メランコリア

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少年少女サスペンス推理 6 海に消えた男 ジョン・ガン/作 学研

2023-06-23 18:41:50 | 
昭和51年初版 片岡政昭/訳 霜野二一彦/絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください


「少年少女サスペンス」シリーズは「推理編」と「冒険編」に分かれている
はじめに「推理編」をまとめて借りてみたら
今作は推理小説というより少年少女の本格的な冒険物語だった







海では朽ちた桟橋、山では廃坑
危険なほどワクワクする子どもたち

挿絵がないと板をどうしたとか詳しい動きがよく分からないのが残念

橋の下に寝泊まりする浮浪者を装う男が
ものすごい怪しいと思っていたら違った

男の子の世界もなかなか厳しいねぇ・・・弱肉強食そのもの
常に巨勢を張って“男らしさ”を誇示してないと舐められる

コリの父は刑事なのに、息子の“教育”のためには本気で殴るのもDVだし/汗



【内容抜粋メモ】

登場人物
アンドリュー・ブレーク プリマルの中学校に転入
イワン アンドリューの弟
医者のレッツ夫妻

コル・ウィートレー
バーバラ コルの妹
ウィートレー警部 兄妹の父
チャールズ
スミス ガキ大将
ゆかいそうな青い目の男


●転入初日
アンドリューとイワンの兄弟は、父の事業が失敗し、母が病気で手術するため
医者のレッツ夫妻の元で暮らすことになった

転入初日、登校の道すがら
鉄道陸橋でコルとバーバラの兄妹に出会う

汽車が大好きなコルは、大音量で通りすぎる列車をしょっちゅう見に来ている
父は主任警部で、家は警察署の裏

ガキ大将のスミスは、いつでも取り巻きを連れて、コルをいじめているが
アンドリューの体がデカいから、ケンカしたら勝つだろうと言う

イワンを小学校に預けて、帰りに迎えに行く約束をする

中学校に着くと、校長の隣りにコルの父ウィートレー警部がいて
製鋼所強盗事件について話す







●製鋼所強盗事件
終戦の1か月後、製鋼所の給料4万ポンドが奪われた

一団は逃げる際、海で嵐に巻き込まれたが
そこで助かった1人“ゆかいそうな青い目の男”が
近所に潜伏している可能性があるため
なにか見たら報告するよう協力を要請する

男子は興奮し、コルはその大金を見つけようとアンドリューを誘う
なにか見つけることができたら賞金が出るが
警察官とその家族は規則によりもらえないのを残念がる

鉄道陸橋の下を“司令部”として4人で計画しようと決める

帰り道、スミスと取り巻きが絡んできて
アンドリューは何発かパンチを見舞ってケンカに勝つ






イワンを迎えに行くといない

頬の傷を見て、レッツ夫人はケンカを咎める


●司令部
午後5時に口笛を吹いてコルが来たが
夫妻に叱られて行けないとジェスチャーすると
夫妻が寝てから0時に司令部で落ち合うことにする

レッツさんは、犯人と格闘した警官の手当をした時
ボートがひっくり返って3人が海に飲まれ
助かった1人は、まるで桟橋近くの水面を歩いているように見えたとフシギな証言をした

バーバラは食べ物を持ちより、司令部にも少しストックを置く
コルは父のデスクから関連書類を持ち出して返すタイミングを失ったと話す
一時的にアンドリューが持ち帰り、隠すことにする


●フシギな浮浪者
イワンは古いスーツケースと毛布を見つけてくる
詩人を自称するチャールズという老人が現れて、持ち物を返す

書類が警察署から盗まれたことが新聞の一面に載り
チャールズが怪しまれる

自分たちのせいで逮捕されたらどうしようと心配したが
ウィートレー警部とすっかり仲良くなって出てくる
自分たちの計画を話す








●海の上を歩く男
桟橋の辺りが怪しいと思い調べていると
同じようにお金のありかを探るスミスらが来て
橋に使った板をはずしてしまう







知恵を働かせて、なんとか岸に着く
警官が証言した“海の上を歩く男”も同じように
板の上を滑っていたのではないかと推理する
(この辺の描写も何をしているのか分かりづらい/汗


●イワンの子犬
イワンは子犬を拾い、チビと名付けて夢中になる
アンドリューは書類を読んでみるが、難解な上、新しい事実はなくガッカリする
警察では、金はボートに乗せず、ブッシュの小屋に隠したのではないかという見立て

コル:“ゆかいそうな青い目の男”はボートの係で金を隠した場所を知らないんだ

チャールズは山に人目につかない小屋があると教える
土曜日に4人で行くことに決める


●廃坑
イワンはバスケットにチビを入れて内緒で連れてくるが、すぐにバレる

廃坑そばの小屋の戸口に蜘蛛の巣がないこと
山道に人が歩いた跡があることから、犯人グループはここに潜伏していたのを
警察の捜査で見つかり、嵐の中をボートで逃げようとしたのではないかと推理






銃の発砲音と、山の崩れる音がする
入口をふさがれ、5人は閉じ込められてしまう
“ゆかいそうな青い目の男”の仕業では?

コルは頭上5mに出口を見つける
トロッコに板を乗せて、組み合わせ、器用に坑木を登る

嬉しさで「出口が見つかったぞ!」と叫んだ声が犯人にも聞こえたらしく
救援を呼びに行く前にまた岩でふさがれてしまう







●脱出
疲れきったコルは9mも下に落ちて、下が水だったために奇跡的に助かる
先へ進むとさっきより大きい出口が見つかり歓喜する







暗くなった林を歩いて戻る途中、チビを落として、驚いた子犬は逃げ
ようやく見つけると、狭い縦坑に落ちてしまう

チャールズ:
ここは壁が崩れて、狭いから危険だ
君たちは野宿をして、私が1人で山をおりて救助を呼んでくる


●ゆかいそうな青い目の男
チャールズが出かけると、コルは試しに穴に下りてみようと
モンキーロープを切る

バーバラ:男の子は、自分が一番いいと思ったことをしないでいられないんだわ

そこにとうとう“ゆかいそうな青い目の男”がやって来て
銃で脅して小屋に連れていき、手足を縛る
金は見つけられていない様子

ゆかいそうな青い目の男:逃げる準備をする間、静かにしていろ







3人で喋っていると、イワンの片手が縄から抜けてしまうw
他の2人の縄もほどいて、逃げたら男に見つかってしまうから
逆におびき寄せて網にかけようと罠を準備するアンドリュー

カンテラの火を移すと、あっという間に火事が広がり
様子を見に来た男に網をからげて身動きがとれなくして
バーバラは奪った銃を向ける









体中を縛って、木の下で銃を構えて見張ろうと言って男を残して
穴に落ちたコルのもとに戻る

チビは穴から持ち上げたが、コルはムリ
そこにようやくチャールズとウィートレー警部、救助隊が駆けつける

ウィンチでコルを持ち上げ、ゆかいそうな青い目の男、サンディ・ウィリアムズを逮捕する


●穴底の4万ポンド
サンディは金のありかを知っているフリをして
刑期を終えたら戻って来ると言うが

コルが落ちた穴にスチール製の箱があり、中にびっしり札が詰まっていた









コルとバーバラは賞金はもらえないが
アンドリューはもらう資格があると聞いて
両親が諦めた土地にあてられる希望が出る

イワンにはチビの首輪、コルとバーバラには
ずっと欲しがっていた自転車をプレゼントする約束する

チャールズには何もないが、子どもたちの元気な笑顔だけで満足する

(最後の文章の意味もよく分からない

前を歩く他の大人たちの広い背中は別に振り返りもしなかった
この人たちは、つい1、2秒前、この世のすべてがクズのように投げ捨てられ
今や、もっと素晴らしい、明るいものに変わったことを知らないらしい
こんなことは、子どもたちが幸福な時には、よくあることなのだ







あとがき
オーストラリアは、スペイン人が通過して以来、調査、探検され
キャプテン・クックが探検し、イギリス領としてからイギリスの植民地になり
さかんに開発された

第二次世界大戦後、日本との関係を深くし
日本の輸出の第6位、輸入の第2位を占める

普通、ブッシュは茂みの意味だが
オーストラリアでは多くの木が生い茂る林のこと


ジョン・ガン
1925年 イギリスのノーサンバランド州生まれ
3歳の時、オーストラリアに移住

空軍に入り、パイロットとして航空母艦に乗り、活躍した
海軍をやめてからは、小さな劇場を建てたりした
オーストラリア放送でこども番組の指導をしながら著作に従事
海軍中尉ピーター・ケントの冒険シリーズなど
本作の原題は『丘の上の小屋』(邦題のほうがセンスあるね








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