メランコリア

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海外SFミステリー傑作選 14 のろわれた山荘 パット・マガー/原作 国土社

2023-05-17 20:26:53 | 
1995年初版 福島正美/訳 村上克己/装画・挿絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください

1983年「少年SF・ミステリー文庫」の1冊として刊行された


犯人側から描く手法
お金のためには、一夜で何人殺すのも平気な美しい夫人が異様

一番それらしくない人物が探偵だが
それっぽい人物が次々現れる


【内容抜粋メモ】

●フィッシュネット荘
ロッキー山脈の頂上近くにある小さなホテル、フィッシュネット荘
主人フィリップは病気で臥せっていて、妻マーゴットが看病している

フィリップはマーゴットが財産目当てで結婚し
ミルクになにか入れて殺そうとしているのではと怪しむ





先週のビタミン剤も怪しいから飲まずに隠し
親友の私立探偵ロッキー・ロードスに調べるよう頼んだ
今夜か明日の朝には着くと言う



●殺人
マーゴットは貧しい家に育ちで、金持ちが羨ましくて仕方なかった

有名な女優になろうとして失敗したが
大金持ちのフィリップと結婚

その1か月後に夫が重い病気にかかり、山奥暮らしに我慢できず
薬屋で強い鎮静剤を買い、ビタミン剤と偽って飲ませ
心臓麻痺に見せかけようとしていた

計画がバレたため、睡眠薬で眠るフィリップに枕を押し付けて殺してしまう
フィリップがどこかに隠した鎮静剤を探して捨てれば問題ないと考える



●夜の訪問者
新聞記者のマイク・シェルダンと名乗る男が
別のホテルに行こうとして車が故障し
悪天候で困っているから泊めてくれと言う

マーゴットは彼が私立探偵だと思い
今晩のうちに殺してしまおうと決意する

昔から世話してくれている年寄りの女中トムリンソンには
夫の殺人を相談していたため、共犯者だから
同じ死刑に値すると脅して協力するよう命令する

シェルダンを強盗に仕立てて銃殺する計画を話していると
チャーリー・ミラー、スーザンが
休業の電報を見なかったと言って泊まることになる



●誰が探偵か
ミラーを目撃者にして、フィリップの死を確認させる
医者は心臓麻痺と診断し、マーゴットは悲しむフリをして葬儀を済ませる

ケーツという小説家が、いつもマスの間に泊まるから
フィリップの荷物を片付けてくれと強引に押し通す

実はケーツが私立探偵で、夫の部屋で錠剤を探すつもりではないか?
夫の荷物を片付けるフリをして探すも錠剤は見つからない

クルマの故障を直すシェルダンが家に入ったのを見て
クルマの中を調べると、シェルダンのサインをした記事があり一応信用する





酔っぱらったミラーは、マーゴットの気持ちを晴らそうと
クルマのラジオで音楽を聴こうと誘う






●ガス中毒
ガレージを閉めて、ヒーターをつけ、ミラーを一酸化炭素中毒死させると
マーゴットも中毒を起こして、雪の中を這ってシェルダンに助けられる

医者が明日の朝、保安官を連れて来ると言っていたと聞き、焦るマーゴット

クルマのカギには自分の指紋しかないため
警察が来る前に捨てようと思い、ガレージからカギの束を持ち帰ると
クルマのカギだけが抜き取られている
ミラーは探偵ではないのか?

トムリンソンはすっかり怯えて、これ以上は協力できないと訴える

トムリンソン:
あなたはきっと後悔します
いくらお金があっても、人殺しには良心の休まる時がない


泣いているところにスーザンがスープを持ってくる
トムリンソンはノイローゼ気味だから自殺でもしないか心配だとウソをつく

マーゴットはトムリンソンに睡眠薬を飲ませ
もう人殺しはしない代わりに私立探偵が誰か知るために
体を縛られたと騒いでみようと言う





さるぐつわをかませて絞殺し、天井から吊るして
台所でトムリンソンを叱る声をみんなに聞かせる

様子がおかしいと男たちがドアを蹴破り
トムリンソンの死体を発見する

ケーツ:私は作家だから人の心の動きがよく分かる、と言い
マーゴットが夫や使用人の死を本当は悲しんでいないことを指摘する

マーゴットは怒り、ホテルから出ていくようシェルダンに頼もうとすると
シェルダンもスーザンも外に出かけていない







スーザンの足跡が展望台についているのを見て
フィリップは展望台の木小屋にあるポストに錠剤を隠したとひらめく
ロッキーは男だと思っていたが、スーザンだったか?

小屋に行くと、スーザンは錠剤を見つけ
フィリップが書いた手紙を読んでいる



●死の展望台
マーゴットはスーザンがロッキーだと思い
3人の殺人を明かし、正面のドアから突き落として殺そうとする

シェルダンが気づいたのを見て、注意がそれた瞬間
腐った手すりが折れて、マーゴットは谷に落下する

シェルダン:
首の骨が折れて10分も生きていられないでしょう
ロッキーは僕のことなんだ
新聞社に記事を書く時はマイケル・シェルダンと署名する
殺人犯はマーゴットと分かっていたが証拠がなかった

マーゴットは死ぬ間際に2人の会話を聞く
(首の骨を折っても意識が残ってるのもコワイ/汗



解説 各務三郎
犯人は分かっているのに探偵が分からない
マガーは古典的な探偵小説の枠を打ち破った

犯人、被害者、探偵が分かっているのがパズル小説と言われるのは
刑事コロンボでおなじみの「倒叙もの」で
オースチン・フリーマンが発見した形式

パット・マガー
1917年 ネブラスカ州生まれ
ジャーナリズムを研究し、編集者生活を10年ほどして
探偵小説懸賞募集に刺激されて、探偵小説を書き始める

新しい探偵小説手法を3つも発見したことは大きな功績

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