メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

福音館古典童話シリーズ 42 狐物語 レオポルド・ショヴォー/編・画 福音館書店

2024-06-08 14:10:28 | 
2015年初版 山脇百合子/訳

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します



アダムとイヴの話から始まり、女性がとんでもない悪者に描かれているのは
本編に通じる諷刺と捉えていいんだろうか?

肉食動物が他の動物を食べて生きるのは仕方のないことだけど
それを差し引いても、キツネの態度はひどくて
笑いを誘って書いてるとしても笑えない

それでも信心深い態度をとろうするのは
信仰をも胡散臭いものだと揶揄してるのか

キツネの悪戯の短編が連なり、所々似たような顛末も見られて戸惑った

冒頭に本文と挿絵が合わないと注意書きがあり
どれが該当するのか分からなかった

最後の解説を読んで納得
それぞれ書かれた時代、作者が違って、やはり諷刺として書いているそう
解説だけで、数十ページあったのもビックリ/驚


【内容抜粋メモ】

●そもそもの始まり





アダムとエヴァは楽園から追い出される
同情した神さまは、棒で海を叩けば役に立つ動物が出て来ると教え
エヴァには叩かせないようにと注意する

アダムが叩くとヒツジが出て、エヴァが叩くとオオカミが出て、ヒツジを追う
アダムがまた叩くと犬が出て、オオカミを追い、ヒツジを解放する

エヴァはアダムに隠れて海で叩くとキツネが出た
その後、この世に生まれたキツネはみなこのキツネの子孫
中でもルナールと呼ばれたキツネが有名


●狼のイザングラン
イザングランは指折りの領主でルナールと親友で甥のように可愛がった

空腹のルナールはイザングランの家でごちそうになりながら
屋根から下がったハムを夜中に盗む


●雄鶏ノワレ





大変な物持ちのお百姓ベルトゥーの家と庭は柵で囲ってある
穴から侵入したルナールを見つけ、網を投げると、ルナールはかかとに咬みつき
助けて欲しくば雄鶏ノワレを差し出せと言う

ノワレをくわえて帰る途中、歌ってほしいと頼まれて
口がゆるんだすきに逃げられる








●雄鶏シャントクレール
有名なお大臣の雄鶏シャントクレールに歌ってくれと頼むルナール
すきを見てくわえて持ちかえろうとして、またもや逃してしまう


●魚をだまし取る





魚商人の荷馬車の前に死んだふりをして倒れているルナール
毛皮を売ったら4スーにはなると計算して馬車に積む
ルナールは籠の魚を全部たいらげて逃げる


●イザングランの弟プリモー
魚の荷馬車にたくさんのウナギがあると教える
魚商人はオオカミが本当に死んでるかどうか確かめるためにしこたま棒で叩き
堪えられなくなったプリモーは空腹のまま森に逃げる








●プリモーの死
ルナールはプリモーにガチョウの群れがいると教える
プリモーが1羽持ちかえろうとした時、番人が犬をけしかける

プリモーが怒ると

ルナール:
宮廷に訴えて、王さまの裁きをお願いしますよ
もし私を殺したら息子たちが仇を討ちます

2人は仲直りするが、誓いをたてる際、罠にかかりプリモーは死んでしまう








●井戸
ルナールは井戸を覗き、そこに映る自分の姿を妻のエルムリーヌだと思い
桶に入ると、底に着き、上がれなくなる









イザングランが通りかかり、井戸にルナールと妻エルサンがいると思いこむ
ルナールはここは天国で、桶に入れば来れると教える

イザングランが桶に入ると、ルナールは井戸から出る
ルナール:ひとり来たらっば、もひとりは行く これが習わし







修道士らが井戸の中のオオカミを見つけて悪魔と思い棒で叩く


●山猫のティベール
司祭:なんて見事な毛皮! あったかい縁なし帽が作れるぞ
ティベールは司祭の顔をひっかき馬から落としたため悪魔と思われる
(なんでも悪魔扱いされるんだな


●ライオンのノーブル王





王は平和のため、イザングランとルナールの和解を求める

ノーブル:
ルナールをよく知る余が保証する
ルナールはそなたにウソをつこうなどけしてしはせぬ(全然知らないんだな

イザングランに雄牛を分配させると
ルナールにやる肉はないと言ったため殴って血だらけにする









ルナールはノーブルと妻子に分配したため褒める
ルナールはイザングランが師匠だと立てる

ノーブル:そなたより抜け目のない者はいない

“よい狩りを”て言い方、『ジャングルブック』と同じだ/驚


●イザングラン、ルナールを告訴する
熊のブラン:私が復讐するのをお許しください
ノーブル:双方の言い分を聞かずに裁く者は賢明か?

イザングラン:ならば自分で復讐します!
ノーブル:和平を乱す者に禍あれ!


●シャントクレール、ルナールを告訴





パント:私には5人の兄弟がおりましたが、ルナールが食べました
ノーブル王:ブラン、ルナールを余のもとへ連れてきてもらいたい

ルナールはブランに蜂蜜のありかを教え、樹の間に頭を挟む
ノーブル:おまえの仇を討ってやる







ルナール:オレは生きなくちゃならない限り生きるまでだ

穴熊グランベールは同情して、ルナールに告解させる
ルナール:私は後悔しております

ルナールは絞首刑を言い渡されるが、刑を逃れて十字架を身につける







ノーブル:何があろうとも、そなたの“ルナールぶり”は変わるまい!

十字架を投げ捨てて逃げだし、樫の木にのぼるルナール


●ルナールの城 マルペルチュイ
ルナール:7年分の食糧がある
半年間、攻囲戦が続き、ある夜眠った兵の足やしっぽを木に縛る

再び王に捕まったルナール
エルムリーヌはルナールの身代金を持ってきて許しを請う

ノーブル:やつを赦す しかし次の悪事で有罪となったら、ただちに縛り首だ(甘いな


●ルナールとイザングランの決闘
聖遺物箱にかけて誓い、取っ組み合い
ルナールはイギリス人の得意技であおむけに倒す(柔道?
結局、イザングランがルナールを絞め上げ、ノーブルは吊るすよう命令

修道士ベルナール:私にルナールをお渡しください







修道院でもイタズラが過ぎて追い出され、せいせいするルナール


●染物屋ルナール
染料を浴びて、黄色くなったルナールに気づかないイザングラン
ルナールはガロパンと偽名を使い、片言を話す


●巡礼ルナール、ローマをめざす
染料が落ちて、生き方を改めようと決める
司祭:ローマに行って、教皇さまに告解しなきゃならないな


●ルナール、聴罪司祭の鳶に手を出す
告解を聞いて欲しいと言って、鳶を食べようとする
鳶のカワイイ子どもたちも食べたことが分かる

子どもがけいれんすると相談したスズメに助言して
子どもたちを飲み込み、もうけいれんしないと答えるルナール

スズメ:すべてが私の過ちのせいだ

ルナールに復讐しようと仲間を集めようにも、みな関わり合いたくなくて断る
空腹で死にかけた犬ドルーアンは、食べ物をもらったお礼に復讐に協力し
ルナールの背中の皮を剥く


●ルナール、再び王の信任を得る
ノーブルを罠にかけ、救ったお礼に宮廷に招かれる
イザングランとチェスをして負け、釘で打たれて死んだと思われ、王妃は号泣

熊のブランが穴を掘り、埋められる寸前で森に逃げる








ルナール:貴族はけして裁判なしに刑に処せられることはありません
ノーブル:闘いを赦そう 負けた者は死罪だ

シャントクレールと決闘し、マルペルチュイまで逃げるルナール

王は四日熱で死にかける
グランベールは王を救えば宮廷に戻れると助言







ルナールは薬草を集めて、王を救う代わりにイザングランの毛皮を要求
イザングランは皮なしで逃亡

すっかり回復した王はルナールを友にする


●皇帝ルナール
王は異教徒討伐に出発し、ルナールに城を守るよう言いつける
シャントクレールらが討ち死にし、ノーブル軍はやっと勝利する

その間、ルナールは王は戦死したとウソをついて王妃と結婚し、王座を奪う
怒った王軍と戦闘し、ルナールの息子を捕虜としていたため交換し、王座を取り戻す

ルナール:王さまの熱病を治した働きに免じてお許しください
ノーブルは同情し、和平が成立 2人は友情で結ばれる







●ルナールの死
ルナールはマルペルチュイで余生を過ごし
寂しがる王は鳶のユベールに連れ戻すよう命じる
ルナール:私は死んで葬られたと伝えて欲しい

ユベールがルナールの死を伝えると
王:ルナールをこの世につなぎとめるためなら、王国の半分をくれてやってもよかった!




解説
本書は独立した挿話の集まりで、それぞれ異なる時期・作者で作られている動物叙事詩
作者は同時代の文学作品の模倣、敷き写し、借用、茶化しを行っている

作品を書くための知識、教養を持つ社会階層は聖職者以外にはない
現実社会の事件への皮肉、風刺を取り入れた

ルナールの語源は「知恵と力」を意味する古いゲルマン語
生まれながらのペテン師、悪徳の権化として描かれる

獣、擬人化の両方が自然に混ざり合っている

“女房や女の言うことを聞く者は愚か”
“女がもたらすのは平和より諍い”
これはもはや蔑視より全否定に近い


コメント

映画『希望の青空』(1942)

2024-06-08 13:45:48 | 映画
監督:山本嘉次郎

出演:高峰秀子、池部良、原節子、入江たか子 ほか



高峰秀子さんのだらだらと愚痴る感じのキャラクターってクセになる
義姉役の原節子さんとの共演も豪華



【内容抜粋メモ】

女性の歌
スキーをしているヒデコが転んで男にぶつかる
ヒデコ:ごめんなさい~

釣りをする子どもたち
ヒデコが男の頬を釣って「ごめんなさい~」

山林で歌う女生徒たち
♪ホーホケキョ ラララン と歌います







帰りの電車で眠りこける女生徒たち
ケンカを始める男2人

ヒデコはゴミをハンカチにくるむのを見て
前の席に座っている老人・太田は感心する

ヒデコが降りると、太田もおりて後を尾ける
走って逃げるヒデコ 走って追いかける老人w

巡査に女生徒のことを聞くと、奥から出てきて先へ行かせる
巡査:いいご年配のくせに・・・

太田は日本橋の店の主人
『水の音』の俳句を書いた人
巡査も時々詠む

ばあや:お嬢様に空手を習えと言ったのはこういう時のため

父:若い娘が1人でのこのこ歩くからだ







太田が家まで来る
父はワケも聞かず、追いかける

事情を知って笑い合う みんな俳句仲間
これが縁だと仲人を頼む








ヒデコ:私、女学校に行ってるのにまだ早い
ばあや:17ならみんな片付いてます
ヒデコ:とにかくお見合いだけはするわよ

父:よう決心してくれた ありがとう

父がうなじを剃ってる? ヒデコは痛がる



明治堂 カステラ屋
きょうだいがみんな呼び出された

ツトムが嫁をもらう話
祖父:いいお嬢さんだから急いだんだ

サトルが遅れて来て父に叱られる
10円欲しくて姉が出す(毎回、金額で笑っちゃうw

ヒデコが来たのにツトムが急に登山すると言ってみんな慌てる
目が合って、「いけね!」







姉チヅル:
とってもいいお嬢さんじゃないの
私、断然好きになっちゃった

ツトム:まだ子どもじゃないか

チヅル:私がお嫁に出たら、この家は誰が面倒みるの?



ヒデコ:
私、結婚なんてまだ全然考えてないのよ
お姉さまに結婚観聞いてみない?







チヅルは『青い鳥』の話をする






チヅル:
幸福は遠くにあるものじゃない
自分のすぐ近くにあるの
結婚すれば幸せになるか考えてもダメ



チヅルの夫タチバナが来る






祖父:ツトムとヒデコにみんなのウチを周って見せれば決心がつくだろう



オペラを歌う男性 ラジオ収録?
家族みんなで聴く








妻:45分きっちりで局から戻る と言ったのに待てども来ない

妻:あの人きっとどこかで飲んでるのね!怒

夫が棚に隠した酒を大盤振る舞いする
妻:あの人帰ってきたら驚くわよ いい気味だわ

泣き出す妻
林:僕の家に来てるはずです



林から「キシダくんはウチに泊まっている」と午前1時に電報が来て安心する
今井からも「キシダくんはウチに泊まっています」とまた電報が来る
妻:私を安心させようとウソついて悔しい!泣

妻はお皿を全部投げつける
ヒデコは次々と高そうな皿を渡すw

新婚記念の電灯まで割って反省する夫婦
ヒデコ:ごめんなさい~

ヒデコ:あんなとこに青い鳥はいそうもないわね



別の姉夫婦
夫の姉夫婦がくる
旦那は歌舞伎役者? みんなを笑わせる







また別の姉夫婦の家
男客:新橋で芸者してた女だろ? もったいねーよ
ツトムは怒って客をぶつ

ヒデコ:ツトムさんて案外勇敢ね 私、痛快だった








鎌倉 武田家
♪しょうじょうじのたぬきばやし に合わせて少女が踊る
(しっかりした子役だなあ







ヒデコ:あれが本当の青い鳥かしら
ツトム:さあ、ボクたちには分からないよ








兄夫婦の家
田舎でブタなどを飼っていて、忙しそうなお嫁さん
じゃんけんで負けたツトムはお嫁さんに兄と結婚して幸せか聞く

兄嫁:え? 幸せって? そんなこと考えたことありませんわ







兄:
結婚を幸福や愛情だとかで考えてるんだろ
お互い健康に気を付けて、健康な子どもを産むことだ

ツトム:それじゃ牛やブタの繁殖と同じだ

ヒデコ:夢みたいなことを考えていたかもね



少女ジュンコ:いやいや 振袖が着たいよー

め!て本気で怒るヒデコ







みんなで芝居に行く予定が急遽変更 夫は戦争に行くのか?
すごいしんみりする家族
ヒデコは泣きだす

ヒデコ:ヨウコちゃんを溺愛しすぎるって思ってた おねえさん、すいません



3人の老人
ヒデコは気がすすまない意向を伝える
老人:まだ年が若すぎたんだ

白無垢姿のチヅルにお別れを言いに来たヒデコ








チヅルはヒデコの手を引いてツトムの部屋に案内する

チヅコ:
あんた寂しいんでしょ?
ヒデコさん、あんたも寂しいでしょ?
2人はやっと青い鳥をつかまえたのよ



ヒデコ:青い鳥がいるわ!

指をさすと、ツトムの顔にぶつかって
ヒデコ:ごめんなさい~










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