メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

岩波少年文庫 226 大きなたまご オリバー・バターワース/作 岩波書店

2024-06-17 16:02:24 | 
2015年初版 松岡享子/訳 ルイス・ダーリング/挿絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


面白くて一気読み
男の子が大好きな恐竜の物語

岩波少年文庫って、少年少女が一生かかって読めるだけの
世界中の名作がぜんぶあるのでは?

『いやいやえん』の挿絵に似たイラストも好き



【内容抜粋メモ】

登場人物

父 町の新聞『フリーダム新報』を発行
ネイサン・トゥイッチェル 12歳の少年
シンシア 妹 10歳

ドクター・チーマー 古生物学者
アルフレッド・ケネディ 国立自然史博物館の博士

パーソン家 隣人











ニューハンプシャー州フリーダムに住むネイサン
父は町の新聞『フリーダム新報』を発行している

隣りのパーソンさんのおばさんがおんどりエゼキエルの鳴き声で起こされると苦情を言ってきたため
毎晩、地下室にいれるようにする

めんどりの1羽の様子がおかしいと気づき
数日後、とんでもなく大きなたまごを産んだ









家族と相談して、めんどりが全体を平均して温めるのを手伝うために
しょっちゅうひっくり返して面倒をみてあげる

夏休みに入り、親友ジョーと釣りに行っても、いつたまごが孵るかと気になる
新聞記者が取材に来て、たまごを測り、38センチ、1.5キロだったのを
ちょっと盛って記事に載る




雛がかえる3週間を過ぎても音沙汰なし

ルーン湖で釣りをしていて、避暑地のホテルに滞在しているドクター・チーマーは
たまごを見たいというので見せると、もし、たまごが孵ったら電話をくれと頼む









1か月もたち、諦めかけていたある日
リスくらいの大きさのトリケラトプスが産まれた
チーマー先生はパジャマで駆けつける












チーマー:
これは千年に1回あるかないかの生物学上の変異でしょう
かつて生きた恐竜を見た者はいないから、まだ分からないことがたくさんある
知れ渡ったら、マスコミ、科学界は熱狂的な騒ぎとなります
ワシントンの国立自然史博物館に連れて行くこともできる

ずっと世話をして愛着がわいているネイサンは自分で世話をしたいと思う
チーマー先生は、国立自然史博物館のアルフレッド・ケネディに連絡する




ジョーに見せるが、恐竜だとは信じない






ちびすけに雑草を与えるとむしゃむしゃ食べる
この日からチーマー先生は詳細な記録をつけはじめる

ちびすけは1日ごとにものすごい成長していく
トリケラトプスは6m以上、重さ10トンになると聞いて驚くネイサン
寿命や成長率は不明




ジョン・ビーズレー大叔父から名前をとってアンクル・ビーズレーと名付ける




冗談だと思っているケネディ博士が来て
ビーズレーを見せようと小屋に案内したら
柵から抜け出ていて、みんなで必死に探す







パーソン家の庭のグラジオラスを食べているところを発見
ケネディ博士は驚いて口がふさがらない




ケネディ博士は国立博物館に移して、ガラスの容器で安全に飼育する必要があると話し
ネイサンに100ドル払うと提案するが反対するネイサン








ケネディ博士:
ペットにはならない エサも世話も大変だ
君は科学の発展のジャマをするつもりか?

ネイサン:あれはボクのです 友だちみたいなものなんです

小さな町にニュース映画、新聞記者、科学者などが押し寄せる
科学者は自分の説が正しいことを証明するために、大声で騒ぎたてる








10
父の新聞はこれまでになくたくさん売れて
土曜日には騒ぎはおさまる

モリソン教授:
生きているから貴重なんだという点を忘れないで
これを死なせないよう、できるだけのことをしてくれたまえ

ガソリンスタンドのオーナー、ビルはビーズレーを店の前に置いてひと儲けしたいから
売ってくれと頼むが断わる

ウイスキー会社の副社長は、お酒は味より古さが大事で
自社の酒はそれほど古くないから、古く見せるためにビーズレーを貸してくれと頼む
「それが広告ってものの極意です」 もちろん断る

周囲の草はとっくに刈られ、草刈り機で集める
革の首輪をはめて散歩に連れて行くようになる








11
爬虫類は変温動物だから、ニューハンプシャーの寒さには耐えられないし
草もなくなるし、ビーズレーは干し草を食べない

悩んだ末、国立博物館で飼ってもらい、ネイサンも一緒に世話をすることに決まる
週25ドルの給料が支払われ、校長先生は4週間の休みをくれる








12
9月6日 ネイサンらはトラックにビーズレーを乗せて、ワシントンに向かう
ビーズレーは自動車のクラクションがイヤで、聞こえるたびに暴れる








朝出発し、夜に着いて、建物の中へ入れ
ネイサンはチーマー先生のアパートに世話になる



13
毎朝5時に起きて、人々が通る前にビーズレーをモールで散歩させる
ケネディ博士:一般大衆から守らねばならん







チーマー先生は理科の問題を出して、ネイサンは博物館の展示を見て調べて答える
慣れると1人で散策し、ジェファーソン記念堂が気に入る

ビーズレーのエサはアルファルファ(牧草の一種)がいいと決まる
ネイサンは角にロープをつけて、背中に乗って歩くようになる

ある朝、トラックが来て、クラクションを鳴らしたため
怒ったビーズレーはトラックを倒した








14
運転手は逃げだして、警察に届けたため、ニーリー警部が来て
区内で大きな動物を飼うのは区条例で禁止しているため
24時間以内に退去させるよう命令を下す









仕方なく、ビーズレーは動物園の象の家に移す
政府は経費節減運動をしていて、国会の委員会が調査に来る

ビーズレーは毎日アルファルファ8袋、雑穀90キロ食べると聞いて
呆れた役人は明日、事務所に来てくれと命じる








15
上院議員会館に行くと、グランダーソン上院議員は2人を説得する

グランダーソン上院議員:
あのばかでかい動物は、アメリカ国民の福祉にどう役立つのかね?
ゾウはわが国の一大政党のシンボルになっている(共和党
だが、非アメリカ的で、時代遅れの生き物はいかん
私はこれを飼うことを禁止する法案を提出する

チーマー先生:あの人はたいてい選挙の直前に気まぐれにとりつかれるんだ

2人は上院の傍聴席からグランダーソン上院議員の演説を聞く









グランダーソン上院議員:
毎日21ドルを食いつぶし、まっとうな仕事はなにひとつしない
この無能な過去の遺物を一刻も早くこの世から抹殺すべきです!

別の議員は剥製にして贈呈すると提案
彼らは真夜中まで演説し、採決には人数が足りないから明日まで延長する

(こんな議会にどれだけお金がかかってるのやら・・・
 議員を1人でも少なくしたほうがよほど節約になるだろうに

チーマー先生:
トリケラトプスは逃げるようにはできていない
敵に襲われたら、まともにぶつかっていくんだ
問題から逃げてもダメだ 諦めずに考えるんだ




16
翌朝の新聞には「恐竜法案」について書かれていて
上・下両院を通過するのはほぼ確実とみられている

チーマー先生:
みんなが投票しなければ、連中は議員でもなんでもない
テレビに出て、みんなに議員に手紙を書いてくれと頼むんだ
それがビーズレーを救うただ1つのチャンスかもしれない

スタジオに行くと、ボネリ氏がいくつか質問をして
短い原稿をつくり、15分の番組内で読んでくれればいいと指示する
それを読むとよく書けたスピーチだけれども、なんだか違和感を感じる







チーマー先生はネイサンに自身の言葉でスピーチさせるために白紙の紙を渡す

初めてのテレビ出演で上がりまくったネイサンは白紙を見て卒倒しそうになる

ネイサン:
博物館で調べたら、角のある恐竜が住んでいたのはアメリカだけと分かった
これはみんなの恐竜です
助けたいと思うなら、選挙区の国会議員に手紙を書いて
恐竜法案に反対するよう頼んでください









ボネリ:
この番組は政治論争には巻き込まれたくないんだ
子どもを番組に出すたびに、金輪際ごめんだと思うよ

番組は大反響で、「恐竜をすくえ!」とプラカードを持って象の家に大勢が集まり
1800ドルもの寄付が集まる
上院は電報の洪水で、議員は慌てて前言を取り消す









チーマー先生:
もしもグランダーソン上院議員が法案を出さなかったら
みんな恐竜のことなど気にかけなかっただろうよ
人間は誰かに取り上げられそうになると急に騒ぎはじめるものらしい




17
チーマー先生は毎週ビーズレーについて小さな新聞を送ると約束
ネイサンがフリーダムに帰ると、パレードのトラックに乗せられる








翌日はもう学校に通い、いつもの日々がはじまる

ビーズレーは身長6m近く、体重6.3トン
来園者の寄付は24万ドル以上

父はネイサンにこれまでのことを本に書くようすすめて
こうして書いた

母は春休みにみんなでワシントンへ行こうと言う
恐竜の檻に男の子がいたら、間違いなくボクでしょう










訳者あとがき

バターワース
コネチカット州生まれ

本書の舞台をニューハンプシャーにしたのは、アメリカ大統領選の予選選挙が
最初に行われる州だからかもしれない
ニューハンプシャー州のモットーは「自由に生きよ さもなくば死を」

アメリカ流のユーモアが満載

ワシントンの国立動物園に恐竜園があり、ビーズレーがいるそう

ベバリイ・クリアリー著『ゆかいなヘンリーくん』シリーズ
ロバート・マックロスキー『ゆかいなホーマーくん』



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