1969年初版 袋一平/訳 小林与一/画
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
子どもが両親から離れたら、どれだけ無抵抗に
貧困と犯罪の道に入ってしまうかが分かる
戦争中のロシアのスパイ活動の小説は数多あれど
ハッキリとした言葉にならない活動だけに
読んでいてもよく分からないことが多いんだよな
【内容抜粋メモ】
登場人物
セリョージャ 12歳の少年
父
ワレンチナ 再婚相手
ニーナ 幼馴染 13歳
スラフカ・グラチコフスキー
白軍:
1917年のロシア革命当時、今までの帝政を倒そうとする勢力を赤軍
帝政を守ろうとする勢力を白軍と呼んだ
●父の罪
セリョージャの父は白軍相手に戦った
8歳の時、母が亡くなり、2年後、父はワレンチナと再婚
父はセリョージャにとって古い親友で、面白い歌を歌ってくれた
その後、大きな繊維製品の店の支配人に任命された
ある春、父は警官に捕まり、汚職の罪で5年の刑を下された
最初はラーゲリ(強制収容所)にいて
次の手紙には運河づくりをしていると書いてあった
ワレンチナは、1か月分の費用150リーブリを渡して
新しい夫とカフカズへ旅立った
隣りのアパートのユルカは貸した金を返せと迫り
ワレンチナからもらったお金で75ルーブリする中古カメラを買うようすすめる
カメラを買って、フィルムを買いに行くと、古い品だから
これに合うフィルムは売ってないと言われる
売り主に返そうにも、30ルーブリのバラライカを買った後
古いカメラを修理するのに、セリョージャはさらに10ルーブリ払うことになる
●カーニバルの夜
お金はあっという間になくなる
1人ぽっちで寂しく、カーニバルに出かけて、幼馴染のニーナに会い
はぐれてしまった親戚を探してあげる
セリョージャ:ときどき、君に電話をかけてもいい?
ニーナは紙に番号を書く
カギのかかった引き出しにお金が入ってるんじゃないかと思い
古いカギをやすりにかけて改造して(!)開けると
ブローニング(ピストル)が出てくる
くず屋が通りかかり、カメラの修理代あと30ルーブリを作るために
家のモノをかたっぱしから売っても足りない
ワレンチナの毛皮のえりまきを81ルーブリで売ってしまう
●いいおじさん
家のモノを勝手に売り飛ばしたのを誤魔化すため
浴槽に洋服やらを全部隠して、ドアを開けっぱなしにすれば
泥棒が入り、盗まれたことにすればいいと思いつく
ワレンチナの兄と名乗る男が来て、小遣い30ルーブリをくれる
叔父は昼間は出かけ、夜はヤコフ老人と一緒に家に泊まった
セリョージャは叔父を驚かせるために
2人がベンチで座っているところを1枚写真に撮り
あとで現像しようと引き出しにしまう
叔父とヤコフ老人は旅に出るのにセリョージャも連れて行くと約束して
立派な衣装を揃えてくれる
●ふしぎな旅
電車の中でヤコフ老人は体調を崩し、胸の勲章を見て、周りが同情する
列車長は一等車の空いた席に案内する
ヤコフ老人は湯たんぽを届けるようセリョージャに言いつける
袋の中に入ってるのはお湯でなく紙のようだった
酔っぱらいがブレーキをかけて列車が急停車する
3人は駅舎とは反対側に降りる
セリョージャは叔父は他人のカバンを盗んだペテン師なのではと疑う
叔父とヤコフ老人はケンカして、ヤコフ老人はリーベック駅で別れる
●緑の都キエフ
夏の間、空き家になる幼稚園に泊まる叔父とセリョージャ
家主は白髪のおばあちゃんと息子
叔父はセリョージャを将軍の弟息子だと紹介する
叔父:
おじさんは初めて会った時からお前が気に入った
家に帰りたくないなら、お前をオデッサに連れて行って海軍兵学校へ入れてやろう
私はウャートカ市で学問の仕事に励むつもりだ
セリョージャは水兵服を着て、世界中を船で旅し
ニーナが岸で別れのハンカチを振っている様を思い浮かべる
叔父は遊んでいる子どもたちの中から
風力エンジンを作っているスラフカを選んで友だちになれとすすめる
スラフカは飛行機からパラシュートで降りる際に足を折って、少し引きずっている
叔父:やつの家にも行って、どんな暮らしをしているかよく見てくるんだ
叔父がいない昼間、セリョージャは新聞を見て、広告で自分が探されているのを知る
引き出しを勝手に開け、ワレンチナのモノを売ったことがバレたのだと怖れる
●くらやみのにおい
広告の髪の色が分からないように理髪店で丸坊主にしてもらう
家に帰ると、叔父はヤコフ老人と話しこんでいる
しつこい薬品のにおいが充満している
叔父の話で、ワレンチナを知らず、叔父でもないことが分かる
●魔法の紙
スラフカの父グラチコフスキーは陸軍の技師だと分かる
叔父はセリョージャとともにスラフカの家に遊びに来る
スラフカのハガキのコレクションから1枚もらったお礼に
ポケットナイフをあげると、割に合わないから懐中電灯をあげると約束するスラフカ
セリョージャは退屈しのぎに詩を書き
おじさんの枕の下にある紙に書くとインクが消える
おじさんはボタンがなくなったのはセリョージャのせいだと言うが
家主のおばあさんがたまに部屋に入っているから怪しいと話す
スラフカについて聞かれ、3日後に母の所に行くと話すと
機嫌が戻り、15ルーブリをくれる
通りで警官に用事を頼まれるが、ビクビクして泣いてしまう
見知らぬ女性が同情して声をかける
女性:誰かにいじめられたの?
セリョージャ:僕は自分で自分をいじめてるんだよ
●黒いピストル
おじさんの荷物からいろんな勲章が出てくる
そして、家に置いてきたはずのブローニングを見つける
部屋におばあさんが入ってきて、ガーターをポケットに入れて出ていく
セリョージャはピストルを木の割れ目に隠す
ヤコフ老人がチェルニーゴフの祖母を見舞いに行くから船まで見送ることになる
おじさんはピストルがないことに気づいて、家主が盗んだと思い責め立てる
トイレからガーターが出てきたことから、ピストルも捨ててしまったと思い諦める
船にはスラフカもいて、別れを告げる
●生と死のさかいで
セリョージャはピストルを遺失物取扱所に持っていこうと思うが
警官が拾い主の名前、住所などを聞いていて諦める
売店に学校の案内書があるのを見つけて
オデッサの海軍兵学校の案内書を申し込むと
オデッサにそんな学校はないと言われてショックで呆然とする
ニーナが電話番号を書いたメモを見て、モスクワに電話していると
スラフカの父が森で誰かにナイフで刺されて瀕死と知る
人殺しのおじさんは、ボクも殺すのだろう
それでボクを手先に使っていたのだと分かる
“立ち上がれ、鼓手!”という声が頭の中で聞こえる
逃げようとしていたヤコフ老人を撃ち、セリョージャもノドを撃たれて倒れる
●広い地平線
病院に軍人が見舞いに来た
ユルカはコソ泥、ヤコフ老人は古手のギャング、おじさんはスパイだと教える
セリョージャが撮った写真から判明し、広告で探していた
軍人:
君は私に何も質問してはいけない
スラフカの父は無事で君によろしくと頼まれた
スラフカが見舞いに来て、約束した懐中電灯を渡す
スラフカ:
列車で父の助手の荷物を盗んだが、目当てのものはなく、直接父を襲った
父はなにか重要な兵器の仕事をしているらしいが
詳しいことは聞かないほうがいいんだ
ヤコフはセリョージャが殺した
2人は文字の消える薬品を取り扱っていた?
父の罪が許されて、2人は再会を果たす
年月が過ぎると、もう労働者も農民もなくなり平等になる
しかし、赤軍だけは長い間残るだろう
そして革命の波がすべての国境を洗い流し
最後の侵略者、最後のスパイ、幸福な人民の最後の敵が一掃される時に初めて
ただ人間の歌だけが響きわたるようになるだろう
■あとがき
アルカージ・ガイダール
本名アルカージ・ゴリコフ 1904年ロシア生まれ
14歳の時、大革命を体験した
ガイダールは先陣の騎士という意味
本書が書かれたのは、独ソ戦が間近に迫った1939年
ドイツのヒトラー軍はソビエトに侵入
ガイダールは新聞の従軍記者として出て、偵察ゲリラに加わり、1941年敵弾に倒れた
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
子どもが両親から離れたら、どれだけ無抵抗に
貧困と犯罪の道に入ってしまうかが分かる
戦争中のロシアのスパイ活動の小説は数多あれど
ハッキリとした言葉にならない活動だけに
読んでいてもよく分からないことが多いんだよな
【内容抜粋メモ】
登場人物
セリョージャ 12歳の少年
父
ワレンチナ 再婚相手
ニーナ 幼馴染 13歳
スラフカ・グラチコフスキー
白軍:
1917年のロシア革命当時、今までの帝政を倒そうとする勢力を赤軍
帝政を守ろうとする勢力を白軍と呼んだ
●父の罪
セリョージャの父は白軍相手に戦った
8歳の時、母が亡くなり、2年後、父はワレンチナと再婚
父はセリョージャにとって古い親友で、面白い歌を歌ってくれた
その後、大きな繊維製品の店の支配人に任命された
ある春、父は警官に捕まり、汚職の罪で5年の刑を下された
最初はラーゲリ(強制収容所)にいて
次の手紙には運河づくりをしていると書いてあった
ワレンチナは、1か月分の費用150リーブリを渡して
新しい夫とカフカズへ旅立った
隣りのアパートのユルカは貸した金を返せと迫り
ワレンチナからもらったお金で75ルーブリする中古カメラを買うようすすめる
カメラを買って、フィルムを買いに行くと、古い品だから
これに合うフィルムは売ってないと言われる
売り主に返そうにも、30ルーブリのバラライカを買った後
古いカメラを修理するのに、セリョージャはさらに10ルーブリ払うことになる
●カーニバルの夜
お金はあっという間になくなる
1人ぽっちで寂しく、カーニバルに出かけて、幼馴染のニーナに会い
はぐれてしまった親戚を探してあげる
セリョージャ:ときどき、君に電話をかけてもいい?
ニーナは紙に番号を書く
カギのかかった引き出しにお金が入ってるんじゃないかと思い
古いカギをやすりにかけて改造して(!)開けると
ブローニング(ピストル)が出てくる
くず屋が通りかかり、カメラの修理代あと30ルーブリを作るために
家のモノをかたっぱしから売っても足りない
ワレンチナの毛皮のえりまきを81ルーブリで売ってしまう
●いいおじさん
家のモノを勝手に売り飛ばしたのを誤魔化すため
浴槽に洋服やらを全部隠して、ドアを開けっぱなしにすれば
泥棒が入り、盗まれたことにすればいいと思いつく
ワレンチナの兄と名乗る男が来て、小遣い30ルーブリをくれる
叔父は昼間は出かけ、夜はヤコフ老人と一緒に家に泊まった
セリョージャは叔父を驚かせるために
2人がベンチで座っているところを1枚写真に撮り
あとで現像しようと引き出しにしまう
叔父とヤコフ老人は旅に出るのにセリョージャも連れて行くと約束して
立派な衣装を揃えてくれる
●ふしぎな旅
電車の中でヤコフ老人は体調を崩し、胸の勲章を見て、周りが同情する
列車長は一等車の空いた席に案内する
ヤコフ老人は湯たんぽを届けるようセリョージャに言いつける
袋の中に入ってるのはお湯でなく紙のようだった
酔っぱらいがブレーキをかけて列車が急停車する
3人は駅舎とは反対側に降りる
セリョージャは叔父は他人のカバンを盗んだペテン師なのではと疑う
叔父とヤコフ老人はケンカして、ヤコフ老人はリーベック駅で別れる
●緑の都キエフ
夏の間、空き家になる幼稚園に泊まる叔父とセリョージャ
家主は白髪のおばあちゃんと息子
叔父はセリョージャを将軍の弟息子だと紹介する
叔父:
おじさんは初めて会った時からお前が気に入った
家に帰りたくないなら、お前をオデッサに連れて行って海軍兵学校へ入れてやろう
私はウャートカ市で学問の仕事に励むつもりだ
セリョージャは水兵服を着て、世界中を船で旅し
ニーナが岸で別れのハンカチを振っている様を思い浮かべる
叔父は遊んでいる子どもたちの中から
風力エンジンを作っているスラフカを選んで友だちになれとすすめる
スラフカは飛行機からパラシュートで降りる際に足を折って、少し引きずっている
叔父:やつの家にも行って、どんな暮らしをしているかよく見てくるんだ
叔父がいない昼間、セリョージャは新聞を見て、広告で自分が探されているのを知る
引き出しを勝手に開け、ワレンチナのモノを売ったことがバレたのだと怖れる
●くらやみのにおい
広告の髪の色が分からないように理髪店で丸坊主にしてもらう
家に帰ると、叔父はヤコフ老人と話しこんでいる
しつこい薬品のにおいが充満している
叔父の話で、ワレンチナを知らず、叔父でもないことが分かる
●魔法の紙
スラフカの父グラチコフスキーは陸軍の技師だと分かる
叔父はセリョージャとともにスラフカの家に遊びに来る
スラフカのハガキのコレクションから1枚もらったお礼に
ポケットナイフをあげると、割に合わないから懐中電灯をあげると約束するスラフカ
セリョージャは退屈しのぎに詩を書き
おじさんの枕の下にある紙に書くとインクが消える
おじさんはボタンがなくなったのはセリョージャのせいだと言うが
家主のおばあさんがたまに部屋に入っているから怪しいと話す
スラフカについて聞かれ、3日後に母の所に行くと話すと
機嫌が戻り、15ルーブリをくれる
通りで警官に用事を頼まれるが、ビクビクして泣いてしまう
見知らぬ女性が同情して声をかける
女性:誰かにいじめられたの?
セリョージャ:僕は自分で自分をいじめてるんだよ
●黒いピストル
おじさんの荷物からいろんな勲章が出てくる
そして、家に置いてきたはずのブローニングを見つける
部屋におばあさんが入ってきて、ガーターをポケットに入れて出ていく
セリョージャはピストルを木の割れ目に隠す
ヤコフ老人がチェルニーゴフの祖母を見舞いに行くから船まで見送ることになる
おじさんはピストルがないことに気づいて、家主が盗んだと思い責め立てる
トイレからガーターが出てきたことから、ピストルも捨ててしまったと思い諦める
船にはスラフカもいて、別れを告げる
●生と死のさかいで
セリョージャはピストルを遺失物取扱所に持っていこうと思うが
警官が拾い主の名前、住所などを聞いていて諦める
売店に学校の案内書があるのを見つけて
オデッサの海軍兵学校の案内書を申し込むと
オデッサにそんな学校はないと言われてショックで呆然とする
ニーナが電話番号を書いたメモを見て、モスクワに電話していると
スラフカの父が森で誰かにナイフで刺されて瀕死と知る
人殺しのおじさんは、ボクも殺すのだろう
それでボクを手先に使っていたのだと分かる
“立ち上がれ、鼓手!”という声が頭の中で聞こえる
逃げようとしていたヤコフ老人を撃ち、セリョージャもノドを撃たれて倒れる
●広い地平線
病院に軍人が見舞いに来た
ユルカはコソ泥、ヤコフ老人は古手のギャング、おじさんはスパイだと教える
セリョージャが撮った写真から判明し、広告で探していた
軍人:
君は私に何も質問してはいけない
スラフカの父は無事で君によろしくと頼まれた
スラフカが見舞いに来て、約束した懐中電灯を渡す
スラフカ:
列車で父の助手の荷物を盗んだが、目当てのものはなく、直接父を襲った
父はなにか重要な兵器の仕事をしているらしいが
詳しいことは聞かないほうがいいんだ
ヤコフはセリョージャが殺した
2人は文字の消える薬品を取り扱っていた?
父の罪が許されて、2人は再会を果たす
年月が過ぎると、もう労働者も農民もなくなり平等になる
しかし、赤軍だけは長い間残るだろう
そして革命の波がすべての国境を洗い流し
最後の侵略者、最後のスパイ、幸福な人民の最後の敵が一掃される時に初めて
ただ人間の歌だけが響きわたるようになるだろう
■あとがき
アルカージ・ガイダール
本名アルカージ・ゴリコフ 1904年ロシア生まれ
14歳の時、大革命を体験した
ガイダールは先陣の騎士という意味
本書が書かれたのは、独ソ戦が間近に迫った1939年
ドイツのヒトラー軍はソビエトに侵入
ガイダールは新聞の従軍記者として出て、偵察ゲリラに加わり、1941年敵弾に倒れた