メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『世界の人びとを健康に世界保健機関』(ほるぷ出版)

2013-11-11 14:10:34 | 
調べてみよう世界のために働く国際機関『世界の人びとを健康に世界保健機関』(ほるぷ出版)
ジリアン・パウエル/著

よく名前は聞くけど、実際どんなことをしているのか知るのにちょうどいいボリュームのこのシリーズ。
さまざまな問題が、それぞれ密接に関わり合っているから、活動内容がかぶったり、矛盾して混乱したりはしてないのかな?


【内容抜粋メモ】

******************************WHOとは?

「健康とは、単に疾病がなく、身体的に虚弱でないということではなく、
 身体的、精神的、社会的に完全に満足できる状態をさします」(世界保健機関



World Health Organizationの頭文字。
第二次世界大戦後の1948年に生まれた、保健衛生の分野を受け持つ国際連合の独立した専門機関。
どの国も加入でき、すべての加盟国が活動内容の決定に関わる。


本部はスイスのジュネーブ

●世界保健総会
WHOの最高意思決定機関。

●執行理事会

年に2回、通常1月と5月に開かれる。32人の健康の専門家で構成される。

●事務局
世界に6つの地域事務局があり、日本はマニラにある西太平洋地域事務局に所属する。
世界中で職員は約5000人いる。全職員は、個々の国の政府ではなく、WHOに対して責任を負っている。

●事務局長
事務局の代表。

●活動資金
加盟国の分担金、寄付金でまかなわれている。
日本は15%を負担。アメリカの25%に次いで2番目の額。
予算の50%以上が途上国で使われる。


******************************主な取り組み

主な目的は憲章にある。
人々の栄養、住宅、衛生、労働状態を改善する、など。
病気についての情報を公開することはもっとも重要な仕事のひとつ。

基準は、お金持ちと貧しい人々の間に健康の差がないかどうか、など。


●伝染病を予防する
感染症が発生した場合、24時間以内に現地に調査員を送り、適切な対策を立てる用意がある。

「熱帯病」(河川盲目症、ハンセン病、マラリア)

ブヨが媒介する河川盲目症で失明した少年

1999年には120万人が熱帯病で亡くなった。
毎年、3億人以上がマラリアにかかる。ハマダラカが媒介する。
病気をうつした蚊は殺虫剤に耐性をもつため、根絶が難しいことが明らかになってきた

途上国では目の不自由な人の数が先進国の20倍もいる。
ビタミン不足や、目の感染症が失明にいたる理由となることを知らせている。

 
1970年に根絶した天然痘/19C、ヨーロッパでは何万人もコレラで亡くなった

●安全な飲み水を確保する
世界には安全な飲み水を確保することができない人々が10億人いて、下痢などの危険にさらされている。

●保健教育

スーダンの保健医療担当者が、河川盲目症対策の薬品について村人に知らせている

健康的な食事、運動、医療、衛生的な環境などによって病気が予防でき、事故による怪我が防げるという情報を提供する。
毎年、予算の10%を医療関係者の研修に使っている。

●保健医療に関する調査、研究

●食物の安全性
殺虫剤、食品添加物の安全基準を決めている。

●タバコ、麻薬など
毎年400万人が喫煙を原因とする病気で亡くなっている。
また、心の病気に苦しむ人は約3億人いると推定している。
「精神衛生活動計画」は、アルコールや薬物の濫用の問題について教育することを目的としている。

エイズの克服
エイズは死にいたる世界最大の感染症。

『21世紀の平和を考えるシリーズ5 エイズ』(ポプラ社)も参照

●労働条件

バングラデュのレンガ工場ではたらく少年

世界中の労働者のうち2/3は不備な環境で働いている。

『児童労働 働かされる子どもたち』(リブリオ出版)も参照

●救援事業
戦争、自然災害のような緊急事態には、他の組織と協力して被災者の救援をする。


******************************ほかの国連機関との密接な関係

●国連の2つの目的
・世界の平和と安全を維持すること
・世界中のみんなが人権を保障され、人間らしい生活水準が保障されるようにすること

『国際平和をめざして 国際連合』(ほるぷ出版)も参照


●ユニセフ

セネガルでポリオの予防接種を受ける子ども

WHOとユニセフは、予防接種、母子の健康、栄養、衛生などの活動を共同でおこなっている。

「1歳未満の子どもの80%に、6つの病気の予防接種をする」
6つの病気とは、ポリオ、破傷風、はしか、ジフテリア、百日咳、結核。

『世界の子どもたちのために ユニセフ』(ほるぷ出版)も参照


その他、「国境なき医師団(MSF)」、「オービス(ORBIS)」など。
幼児の障害や死を招く「ヨード欠乏症」を防ぐため、「ヨード添加塩」の生産にボツワナの塩の会社と協力している。


******************************南北問題


5才未満幼児死亡率の推移(『世界子供白書』2000年版より)

アフガニスタンの平均寿命は43歳。
1998年、日本で亡くなる赤ちゃんは1000人中4人で世界ベスト1。
アフガニスタンは292人でワースト4位。


南北問題
貧しいために薬も買えない途上国と、豊かな先進国との経済格差があること。

「世界の病気の90%は開発途上国で発生しているが、そこで使われている医療費は世界の10%にしかすぎない」

世界のもっとも豊かな1/5の人々と、もっとも貧しい1/5の人々の所得格差は、
1960年は30:1→1997年には74:1に拡大している。(『世界子供白書』2000年版)

理由:
先進国の多国籍企業による経済活動がグローバルになったこと。
巨大な資金力で、世界でもっとも安い国で原材料を買い付け、世界でもっとも人手が安い国で製品化し、全世界に売る。
途上国ばかりが犠牲になる経済のシステムを見直すべき。


******************************将来の問題

●21世紀のおもな健康上の問題
・新しいテクノロジーの影響
・栄養不足と喫煙
・感染症以外の病気


●人口増加、長寿、高齢化
2025年までには、60歳以上の人が世界で12億人に達すると思われる。
WHOは「活力ある高齢化(いきいきと歳を重ねること)」の運動の一環としてウォーキング運動を実施した


●環境汚染
地球温暖化により蚊の数が増え、マラリアがより大きな問題になると予測している(それはカンベン
2050年には、ストレスが原因の「うつ病」が、世界で2番目の健康障害となると言われている。


●健康とインターネット
欧州連合(EU)とともに、ネットでの医療品や医療サービスの有料提供について検討する実行委員会を作った。

『ヨーロッパをひとつに欧州連合』(ほるぷ出版)も参照


******************************WHO関連サイト

「WHO神戸センター」

「国連食糧農業機関(FAO)日本事務所」

「国連開発計画(UNDP)」

「国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)」

「国境なき医師団(MSF)」

「オービス(ORBIS)」

『世界子供白書』は毎年発行している。


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