャック・ロンバート ヘンダーソンの親友 南米の石油会社の技師
バージェス ニューヨーク警察の捜査主任
エステラ・メンドーザ 南米生まれの歌手
クリッフ ドラマー
●変わった帽子
スコット・ヘンダーソンは憂鬱に歩いて、アンセルモという酒場にフラっと立ち寄り
ウィスキーを注文する
つまみに手を伸ばして、隣りの女性の手とぶつかりそうになる
カボチャそっくりなオレンジの帽子が目立つが、それ以外は黒っぽく地味な様子
ヘンダーソン:6時10分ですね カジノ劇場の切符を2枚持っているので一緒に観ませんか?
ヘンダーソンは住所も名前も互いに聞かない約束で誘う
予約していた有名レストランで夕食を食べてから、劇場の最前列に座る
ショーが始まるとバンド席のドラマーが女をジロジロと見る
南アメリカ出身の人気歌手エステラ・メンドーザが出てくると
女とまったく同じ帽子で驚く
歌が終わり、女が立ち上がると、ちょうどスポットライトが当たって
観客とメンドーザは同じ帽子に気づく
プライドが高いメンドーザは激怒して、ステージに戻ろうとするのを
マネージャーに止められる
女は今夜の記念だと言って、自分とヘンダーソンのプログラムをカバンに入れた
ヘンダーソンはイライラすると、雑誌でもなんでも折り曲げるクセがある
外に出ると、盲目のこじきがコップを出したところに
女が知らずに火のついたタバコを入れてしまい火傷する
ヘンダーソンはお詫びに札を入れる
またアンセルモに戻り、軽く飲んでから女と別れる
●青いネクタイ
家に戻ると、警官3人が迎える 主任刑事はバージェス
妻のマーセラはベッドで死んでいた
事情聴取が始まる
結婚して5年目 家を出たのは夕方5時半~6時の間
青いネクタイをしめようと思ったが、口喧嘩をして落としたらしく、別のをしめた
それでマーセラは首をしめられたと知らされる
●愛するキャロル
刑事はヘンダーソンにキャロルという愛人がいることも知っている
マーセラも知っていて、離婚しようとしたが断わられた
レストランと劇場を予約して妻の機嫌をとって話し合おうとしたが
出かける気がないと分かり、ケンカとなり
最初に会った女と行くと言って家を出て、その通りにした
マーセラの死亡時刻は6時8分
オレンジ色の帽子の女がアリバイを証明する唯一の証人だが、顔や姿を全然思い出せない
バージェス:
そんなまぼろしみたいな女を信じ込ませようとせず
アリバイをつくるなら、もっと上手にウソをついたほうがいい
●実地検証
その夜を再現して時間をはかるバージェス
アンセルモのバーテンダーはヘンダーソンは覚えていても、1人だったと言い切る
タクシー運転手も、レストランのボーイ長も同様でヘンダーソンは泣き出しそうになる
●有罪判決
ヘンダーソンは殺人罪で起訴され、2か月後に裁判が行われる
キャロルの名はふせられ、有罪と言われるが、あくまで否定する
裁判長は陪審の評決から電気いすによる死刑を宣告する
●刑事のこころ
ヘンダーソンはニューヨーク州の刑務所で2か月過ごす
バージェス:
私は君の無罪を信じるようになってきた
アリバイは作ったものほど隙がないものだが、君のは隙だらけだ
捜査をやり直すなら、君のために働いてくれる人間が欲しい
5年契約で南アメリカの石油会社に雇われた親友のジャック・ロンバートを呼ぶ
●親しい友だち
ロンバートはすぐ来てくれて、協力を惜しまないと約束する
ヘンダーソン:
犯人はドアの影で僕たちの会話を見ていたに違いない
ダイヤの指輪がそのままだから強盗じゃない
どうか帽子の女を探し出してくれ!
●アリバイの証人
死刑執行の予定日まで2週間あまり
ロンバートは証人以外にその場にいた人間を思い出すよう言う
劇場のドアマン、マイケル・オバノンを訪ねると覚えていなかった
●神経戦術
キャロルは毎晩アンセルモに行き、バーテンダーをじっと見つめる
店が終わると家まで尾行し、3日続けるとすっかり怯えるバーテンダー
店が休みの日も、外出先を尾行すると、バーテンダーはヨロヨロと歩き
赤の信号に気づかず横断してクルマに轢かれてしまう!(これも殺人では?汗
ロンバートは盲目のこじきを尾行して家に押し入る
盲目はいかさまで、女のことを覚えていたし、その後も別の場所で見たと言うが
やはり容姿は覚えていない
バージェスを呼ぶと、こじきは階段を踏み外して首の骨を折って死んでいる
●愛のための冒険
キャロルはグレた女の扮装をして、劇場の最前列に座り、ドラマーのクリッフを誘惑
クリッフはキャロルをたまり場に連れて行くと
地下で強い酒と麻薬入りタバコで乱痴気騒ぎをしている
その後、クリッフのアパートまで来て、フラフラしている間に
あの夜、女のことは証言するなと言われて500ドルもらった話をする
正気に戻ったクリッフはキャロルを襲おうとして、逃げ、バージェを呼ぶ
部屋に戻ると、クリッフは浴室で死んでいる
そばにカミソリを見つける
●人気歌手の部屋
ロンバートはメンドーザの好きな花束を届けて、部屋に入れてもらう
帽子のことを聞くと、怒ったメンドーザは帽子デザイナーの所に行って
世界に1つだけだと言ったのに騙されたと話す
帽子デザイナー、ケティシャに聞くと、たしかに複製品が作られたと分かる
店をやめさせたマッジ・ベートンの住所を聞き出す
田舎でみすぼらしい店をやっているマッジに問いただすと
自分と赤ちゃんを残して夫に捨てられ生活に困っている様子
帽子を売ったのはピエレット・ダグラスと聞いて、訪ねると
とても美人だが、落ちぶれた女性
金をやると、入院中に仲のいい友だちが来て、帽子をあげてしまった
名前はフローラ 住所に行ってみると、消防本部
バージェスとともにピエレットの部屋に戻ると、窓から落ちて死んでいる
●プログラム集め
死刑執行3日前 ロンバートはヘンダーソンから女がプログラムを持って帰った話を聞き
“コレクターが劇場のプログラムを高く買う”と新聞広告を打つ
死刑執行当日
ロンバートは借り事務所で3日間もあらゆるプログラムを見ていた
もう閉めようという時間になって、若い女性がプログラムを持ってくる
ヘンダーソンが言ったように右上のかどが折り曲げられている!
女は6時10分にアンセルモで会ったことを話す
●ぶきみな森の中
ロンバートは女をクルマに乗せて、州刑務所に連れて行くと言って
途中でさびしい脇道に入る
途中振り向かないようにと言って歩かせ、背中からピストルで撃ち殺そうとして
バージェスがロンバートを撃つ
バージェス:マーセラ殺害の容疑で君を逮捕する
バージェスはロンバートのクルマのトランクにずっと隠れていた
ロンバートの乗せた女は扮装したキャロル
唯一の証人がいると知って消そうとした
●捜査経過
ヘンダーソンは無罪釈放、ロンバートはすべてを自供
バージェス:
ロンバートはマーセラに遊ばれていた
南アメリカで一緒に暮らそうという約束もウソだと言って
嘲笑したため、落ちていた青いネクタイで発作的に絞殺
その罪をヘンダーソンにかぶせようとした
突然の心変わりは、ヘンダーソンへの愛が戻ったからと逆恨みしたのかもしれない
劇場とレストランの話は聞いていたが
アンセルモにふらりと立ち寄ったことまでは分からなかった
女を尾行し、ホテルで泊まると分かると
ロンバートはバーテンダー、レストランのボーイ、タクシー運転手に
金を渡して口を封じてから女を殺すつもりが
女はフラリと出て行った後だった
女を消さねばならないが、南アメリカに発たなければならない
バージェスはロンバートの身辺を洗うと
3日遅れてハバナから船に乗ったと分かった
バーテンダーは交通事故、ドラマーは自殺だったが
盲目のこじきの死体の脚には糸が食い込んだような跡があった
階段にヒモを張ったのだろう
ピエレットはカーペットの端をつかんで引っ張ると
ちょうど窓から落ちるという仕掛け
(ちょっと強引すぎないか?
フランシスは精神病院の患者で記憶喪失
故買商の店からオレンジの帽子が出てきた
売ったばあさんは、ゴミ箱から拾ったという
ゴミ箱を探して、捨てたのは店の女中
その家に精神病の奥さんがいると分かった
バージェスが女の名前を言おうとすると、キャロルは止める
キャロル:
私たちは新しい人生に出発するのよ
これ以上、まぼろしみたいな女にとりつかれないで
■解説
本書は、世界のミステリー文学の中でもベスト3に数えられる名作で古典の1つになるほど
コーネル・ウールリッチ
1906年生まれ アイリッシュのペンネームで本書を書いた
20歳頃から作家志望
大学の小説コンクールに一等入選し、賞金でパリに行って使い果たし、豊かな体験を得た
チャンドラー、ハメットなどを愛読し、『黒衣の花嫁』は出世作
推理作家は描写がヘタと言われる中
アイリッシュは風俗描写、女性の姿や心理を巧みに描く
独特の哀愁が漂い読者をひきつける
『暁の死線』『深夜の追跡』は本シリーズにあり