メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

少年少女学研文庫 セリョージャはひとり アルカージ・ガイダール 学研

2024-08-21 14:12:38 | 
1969年初版 袋一平/訳 小林与一/画

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


子どもが両親から離れたら、どれだけ無抵抗に
貧困と犯罪の道に入ってしまうかが分かる

戦争中のロシアのスパイ活動の小説は数多あれど
ハッキリとした言葉にならない活動だけに
読んでいてもよく分からないことが多いんだよな


【内容抜粋メモ】

登場人物
セリョージャ 12歳の少年

ワレンチナ 再婚相手
ニーナ 幼馴染 13歳
スラフカ・グラチコフスキー


白軍:
1917年のロシア革命当時、今までの帝政を倒そうとする勢力を赤軍
帝政を守ろうとする勢力を白軍と呼んだ









●父の罪
セリョージャの父は白軍相手に戦った
8歳の時、母が亡くなり、2年後、父はワレンチナと再婚

父はセリョージャにとって古い親友で、面白い歌を歌ってくれた







その後、大きな繊維製品の店の支配人に任命された
ある春、父は警官に捕まり、汚職の罪で5年の刑を下された

最初はラーゲリ(強制収容所)にいて
次の手紙には運河づくりをしていると書いてあった

ワレンチナは、1か月分の費用150リーブリを渡して
新しい夫とカフカズへ旅立った

隣りのアパートのユルカは貸した金を返せと迫り
ワレンチナからもらったお金で75ルーブリする中古カメラを買うようすすめる









カメラを買って、フィルムを買いに行くと、古い品だから
これに合うフィルムは売ってないと言われる

売り主に返そうにも、30ルーブリのバラライカを買った後
古いカメラを修理するのに、セリョージャはさらに10ルーブリ払うことになる







●カーニバルの夜
お金はあっという間になくなる
1人ぽっちで寂しく、カーニバルに出かけて、幼馴染のニーナに会い
はぐれてしまった親戚を探してあげる

セリョージャ:ときどき、君に電話をかけてもいい?
ニーナは紙に番号を書く








カギのかかった引き出しにお金が入ってるんじゃないかと思い
古いカギをやすりにかけて改造して(!)開けると
ブローニング(ピストル)が出てくる







くず屋が通りかかり、カメラの修理代あと30ルーブリを作るために
家のモノをかたっぱしから売っても足りない

ワレンチナの毛皮のえりまきを81ルーブリで売ってしまう


●いいおじさん
家のモノを勝手に売り飛ばしたのを誤魔化すため
浴槽に洋服やらを全部隠して、ドアを開けっぱなしにすれば
泥棒が入り、盗まれたことにすればいいと思いつく

ワレンチナの兄と名乗る男が来て、小遣い30ルーブリをくれる
叔父は昼間は出かけ、夜はヤコフ老人と一緒に家に泊まった







セリョージャは叔父を驚かせるために
2人がベンチで座っているところを1枚写真に撮り
あとで現像しようと引き出しにしまう

叔父とヤコフ老人は旅に出るのにセリョージャも連れて行くと約束して
立派な衣装を揃えてくれる







●ふしぎな旅
電車の中でヤコフ老人は体調を崩し、胸の勲章を見て、周りが同情する
列車長は一等車の空いた席に案内する

ヤコフ老人は湯たんぽを届けるようセリョージャに言いつける
袋の中に入ってるのはお湯でなく紙のようだった

酔っぱらいがブレーキをかけて列車が急停車する
3人は駅舎とは反対側に降りる
セリョージャは叔父は他人のカバンを盗んだペテン師なのではと疑う

叔父とヤコフ老人はケンカして、ヤコフ老人はリーベック駅で別れる








●緑の都キエフ
夏の間、空き家になる幼稚園に泊まる叔父とセリョージャ
家主は白髪のおばあちゃんと息子
叔父はセリョージャを将軍の弟息子だと紹介する







叔父:
おじさんは初めて会った時からお前が気に入った
家に帰りたくないなら、お前をオデッサに連れて行って海軍兵学校へ入れてやろう
私はウャートカ市で学問の仕事に励むつもりだ

セリョージャは水兵服を着て、世界中を船で旅し
ニーナが岸で別れのハンカチを振っている様を思い浮かべる

叔父は遊んでいる子どもたちの中から
風力エンジンを作っているスラフカを選んで友だちになれとすすめる
スラフカは飛行機からパラシュートで降りる際に足を折って、少し引きずっている

叔父:やつの家にも行って、どんな暮らしをしているかよく見てくるんだ

叔父がいない昼間、セリョージャは新聞を見て、広告で自分が探されているのを知る
引き出しを勝手に開け、ワレンチナのモノを売ったことがバレたのだと怖れる







●くらやみのにおい
広告の髪の色が分からないように理髪店で丸坊主にしてもらう
家に帰ると、叔父はヤコフ老人と話しこんでいる
しつこい薬品のにおいが充満している

叔父の話で、ワレンチナを知らず、叔父でもないことが分かる









●魔法の紙
スラフカの父グラチコフスキーは陸軍の技師だと分かる
叔父はセリョージャとともにスラフカの家に遊びに来る

スラフカのハガキのコレクションから1枚もらったお礼に
ポケットナイフをあげると、割に合わないから懐中電灯をあげると約束するスラフカ








セリョージャは退屈しのぎに詩を書き
おじさんの枕の下にある紙に書くとインクが消える

おじさんはボタンがなくなったのはセリョージャのせいだと言うが
家主のおばあさんがたまに部屋に入っているから怪しいと話す

スラフカについて聞かれ、3日後に母の所に行くと話すと
機嫌が戻り、15ルーブリをくれる

通りで警官に用事を頼まれるが、ビクビクして泣いてしまう
見知らぬ女性が同情して声をかける

女性:誰かにいじめられたの?
セリョージャ:僕は自分で自分をいじめてるんだよ








●黒いピストル
おじさんの荷物からいろんな勲章が出てくる
そして、家に置いてきたはずのブローニングを見つける

部屋におばあさんが入ってきて、ガーターをポケットに入れて出ていく
セリョージャはピストルを木の割れ目に隠す

ヤコフ老人がチェルニーゴフの祖母を見舞いに行くから船まで見送ることになる

おじさんはピストルがないことに気づいて、家主が盗んだと思い責め立てる
トイレからガーターが出てきたことから、ピストルも捨ててしまったと思い諦める

船にはスラフカもいて、別れを告げる


●生と死のさかいで
セリョージャはピストルを遺失物取扱所に持っていこうと思うが
警官が拾い主の名前、住所などを聞いていて諦める

売店に学校の案内書があるのを見つけて
オデッサの海軍兵学校の案内書を申し込むと
オデッサにそんな学校はないと言われてショックで呆然とする

ニーナが電話番号を書いたメモを見て、モスクワに電話していると
スラフカの父が森で誰かにナイフで刺されて瀕死と知る

人殺しのおじさんは、ボクも殺すのだろう
それでボクを手先に使っていたのだと分かる

“立ち上がれ、鼓手!”という声が頭の中で聞こえる
逃げようとしていたヤコフ老人を撃ち、セリョージャもノドを撃たれて倒れる








●広い地平線
病院に軍人が見舞いに来た
ユルカはコソ泥、ヤコフ老人は古手のギャング、おじさんはスパイだと教える
セリョージャが撮った写真から判明し、広告で探していた

軍人:
君は私に何も質問してはいけない
スラフカの父は無事で君によろしくと頼まれた







スラフカが見舞いに来て、約束した懐中電灯を渡す

スラフカ:
列車で父の助手の荷物を盗んだが、目当てのものはなく、直接父を襲った
父はなにか重要な兵器の仕事をしているらしいが
詳しいことは聞かないほうがいいんだ

ヤコフはセリョージャが殺した
2人は文字の消える薬品を取り扱っていた?

父の罪が許されて、2人は再会を果たす

年月が過ぎると、もう労働者も農民もなくなり平等になる
しかし、赤軍だけは長い間残るだろう

そして革命の波がすべての国境を洗い流し
最後の侵略者、最後のスパイ、幸福な人民の最後の敵が一掃される時に初めて
ただ人間の歌だけが響きわたるようになるだろう





あとがき

アルカージ・ガイダール
本名アルカージ・ゴリコフ 1904年ロシア生まれ
14歳の時、大革命を体験した
ガイダールは先陣の騎士という意味

本書が書かれたのは、独ソ戦が間近に迫った1939年
ドイツのヒトラー軍はソビエトに侵入
ガイダールは新聞の従軍記者として出て、偵察ゲリラに加わり、1941年敵弾に倒れた







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映画『生きとし生けるもの』

2024-08-21 13:47:07 | 映画
監督:西河克己 原作:山本有三

出演
伊佐早靖一郎:三國連太郎
伊佐早令二:三島耕 弟

曾根鉱業東京本社
曾根周作:山村聰 社長
曾根夏樹:山内明 息子

八代恵美:北原三枝 社長秘書
菅沼民子:南寿美子 会計係

周作の父親:宇野重吉
会計課長:多々良純

南ゆき子:轟夕起子 南化粧品の社長
香取あき子:東谷暎子
遠藤老人:笠智衆
ほか


男女の恋愛話から炭坑の話になって
ストなどのことはよく分からなかったのに
笠智衆さんの語りからラストにかけて、なぜだか涙が出た

クールビューティな北原三枝さんに注目


【内容抜粋メモ】

曾根鉱業東京本社
給料日で札束を数えてる会計の菅沼民子
中身の少なさにガッカリするサラリーマン

1万円足りないと文句を言いに来る男性
タミコは慌てて計算し直す

伊佐早靖一郎は帰りに弟レイジに会う
靖一郎:ボーナスが入った 1月分だった
レイジ:部屋代がたまってる

靖一郎は何度数えても1万円多いことに気づいて
会社に戻るが会計はとっくに帰宅していた

社長の息子・夏樹が会社に2000万円の損失を負わせて会議となる
社長・曾根周作:とりあえず辞表を出したまえ

南化粧品の女社長が来て、シュウサクが多額の出資をしているのをあてこするナツキ

ナツキ:
最新機械を導入すれば1200人の人減らしができる
石炭以外の融資は控えてほしい

シュウサク:僕はミナミさんが好きなんだ



タミコは責任を問われて毎月2000円引かれることになった
ヤシロが心配して家に来る

ミナミはナツキと香取あき子の縁談をトランプで占う



レイジは卒業が近い
シュウサク:今度うちの社でも募集するから受けてみないか?
レイジ:僕を卒業させるために兄さんは青春をムダにしてしまった

空襲で両親を亡くした思い出を話す

3か月前からアルバイトを辞めて授業料を滞納しているのが分かり
ボーナスから払う







会社で1万円の事件を聞き、会計から呼ばれるシュウサク
タミコが2000円ずつ引かれていることも知る



シュウサクは手紙を書いてタミコと会うはずが、代理のヤシロが来て
付き合う申し込みかと誤解して奥手なタミコを勇気づけて送り出す

ボートを漕いで、ワケを話し出そうとして
ほかのカップルのボートがぶつかってくる

クラシックが流れるカフェでカップルと相席になる
どしゃぶりの雨になり、タミコのスカーフを傘がわりに走る

映画を立ち見で観て笑い、デパートでネクタイを選んであげて買う
シュウサクはタミコにスカーフを選ぶ

デパートの屋上でアイスクリームを食べる
この時代のデートはこんな感じなのかなあ

タミコが家を訪ねて来る
ヤシロがタミコをナツキの秘書にすすめてくれた
相当数の新入社員をとるからレイジにすすめる



レイジが会社に来る

遠藤老人:社長に会いたい
予約がないと会えないと断る女性事務員に
レイジ:せっかく遠方から来てくれてるのに!

ナツキの面談を受けるシュウサクとレイジ

ナツキ:
縁故に関係なく決めるつもりだ
試験の結果は追って通知します

レイジ:
あんな奴の試験なんて受けたくないよ
1番で通ってやる

アキコ:一方的で強引な経営者はもう時代遅れだと思います
ナツキ:最近の女学校はそんなことも教えるんですね

ナツキはタミコを紹介して、従順で無口だと褒める
ミナミはシュウサクのためにも身を固めるよう忠告する

レイジが本社勤務に決まったことを靖一郎に電話するタミコ
ナツキからプロポーズされたと話す

タミコ:
2~3日考えさせてと返事したが
明日にでもお断りするつもり
あなたの考えをハッキリ聞きたい

(ここって皇居では?

タミコはレイジに相談する
レイジ:兄は苦労しすぎている

猥雑な飲み屋で飲んだくれている靖一郎

ナツキはタミコの家に来て、母親に話を通す
タミコ:明日、正式に断る
ヤシロはもう少し考えるよう諭す

靖一郎:自分を犠牲にしなきゃならない時もある
レイジ:兄さんは自分の気持ちを酒で誤魔化している

レイジはタミコに話しに来る
タミコ:本当の気持ちを聞かなければならない
ボーナスの入れ違いのことを聞いて思い当たるレイジ

歩いて行き来できる距離なのか?

レイジ:
間違って1万円多く入ってたんじゃない?
兄さんは罪のつぐないをしようとしてるんだ
そんなにまでして学校をやりたくなかったよ

採用通知を破り、2人で取っ組み合うのを止めるタミコ

レイジ:
タミコさん、兄貴をお願いします
北海道へ行き、曽根鉱山へ入ります
今、タミコさんを失ったら兄貴はあまりにも惨めすぎる



シュウサク:
ナツキのわがままを見ると、自分の若い頃を見ているようだ
うちもストを避けられない
ナツキも北海道でいい勉強になるだろう



電車に乗るタミコを見送るアキコ
ミナミ:アキコさんのこと、まだあきらめていない










曽根の会社もストに入ったと知らせが入る

社長が北海道に発つ前に会うためタクシーを飛ばすが
ストの長い行列が通り、慌てて回り道して事故って入院するミナミ

ヤシロが電報を打とうとするとミナミは止める

ミナミ:
心配かけちゃいけない 知らせないで
アキコさん、自分の幸せを自分の力で掴んで

アキコ:私も北海道へ行きます

ストは中止となる

遠藤:香取の娘さんの熱意に驚いた
シュウサク:ナツキは秘書のほうにプロポーズした

社長を訪ねて来た靖一郎とレイジ

レイジ:
君たちが大きな枝を張ってるために、僕たちが日陰になる
君たちは何千万円に困ってるだろうが本質的に違う
立場が違えば婚約者をとってもいいのか!
菅沼さんは兄貴を愛しているんだ

遠藤:
君にずっと昔会った気がする
46、7年前、君は生まれていない

1人の鉱夫が子どもを連れてきた
せがれとケンカして怪我をさせた
せがれがしかけたケンカで子どもに罪はない(シュウサクのこと
子どもに無理やり頭を下げさせた

その子の母は貧乏で、坑道で産気づき
真っ暗な坑道で産み落とした

小学校を終えないうちに、その子も坑夫になり
3年目にあの事件が起きた

ダイナマイトを仕掛けて、シュウサクがいないと気づいた父
父:もう間に合わねえ シュウサクのためにみんなが吹き飛ぶ

みんなで探すと声が聞こえて、再会した

その子の意志の力、生き抜こうとする生命力に感動した
こういう子どもを一生坑夫にするのはもったいないと学費を出して
その後大木になった

今の君とそっくり似てるが
少し違うのは、君のほうがまだまだ恵まれている
正規の学校も卒業している

人間は別々の太陽を心の中に持っている
それを自分で大切にしなかったら
日向にいても伸ばしていくことはできない


(笠智衆さん、いきなりの長台詞だったな








靖一郎はタミコに謝り、努力すると約束する
タミコ:私も強い人間になっていたい

アキコは1人で泣いている
新聞にミナミの死亡記事が載っている

シュウサクが広い土地に「おーい」と呼ぶのを見るレイジ
荷物を持って東京へ帰るのか?


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