メランコリア

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名作冒険全集18 『鉄仮面』 アレクサンドル・デュマ 偕成社

2021-04-22 12:33:49 | 
昭和41年初版 定価280円

野田開作/訳
沢田重隆/装幀
梁川剛一/カバー絵・口絵
中村猛男/挿絵


「ジュヴェナイル」カテゴリー参照


『鉄仮面』というと、『LIFE』で源くんが演じた「鉄仮面テツオ」を思い出してしまうw

本書は大デュマ(父)のほうで、以前読んだ『巌窟王』は息子が書いたのか

“ヴェルヌと比較すると、登場人物が生き生きとしている”という批評を読んで
そこにも意識したら、なるほどと思う

三銃士は実在したのかと思ってウィキで調べたら創作で
ルイ13世、14世、フィリップらは実在していて
14世は歴代で一番長く国を治めたとか書いてあった
日本で言えば徳川家康的な?

歴史小説はほとんど読まない分野だから新鮮

しかも、ものすごい長いシリーズの最後の部分だと知り
元は相当な超大作なのが分かった/驚

ジュブナイルだからこそ複雑な内容もすんなりと入って
ワクワクと読み切れたのかも

本書も府中市図書館所蔵
一体、どんな図書館なのか行ってみたくなる

途中3か所くらい誤字を見つけた


【内容抜粋メモ】(ネタバレ注意









バスチーユかんごく
パリの町はずれにある幽霊屋敷のような監獄
重い鉄の扉、厚い石の壁、厳重な見張り
一度入れられたら、逃れることは出来ない





そこにマルシャリは10歳の時に連れて来られて6年経つ
その顔にはブキミな鉄仮面がはめられ
誰もその顔を見たことがない

ある夏の夜、1人の坊さん(キリスト教徒なのに)が訪ねる
アラミスと名乗り、一度会ったことがある三銃士のひとりと思い出す
助けに来たと言い、鉄仮面を外してくれる


■アラミスのたくらみ
フィリップ(マルシャリ)に鏡とルイ14世の肖像画を見せる
鏡を見たことのないフィリップは瓜二つなのに驚く

2人は双子でフィリップのほうが兄のため
ルイ14世の資格があるのに

ルイ13世が突然亡くなり
コルベールという悪い大臣の陰謀で
弟が国王にまつりあげられたと話す

国王の恩赦でマルシャリを出すべしというニセの命令書を番人に渡して
2人をすり替え、弟をこの監獄に入れる計画だと言う


ボウ城へ
2人は早馬で城へ走る
アラミスは贅沢ばかりで国民を苦しめ遊んでばかりいる連中を憎んでいる






■三人の友だち
みんなはボウ城で大宴会中
仮装行列に紛れて、フィリップを自分の部屋に連れていくアラミス

三銃士の1人、ポルトスと打ち合わせているところに
フランス一の名剣士でルイ14世の警備隊長ダルタニヤンが来る








三銃士の親友だが、彼は一度忠義を尽くした王に忠実なので
この計画は知らない

陛下が寝室に入ったことを聞きだすと
自分たちも眠いからもう寝ると部屋に戻るのを不審に思うダルタニヤン


■丸天井の上と下
アラミスの床板をずらすと
下はルイ14世の寝室が見える

コルベール、フーケ大臣らが
おやすみの挨拶に来るのを見て
顔と名前を覚えるフィリップ

天井には夢の神モルフュースの絵が描かれていて
そこから人間の顔が現れて自分にそっくりなので
夢を見ているのかと不審に思うルイ14世

ベッドがだんだん地下に沈んでいくが声も出ず、体も動かない


■捕われたルイ14世
「俺たちは鉄仮面の一味だ」と言う声が笑い出すルイ14世
宴会で一番びっくりさせる余興をしたら
一等賞の褒美を与えると言ったためだと思う

痺れ薬をかけられ、ボウ城の秘密の地下道を連れて行かれて
余興でないことが分かる
馬車に連れ込まれ、バスチーユ監獄へ向かう







(古今東西、権力争いには暗殺がつきもので物騒だなあ


■身がわり鉄仮面
アラミス:また命令が変わって、マルシャリを閉じ込めておくことになった
と門番に話して、ルイ14世に鉄仮面をかぶせて閉じ込める

「俺はルイ14世だ!」といくら言っても気違い扱いされるばかり
散々暴れて、翌朝、犬にやるように一切れのパンが投げ込まれる


■あたらしい王さま
フィリップは柔らかい羽根布団に寝かされたが一睡もできないでいた

アラミスが戻り、今日からフィリップがルイ14世で
朝から大勢が朝の挨拶に来ると教える





お付のダルタニヤンが来て
ルイ14世に嫌われているはずのアラミスがいることを不思議に思う

フィリップ:
今日からアラミスとポルトスがわしのそばに仕えることになった
田舎に引っ込んでいるアトスも呼び寄せる


■たいへんな失敗
アラミスは事情を話す





アラミス:
このままではフランスは弱くなり
イギリス、スペインから攻め滅ぼされる

ダルタニヤンは総大将にもなれるぞ

ダルタニヤン:
お前のやったことは卑怯な騙しうちで恐ろしい謀反
昔の三銃士は正々堂々と戦ったぞ

俺はルイ14世に尽くさなければならない
陛下のお許しが出たら、フィリップ様の家来になろう

ダルタニヤンはルイ14世を助け出すのが任務だと譲らない

それを盗み聞きしていたフーケ


大臣フーケのてがら
なぜかルイ14世はフーケを嫌っていたため
このままフィリップにつこうかとも考えるが
やはり忠義を尽くすのが家来の道だと
ルイ14世を助けにバスチーユに馬を走らせる

フーケ:
急いでボウ城に引き返さねば
新しい王ができたら手遅れになります


■王さまと王さま
ダルタニヤンはアラミスらにフーケが気づいたことをしらせる

ダルタニヤン:
追っ手が来る前にベル・イール島に逃げろ
生きていればまた会える

アラミスとポルトスは言われるがままに逃げる

朝の挨拶をしているフィリップの前に
うり二つのルイ14世が現れて騒然となる

ルイ14世:ダルタニヤン、そいつを捕まえろ!


■島ながし
荒っぽいルイ14世に比べて、逃げずに気丈に振る舞うフィリップを見て
フィリップが王ならいいのになとうなづき合うみんな
しかし、コルベールが怖くて言い出せず、その場から立ち去る

ダルタニヤンはフィリップだけに2人は島に逃がしたから
いつかきっと助けに来ると話す


いなかのアトス
寂しい田舎のブロワに住む三銃士の1人アトスを訪ねる2人
事情を話し、フィリップを置いてきたのを深く後悔する

ベル・イール島に行き、イギリスかスペインに行って話し
戦争が起きてもフランスの間違いが直るなら
外国の力を借りるしかないと説得し
フィリップがどうなったか調べて欲しいと頼む


■フィリップのゆくえ
ダルタニヤンに会えず、元ダルタニヤンの家来ブランシェを訪ねて
それとなく聞く

先日来て、壁の地図を長い間眺めていたと言う
見るとかすかな印がついている それが彼のクセだと知っているアトス

印は地中海まであり、すぐに追うアトス





その先どこに行ったか分からず、宿屋に入ると
船頭が化け物と取っ組み合いをした話を聞き
1人はダルタニヤン、1人は箱に入れられたフィリップだと分かる





■花とオレンジの島
1週間ほど前にサン・マルグリット島に向かった
箱から鉄仮面の化け物が出てきたと話す船頭




翌日、アトスはサン・マルグリット島に向かうと
花でいっぱいのキレイな島に番兵がいる

銀の皿が飛んできて拾うと
「われはフランス国王の兄なり」と刻まれている


■ひとあしちがい
この城にフィリップが閉じ込められていることが分かる

いきなり鉄砲が飛んできて、アトスだと名乗り
隊長から聞き出そうとするが、フィリップをかくまっていることは
ルイ14世に口留めされていてしどろもどろになる

ダルタニヤンはパリに帰った
ベル・イール島に行くと聞き
2人が危険だと察知するアトス


■おしよせたぐんかん
ベル・イール島は岩だらけで、洞穴があちこちにある
キツネが多いため「キツネ島」とも呼ばれている

アトスは三銃士の中で一番年長で疲労から病気になったため手紙を出した
フィリップの居所も分かり
ダルタニヤンが攻めて来ることも知るアラミスとポルトス

もう軍艦が何隻もやって来て、住民に戦いの準備をさせる
海賊の子孫の彼らは勢いづく





だが、軍艦は大砲が届かない位置に錨をおろして
1艘のボートに乗って水兵が来る


■ダルタニヤンの親切
ダルタニヤン隊長からの手紙で
2人に会いたいからボートに乗れとある
罠に違いないと言うポルトス

島は軍艦に囲まれて抜け出すのが困難になる

夜にダルタニヤンがやって来て

ダルタニヤン:
ルイ14世の命令で来たが、2人はもういないと思っていた
自分は今日かぎり家来を辞めて故郷へ帰る


■ひみつのほら穴

ダルタニヤン:
軍艦に帰り、ほかの隊長を集めて、自分だけフランスに帰ると言う
みんなが慌てているうちに逃げてくれ

2人は島の裏にあるロクマリアの洞穴に向かう
そこにほかけ船が2艘隠してある

乗ろうとした瞬間、味方から大砲が撃たれた音がする
それから戦争の火ぶたが切り落とされる





ダルタニヤンは言った通りに事を運んでいたのに
ダルタニヤンの軍艦が回れ右をする時
島の住人は攻めてくると勘違いして撃ってしまった

戦争の最中に船を出したら沈められてしまう
陸戦隊はもう大勢で島に上がって来る


■ゆうかんな戦い
敵は猟犬を使い、隠れている洞穴までやって来る
入口は狭いため、来る犬を銃で撃ったり
ジャックナイフで刺し殺す(涙

敵が1人入ってきて、ポルトスはみぞおちを殴って気絶させて連れて来る
気合いを入れて意識を戻し、外に4、50人いると聞きだすと帰す


■ふさがれた出口
敵が攻めて来て、銃を撃つと音が大きく響くので
中に100人ほど隠れていると思い込んだ敵を撃退してしまう

ここの出口は巨大な岩でふさいであるが
怪力のポルトスが巨石を動かして船を出そうとする





ポルトスはそこで脇腹を酷く銃で撃ち抜かれ
自分を置いて先に行けとアラミスに言うが置いていけない






ポルトスのさいご
2人は家来とともにいったん洞窟の奥にひっこむ
島の住人も降参した様子

ポルトス:
俺の命もあとわずかだ
だからやれるだけやろう
船に積んだ火薬の樽を持ってこい
さらばじゃ お前の成功を祈るぞ

2つの樽に導火線をつけて、軽々と持ち上げ
洞窟の出口に歩いて行くと、体中に弾がつきささる

そのまま手で樽を投げて、敵を爆撃で倒して
大きく笑いながらポルトスは堂々と死ぬ








■海のもくず
親友の死に泣きたいのを抑え

アラミス:
ポルトスは俺のために死んだのだ
俺も死ぬ気で敵にぶつかろう





スペインに向けて船を出すがすぐに見つかり
軍艦に取り囲まれる

照明弾が上がると昼間のように明るく照らされて丸見えになる
大砲が一斉に撃ち込まれるが
敵はアラミスを生け捕りにしたいらしく
「命は助けるから降参しろ!」と呼びかける

一生バスチーユにぶち込まれたり、敵の弾に当たるくらいなら
海の底を歩いたほうがましだとアラミスは夜の海に飛び込む
4人の家来もその後を追う






■えいゆうとごうけつ
ダルタニヤンはアトスの家を訪ねる





2人がその後どうしたか聞くアトスに
人の噂はあてにならないとためらいつつ
ポルトスは死に、アラミスは海に飛び込んだと話す

アトス:
ルイ13世の頃からいつも3人で活躍してきた
しかし、これでとうとう永久に分かれ分かれになってしまったなあ

ダルタニヤン:
フランスの華やかな時代も三銃士とともに終わりだね
だがその名は何百年経っても人々の心から消えないよ

アトスはダルタニヤンの名も消えないと返す





その後、アトスも病死し、ダルタニヤンはアトスが言った通り
再びルイ14世に呼ばれて大将の上の元帥にまで出世したが
三銃士のいない世の中はつまらなくなってしまった

フィリップ王子はあのまま不幸な一生を終えた

(正義か悪かに関わらず、
 どちらにつくかで自分の一生も大きく変わるものなんだな




<「鉄仮面」について>
息子デュマも『椿姫』などを書いた世界で有名な小説家
親子で文豪なのは世界でも珍しい

日本では明治から盛んに紹介され、映画や劇にもなった

「鉄仮面」は大デュマの代表的な力作と言われる3部作の
最後の2000枚ほどの部分

1部は「三銃士」、2部「20年後」、3部「ブランジュロンヌ子爵」
この3部の後半が「鉄仮面」


どこから読んでも面白いのが大デュマを批評する人々の一致した感想

大デュマの特徴はいわゆる歴史小説で
大変伝奇的であること

伝奇とは世に知られないフシギな話という意味(都市伝説的な?
本書もルイ14世に双子の兄弟がいたという謎が元になっている























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