メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

ジュニア版 世界の名作推理全集 15 古城の連続殺人 ディクスン・カー

2022-09-19 17:40:01 | 
昭和58年 初版 昭和62年 再版
中島河太郎/監修 藤原宰太郎/訳 秋田書店
表紙デザイン/岩尾収蔵 表紙・口絵・挿絵/伊藤展安

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください



ブキミな古城での連続殺人事件
今回も昭和のジュブナイルが借りれて大当たりv

表紙も挿し絵も雰囲気たっぷりで大満足

犯人が身近な人物だと思いながら読んでも
まったく分からない意外な人物だった

そして、以前読んだ蝋人形の話と同様、若いカップルが誕生する

文研の名作ミステリー 1 『ろう人形館の殺人』ディクスン・カー 文研出版

2人のやりとりや、それを聞いていた記者との会話は面白くて
声を出して笑ってしまった

釣り竿を使ったカギのトリックは
説明が複雑すぎてよく分からない



「ジュニア版 世界の名作推理全集」シリーズには
クリスティが世間を騒がせたという『アクロイド殺害事件』もあるから読んでみたい







「怪盗ルパン名作選集」シリーズも図書館にあるかなあ?






【内容抜粋メモ】

はじめに 藤原宰太郎
密室トリックの巨匠カーが、自分の全作品中で最も自信のある作品と自慢
「コンクリートの壁でも見通す」という推理力の名探偵ギデオン・フェル博士が捜査する


<登場人物>
アラン・キャンベル教授 35歳で大学の教授となった歴史学者
キャサリン・アイリーン ハーベンドン大学史学部助教授

アンガス・キャンベル 城の主人 塔から謎の落下死
エルスパット・キャンベル 気難しい城の女主人
コーリン・キャンベル アンガスの弟 ロンドンで医師をしている
ロバート・キャンベル コーリンの弟

ダンカン キャンベル家の弁護士
チャップマン 保険会社調査員
チャールズ・スワン 夫人に呼ばれて来たデイリー新聞記者

アレック・ホーブズ アンガスと事業をして失敗し行方不明

ギデオン・フェル博士 私立探偵




■第一章
35歳で大学の教授となった歴史学者 アラン・キャンベル教授
食堂車がなく、駅の食堂で不味いサンドイッチを食べながら
サンディ新聞を読むと、K.I.キャンベルという学者と

チャールズ二世の恋人のクリーブランド公爵夫人が
どんな容貌、性格だったかで言い争っていて
「あんなバカは死んでしまえばいいんだ!」と罵る(www

「キャンベル様」と書かれた車室に入ると
27,8の魅力的な女性がいて、同じキャンベルだという







キャサリン・アイリーンは、新聞で言い争っている相手で
またいとこ同士と分かって驚く

他に空いてる車室がなく、仕方なく同じ部屋で眠らずに過ごすことにする

2人ともダンカンというキャンベル家の弁護士から呼ばれて
スコットランドのインベラレイ村にある
湖に面した高い塔のあるシャイラ城に行く

城の主人アンガス・キャンベルが塔から謎の落下死したため

列車を降りて、チャールズ・スワン氏とタクシーに同乗する
彼は夫人に呼ばれて来たゴシップ紙、デイリー新聞記者

同じ列車の隣りの部屋の新婚夫婦が
クリーブランドという女との浮気かなにかで
大ゲンカしていて眠れなかったとこぼす/爆

1692年、キャンベル一族がマクドナルド家を皆殺しにした「グレンコーの虐殺」は有名
イアン・キャンベルは後悔して塔から身投げしたが
彼に殺された死者が亡霊となって殺したと噂されている

ロック・ファイン湖から先はボート
アンガスの弟でロンドンで医師をしているコーリン・キャンベルが出迎える






昔は裕福だったが、アンガスがアレック・ホーブズと
アイスクリームを売ろうとして事業に失敗し
今は無一文 唯一の財産は城だけ

アレックは数年前に村に住みついた渡り者

アンガスは死ぬ3日前に生命保険に入り、3万5000ポンドある
自殺なら保険はおりないと主張する保険会社調査員チャップマンと
弁護料が欲しいダンカンとケンカになる


<事件のあらまし>

アンガスは塔からの眺めが好きで、毎晩塔の最上階までのぼって寝ていた
翌日、牛乳配達員が落下した死体を発見

前の晩、アンガスとアレックが大ゲンカしていた

カギとかんぬきはかかったままの密室状態で
コーリンらがカギを壊して中に入った

犬を入れるようなケースがベッドの下にあった
毎日つけていた日記がなくなっていた








エルスパットはアランの宗教がイギリス国教会と聞いて
先祖代々のスコットランド教会に変わるよう命令する

スワンが無神論者と知ると、激怒して二度と家に入るなと追い出す老夫人

コーリンと6階の最上階までらせん階段を上がるアラン
窓は敷居が危険なくらい低いが幅1mあるから
酔ってふらつかないかぎり落ちることはない

アランはケースに毒ヘビなどが入れられていて
恐怖に駆られて飛び降りたのでは?と推理

老夫人は警察といざこざを起こしてから信じず記者を呼んだ

コーリンは親友でギデオン・フェル博士を呼ぶ
コーリン:犯罪捜査にかけては世界一の名探偵だ







キャンベル家に代々伝わる密造酒「キャンベル家の運命」を飲んで
すっかり酔ったアランとコーリンは、サーベルでチャンバラをした挙句
スワンの尻をつついて追い返した


ギデオン・フェル博士登場
小山のような大男で、山賊のような口ひげ
黒いリボンをつけた(何のため?)メガネをかけている

昨晩、特ダネをとろうと戻ったスワンは
タクシー運転手とともに塔の窓から
頭を半分吹き飛ばされた兵士の霊を見たと話す

グレンコー村の農家の小屋でアレックを見かけたという情報もある







フェル博士は早速事件のあらましを順序立てて話して確認すると
老夫人は最初見てないと言ったケースがあったと証言を変える

コーリンは、屋敷に幽霊などいないと証明するために
自分が今夜、最上階に寝ると宣言する

フェル博士:幽霊などちょっと化粧すればできる

日記を隠したのは老夫人だと推理するキャサリン
自殺だと保険がおりないから


<遺産配分>

遺産は老夫人とコーリンが半分ずつもらう
コーリンが死ねば、その下の弟ロバート
ロバートが死んだら、その息子が相続する

ロバートは若い頃にもめ事を起こして家出したまま行方不明
結婚して子どもがいることは分かっている

その夜も強い酒を飲んで、眠れないアランがフェル博士の部屋に行くと
ケースのトリックが分かったから、コーリンを助けに行けと言われるが

ノックしても音がしないので、庭に行くと
アンガス同様、パジャマのまま落下していた







幸い、芝生の上だったから足腰の骨折で助かる
今回もカギとかんぬきはかかったまま
犬のケースがベッド下から見つかる

アンガスの日記が戻っていたが、所々ページが破られている
事件当夜「アレックが変なケースを持っていた」と書かれて日記は終わっている




グレンコー村の首吊り死体

フェル博士、アラン、キャサリンはアレックに会いにタクシーに乗る






フェル博士:
アンガスは家族に保険金を残すために自殺したんだ
そして、アレックに殺人罪をかぶせようとした
彼はケースなど持っていなかった
だが万一の偶然で計画が崩れた

老夫人は真相を知っていたが、信心深いから
無実のアレックを犯人にするのは良心が許さなかった
日記を戻して、我々に決めてもらおうとした

写真は時にとんでもないことを教えてくれるものだな

アレックの汚い家に入ると、天井からぶら下がった死体となって見つかる

またしても密室殺人
タイプライターで打った遺書には「キャンベル兄弟を殺したのは私だ」とあるが
誰でも打てると否定するフェル博士




凶器のトリック
アイスクリームを作るのに必要なのはドライアイス
空気に触れると気化して炭酸ガスを発散する
部屋に充満すれば死に至る

途中で気づいても、意識がぼやけて
窓を開けて新鮮な空気を吸おうとして落ちた
帰化してしまえば朝には証拠はなくなる

後で解剖すればガス中毒死と分かる
だが、途中で恐ろしくなって窓からよろめいて落ちた

コーリンが助かったのは、窓を開けていたことと
ガスに早く気づいたため

アレックは自殺に見せかけた殺人と推理

灯火管制用の暗幕が窓から外れていることに気づく
この辺は毎晩、警棒団が見回っているから
夜にランプをつけていたら注意される

自殺者は暗い所では死なないのが共通の心理
犯人が逃げるのに窓を使ったと思われるがなぜかは分からないまま


スワンとダンカンも来て、ロバートは頭の切れる男で
銀行の金を使い込み、南アフリカへ逃げたらしい

ホテルの女将さんがアレックは釣りが趣味と話していた
アレックは昨日1日ホテルにいたから
コーリンが塔で寝ることは知らないはず


古い家族アルバム
アランとキャサリンが婚約し(早いな!
コーリンはベッドで祝砲を撃ち、酒を飲むほど元気






ロンドンは本格的な空襲が始まり、大学から早く帰れと手紙がきたキャサリン

フェル博士は夜通し調べて、アレックを殺したトリックを明かす

フェル博士:
アレックが他殺と分かれば、遺書はニセモノ
警察はもう一度捜査して、アンガスの自殺を突き止めるだろう

フェル博士が指した犯人は、なんとチャップマン!
家に着いた日、アルバムで見たロバートとチャップマンがよく似ていると気づいて
調べさせたら、本名はウォルター・チャップマン・キャンベル







父が亡くなり、名を変えて保険会社に就職し、アンガスに会った
アンガスは1万人の中でもキャンベル家の血筋の者を見つけられる

自殺の計画を話し、他殺にして、保険金がおりるよう手助けしてくれたら
追い先短いコーリンが死ねばチャップマンのものになると持ちかけた

わざと亡霊の話を持ち出してコーリンを怒らせ
まんまと塔の部屋に寝るようにしむけた
亡霊に扮していたのもチャップマン

アレックに罪を着せるために殺して自殺に見せかけた

トリックは幾何
釣り竿の先に釣り針をひっかけ錠がかかるようにして逃げた時
暗幕を外さなければならなかった
証拠の釣り竿をようやく見つけた

チャップマンは泣いて死刑に怯える







フェル博士:
死んだ者は帰らない

自殺となれば、教会の墓地に埋葬できず、夫の魂が地獄に落ちると
信心深い老夫人が嘆き悲しむ

私の言う通り自供書を書いたら見逃してやる

「アンガスを殺し、コーリンを殺そうとして失敗し、アレックを殺害しました」

私は48時間だけ警察に黙っている
その間に外国に逃げたまえ

法律を守るだけが正義じゃない
真相を知るのは、我々だけ
死ぬまで秘密を守ると誓うんだ

アラン、キャサリン、ダンカンも誓う
チャップマンは自供書を書く


帰りの列車でも、クリーブランド夫人の話では譲らないと話す
アランとキャサリン









解説 藤原宰太郎
カーの父は弁護士、国会議員に選ばれたこともある
早熟だったが、数学は苦手であちこち転校していた

父の跡を継ぐよう言われて、大学で法律を学んだが
ジャーナリストか作家志望で、パリへ遊学

2年ほどでNYに戻り、ホテルにこもり
推理小説の長編を書いたのが処女作『夜歩く』
24歳で大人気となる

イギリス人女性と結婚、ホームズへの憧れからロンドンで生活
第二次世界大戦で、爆撃に遭う
居間に爆弾が落ちたが、2人は奇跡的にかすり傷1つなかった/驚

家族でアメリカにひきあげる
1977年、70歳で逝去

フェル博士とヘンリー・メリベール卿という名探偵2人は
双子のようによく似ている


カー作品の2つの特徴 密室トリックと怪奇趣味

約60冊の長編を書き、半分は密室殺人
『三つの棺』という名作には密室トリックを分類した有名な講義がある

降霊術、吸血鬼、魔女、黒死病、蝋人形館、エジプトの呪い、怪獣伝説など
超自然と科学が結びついた魅力がある

コナン・ドイルを尊敬し、『ドイル伝』を発表
ドイルの息子アドリアン・ドイルとの合作『シャーロック・ホームズの功績』という短編集も書いた
これはホームズ物語の続編


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