メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

ジュニア・ベスト・ノベルズ 4 南海のサンゴ礁 チャールズ・ノードホフ/作 岩崎書店

2024-06-19 15:10:35 | 
1972年初版 1975年第2刷 土居耕/訳 岩淵慶造/挿絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


高価な真珠貝を採取する叔父とチャーリーの物語

海の物語にはこうした非日常の夢がいっぱい詰まっていて
冒険にワクワクする

私は宝石には興味がなく、対の真珠の価値など分からないけれども
当時の数万ドルって、今の日本円にしたらどれくらいなんだろう?

少年たちが海で釣るいろんな魚との格闘も生き生きと描かれいて
実体験が裏にないとこうは書けないだろうなあ


【内容抜粋メモ】

登場人物
チャーリー 15歳の少年
ハリー・セルダン 叔父
ファツ航海士
イビ、オファイ
機関士パフリ
コックのライリ
ボーイのマラマ 妹テチュア



●サンタブリギダ谷
叔父は谷の自分の土地を父に譲り、世界を旅した

チャーリーが15歳になった時、叔父はスクーナー船のタラ号でやって来て
明日、出帆するが、チャーリーも連れて行きたいと父に頼む








●イリアタイ礁湖の真珠





船が難破し、一人娘が乗っていたため、未亡人は情報を頼りに探検隊を出した
人食い人種の村で娘は発見され、ほかの乗組員は土人に襲われて虐殺された

娘チュリアは17歳になり、テスマル男爵と結婚
男爵は真珠の養殖を始めたが、ハリケーンにあい
ヤシの木に体を縛ったが流された

叔父はチュリアに会ったことがある







ある時、肺病の混血の男を救い、船に乗せる
彼は、チュリアの息子

死ぬ間際にチュリアからの手紙をもらった
そこにはイリアタイ礁湖に真珠貝があると書いてあった







叔父は島でダイバーを募り、真珠貝をとることにした
フランス政府に事情を話して、1年間の独占的採取権を得た
チャーリーも連れて行きたいと両親に頼む



●タラ号に乗りこむ





船員と仲良くなり、島の言葉を教えてもらうチャーリー
ファアテム村に着いたら、15隻のカヌーを準備するよう言われる

パフリとライリはケンカとなり、恨んだライリは
パフリの首を絞めて海に投げようとする
叔父はライリを下船させることにする



●ファアテム村
酋長のタウラと妻ヒナが歓迎してくれる
木の選別からはじめ、予定通りカヌーが完成する
ボーイのマラマと仲良くなり、毎日2人で釣りやブタ狩りをする



●イリアタイ島
叔父が準備を整えて来る
机からチュリアの手紙がなくなり、ライリの仕業と分かる

「木曜島のシュミット」はあらゆる犯罪をおかして有名
チョリータ号にライリが乗っているのを見てイヤな予感がするが
現代に海賊行為などムリ

イリアタイ島に着き、女たちはヤシの葉を編んで簡易な家を作る
土人たちは白人により改宗され、日曜は働かない規律を絶対としている







真珠の調査に潜ると、巨大サメ、カルカロドンが襲う
叔父は自らナイフを突き刺して殺す
土人たちはサメを神として敬っている








真珠の採取には、主に中国人の商人がまず土人に多額の借金を負わせて
有利な値段で売らねばならないようにするのが手口だが
叔父は正直に値段をつけて、半分を取り分とすると決める

村のマルイアばあさんが一番の潜り手で、村では一番のお金持ちと聞いて驚く
叔父はチャーリーとマラマにみんなの食糧となる魚を釣ってくれと頼む








●南海の魚釣り
2人は数十キロもある魚を上手に釣る
ある日は15分に30匹ものカツオを釣り上げた
大きなバラクーダ、バロも釣る



●真珠とり
2人は大人の土人に混ざって真珠とりにも参加させてもらう
マルイアばあさんが教えた7尋の海に潜ると
手足はおもりをつけたように重く
貝を見分けるのも難しいと分かる








2、3週間もすると、2人はツアモツ人と同じくらい貝をとるようになる

マルイアばあさんの甥テウラは大トヌに食われてしまう!
マルイアばあさんはトヌを突き殺して、ボロボロになったテウラを引きだす









チャーリーとライリは広い洞穴を見つける
そしてとうとう対の真珠が手に入る

叔父:
ツアモツ諸島でとれたすべての真珠の中で最上のペアだ
タヒチのユダヤ人が最高の値段をつけるだろう
一流の真珠は名前を持っている
マラマ(月)・ツインはどうだ?

マラマ・ツインを綿にくるみ、タバコの缶に入れ、金庫にしまう
誰にも言わないほうがいいと忠告する



●サメ神の洞穴
2人は洞穴で土人の神の祭壇を見つける
人食い人種が逃げ込んだ歴史があり、生贄になった頭蓋骨が捧げられている








●チョリータ号
王さまの食べ物シイラを釣ろうと海に出る
夢中になり、嵐に巻き込まれ、海に漂っているところに
スクーナー船が来て救われる









ヘラクレスのような体格の白人は丁寧にもてなし
チャーリーは叔父がイリアタイ島で真珠の採取をしていると話した後で
彼こそがシュミットで、ライリもいる

片頬に大きな傷がある混血の女性ライタは
シュミットに連れ去られたことを恨んでいる








彼らはタラ号を不意打ちして、パフリは頭にケガを負って連れて来られた
シュミットはチャーリーを叔父と一緒に船室に閉じこめてカギをかける








●略奪
叔父はライリがシュミットの目を盗んで、ツインを盗んだのを見た
イビはピストルで撃たれた

シュミットはタラ号を沈めて、貝ごと船に積み、タヒチで売ったら
新しい名前に変え、ドイツの生まれ故郷で静かに余生を過ごすと豪語する

チャーリーはシュミットの部下が新しく雇われた者ばかりで
中でもチュアはマルイアばあさんの養子だから味方につけて
タラ号に戻ってシュミットと部下を捕まえる計画を立てる

舷窓から抜け出し、マルイアばあさんの家に行くとみんなが集まっている
マラマはみんなに知らせようと裸足で走り
サンゴでずたずたに切って看護されている







チャーリーは計画を話し、タラ号まで泳ぐ
甲板で転んで、シュミットに足を撃たれる

叔父はオノで船室を破り、ライタはピストルでシュミットを撃とうとしたが
部下クワラがライタを撃つ

憎しみが最後の力を与え、ライタはシュミットのこめかみを撃ち抜く
ライリはツインを持ったまま海に逃げた

マラマはライリがサメ神の洞穴に逃げたのだろうと伝える
叔父が行くと、ライリは高熱を出して瀕死
夜、礁湖を泳いで、ムラサキサンゴの有毒にヤラれた








●タヒチ
貝は全部で120トン積まれる
マラマとチャーリーはマルイアばあさんの看護で元気になる

酋長は祝宴をあげ、チャーリーはマラマの妹テチュアに真珠を2つプレゼントして別れる
叔父は船と2人の捕虜を政府に引き渡す

銀行でユダヤ人シコルスキーに会い、ツインを見せると震える手で丁寧に測る

シコルスキー:
こんな真珠には一生に二度とお目にかかれないでしょう
女王さまへの贈り物になる品物です

シコルスキーは5万ドルと値段をつける

チャーリーは2万5000ドルの小切手をもらう
父のサンタブリギダの農場を救うのに十分な額

帰りの船が出るまでの1週間をファナテアの叔父の家で過ごす
マルイアばあさんが上等のごちそうをふるまい、たくさんの客が来る








叔父はすっかり現代の英雄で、チャーリーも真珠やサメの話をせがまれる

叔父:お前がいなくなって、わしは寂しくなるな

叔父はチャーリーの姉用にこれまで集めた真珠でつくったネックレスをプレゼントにもたせる

マラマと再会の約束をしてサンフランシスコ行きの船に乗る




あとがき
本書の原題は『ザ・パール・ラグーン』

チャールズ・ノードホフ
タヒチに住んだノードホフは、南太平洋の島々を自分の故郷のように愛し
自然科学者のような目で正確に描写したのが特徴

ジェームズ・ノーマン・ホールとの共著で数多くの作品を書いている



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