メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

少女名作シリーズ 20 孤児マリー マルグリット・オードー 偕成社

2024-06-20 13:31:38 | 
1979年初版 1981年11刷 岡上鈴江/編著
山下一徳/カバー図案 山中冬児/カバー絵・挿絵 武部本一郎/口絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


この時代の本に孤児の子どもを主人公とした物語が多いのは
実際、そうした境遇の子どもがあふれていたのかもしれないな

体が弱かったり、身分が低いと、毎日食べるのにも困るほど
社会全体の仕組みがきつかったのかも

本書も子ども向けに柔らかい表現になっているけれども
原書はもっと生々しい暮らしぶりが描かれているかもしれない


【内容抜粋メモ】

登場人物
マリー・クレール 6歳の少女
イズメリイ 足の不自由な少女
マリイ・ルノー 大人しい少女
エーメ先生
シルバンさん ソローニヤ農園の主人
ウージェーヌ シルバンの弟
テイランド 農園の持ち主
アルフォンス 屋敷の主人


長い間病気で苦しんできた母が突然亡くなり
父は酔っぱらって育児放棄の末、帰ってこなくなった









近所のコラおばさんは困ってシコンじいさんに頼んで
町まで姉妹を連れて行ってもらう
父が泊まっていた宿屋に聞くと、遠い所に出かけた後









コラおばさんは仕方なく2人を汽車に乗せ、孤児院に預ける
姉は中等部に入り、姉妹は離される









午前は勉強、午後はいろんな仕事をさせられる
慣れてくると、マリーは教室とエーメ先生が大好きになる









宿舎には3人の“ねえやさん”がいて、子どもたちの面倒を見る

マリーたちは油屋から頼まれたクルミの殻をむく仕事をする
美味しいクルミが食べたくて、マリーはこっそり持ち出して
夜中、ベッドの中で食べるが良心の呵責に苦しむ










ガブリエル先生がよそへ行くことになり、代わりにエーメ先生がやって来て
マリーは母親のように慕う

マリーは13歳になり洗礼を受ける
イエスの体を表すパンを噛んだら、口から血が流れると聞いて緊張し
噛んでしまうが、血は流れずホッとする









針仕事をしても、マリーはすぐ飽きてしまうため
みんなに本を読むことになる

足の不自由なコレットに話しかけると、みんなから止められる








コレット:
1日も早くここを出たい
お嫁さんになりたいが、こんな曲がった足じゃダメだわ

マリーは本で9日間断食して祈ると望みが叶うと読んだのを思い出し
友だちを説得して4人で祈る

10日目の日曜日、奇跡が起きると信じていたが
杖なしに立ち上がるったコレットは倒れてしまう



厳しい院長先生に呼ばれて、帽子店に雇われるのを期待していたマリーは
ソローニヤ農園でヒツジの番やブタの世話、畑の手伝いをするよう言われる







コレット:お嫁さんになって、自分の家に住むようになったら、私を迎えに来てね







小さな馬車に乗り、農園に着き、屋根裏部屋に案内されると
隣りのベッドにビビシばあさんが寝ている

翌朝早く、みんなで朝食を食べて、ビビシばあさんは犬のロンを連れて
小ヒツジたちを草原に放ち、群れから離れるヒツジを連れ戻すやり方を教える








1週間後、マリーは1人でヒツジ番をやる
ある日、小ヒツジが2頭足りないことに気づき、シルバン夫人に報告する
シルバン夫人:前にも小ヒツジがいなくなったことがあるから泥棒のせいではないか










農園の暮らしにも慣れ、エーメ先生に会いたくなったマリーは
シルバンさんが町に行く時、連れてってほしいと頼む

シルバン:ヒツジ飼いは、何があってもヒツジから離れてはいけない

夜0時過ぎ、農園をそっと抜け出し、歩いて町へ行こうとして
二股の道を左へ行くと森に迷い込む









大雨が降り、小さな家を見つけて雨宿りさせてほしいと頼むが断られる
さらに歩いて、昔、エーメ先生と行った丘に来るが
シルバンさんが馬車で連れ戻す

シルバン:
逃げだすと警察が探して連れ戻すのを知らないんだね
孤児院の院長から19歳になるまでは
町へは連れてこないよう約束させられたんだ



冬になるとおいしい草もなく、お腹を空かせたカラスが群れで農園を襲うため
男性は何十羽のカラスを撃って、野菜といっしょに煮込んで食べる(驚

ヒツジも雪も白くて注意しながら森に行くと
急にオオカミが出てきて、ヒツジの胴体をくわえて連れ去る



春になり、牛の乳しぼりやブタの世話も教わる
主人も仲間も優しくて、毎日楽しく働くマリー

ある時、ヒツジが100頭ほど病気になり
川で丁寧に洗っていたシルバンさんが高熱を出し
3日目には肺炎で亡くなる

農園の持ち主テイランドと息子夫婦が来て
シルバン夫人にここを出るよう命令し
マリーはテイランドの妻の世話を任される









ウージェーヌ:
テイランドも院長も人間を品物みたいに思ってやがる!
マリーを農園で働かせるよう決めたのは院長とテイランドなんだ

屋敷の主人がアルフォンスに代わり、農園の仕事は下男に任せ
奥さんは本を読んだり、レースを編んだりしている

日曜日に丘の上のジャンの小屋を訪ねると
なかなか仕事をくれないから、大家族を養えないとこぼす

マリーはジャンに仕事をあげてほしいと奥さんに頼むが聞いてくれない
その10日後、ジャン一家は小屋を出た



奥さんの母デロア夫人は“お城の奥様”と呼ばれ、口やかましいので有名
大きな屋敷で美しい若者がマリーを見ているのに気づく

女中アデエルから青年は大奥様の息子アンリイだと聞く
ジャンの小屋に行くとアンリイと会う

アンリイ:
人間はみんな助け合っていかなければならない
1人ではダメなんだ

2人はそれから日曜日になると、丘の上の小屋で楽しく話すようになる

アルフォンス:丘の上の小屋を手放したよ
アンリイ:僕が買って、ジャンのように楽しい家庭をつくって暮らすつもりでした

デロア夫人:自分の身分もわきまえず、なんて図々しい娘なんだろう!

丘の上の小屋でアンリイに会うが

アンリイ:
僕を恨まないでください
今までみたいに仲良く話すことは出来ないんです と言って去る









呆然と歩いて、孤児院に着いても、エーメ先生はもういない

院長:
この手紙になにもかも書いてある
あんたが身の程を知らないお転婆娘になったことも
新しい働き口が見つかるまでここの炊事場で働きなさい

炊事場には昔の仲間メラニイが働いている
デジレ・ジョリイがマリーに同情して話し相手になる

ジャンの息子が肉屋の小僧として働いていて
アンリイが結婚したと話す








デジレは病気で亡くなり、院長は金貨を2枚渡してここを出て行くよう言う

姉:
お前を引き取ってと言われたけれども、小さい農家に子どもが大勢いるからムリ
お前も大きいんだから1人でやってもらいたいね
あんたはパリに出たほうがいい

マリーはパリ行きの汽車に乗り、希望に胸をふくらませる










解説
本書の原題は『マリー・クレール』
オードーの代表作で姉妹篇『マリー・クレールの仕事場』がある

マルグリット・オードー
1864年フランス生まれ
ソローニュの農園でヒツジ番をしたりして働いた
体が弱く、いつも貧乏で、頑固な眼病に長い間悩まされた
73歳で死去








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