・皿川画像・台風19号襲来前・後・とりあえず補修・本格改修中・

2023-09-11 03:41:07 | 日記

フォトアルバム

1、台風19号襲来前の皿川状況

その25-1・飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討

2、皿川堤防に在った2つの弱点

その16・飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討

3、台風19号襲来時の皿川状況

飯山水害 皿川堤防決壊の前と後の皿川氾濫状況

飯山水害「なぜ皿川堤防は決壊したのか」の1

4、とりあえず堤防補修

・今回の堤防決壊を受けて長野県が行った決壊場所の修復完了の姿を示す。:・現状完成形 <--2020年3月25日現在

今回の災害が発生する前までにこの姿まで堤防の完成度を上げていなかったのは、長野県の怠慢、北信建設事務所の落ち度です。 

・補修前の決壊現場の状況

決壊場所にコンクリートブロックを投入した状況を示す: https://archive.md/93ysb :(注1

この画像から分かる様に、決壊場所の左側までは堤防の法面がコンクリートで耐水化されていた。

だが決壊場所は単に土を入れて固めただけで、法面の耐水化は行われてはいなかった。

北信建設事務所はそのような状態で皿川堤防を放置していたのである。

・補修中の決壊場所: https://archive.md/C331M :

堤防の法面はこの画像からも分かる様に「単に土を入れて固めただけで、法面の耐水化は行われてはいなかった」のです。

そうしてまたこの画像から分かる様に「皿川堤防はそのままの高さではJR線路には接続できない」のです。

堤防は線路の下に敷かれた砕石を覆ってはいけないのです。

理由は線路に降った雨水が砕石を通して排水される必要があるからです。

そうであればこの後堤防は左から線路に向かって斜面を作って接続が完了となります。(斜面の程度は: 現状完成形 :を参照の事。)

そうして皿川堤防で最初に越水し始めたのは左岸ではなく、右岸堤防のまさにその高さが低くなった接続部からなのです。

加えてその部分は「単に土を固めただけの構造」でしたから、「流れ出す水によって簡単に洗掘され決壊に至った」のであります。

5、本格改修中(2023年5月時点)

https://archive.md/Vc9HS  ・・・皿川堤防と千曲川本堤防の接続部を見る

https://archive.md/DpEKm  ・・・皿川橋から工事現場を見る

https://archive.md/ZAvAb  ・・・工事のお知らせ看板1

https://archive.md/s43Sf  ・・・皿川橋をみる

https://archive.md/EHvTd  ・・・工事現場を見る1

https://archive.md/fk847  ・・・工事現場を見る2

https://archive.md/7zxFb  ・・・工事現場を見る3

https://archive.md/Y30iU  ・・・決壊場所を見る

https://archive.md/NgeDP  ・・・踏切を超えて決壊場所方向をみる

https://archive.md/9BkKn  ・・・同上位置から有尾橋方向を見る

https://archive.md/hMnzc  ・・・有尾橋上流右岸の工事現場をみる1

・https://archive.md/44qG3 ・・・有尾橋下流右岸・堤防工事により壊された家を見る

https://archive.md/zKOS9  ・・・工事の看板2

https://archive.md/eJEwB  ・・・有尾橋上流右岸の工事現場をみる2

https://archive.md/jlcjj   ・・・取り壊された家の記録ショット2

https://archive.md/tiP5a  ・・・有尾橋方向を見る1

https://archive.md/NTpPP ・・・皿川氾濫によって浸水被害を受け、公費解体され新築された家を見る 

https://archive.md/qelzt ・・・有尾橋方向を見る2

 

注1:この画像を拡大表示してみるとJR鉄橋の横に付いている歩道橋の上に洪水によるゴミが大量に残っているのがわかります。

さてこのごみは一体何であるのか?

答えは「千曲川から逆流してきた泥水の上に乗ってその場所に流されてきたゴミ」です。

それがその場所に引っかかっているのです。

つまり「そこにゴミが残っている」ということは「千曲川からの逆流があった」という事を証明しているのです。

皿川ダム湖の最高水位は右岸決壊場所が決壊するまでの時にはこの歩道橋の高さを超えていました。

しかしながら右岸堤防決壊によって皿川ダム湖の水位が下がった為、ごみはそこに取り残されたのです。

「いや、そのごみは皿川上流から流されてきたのでは?」という声が聞こえます。

それについては「皿川ダム湖の最高水位はJR線路を超えていない」が答えになっています。

最高水位がJR線路を超えていたなら、上流から流れてきたゴミはその場所に残る事が可能です。

しかしながら「最高水位はJR線路を超えてはいない」のです。

上流からのゴミは下流に流れる流れに乗って下流に流されるだけです。

従って「その場所には上流から流れてきただけのごみは決して乗る事はできない」のです。

しかしながら「千曲川からの逆流があればその場所に乗れる」のです。

しかも「最高水位がJR線路を超えてはいない」ので下流から逆流してきたゴミはそこで吹き溜まるのです。

それが上記の画像が示している内容です。

ちなみにそのごみの割合は千曲川逆流に従って皿川樋門を通じて千曲川から皿川に流れ込んだものが大方のものとなっています。

以上の話は次の画像でも同様に確認する事ができます。: https://archive.md/MJYHS :

 

結局は「2時15分から決壊場所から市街地への流れだしが終了するまでの間、千曲川から皿川への逆流が存在していた。」となるのです。

そうしてもちろんその千曲川から逆流してきた泥水は飯山市街地に流れだし、飯山を泥の海に沈めたのでした。: https://www.youtube.com/watch?v=c4lQ4wckcOc :

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

台風19号 飯山水害の研究・一覧

飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧

 

 


・緊急治水対策プロジェクト 進捗状況 

2022-05-08 06:56:23 | 日記

緊急治水対策プロジェクト HP : http://www.hrr.mlit.go.jp/river/sinanogawakinkyutisuitaisaku/sinanogawakinkyutisuitaisaku_top.htm :

1、2020年10月1日時点

 

2、2022年5月6日時点

飯山関連は8ページ

番号26~34+109:皿川

26 遊水地整備(はちす)→(調査・設計中)

27 堤防強化(越水対策)静間バイパス→(調査・設計中)

28 堤防整備 静間バイパス→(調査・設計中)

29 河道掘削 戸狩 狭さく部→(工事実施中)

30 堤防強化(越水対策)川面→(調査・設計中)

31 堤防整備 川面→(調査・設計中)

32 堤防整備 上境→(整備済)

33 堤防整備 桑名川→(工事実施中)

34 堤防整備 東大滝→(工事実施中)ー>完了2023年冬

109 皿川堤防整備 皿川→(調査・設計中)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

洪水や土砂災害の予報業務、民間会社に解禁へ…契約者に細かく情報提供し局地被害防ぐ

https://archive.ph/TBJrA

『気象庁は、洪水や土砂災害の予報業務の一部を、民間の気象情報会社などに解禁する方針を決めた。これまで国と自治体が一元的に担ってきたが、契約を結んだ特定の利用者に限定した予報の提供を民間に認め、早ければ来年度にも実施する。局地豪雨などによる災害が増える一方、地域を細分化した予報には限界があり、民間参入で地域の災害リスクに応じた、きめ細かな情報提供を促す。

 気象予報の提供は、気象業務法に基づく国の許可が必要となる。1993年の同法改正で規制が緩和され、天気、高潮、波浪など6分野が既に解禁されている。

 洪水と土砂災害の2分野は、人命に関わり、誤った予報が混乱を招く恐れがあるとして見送ってきたが、民間の予報技術の向上に伴い、許可することにした。許可に必要な技術基準を策定中で、早ければ来年度中に申請の受け付けを始める。事業者は、日本気象協会、ウェザーニューズといった大手気象情報会社、研究機関などが想定されている。

(写真:読売新聞)

 ただし、住民に広く周知する予報の提供は、避難の判断に関わるため、民間には許可せず、引き続き国や自治体の責任で実施する。

 具体的には、国から雨量や河川水位のデータ提供を受けた民間業者が、特定地域の地形を分析し、独自に洪水や土砂災害を予測。契約を結んだ山裾に立地する福祉施設や河川近くの工場に情報を提供するといった活用のイメージになる。

 線状降水帯の発生などによる局地的豪雨は、一部地域に犠牲者が集中する傾向が目立っている。

 2014年の広島土砂災害では、広島市安佐北区と安佐南区だけで計77人が犠牲となった。16年の台風10号では、岩手県岩泉町で河川が氾濫し、認知症グループホームの入所者9人全員が犠牲になっている。

 これに対し、国や自治体の気象予報や避難の呼びかけは、細分化が難しい。

 土砂災害では、地域ごとの地形や土質は考慮されず、14~19年に全国で約9000回の土砂災害警戒情報が発表されたが、実際にその地域で起きたケースは13・7%。国と都道府県が管理する約2万1000河川では、多くが水位の実測値の公表にとどまり、洪水の予報ができるのは約2%だ。

 気象庁は「個別の山や中小河川の状況を踏まえての予報までは『公』では難しい」とし、民間の活用で、早めの対応を促し、被害軽減につなげたい考えだ。』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「台風19号レベルでもあふれない」 堤防の強化・河道掘削・遊水地  命と暮らし守る"緊急治水対策” 

https://archive.ph/N0uir

https://news.yahoo.co.jp/articles/1965d75780860514b982279d9159c2de0fcabe93

↑動画付:但し期間限定

『長野市長沼地区の千曲川の堤防が決壊してきょう10月13日で3年になりました。命・暮らしを守るハード対策も課題の一つです。国や県が取り組む「緊急治水対策プロジェクト」。主な柱は「堤防の強化」「河道掘削」「遊水地」の3つ。2027年度までに「台風19号レベルでもあふれない」ことを目指します。

千曲川の堤防は決壊箇所の復旧は終わり現在は強化工事が進んでいます。

川幅が狭くなる、下流の中野市「立ヶ花」では川底を掘り下げる「河道掘削」を実施。

1年前と比べると、右岸の川底が見えなくなり、流れる水の量が増しているということです。

河道の掘削は長野市篠ノ井と飯山市戸狩でも進んでいます。

課題は大量に出る土砂の処分。

現在は千曲市の工業団地の造成に使われていて、国は引き続き受け入れ先を探しています。

川沿いの土地に水を引き込む「遊水地」は7カ所、計画されています。

農地などが水に浸かる為地権者の理解を求めるのが最大の課題です。』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2023年7月

そう言えば有尾橋上流右岸の堤防 60センチかさ上げは終了した模様

しかし60センチかさ上げでは 千曲川本堤防の高さには届いていないww

[匿名さん]
 0  0
#65 2023/07/24 21:37最新レス

足立君は「千曲川本堤防と同じ高さにする」と言ってたが

やっぱりそれはウソだったんだねえ 足立君ww

--------------------------------

 

 

 


台風19号 飯山水害の検証報告・一覧・

2021-11-22 04:31:52 | 日記

台風19号 飯山水害の研究・一覧

シリウス日記2:台風19号 飯山水害の研究 :

・・・それ以外にもこれほどの衆人監視の中で起こった水害、というのもまためずらしく、そのためにネット上には多くの情報が寄せられている。だが飯山市はまったくそれらを無視しており、自分たちに都合の良い、小さな視点でまとめた報告書を提示して「これで十分だ」としている。

さてそんなことはない、これらの貴重な情報を後日の為にまとめて整理しておくとはまことに大事な仕事であるはずだが、飯山市はそのような事を言うだけで何もしない。・・・

毎秒9000トン、流れてきていたらどうなっていたか? :

・・・台風19号の際の立ケ花観測所(中野市)の流量は、決壊した千曲川堤防(長野市穂保)からの流出分も含めて最大で毎秒9000トンに達していたとみられる。だが、現行の整備計画は被災前にまとめたものだったため、当時は戦後最大とされた1983年の台風10号を念頭に置いた毎秒約7300トンの流量で目標設定していた。・・・

台風19号 長野市 穂保地区の状況 :

・・・千曲川の堤防が決壊したらどういう事になるのか、という事がよく分かる動画資料です。そうしてこれは他人事ではなく、飯山でも千曲川堤防決壊で起こりうる姿なのです。ちなみに穂保では最大時、毎秒900トンの水が流れ出した、とされています。・・・

台風19号 飯山での千曲川の状況 :

・・・台風19号襲来時、飯山での千曲川の状況といえば川面地区およびその下流域での千曲川氾濫、そうして静間バイパスでの千曲川の氾濫である。いずれの場所についても飯山市は避難勧告を出していないのであり、大変なミスをしているのである。・・・

台風19号 飯山 千曲川避難勧告発令の1 :

飯山市が避難勧告を出すのが遅かった場所が2つ、避難勧告を出せなかった場所が3つある。 これら5つの内、4つの場所では実際に千曲川からの越水による浸水被害が発生した。

台風19号 飯山 千曲川避難勧告発令の2 :

千曲川からの逆流が樋管・樋門のゲートの閉め忘れ、故障により閉まらなかった、閉めるのが遅れた事により堤内に流れ込んだ場所が4か所ある。これらの場所については明らかに人災である。

台風19号 飯山 千曲川避難勧告発令の3 :

飯山市市街地に避難勧告を出せなかった市長の「理由にならない」「非常識な」言い訳け。樋門操作員について回る不可思議な事実。

飯山水害「なぜ皿川は氾濫したのか」の1 :

・・・ちなみに上記の説明のなかで「排水ポンプ車の事前準備なしで」とありますが、この事前準備をする主体は飯山市なのです。そうして飯山市がその様に排水ポンプ車を事前準備・事前に依頼していなかった理由は飯山市がたてた水防計画にあります。「今回の台風19号を迎えるにあたっては従来通り皿川樋門は開けっ放し対応とする」とそこには書かれていたはずです。

しかしそのような内容は上記のマスコミ発表の中には出てきません。あのマスコミ発表は「悪いのは河川事務所で、飯山市にはおちどがない」と主張するのが目的だったからです。・・・

飯山水害「なぜ皿川は氾濫したのか」の2 :

・・・皿川もまた千曲川の水位上昇にしたがってバックウオーターの影響がでてきて皿川の水位が上昇します。問題はその次の状況です。皿川の水位が上昇し、樋門入口のトンネル上端をこえてそれをふさぐほどになった時に、今までは千曲川に流れ出していた皿川の水が流れださなくなりました。

そうして急速に皿川の水位が上昇し始めたのでした。皿川上流からはそれなりの流量で水が流れ込みますから、千曲川に排出されない水はどんどんとその場所に溜まりこみ、皿川ダム湖を作り出していきます。・・・

10飯山水害 皿川堤防決壊の前と後の皿川氾濫状況 :

1、皿川堤防決壊前  最初の越水は左岸M建設前の道路で確認されました。場所の確認用として以下の画像を上げておきます。右岸堤防中ごろから千曲川方向、皿川橋をみたものですが、左側の屋上に看板がでているあたりがM建設前道路となります。

・午前6時30分頃 千曲川堤防方向 : https://archive.fo/6PpWP :堤防上で排水ポンプ車が排水作業中 画面左、軽トラが止まっている駐車場の前あたりの道路から左岸越水 左端の赤い屋根の後ろの建物が有尾中継ポンプ場・・・

11飯山水害「なぜ皿川堤防は決壊したのか」の1 :

前述したように千曲川の水位上昇に伴って皿川の水が千曲川へ流れ出さなくなりました。その理由として流出が人為的に遮断されたのか、それとも自然に遮断されたのか、2つの可能性がありますが今はその真偽を問わずに話を進めます。

いずれにせよ流出できなくなった皿川の水は樋門の前に溜まりはじめ、皿川ダム湖を作りはじめます。そうしてついには満水に至り、左岸M建設側の道路へと越水し始めました。・・・

12飯山水害「なぜ皿川堤防は決壊したのか」の2 :

・・・皿川右岸堤防はJR線路を堤防の一部として組み込んでいた、不完全堤防であった、という事になる。線路と言うものは堤防の代替えにはならず、堤防の上を線路は走る、と言うのが基本であるからである。(注1)

これは今回水害の前の皿川堤防かさ上げ、それから法面の耐水化や幅の拡充などの対応がとられてきてはいるが、それでもその弱点は残ったままであった。ちなみに残念な事には今回の決壊した場所の法面の耐水化は行われてはいなかった。・・・この点は堤防を管理・メンテナンスする責任をもつ長野県のミスであろう。この事については長野県は責任を免れない。・・・

13飯山水害 皿川樋門は開いていた :

・・・皿川樋門のゲートが降りていなかった、という決定的な、直接的な画像がありました。・水門の閉鎖、国伝えず 長野・飯山の皿川、堤防決壊 (中日) : https://www.chunichi.co.jp/article/39265 <-写真をクリックすると拡大できる。皿川で排水作業中のポンプ車1台、確認可能。ちなみにこの画像は昼ごろ飯山市がとばしたドローンによるもの。

拡大画像で皿川樋門を見てください。ゲートが降りていない事が確認できます。分かりにくい時は150%に拡大しましょう。はい、お疲れ様でした。貴重な画像を提供していただいた飯山市には感謝する次第であります。・・・

14「河川事務所の報告は成立していない」の1  :

前のページでは「皿川樋門が開いていた」という「実際に起こった事」の状況を見ていただいた。さてそうなると「河川事務所が出してきた報告書はどうなるんだ?」という事になる。

・情報公開請求によって河川事務所から提示された皿川樋門操作記録:https://archive.fo/NOD6b  : https://archive.fo/ffrn2

ここに挙げた樋門操作記録なる「一枚の紙きれ」が「皿川樋門が閉まっていた証拠だ」と河川事務所も飯山市もそう主張する。そうして本当にそれ以外の証拠は何もない。・・・

15「河川事務所の報告は成立していない」の2 :

・・・ここにも、千曲川水位上昇によるバックウォーター(逆流)が発生。
と明記されています。』これが17日発表のプレス発表 第一報になると「皿川樋門が閉まっていた為」と変化します。

さて14日以降17日プレス発表までの間に飯山市と河川事務所、そうして委託樋門操作員との間でどのような会話がかわされたのでしょうか?分かる事はその結果、「千曲川水位上昇によるバックウォーター(逆流)が発生した為」という理由は取り下げられ代わりに「操作員が樋門を閉めた為」となりました。・・・

16「河川事務所の報告は成立していない」の3 :

・・・報告によれば樋門操作員が再びその場所に出動したのは13日の14時とされる。その時には皿川樋門の前では排水ポンプ車が一台、排水作業にあたっていた。

13日9時頃の皿川樋門前の状況: https://archive.fo/8RpSJ 

14時であれば周囲はもっと明るくなっていた事であろう。そうして排水ポンプ車を操作している作業員はそこにいた。だがその作業員は再出動した樋門操作員を見る事はなかった。そのかわりにもっと不思議な光景を目にしていた。樋門操作員が現れた形跡がないのにもかかわらず、樋門のゲートがすでに上がっているのを確認していたのである。・・・

17皿川氾濫「飯山市の主張は成立していない」 :

・・・飯山市はここで事実と異なる事をマスコミに伝えている。「基準はなかった」のではなく「基準はあった」。それを書いたマニュアルは存在したのである。以下に現物を示す。

・「避難勧告等の判断・伝達マニアル」変更履歴 : https://archive.fo/Hr34x

・「避難勧告等の判断・伝達マニアル」内水氾濫発令基準 : https://archive.fo/Ge9M7

さて現物によれば「判断基準」も「避難区域」も決められている。という事は「存在していた基準」を「存在しない」とマスコミに伝えていた訳だな、飯山市は。そういうのは世間では「ウソつき」と呼ばれるのだよ、市役所の諸君。(注1)・・・

18飯山市と河川事務所の芝居は成立していない :

・・・河川事務所が出してきた報告書にも「操作員はゲートを降ろした後で飯山市に連絡した」という記載がある。

・情報公開請求によって河川事務所から提示された皿川樋門操作記録:https://archive.fo/NOD6b  : https://archive.fo/ffrn2

そうであればもともと河川事務所は信毎を呼んで「我々が飯山市に連絡をしなかったのが悪いのだ」などという様な事を言う必要などどこにもないのである。なんとなれば委託契約をしている樋門操作員が河川事務所が定めた手順に従ってちゃんと市役所に連絡している事になっているからである。

19「皿川氾濫・決壊に対する避難勧告発令」の1 :

・・・1、事前準備  10月11日~12日にかけて 「台風19号襲来に備えて皿川樋門を閉める」という水防計画を立てなかった。(飯山市がしなかった事の1)(注1)

これは「皿川樋門を閉める必要がある程の千曲川の水位上昇が起こりうる」という事を飯山市が理解していなかった為である。あるいは言い換えれば「どのような台風がきても皿川樋門は開きっぱなしで大丈夫である」と勘違いしていた、という事でもある。

そうしてまた、それゆえに皿川に対しては今井川、日光川に対して行った様な「事前の排水ポンプ車の手配」を行わなかった。(飯山市がしなかった事の2)(注2)・・・

20「皿川氾濫・決壊に対する避難勧告発令」の2 :

・・・有尾区への避難勧告は市役所職員が左岸越水を現地確認・報告した2時半直後には何の問題もなく発令可能であり、またそうすべきであった。しかし対策本部はそのようにしなかった。

これは有尾区区長と懇意にしているその地区の消防団員にして委託樋門操作員、M氏が「皿川が氾濫しそうだから避難した方がいい」と2時10分に「私的に連絡を区長に入れたから」である。そうしてこのM氏が今回の皿川氾濫の真実を証言できる唯一の方なのである。ちなみにこのM氏の自宅も皿川が氾濫した場合には浸水する事になる場所にあった。(注6)

その連絡に応じて区長は有尾区民を避難させ始めた。そうして、その事を知った対策本部は「避難勧告は市長にしか出せない」という事を忘れていて「ああ、それなら有尾区は避難連絡済み」とした。・・・

21「皿川氾濫・決壊に対する避難勧告発令」の3 :

・・・このページで検討するべき内容は「城山雨水排水ポンプ場が動いていたら」つまり「ポンプ場が耐水化されていて、ポンプ場外に氾濫水が水位1m程も押し寄せてもポンプ場内に氾濫水が浸入する事はなく、従ってポンプが異常停止する事が無かった」としたら、飯山市の主張は本当に成立していたのか、という事になります。

勿論この場合の飯山市の主張は「避難勧告を出すエリアは有尾区、北町区、そうして田町区で十分であった。」という事ですね。

つまり「それ以外の場所には氾濫水は押し寄せる事はなかった」と飯山市は主張しているのであります。・・・

22・「城山の雨水排水ポンプ場は能力不足」の1 :

2、ポンプ場に流入する雨水が増えてもいないのに、何故3台目のポンプを動かす必要があったのか?

実は1時50分の時点ではそれまでよりもポンプ場に流入する雨水の量は減っていました。にもかかわらずポンプ場貯水池の水位は上昇を続け、つまりは2台の排水ポンプを稼働させただけでは排水量が足りず、したがってポンプ場の担当者は3台目のポンプを稼働させることになったのです。

ほほう、何故そんな事になるのですか?千曲川の水位が上昇した為です。・・・

23「城山の雨水排水ポンプ場は能力不足」の2 :

・・・当初我々は「それはどこからかは知らないが雨水のほかに排水ポンプが排除しなくてはならない水が貯水池に流れ込んできたためだ」と推測しました。(注3)これは市長の「1台あたり1分間に110トンの排水能力をもつ排水ポンプだ」という主張を鵜呑みにした結果でした。

しかしながら市長のこの発言・主張は千曲川の水位上昇の影響を排水ポンプが受ける事を無視した「お話にならない主張だった」のです。

事実はと言えば「1時50分のタイミングでは2台の排水ポンプが動いていたにも関わらず貯水池の水位は上昇し続け、あふれ出すまであと50センチを残すほどにまでなっていた」のです。・・・

24その1・飯山水害に関係する樋門・樋管について、飯山市とのバトルの記録

飯山市街地の水没に関係をもつ樋門・樋管の数は6つあります。
その中でプレス発表で言及されているのは皿川樋門、ただ一つだけというありさまです。
それ以外の残り5つの樋門・樋管についてはまったく書かれていません。
そうして、飯山市との「樋門・樋管についての情報公開の戦い」は全て、ここから始まったのでした。・・・

25その2・飯山水害に関係する樋門・樋管について、飯山市とのバトルの記録

・・・そうして又飯山市がこの情報公開請求まえに「このような樋門・樋管の閉・開時刻をまとめた原本書類をもっていたかどうか」、それは非常に怪しいのです。この文書は「まるでこの情報公開請求に合わせて急いで作りあげた」かのような文章ですからね。

といいますのも「そのような情報をまとめた文書は市役所には存在しない」という回答を請求者に出した場合は、「そのような回答をする事自体が問題である」と市議会で責められることになるのが目に見えていたからです。・・・

26その3・飯山水害に関係する樋門・樋管について、飯山市とのバトルの記録

・・・この内水ゲートは12日の20時45分に閉められました。そうしてポンプ場の1号、2号ポンプの運転が始まったのです。

それで・樋門操作記録2(飯山市公開) : https://archive.fo/PeSqm :を見ますと「その何もしなくてもよい栄川樋管のはず」が「栄川樋管退避指示 *ゲート開」と「まるで操作をしたような書き方、しかも赤字で強調表示までされています」。 しかし実際は「何もしなくてもよい樋管ですから、樋門操作員は近寄りもしません」。そうすると「赤い字で強調表示された退避指示」とは一体何を意味するのでしょうか?

そんな風にして「情報開示要求を出した請求者に向かって」「ここは大事だぞ!よく見ろよ。」と市役所が意思表示する意味は何ですか?・・・

27飯山市が否定したかった「うわさ」についての経緯

・・・「間違った認識よる情報の拡散」とは足立市長が公の場所で発言した「一分間に110トンの水を排出できるポンプが3台動いていた」ので「市内の内水対策はできていた」という主張のことです。

そうして市長のこの「間違った認識よる情報の拡散」行為によって「我々市民は見事に誤解に導かれ」「混乱させられる状況」になったのです。

そうであれば村上君が否定しなくてはならない「うわさ」、「デマ」はこの「一分間に110トンの水を排出できるポンプが3台動いていた」ので「市内の内水対策はできていた」という足立市長の発言そのものなのです。

 

28・緊急治水対策プロジェクト 進捗状況 

 ・皿川 堤防かさ上げ、遊水池、千曲川 戸狩 河道掘削、静間バイパス堤防整備etcの進捗管理:河川事務所よ真面目に働けww

29・西の山降水量と皿川水位の関係など

飯山の西側にある山(斑尾とか黒岩とか)に降った雨がそこから流れ出して千曲川に流れ込む支流(皿川とか清川、宮沢川など)の水量・水位に与える影響を調べる。

ちなみにそれを調べていくと、「飯山水害は皿川が氾濫したのだ=皿川上流から流れ出した水が市内にあふれたのが原因」という「飯山市と足立さんの説明が事実とは異なる」という事が分かる。

30皿川画像・台風19号襲来前・後・とりあえず補修・本格改修中・

皿川の台風前、直撃状況、その後、現状が画像でわかるフォトアルバム

 

 

 

 


その3・飯山水害に関係する樋門・樋管について、飯山市とのバトルの記録

2021-10-03 03:29:17 | 日記

飯山市から公開された樋門・樋管の操作記録は以下の通りです。

1・樋門操作記録1(飯山市公開) : https://archive.fo/4Llh6

2・樋門操作記録2(飯山市公開) : https://archive.fo/PeSqm

 

§4、ポンプ場がらみの樋管・内水ゲートについて

次に注目すべきは4、のポンプ場内水ゲート : https://archive.fo/SlKLV でしょう。(注1

情報公開請求は「市街地の水没に関連した樋門・樋管の閉・開時刻は?」というものであったと思われますが、そうなりますと5、栄川樋管 は前のページで示しました様に「開きっぱなし」という回答になってしまいます。

事実、今回の回答でも13日の18時05分まで開きっぱなしでした。

そうなりますとこの2つの資料を見せられただけの人は「ああそうか、だから栄川樋管から千曲川の泥水がポンプ場を経由して市内に流れ込んできていたのだ」と解釈します。

しかし実際はポンプ場には内水ゲートがあり、ここが閉まっていると千曲川の泥水は市内には流れ込めない事になっています。

そうでありますから「樋門・樋管」ではありませんが「ポンプ場の内水ゲート」についてもその閉・開時刻を開示しておく必要が飯山市には在ったのです。

注1:内水ゲートと栄川樋管 : https://archive.fo/SlKLV :雨水排水ポンプ場と吐出漕、それから内水ゲートが上げられた状態の写真。道路の泥がまだ洗浄されていない状況である。内水ゲートをポンプ場の貯水池側から見るとこうなっている。: https://archive.fo/1WPiv : <--貯水池から栄川樋管に通じるトンネルと内水ゲート 貯水池の水位計がトンネル入り口の左側に写っている。 このトンネルが堤防下をくぐって千曲川側に通じている。そうしてそこにあるのが栄川樋管である。 : https://archive.fo/PXjv9 :<--栄川樋管と開いた状態のゲート。ここのゲートは閉じる必要がなく、いつも開きっぱなしでよいと飯山市は説明している。

 

この内水ゲートは12日の20時45分に閉められました。そうしてポンプ場の1号、2号ポンプの運転が始まったのです。

それで・樋門操作記録2(飯山市公開) : https://archive.fo/PeSqm :を見ますと「その何もしなくてもよい栄川樋管のはず」が「栄川樋管退避指示 *ゲート開」と「まるで操作をしたような書き方、しかも赤字で強調表示までされています」。 しかし実際は「何もしなくてもよい樋管ですから、樋門操作員は近寄りもしません」。そうすると「赤い字で強調表示された退避指示」とは一体何を意味するのでしょうか?

そんな風にして「情報開示要求を出した請求者に向かって」「ここは大事だぞ!よく見ろよ。」と市役所が意思表示する意味は何ですか?

そうしてまた同様の書き方が飯山樋管についてもされています。しかしここのゲートも開きっぱなしでOKですからいまさら退避する事はないのです。そうすると「赤い字で強調表示された退避指示」はまったく意味不明という事になります。

それでこの時の我々の認識は、といいますと「栄川樋管が開いていたので、そこから千曲川の水が市内に逆流したのであろう」と言うものでした。そうしますと飯山市が出してきた資料はまさに我々が想定していた状況を裏付けるもの、おまけに赤字強調までして教えてくれています。

どう思いますか、皆さん。「あまりにもできすぎの情報公開資料である」とは思いませんか?

事実、その様な公開された情報のみで飯山市に質問を出す、飯山市を問い詰めた、としましょう。飯山市は「待ってました」とばかりに、「内水ゲートが閉まっているから、千曲川の水は市内に逆流する事はない」と「得意げに説明する」でありましょう。(注2

そうしてその証拠として「ほらHPの説明をよく見てごらん」と言うのでした。

しかしながらこのHPの説明は実は後日になって市役所があわてて公開したものでした。(注3)

 

注2:「飯山市 令和 2年  6月 定例会(第372回) 06月16日-02号」から引用

『◆14番(山崎一郎) 
 ただいま説明ございました。
 実は、城山の排水ポンプが被災し機能が停止したときに、樋管を閉鎖しなかったから、千曲川が逆流したのが水害の要因だといううわさが流れているようでありますが、現場の状況を知らない間違いであると思いますが、市民に不安を与えかねないので、間違いであることをはっきり市民に伝えることが私は重要であると思いますが、状況をお聞きしたいと思います。

建設水道部長(村上透) 
 市街地排水路の樋管、樋門が開いていた状態について、まず市街地の排水の仕組みからご説明する必要がございます。
 市街地の雨水排水を担う水路の系統は2つあります。

 1つは、新町、上町や、本町、北町など、まちの中心部に降った雨水を排水する中央排水区であります。
これらの水路は全て城山雨水排水ポンプ場につながっております。

ポンプ場の仕組みは、まず、千曲川からの逆流を防ぐために、ポンプ場内にあるゲートを閉め、千曲川側にある栄川樋管を開けて排水を行います。
なお、ポンプが停止した状態においても逆流を防止する装置が装備されており、ここから千曲川の洪水が市街地に入ってくることはございません。

 もう一つは、上倉や奈良沢など市街地西側丘陵地に降った雨水を排水する飯山排水区であります。
この水路の出口は飯山樋管になっております。
排水の仕組みは、圧力管方式といいまして、千曲川の堤防の高さよりも高い場所で雨水を取り込んで、水位差で押し出す仕組みとなっております。
まちの中心部を通過する区間は管渠にて密閉されており、千曲川の水がまちの中心部に入ることはございません。

 以上、これらの樋管から千曲川の水が逆流し市街地に流れ込むことはありません。
 間違った認識や憶測による情報の拡散は、市民の皆さんの不安をあおぎ、誤解を招く危険性があります。

今回のこのようなうわさについては、否定させていただきます。
 なお、市街地の雨水排水の仕組みについては、市のホームページにて公表させていただいております。』(注3

 

それで今回の6月市議会が始まるのに合わせて、あるいはその最中にHPでその仕組みが公開された。これはまさに山崎市議の質問に「市役所として都合の良い回答をする為」としか思えないタイミングである。(注3

それまではこうした「ポンプ場の仕組み」については、一切が非公開だったのである。

そうしてこの事は本当に飯山市が「水防に関する情報の公開については不熱心である」という事を示している。

注3:飯山市から公開された資料は以下の3点。

飯山市街地雨水排水系統図

飯山排水区(圧力管)のしくみ 

中央排水区(城山雨水排水ポンプ場)のしくみ 

村上君は『市街地の雨水排水の仕組みについては、市のホームページにて公表させていただいております。』と言うように「随分と前から市のホームページにて公表している」様な言い方をしている。

だがグーグルによれば : https://archive.fo/WIzN2

『飯山市街地雨水排水系統図https://www.city.iiyama.nagano.jp › usuihaisui › keitouzu
2020/06/18 — 各排水区の排水方法. 飯山排水区(193ha)・・・圧力管方式(圧力管のしくみ); 中央排水区(221ha)・・・城山雨水排水ポンプ場からのポンプ ...』

であって、ホームページにアップしたのは6月18日になっている。それ以外の残り2つの資料もまた6月18日にアップした、とグーグルは言っている。

まあここは村上君の言う事を聞いておいたとしても「6月16日のこの答弁の直後に」「話を合わせる為にアップした」という様にしか見えない。

つまりそれまではこの3つの資料の内容については一般には公開されておらず、また一般の市議会議員にとってもそのことは例外ではなかったのです。


以上が「飯山水害に関係する樋門・樋管について、飯山市とのバトルの記録」となります。


追伸:実は飯山市が説明していない、情報公開していない栄川樋管のゲート操作があります。それは「開けっ放しでよいはずの栄川樋管のゲートを13日の18時05分に閉めた」と記録されている事です。このゲート操作については「何故その様にしなくてはならなかったのか」についての一切の説明は飯山市からありません。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

台風19号 飯山水害の検証報告・一覧

 

 

 

 

 

 

 

 

 


飯山市が否定したかった「うわさ」についての経緯

2021-09-27 09:29:38 | 日記

さて「栄川樋管が開いていたのが飯山水害の原因だ」という「うわさ」(?)が広まっていた、と山崎市議は言います。そうしてその事は飯山市も認識し、同意していた模様です。

と言うよりも、飯山市がまず「そのけしからんうわさ」を認識し、それを公の場で否定する為に山崎議員と相談した、と見るのが妥当でしょう。

そうして一般質問において山崎市議が質問し、飯山市がそのうわさを予定通りに見事に否定した、のでした。(詳細は4章に記述

さてそれで、飯山市が言う所の「けしからんうわさ」はどこからどうやって、何故、発生したのでしょうか?

まあそういう話をしてみたいと思います。

うわさの発生元:栄川樋管からの千曲川の逆流が疑われる

・その26-1・城山雨水排水ポンプ場のポンプ稼働状況と浸水深さについて検証した。2020-01-23 記事) 
『3号機を動かす必要がないにも関わらず動かしている。-->栄川樋管からの逆流が疑われる。
皿川からの氾濫水だけでは13日7時15分時点での飯山市の浸水状況は到底説明できない事がわかった。』

この記事が「栄川樋管からの逆流の疑い」を最初に指摘したものになります。

この記事の前提は市長の「一分間に110トンの水を排出できるポンプが3台動いていた」ので「市内の内水対策はできていた」という主張でした。

その主張をもとにすると13日の1時50分に「雨水の流れ込みだけでは動かす必要がない」にもかかわらず3番目の排水ポンプを動かしたのですが「何故動かしたのか」その事が説明できなくなります。

排水する水がないのに3番目のポンプは動かしません。

そうなると「雨水以外の3番目のポンプが排水する必要があった、出所不明の水」が必要になります。

その第一候補として「栄川樋管からの千曲川の逆流」を指摘したのでした。

ちなみにこの時刻では皿川は越水しておらず、従って皿川からの氾濫水の影響を考える必要はありません。

そうしてまた、この時点では「栄川樋管は当然、閉じられているもの」という認識で、ポンプ場からのポンプアップされた排水は広井川樋門にある様に「堤防を貫いている排水管による」と想定していました。(注1

注1:広井川ポンプ場の排水吐出菅群 : https://archive.fo/jR65B :この吐出菅は堤防天端より少し下で堤防を貫いて千曲川側に出口がある。ポンプアップされた水はそこから千曲川に排出される。:・広井川ポンプ場 排水管群 : https://archive.fo/SqmnF

この辺りの状況は排水ポンプ車での排水の状況と似ているが、排水ポンプ車の場合とは違って堤防道路上には排水管は露出していない為、通行止めの必要はない。

他方で城山のポンプ場の巨大な排水管は地下にもぐりこんでいる。:吐出菅(拡大) https://archive.fo/ZoWyM :飯山市からのポンプ場についての情報公開があるまでは我々はこの排水管が堤防地下を通って千曲川側に出口を持つものと考えていた。

飯山市街地の水没に関係がある全ての樋門・樋管についての情報公開請求

上記の2021/1/23のブログ記事よりも前に「飯山市街地の水没に関係がある全ての樋門・樋管についての情報を公開せよ」という指摘はすでに大家さんによって行われています。

『・千曲川の樋管や樋門の閉・開時刻を明らかにすることが今後に生かす道〜台風19号内水氾濫
2019-12-10  : https://archive.fo/G6YTb :https://ameblo.jp/mto193914/entry-12554967806.html?frm=theme :市街地への内水氾濫が、皿川からの氾濫だけだったとは思われません。
⑴静間樋管
⑵飯山城南樋管
⑶飯山樋管
⑷栄川樋管
⑸皿川樋門
⑸有尾樋管
などが何時に閉じられ、何時に開けられたのかを明らかにするとともに、そのことにより内水の氾濫があったのかどうかを早急に明らかにしていただきたいと思います。』

上記のブログの指摘や「栄川樋管がどうであったのか、知りたい」という事があり、H氏が飯山市に対してこの件について情報公開請求をしました。

これは令和2年3月31日日付で請求:令和2年4月23日付けで飯山市から回答されました。

その報告が以下に示す2つの記事になりました。

・千曲川樋門樋管ゲート開閉状況(市街地)という文書があります~情報公開開示文書
2020-05-30  : https://archive.fo/SbbTB 

・樋門・樋管閉会操作一覧表~栄川樋管2時、飯山樋管は2時30分に~ゲートを開けて退避したと記述!
2020-05-31  : https://archive.fo/u2CUw 

こうして我々は5月30日をもってようやくにして「飯山市街地の水没に関係がある全ての樋門・樋管のゲートの閉・開時刻の情報」を入手するに至ったのでした。

ちなみにこのような「情報公開請求活動」のほかに「現地調査活動」も忘れてはいけません。

4月中の精力的な調査活動によって栄川樋管が閉じられた形跡がない事をつかみました。これが次の記事につながります。

・その27-1・栄川樋管も開きっぱなしであった。 :2020/05/13記事:栄川樋管が開いていたのが皿川氾濫とならんで飯山水害のもう一つの原因、としている。

そうして実はこの情報はマスコミにも流されました。

それから5月30日時点での大家さんブログ記事によって「飯山市も栄川樋管が開いていた事を認めている」という情報が公開されたので、その情報も上記結論を補強する追加情報として30日にマスコミに流されました。

これらの情報を得たマスコミはその真偽を確かめるべく市役所を取材したと思われます。

その取材結果が6月4日にマスコミから報告がありました。

『・・・そして栄川樋管についてですが、わたしの取材に基づく理解では

 栄川樋管は堤防の内側と外側の2つあり、大雨が降った場合、

 内側の樋管とは閉じて、城山雨水排水ポンプを稼働して千曲川に排水する。
その際、排水は外側の樋管を通って千曲川に流れるため、外側の樋管は開けている。

 つまり、大雨で内水を排除する必要がある場合、栄川樋管は内側を閉じ、外側は
開けている、というのが通常で、内側も外側も両方とも開いていない限り、問題は
ないのではないでしょうか。

 理解が間違っていたり、新たな情報があれば教えて下さい。・・・』

この情報には驚きました。

広井川のポンプ場に見る様に「通常は樋門・樋管のゲートは千曲川からの逆流を防ぐために閉じて、そうしてそれとは別に排水ポンプでポンプアップされた水は排水管により千曲川に戻される」とそう思い込んでいましたから。

そうであればマスコミから報告を受けた6月4日の段階では「その可能性を認めながらも、その情報については確証はもてない」という状況でした。

飯山市からの非公式な情報開示と公式な情報開示

さてそのようなマスコミからの取材を受けた(と思われる)市役所も驚いたのでしょう。

樋門・樋管のゲートについての情報公開は4月23日付けでしたものの、それについては6月市議会の一般質問で答えればよい、としていたところにマスコミからの取材がありました。

それで「これ以上、騒ぎを大きくしてはいけない」ということになり「この騒動の火消しに入った」という訳です。

・「ときでん」周辺~10月13日午後5時近くに最高浸水深~標高315・8mまで上昇~洪水発生源は~
2020-06-05  : https://archive.fo/cigGj :https://ameblo.jp/mto193914/entry-12601517922.html?frm=theme :市内水位の経過写真あり:

栄川・飯山樋管の開け放しによる逆流?
さらに、情報公開により明らかにされた、栄川樋管・飯山樋管ゲートが閉められず、開け放しにされていたことや、栄川樋管ゲートが13日夕方18時05分まで閉じられなかったこと。

併せて、城山雨水排水ポンプ場ポンプ水没による機能停止により排水できなくなったことにあると思われます。

情報公開と水害の原因の検証を!

飯山市は、皿川の越水や栄川の逆流についての正確な情報は、水害から7ヶ月以上経過するのに何も明らかにしていませんし、全面的な検証もしていません。

新事実判明 :栄川樋管は城山雨水排水ポンプ場起動時は全開。飯山樋管は常時全開

つまり、最初から閉める予定のない樋管だったことが、飯山市市街地雨水排水系統図に記されていることが判明しました。

ということは、情報公開により開示された文書の中に記されている「皿川樋管」と「飯山樋管」が開かれたまま、操作員が退避したことは予定通りの行動ということになります。

ゲートを全開したままで、逆流が起きないということはよく理解できないところです。

皿川樋門は閉じられていて、栄川樋管・飯山樋管は全開でも逆流しないとしたら、13日午後5時頃に、「ときでん」付近で、最高浸水深になり、太い丸太が遠くまで流れる流速の水は一体どこから来たのでしょうか。

しっかりと原因を究明して教えて欲しいと思います。

この記事で注目すべきは何と言ってもこの画像です。

・飯山市からの非公式情報と思われる 雨水排水系統図 : http://archive.fo/KMO2T :あるいは栄川樋管が千曲川洪水でも開きっぱなしの理由(通常は市街地の内水を千曲川に排出するために開いている。そうして千曲川洪水時にはポンプアップされた水を排出するために開いている。つまり、「いつも開いている」という説明。)

このダブルクリップで挟まれた「雨水排水系統図」の資料6月4日にどこの誰が大家さんの所に持参し、内容を説明したのでしょうか?(注2

ちなみに資料整理がよい大家さんが保管されていた「雨水排水系統図」はこれです。

・雨水排水系統図 : https://archive.fo/QZGdk

その資料には飯山排水区の圧力管排水の記述はあるものの、中央排水区の城南樋管と栄川樋管のゲート操作の記述はありません。

まあしかしながら、これだけの資料を保管されていた、という事だけでも「大家さんの仕事は十分であった」と言えるでしょう。

さてそれで、後日に至りて(6月18日)ネットにアップされた飯山市が公開した資料はこれです。

・飯山市HP記載 雨水排水系統図 : https://archive.fo/Mfb18

最初に大家さんの所に持ち込まれた資料よりは情報がはぶかれていますが、城南樋管の運用方法については大家さんが所持していた「かつての公開資料」にはなく、その部分は追記した模様です。

そうして、飯山樋管と栄川樋管について、上記雨水排水系統図ではぶかれた情報はそれぞれページを改めて分かりやすく解説したものがHPにアップされました。(6月18日

・飯山樋管が洪水でも開きっぱなしの理由 : https://archive.fo/v8iwE

・中央排水区(城山雨水排水ポンプ場)のしくみ : https://archive.fo/db83r

さてそういう訳で上記の「大家さんの所に持ち込まれた資料」は確かに市役所が持っていた資料である、と確認できるのでした。

そうして又6月5日の時点で公開された「市役所からの非公式な雨水排水系統図」によって前日の6月4日にマスコミから当方にもたらされた情報が「確かなものであった」という事が確認できたのです。

注2:大家さんブログ記事自体のアップロードは6月5日になっていますが、この記事を書き上げたのは一日前の4日であって、アップロードそのものは5日の早朝に行われています。

つまり「4日に誰かが大家さんの所を資料を持って訪ねて説明した。その際にその資料の写真は許可された。」という事になります。

そうしてまた4日という日付はマスコミが当方に取材の結果報告をしてくれた日でもあります。

市議会でうわさを否定する市役所の担当者(6月16日)

「栄川樋管が開いていたのが飯山水害の原因だ」という「うわさ」(?)を飯山市が否定する為の質問をする山崎市議

「飯山市 令和 2年  6月 定例会(第372回) 06月16日-02号」から引用

『◆14番(山崎一郎) 
 ただいま説明ございました。
 実は、城山の排水ポンプが被災し機能が停止したときに、樋管を閉鎖しなかったから、千曲川が逆流したのが水害の要因だといううわさが流れているようでありますが、現場の状況を知らない間違いであると思いますが、市民に不安を与えかねないので、間違いであることをはっきり市民に伝えることが私は重要であると思いますが、状況をお聞きしたいと思います。

建設水道部長(村上透) 
 市街地排水路の樋管、樋門が開いていた状態について、まず市街地の排水の仕組みからご説明する必要がございます。
 市街地の雨水排水を担う水路の系統は2つあります。

 1つは、新町、上町や、本町、北町など、まちの中心部に降った雨水を排水する中央排水区であります。
これらの水路は全て城山雨水排水ポンプ場につながっております。

ポンプ場の仕組みは、まず、千曲川からの逆流を防ぐために、ポンプ場内にあるゲートを閉め、千曲川側にある栄川樋管を開けて排水を行います。
なお、ポンプが停止した状態においても逆流を防止する装置が装備されており、ここから千曲川の洪水が市街地に入ってくることはございません。

 もう一つは、上倉や奈良沢など市街地西側丘陵地に降った雨水を排水する飯山排水区であります。
この水路の出口は飯山樋管になっております。
排水の仕組みは、圧力管方式といいまして、千曲川の堤防の高さよりも高い場所で雨水を取り込んで、水位差で押し出す仕組みとなっております。
まちの中心部を通過する区間は管渠にて密閉されており、千曲川の水がまちの中心部に入ることはございません。

 以上、これらの樋管から千曲川の水が逆流し市街地に流れ込むことはありません。
 間違った認識や憶測による情報の拡散は、市民の皆さんの不安をあおぎ、誤解を招く危険性があります。

今回のこのようなうわさについては、否定させていただきます
 なお、市街地の雨水排水の仕組みについては、市のホームページにて公表させていただいております。』(注3

コメント:山崎市議は「普通はそこまでは知る事がない」ポンプ場の仕組みについて詳細を知っていた模様です。

何故普通は知る事が出来ないのか、といえばもちろん「今までは市役所はポンプ場の仕組みについては一般市民に対して一切、情報公開をしてこなかったから」なのです。

そうであれば山崎市議が言う「現場の状況を知らない間違い」というのはそれはそれで一応はスジが通る主張ではあるが、他方で「市役所が情報公開をしてこなかった」という事も同時にまた山崎市議は指摘するべきです。

そうしてまた山崎市議が理解すべき事は、今回こうした指摘が市民からあったがゆえにようやく市役所は雨水排水ポンプ場の仕組みをHPで公開した、という事です。

さてそうであれば、「現場の状況を知らない間違いである」と市民からの指摘をバカにするような事を言うのは正当な事ではありません。

くわえて村上くんも『間違った認識や憶測による情報の拡散は、市民の皆さんの不安をあおぎ、誤解を招く危険性があります。』というような「上から目線で否定的な事」を言う前に、自分達がやってきた秘密主義の態度、「ポンプ場という水防上重要な設備についての説明を一切公開してこなかった」と言うやり方について猛省すべきなのである。

それで今回の6月市議会が始まるのに合わせて、あるいはその最中にHPでその仕組みが公開された。これはまさに山崎市議の質問に「市役所として都合の良い回答をする為」としか思えないタイミングである。(注3

それまではこうした「ポンプ場の仕組み」については、一切が非公開だったのである。

そうしてこの事は本当に飯山市が「水防に関する情報の公開については不熱心である」という事を示している。

注3:飯山市から公開された資料は以下の3点。

飯山市街地雨水排水系統図

飯山排水区(圧力管)のしくみ 

中央排水区(城山雨水排水ポンプ場)のしくみ 

村上君は『市街地の雨水排水の仕組みについては、市のホームページにて公表させていただいております。』と言うように「随分と前から市のホームページにて公表している」様な言い方をしている。

だがグーグルによれば : https://archive.fo/WIzN2

『飯山市街地雨水排水系統図https://www.city.iiyama.nagano.jp › usuihaisui › keitouzu
2020/06/18 — 各排水区の排水方法. 飯山排水区(193ha)・・・圧力管方式(圧力管のしくみ); 中央排水区(221ha)・・・城山雨水排水ポンプ場からのポンプ ...』

であって、ホームページにアップしたのは6月18日になっている。それ以外の残り2つの資料もまた6月18日にアップした、とグーグルは言っている。

まあここは村上君の言う事を聞いておいたとしても「6月16日のこの答弁の直後に」「話を合わせる為にアップした」という様にしか見えない。

つまりそれまではこの3つの資料の内容については一般には公開されておらず、また一般の市議会議員にとってもそのことは例外ではなく、ただ山崎議員は「特別な思いがポンプ場にある為」にその詳細情報を知っていた、と言うのが事実でしょう。

この騒動の本当の起点はどこなのか?

さて、以上みてきた経緯がこの騒動のすべてです。

そうしてこの騒動の起点は、といえばもちろん足立市長の「一分間に110トンの水を排出できるポンプが3台動いていた」ので「市内の内水対策はできていた」という主張である。

この足立市長の発言を基にすれば、どうしたって13日の1時50分に「雨水の流れ込みだけでは動かす必要がない」にもかかわらず3番目の排水ポンプを動かした事が説明できなくなり、そこには「雨水以外の3番目のポンプが排水する必要があった、出所不明の水」が必要になります。(注4

そうしてまた令和2年4月23日付けで飯山市から回答された栄川樋管についての情報でも、さらには4月中に行われた現地調査の結果でも「栄川樋管のゲートは開いていた事」が確認できました。

そうであれば5月30日の時点では「栄川樋管から千曲川の水が逆流してポンプ場の貯水池に入り込んだ」、「従って13日の1時50分に3台目のポンプを稼働させる必要があった」という結論に至るのは合理的な事であります。

従いまして「栄川樋管が開いていた事が飯山市街地を泥水の中に沈めた、皿川氾濫とはべつのもう一つの原因である」という記事が投稿されるのは当然の成り行きとなります。

それに対してマスコミまで巻き込んでその様な情報がこれ以上拡散する事を嫌がった飯山市が手をうち始めたのが6月4日となります。

それでその仕上げが6月16日の市議会での山崎議員の質問とそれに答えた建設水道部長の村上君の答えでした。

村上君はこう言いました。

間違った認識や憶測による情報の拡散は、市民の皆さんの不安をあおぎ、誤解を招く危険性があります。

今回のこのようなうわさについては、否定させていただきます。

間違った認識よる情報の拡散」とは足立市長が公の場所で発言した一分間に110トンの水を排出できるポンプが3台動いていた」ので「市内の内水対策はできていた」という主張のことです。

そうして市長のこの「間違った認識よる情報の拡散」行為によって「我々市民は見事に誤解に導かれ」「混乱させられる状況」になったのです。

そうであれば村上君が否定しなくてはならないうわさ」、「デマこの「一分間に110トンの水を排出できるポンプが3台動いていた」ので「市内の内水対策はできていた」という足立市長の発言そのものなのであります。

注4:この件についての内容詳細は以下の記事を参照願います。

22・「城山の雨水排水ポンプ場は能力不足」の1 :

『2、ポンプ場に流入する雨水が増えてもいないのに、何故3台目のポンプを動かす必要があったのか?

実は1時50分の時点ではそれまでよりもポンプ場に流入する雨水の量は減っていました。にもかかわらずポンプ場貯水池の水位は上昇を続け、つまりは2台の排水ポンプを稼働させただけでは排水量が足りず、したがってポンプ場の担当者は3台目のポンプを稼働させることになったのです。

ほほう、何故そんな事になるのですか?千曲川の水位が上昇した為です。・・・』

23・「城山の雨水排水ポンプ場は能力不足」の2 :

『・・・当初我々は「それはどこからかは知らないが雨水のほかに排水ポンプが排除しなくてはならない水が貯水池に流れ込んできたためだ」と推測しました。(注3)これは市長の「1台あたり1分間に110トンの排水能力をもつ排水ポンプだ」という主張を鵜呑みにした結果でした。

しかしながら市長のこの発言・主張は千曲川の水位上昇の影響を排水ポンプが受ける事を無視した「お話にならない主張だった」のです。

事実はと言えば「1時50分のタイミングでは2台の排水ポンプが動いていたにも関わらず貯水池の水位は上昇し続け、あふれ出すまであと50センチを残すほどにまでなっていた」のです。・・・』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

台風19号 飯山水害の検証報告・一覧

 

 


その2・飯山水害に関係する樋門・樋管について、飯山市とのバトルの記録

2021-09-20 03:53:14 | 日記

飯山市から公開された樋門・樋管の操作記録は以下の通りです。

1・樋門操作記録1(飯山市公開) : https://archive.fo/4Llh6

2・樋門操作記録2(飯山市公開) : https://archive.fo/PeSqm

まずおかしいと思ったのは「なぜカラーコピーで情報を出すのか?」という事です。

通常は「情報は公開したくないのだが、請求があったから仕方なく白黒コピーしてあげる」と言うのが常道です。そうして「公開したくない部分は墨で塗りつぶす」のでした。

所がおかしな事に飯山市はわざわざカラーコピーして「ここは大事な所だから、情報請求者はよく読むように」と黄色と赤で明示してきました。

さて「墨で塗りつぶす事」はよくありますが「黄色と赤で明示してくる事」は非常に珍しい事です。

何か目的がなければやりませんよね、普通は。まるで「この部分はお前たちが欲しがっている情報だから、ちゃんと食いつくように」そうして「ちゃんと釣られる様に」とでも言わんばかりの有様です。

そうして又飯山市がこの情報公開請求まえに「このような樋門・樋管の閉・開時刻をまとめた原本書類をもっていたかどうか」、それは非常に怪しいのです。この文書は「まるでこの情報公開請求に合わせて急いで作りあげた」かのような文章ですからね。

といいますのも「そのような情報をまとめた文書は市役所には存在しない」という回答を請求者に出した場合は、「そのような回答をする事自体が問題である」と市議会で責められることになるのが目に見えていたからです。

そんな風に市議会で責められた後でしぶしぶ調べて情報を出すよりは「前からこうして市役所は樋門・樋管の閉・開時刻はつかんでいて、資料としてまとめてある」とした方がマシであると判断した様にみえます。

しかしながらそうやって情報を公開した事によって「市役所にとっては不都合な事実」が次々に判明する事になります。


§1静間樋管と有尾樋管について

さてそれはさておき操作記録1に注目するならば1、静間樋管 と 7、有尾樋管は同じ様な「排水樋管」ですが、1、の方は「操作担当」として「消防団第一分団」とされ、その下に誰かの個人名が書かれていたのか、その部分は墨塗りになっています。

しかしながら7、の方は「消防団第一分団」とだけ記されその下には委託された個人名が記されていなかったのか、墨塗りされていません。なぜでしょうか?

そうなると1、の墨塗りされた部分の下には本当に個人名が書かれていたのかどうか、怪しくなります。単に黒く塗ってそれらしく見える様にしたのでしょうか?

ちなみに飯山市が公開している別の資料によれば1、7、ともに操作担当は「消防団第一分団長」と明示されています。(注1


さてそれで、有尾樋管のゲートを閉じた時刻を見ますれば

『10月13日 10時00分   有尾樋管のゲート 閉』となっています。

これは言い換えますと13日の10時までは有尾樋管は開きっぱなしでそこから千曲川の泥水が有尾区側に流れ込んでいた、という事になります。

つまり「有尾区には有尾樋管開きっぱなしによる外水氾濫があった」という事を飯山市が認めているのです。

だがこの事実はプレス発表の文書には出てきません。10月17日に発表された第一報にはこの事実は記入されてはいないのです。

何故でしょうか?

有尾区は飯山市街地ではない、とでもいうのでしょうか?

市役所は第一報を出す時点では「後日に至りてこのような情報公開請求がある」とは想定しておらず、この事実は隠しおおせると考えたものと思われます。

そうであればこれは「自分達にとって不都合な情報は出さない」という、明らかな「情報隠ぺい工作」でありましょう。


次に静間樋管についてです。

 『10月12日 23時00分  静間樋管のゲート 閉』

前述したように有尾樋管と静間樋管は消防団・第一分団長が閉める事になっていました。

そうして静間樋管を12日の23時に閉めた分団長は何故その足で有尾樋管に向かい、ゲートを降ろさなかったのでしょうか?

有尾樋管のゲートは第一分団長が「閉め忘れた」為、有尾区では浸水被害が発生しました。

静間樋管を12日の23時に閉めた分団長が有尾樋管の事を忘れていた?

いや、とてもその様な事は考えられません。

この樋管を閉めたら次は有尾樋管だ」と普通に意識できるはずですからね。

この事についての飯山市の言い訳は「その頃に市内に出水があり、第一分団長はそのために忙しかった」ので「有尾樋管には13日の10時まで行けなかった」という「とても信じられない説明」を堂々と市議会でしています。(追記1

だが「事実は」といえば、「この時刻には飯山市街地のどこにも浸水被害は発生してはいない」と言うものです。

そうしてもう一つの事実は、といえば「静間樋管は開けっ放しだった」と言うものです。(注2

実は消防団・第一分団長は静間樋管を閉めてはおらず、従って「その足で有尾樋管に向かう事」はできなかったのでした。


§23、飯山樋管 5,栄川樋管 6、皿川樋門 について

この情報公開文書が提示されるまではこの3つの樋門・樋管の操作を委託されている方々は「河川事務所に飯山市が推薦した消防団員であろう」という推測はできていました。(注3

しかしながら、その事を確定するまでには至っていませんでした。

しかしながらこの推測について「それらは2名の消防団員に委託されている」と飯山市が公開した資料には書かれており、そのことは「上記の推測が正しかった」という事を教えてくれているのでした。

ちなみにこの3つの樋門・樋管は同じ2名に委託されていますので、墨塗りされた部分の下に本当に個人名が書かれていた、としたら同じ名前が3回出てくることになります。


さてそうではありますが、3、飯山樋管 および5、栄川樋管 につきましては「通常は開きっぱなし、台風襲来の折にも開きっぱなしでよい樋管である」と飯山市が後日に至りてその様に説明しました。

つまり「委託樋門操作員はこの2つの樋管のゲート操作をすることはない」と飯山市は言ったのです。(注4

しかしこの時点では飯山市は操作記録2 にあるように、「この2つの樋管のゲートも操作対象である」かのように赤字表示にまでして報告しています。

そうであれば大家さんブログにおいて

・樋門・樋管閉会操作一覧表~栄川樋管2時、飯山樋管は2時30分に~ゲートを開けて退避したと記述!
2020-05-31  : https://archive.fo/u2CUw 

『5  10月13日 2時00分
    栄川樋管操作員に退避指示が出され ゲートが開けられました。
   ※栄川樋門の管理者は国土交通省 
   飯山観測所の2時の水位は8・86m ※飯山水位観測所計画高水位10・42m   
6  10月13日 2時30分
   飯山樋管操作員退避指示が出されmゲートが開けられました。
    ※飯山樋門の管理者は国土交通省』

と書かれる事になります。

しかしながら実際は「樋門操作員はこの2つの樋管のゲートには何もしてはいない」のです。

何もしなくてもこの2つの樋管は「ゲートは開きっぱなしで正常」なのですから。

さあそうなりますと「河川事務所と操作委託契約をし、それなりの給与を支給されていた2人の消防団員」は上記2つの樋管で一体何の仕事を委託されていたのか、非常に疑問になります。

河川事務所は「何もしなくて良い樋管にゲート操作の為の操作員を配置して委託料を払う必要はない」ように思われます。

まあそういう訳で、こんにちに至りましては上記2つの「何もしなくてもよい樋管」の委託先は飯山市に変更される事になりました。(注5


§3城南樋管について

城南樋管は雨水排水系統図にある様に通常時は中央下水路で集められた雨水を千曲川に排水するための樋管です。

・飯山市HP記載 雨水排水系統図 : https://archive.fo/Mfb18

但し千曲川の水位が上昇した際にはこの樋管を閉じて、そこに集められた市内の雨水はポンプ場に送られる事になります。(通常は樋管が開いているので雨水はポンプ場にはいかない様になっています。)

今回、台風19号襲来の折にはこの樋管ははやばやと市職員の手で閉められ、そこに集まった水はポンプ場におくられ、ポンプ稼働前においても栄川樋管から排出されていました。・・・・以降はその3に続く。

 

注1:地域防災計画 第7編 資料編(資料1~資料3)  参照願います。

地域防災計画の電子データ (令和3年3月10日改訂版)
第7編 資料編(資料1~資料3)  (PDF形式:2,833KB)

P92 「3-9 水防上重要な水門 ダム」を参照
名称     位置      管理者    操作担当者     操作の基準
 静間樋管 飯山市 大字静間 飯山市 (道) 飯山市消防団 第1分団長 操作規程による 
 飯山城南 樋管 飯山市大字 飯山字上町 飯山市 (ま) 飯山市 まちづくり課 〃
 飯山樋管 飯山市 大字飯山 国土交通省 飯山市 まちづくり課   操作要領による 
 栄川樋管 飯山市 大字飯山 国土交通省 飯山市 まちづくり課   操作要領による 
 皿川樋門 飯山市 大字飯山 国土交通省 中野出張所       操作要領による
 有尾樋管 飯山市 大字飯山 飯山市 (農) 飯山市消防団 第1分団長 操作規程による

但し管理者が、飯山市 (道)=道路河川課、飯山市 (農)=農林課、飯山市 (ま)=まちづくり課、:操作担当者が 中野出張所とある所は実際は出張所職員が操作をするのではなく「河川事務所と個人が操作委託契約をして、その人が操作を行う」。

ちなみに
宮沢川樋門 飯山市 大字蓮 国土交通省 中野出張所 操作要領による

注2:この件詳細につきましては以下の記事を参照願います。

・その34-1・県町区の氾濫は皿川からの氾濫水による内水氾濫ではない。

・その34-2・県町区の氾濫は静間樋管を逆流した千曲川からの氾濫水による外水氾濫である。

・その34-3・さて「台風19号での静間樋管での氾濫は3回目である」という証言を得ている。

注3:この件詳細につきましては以下の記事を参照願います。

・その10-2・千曲川河川事務所と電話で話したよ。

注4:飯山市 令和 2年  6月 定例会(第372回) 06月16日-02号 を参照します。

『◎建設水道部長(村上透) 
 市街地排水路の樋管、樋門が開いていた状態について、まず市街地の排水の仕組みからご説明する必要がございます。
 市街地の雨水排水を担う水路の系統は2つあります。

 1つは、新町、上町や、本町、北町など、まちの中心部に降った雨水を排水する中央排水区であります。
これらの水路は全て城山雨水排水ポンプ場につながっております。

ポンプ場の仕組みは、まず、千曲川からの逆流を防ぐために、ポンプ場内にあるゲートを閉め、千曲川側にある栄川樋管を開けて排水を行います。
なお、ポンプが停止した状態においても逆流を防止する装置が装備されており、ここから千曲川の洪水が市街地に入ってくることはございません。

 もう一つは、上倉や奈良沢など市街地西側丘陵地に降った雨水を排水する飯山排水区であります。
この水路の出口は飯山樋管になっております。
排水の仕組みは、圧力管方式といいまして、千曲川の堤防の高さよりも高い場所で雨水を取り込んで、水位差で押し出す仕組みとなっております。
まちの中心部を通過する区間は管渠にて密閉されており、千曲川の水がまちの中心部に入ることはございません。』

上記の説明から分かる様に、栄川樋管および飯山樋管は台風襲来の折であっても開けっ放しでよい、と飯山市は言っています。

ただし、栄川樋管はポンプ場の内水ゲートを閉めてポンプが稼働し、栄川樋管から市内の水が排水されている事が条件になります。

その条件が満たされない場合は、栄川樋管は閉じる必要があります。<--この部分、上記の村上君の説明とは異なりますが、台風19号襲来の折には栄川樋管は実際にそのように操作されていました。

注5:上記注1で示した「地域防災計画 第7編 資料編 3-9 水防上重要な水門 ダム」の記述は、台風19号襲来の時点では 飯山樋管 栄川樋管ともに操作担当者は 中野出張所 となっており、つまり「飯山市内の消防団員に委託されていた」のでした。

その事は1・樋門操作記録1(飯山市公開) : https://archive.fo/4Llh6 :を確認すれば分かる事でもあります。

しかしながら 令和3年3月10日改訂版 においては注1で示した様にその2つの樋管は両方ともに飯山市に委託されるように変更がかかりました。

 

追記1:2023/4:静間樋管と有尾樋管に対する飯山市の回答から分かる事は「飯山市が管理責任を持つこの2つの樋管について、実は飯山市は何も管理していなかった」という事実です。

そうしてもちろん「水防の基本」は「閉めるべき樋門・樋管は作業手順書に従って千曲川の水位が所定の値になったら閉めて排水ポンプを稼働させる」というものです。

しかしながら飯山市はこの2つの樋管につては事実としてその様な対応をしていませんでした。

さてこの事は一体何を意味するのでしょうか?

飯山市の水防対策本部は飯山市内にある十数か所の樋門・樋管について、自分自身が管理責任があるものを含めて「台風19号襲来の折にそれらの樋門・樋管が閉じられていたかどうかを確認していない」という事を表しています。

それはつまり「水防対策の基本中の基本が飯山市はできていない」という事をはっきりと表しているのです。

そうであれば市内各所に於いて千曲川の水が氾濫したのも「むべなるかな」と言うものであります。

そうしてまた恐ろしい事に「今日に至っても飯山市がこの水防の基本中の基本がやれるのかどうか、はっきりとしていない」という所にあるのですよ、江沢さん

ちなみに「水防の基本を行う事」は「危機管理監がいなくてもどこの自治体でもやっている、普通に出来る事」であります。

したがって「それがやれていない飯山市はおかしい」のですよ、江沢さん

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

台風19号 飯山水害の検証報告・一覧

 


その1・飯山水害に関係する樋門・樋管について、飯山市とのバトルの記録

2021-09-13 01:53:18 | 日記

まずはここから話を始めましょう。

皿川が氾濫して飯山市街地が泥水の中に沈んだ。その最初の報告が10月17日に出された(プレスリリース 第一報)飯山市
令和元年台風19号台風関連災害経過報告 令和元年 10 月 17 日午後 4 時現在 : https://www.city.iiyama.nagano.jp/assets/files/senryaku/press/1017iiyama.pdf : になります。

この中で飯山市は 7.樋門、ポンプ等 として

 10 月 12 日(土)午前中 木島坂井樋門 閉鎖確認
 午前中 小沼中島樋門 閉鎖
 14:30 木島第 1・第 2 排水機場 運転開始
 19:17 木島雨水排水ポンプ場 1 号機運転開始
 20:30 戸那子樋門閉鎖(ポンプ稼働中)
 20:35 御立野排水路ゲート 閉鎖
 20:40 御立野排水路ポンプ 稼働
 20:50 城山雨水排水ポンプ場 1 号機運転開始
 21:00 城山雨水排水ポンプ場 2 号機運転開始
 21:00 彦四郎排水ポンプ(3 台)稼働
 22:05 広井川ゲート 閉鎖 ポンプ 稼働
 10 月 13 日(日) 2:00 頃 皿川樋門(国管理、委託管理者から2:00 に閉鎖したとの報告があり) 

と報告しています。

さてそれで、上記記述の中で飯山市街地の水没に関連した部分はどこでしょうか?

20:50 城山雨水排水ポンプ場 1 号機運転開始
 21:00 城山雨水排水ポンプ場 2 号機運転開始
 ・・・
 10 月 13 日(日) 2:00 頃 皿川樋門(国管理、委託管理者から2:00 に閉鎖したとの報告があり)

これだけです。
それ以外の記述は飯山市街地の水没にはまったく関係ありません。

最も被害が大きく、最も重要視しなくてはならない場所について、それに関連する「樋門、ポンプ等」の報告としては「全く情報が不足している」あるいは「意図して情報を隠ぺいしている」とさえ言われかねない状況です。(注3

実際には飯山市街地の水没に関係をもつ樋門・樋管の数は6つあります。
その中で上記報告で言及されているのは皿川樋門、ただ一つだけというありさまです。
それ以外の残り5つの樋門・樋管についてはまったく書かれていません。
そうして、飯山市との「樋門・樋管についての情報公開の戦い」は全て、ここから始まったのでした。

まずは河川事務所に対して「皿川樋門を閉じた時刻は分かったが、それでは何時に再び開けたのか?」と尋ねました。ところが一向に答えがかえってきません。何度かコトバを変えて要求したのですが、無視され続けました。そんな事を一か月間ほどやっていたでしょうか。(注1

仕方がないので飯山市にも「皿川樋門のゲートを開けた時刻を公開せよ」と要求したのですが、こちらにも無視されました。

おかしいですよねえ。閉めた樋門ゲートは再び開けなくてはなりません。そうして実際に樋門を閉めたのならまた開けなくてはならず、そしてその時刻については樋門操作員から河川事務所に報告を上げる事になっています。そうであれば河川事務所は樋門ゲートを再び開けた時刻を答える事に何の問題もないはずですが、、、。

しかし一向に答えは返ってきません。まるでそこには「答えることが出来ない秘密があるのだよ」と教えてくれているかの様でした。(そうして実際、とんでもない秘密が隠れていました。)

それでその様にして「樋門・樋管の閉・開時刻が重要である」と考えたのは当方だけではありませんでした。

・千曲川の樋管や樋門の閉・開時刻を明らかにすることが今後に生かす道〜台風19号内水氾濫
2019-12-10 : https://archive.fo/G6YTb : 

『・・・市街地への内水氾濫が、皿川からの氾濫だけだったとは思われません。
⑴静間樋管
⑵飯山城南樋管
⑶飯山樋管
⑷栄川樋管
⑸皿川樋門
⑸有尾樋管
などが何時に閉じられ、何時に開けられたのかを明らかにするとともに、そのことにより内水の氾濫があったのかどうかを早急に明らかにしていただきたいと思います。』

まあしかしそれでも飯山市と河川事務所は無視し続けたのです。

それでこの事態が動いたのは12月25日でした。

・外水位6・23m、内水位6・43m時点で皿川樋門を閉じ退避〜退避時点で市役所等に連絡〜
2019-12-25  : https://archive.fo/cHyH4 

『皿川樋門の台風19号の樋門操作記録が明らかになりました。
樋門操作記録は、日立市にお住いのMさんが、情報公開により入手されたものです。・・・

操作の際に行った通知の状況 飯山市役所および樋門周辺区の区長へ連絡
ゲートの操作状況等 10月13日1時44分 1号ゲート・2号ゲート閉操作
          外水位 6・23m 内水位 6・43m 
                              10月13日15時30分 1号ゲート・2号ゲート開操作
          外水位 6・38m 内水位 6・40m 
なお、令和1年10月28日報告   報告受理年月日 令和1年11月  1日となっています。・・・』

こうして我々はようやくにして河川事務所が主張する所の皿川樋門の閉・開時刻を知る事になったのです。

ちなみに11月1日にこの情報を樋門操作員から河川事務所が受理していたなら、簡単に当方の質問に答える事が出来たはずですが、河川事務所はそのようにはしませんでした。どうしてでしょうか? 本当に不思議です。

本当に台風19号襲来の折に樋門を閉めて、そうしてまた開けたのなら、また本当に10月28日に樋門操作員が報告書を書いて11月1日河川事務所がそれを受理していたのなら、「樋門を開けた時刻を回答する事には何の問題もないはず」でした。

さてこうして皿川樋門については一応、河川事務所からの回答を得ることが出来たのですが、それ以外の残り5つの樋管については未だに何の情報開示もありませんでした。

それで次はH氏の出番となります。

・千曲川樋門樋管ゲート開閉状況(市街地)という文書があります~情報公開開示文書
2020-05-30  : https://archive.fo/SbbTB 

『令和2年4月23日付の回答文書

この文書は、令和2年3月31日日付で飯山市内の「H・I」氏が、情報公開請求を行い、令和2年4月23日付けで回答されました。・・・

台風19号により、飯山市全体では777戸が浸水し、しかも、そのほとんどが飯山市街地での被害という、未だ経験した事のない大被害の原因を明らかにする上で、また、今後の水害に備える上で、樋門・樋管の開閉操作についての検証は欠かすことができないことです。
この文書により、非常に重要な事実が分かりました。
とりあえず、評論を加えないままお知らせします。』

この文書によってようやく我々は残りの5つの樋管について、台風19号襲来時の状況を知るに至りました。そうしてその文書からはいくつかの非常に重要な問題点が浮かび上がってきたのです。

ちなみに以下の文書は飯山市から同時に公開されたもう一つの文書です。

・樋門・樋管閉会操作一覧表~栄川樋管2時、飯山樋管は2時30分に~ゲートを開けて退避したと記述!
2020-05-31  : https://archive.fo/u2CUw 

この文書の内容は前の文書の内容と同じですが、樋門・樋管のゲートの状況を時系列に並べ直してあります。

以上が我々と飯山市との間で繰り広げられた「情報開示バトル」の第一章になります。そうして本来であればこれらの情報は我々からの情報開示請求を待つまでもなく、飯山市が情報公開するべきものであったのです。しかしながら飯山市はそのようにはしませんでした。

これは残念ながら今に続く飯山市の「市民にとっては重要な情報は市民には公開しない」という「飯山市の市民軽視の秘密主義の現れ」であります。

 

注1:上述したように11月1日に河川事務所が樋門操作員からの報告書を受理していたのなら、11月下旬までに数回にわたって当方から出された「いつ樋門ゲートを開けたのか」という質問に答えるのは簡単であったはずですが、実際はそうはなりませんでした。(注2

どうしてでしょうか?

それは11月1日には河川事務所にはその報告書が存在していなかったからです。そのことは以下の事例からも推察できる事です。

・ 千曲川河川事務所からの回答 2019年12月24日 : https://archive.fo/aO0Sf

『12/04に送った質問の回答が来た

楽農家 様

平素より国土交通行政の推進にご協力頂きありがとうございます。
ご質問がありました皿川樋門の操作時の状況については、以下の通りです。
なお、回答が遅くなり大変申し訳ありませんでした。

1.10/13午前1 時半の皿川樋門での水位ではなく、立ヶ花観測所の水位で閉門を指示した理由を教えて下さい。

(回答)
立ヶ花水位観測所では10/13 0:30 に計画高水位を越え、・・・』

12月24日までに日立のMさんに情報公開した事と時期を同じくして、楽農家さんからの皿川樋門についての質問にも河川事務所は回答し始めました。

それで12月4日に楽農家さんが出した質問に答えるのに何故20日間も時間が必要だったのでしょうか?

それは台風19号襲来の折に皿川樋門の状況がどうであったのか、どのように回答したら良いのか、そのストーリーを作り上げるのにそれだけの時間が必要だった、という事です。

そうして、ようやく12月23日になってその作文が完成しましたので、日立のMさんにも、また飯山の楽農家さんにも「回答メールが届いた」という次第であります。

注2:この件、詳細につきましては次の記事を参照願います。 :

 ・その4・皿川樋門は本当に閉じられたのか? 
「地元の委託された樋門操作員」は本当に実在するのか?この疑問に白黒をつける事を拒否している千曲川河川事務所。

注3:特に有尾樋管について言えば13日の10時頃まで開けっ放しであり、その為に有尾地区が千曲川からの逆流泥水によって浸水被害を受けた、という事実がありながら、その事についての報告がプレスリリースには一切書かれていません。

これは飯山市が行った「明らかに意図的な情報隠ぺい工作である」と言えます。

それが明らかになったのは、「H・I」氏が、情報公開請求を行い、仕方なく飯山市が情報公開したからであって、それがなければいまだに飯山市は「知らぬ、存ぜぬ」であった事でしょう。

・樋門操作記録1(飯山市情報公開請求回答) : https://archive.fo/4Llh6

・樋門操作記録2(飯山市情報公開請求回答) : https://archive.fo/PeSqm

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

台風19号 飯山水害の検証報告・一覧

 


「城山の雨水排水ポンプ場は能力不足」の2

2021-08-10 10:54:37 | 日記

前ページの・「城山の雨水排水ポンプ場は能力不足」の1 では表面雨量指数を使った説明方法をとっており、この方法にあまり慣れていない方には違和感があったかと思います。

それでここでは従来から使われている降水量ではどうだったのか、振り返っておく事にします。

気象庁のデータベースからアメダス飯山観測所の情報を以下に示します。

・2019年10月12日 : https://archive.fo/000K8

・2019年10月13日 : https://archive.fo/fr1D7

降水量の状況を確認するならば、12日の17時に1時間降水量10ミリがピークとなっています。そしてその後も1時間当たり6ミリ程度を限度に13日の4時頃まで雨は降り続きますが、それ以降は降水量は順次減少し10時には雨が止んだ、という記録になっています。

それで市内に降った雨が雨水排水ポンプ場に雨水下水路を通じて到達するのは30分もあれば十分でありましょう。

そのような状況の時に何故13日の1時50分に3台目の排水ポンプを稼働させなくてはならなかったのか、というのがそもそもの問いの始まりでした。

雨水排水ポンプ場の内水ゲートを降ろしたのが「・樋門操作記録2(飯山市公開) : https://archive.fo/PeSqm 」より20時45分であり、その後1号及び2号排水ポンプを20時50分と21時00分に稼働させています。(注1

それで21時の時点での千曲川の水位は4.80mであって、この水位の時にはポンプ場貯水池の水位は1.3m程であった。ちなみに貯水池の深さは3.5mほどであればその時点ではあふれ出すまでには2.2m程の余裕があった。(注2

さて、ピーク降水量が17時で遅くともその水は18時にはポンプ場貯水池には到達していた。そうなると18時頃が貯水池水位のピークであった事になります。

そのピーク水位から3時間後の21時に内水ゲートを降ろして排水ポンプを2台、動かし始めた。貯水池に流れ込む雨水の量はピークを越えていますからそれまでポンプ場に流れ込んでいた水量よりは増える事はない。そしてその時の貯水池の水位は1.3m程。その様な状況で13日の1時50分を迎えた訳です。

さあそれで「どうしてそのタイミングで3台目の排水ポンプを動かさねばならなかったのか?」という事になります。

当初我々は「それはどこからかは知らないが雨水のほかに排水ポンプが排除しなくてはならない水が貯水池に流れ込んできたためだ」と推測しました。(注3)これは市長の「1台あたり1分間に110トンの排水能力をもつ排水ポンプだ」という主張を鵜呑みにした結果でした。

しかしながら市長のこの発言・主張は千曲川の水位上昇の影響を排水ポンプが受ける事を無視した「お話にならない主張だった」のです

事実はと言えば「1時50分のタイミングでは2台の排水ポンプが動いていたにも関わらず貯水池の水位は上昇し続け、あふれ出すまであと50センチを残すほどにまでなっていた」のです。

つまりポンプ場の排水ポンプは千曲川の水位上昇の影響を受けて思うようには水を排出できていなかった、そういう訳で13日の21時のタイミングでは満水まで2.2m程の余裕があった貯水池水位は上昇を続け、13日の2時頃には残り50センチの余裕しかない状況になっていました。(注4

それでポンプ場の担当者は3台目の排水ポンプの起動スイッチを入れたのでした。

さてそれで1時50分に3台目も動きだしたのですが貯水池の水位はそれでも上昇を続けました。(注5

そうして3時には仲町通り、城見橋の東側の栄川左岸の歩道付近でも浸水が確認されています。(注6

また4時には『上町区堤防沿いのAさん
「13日4時に起きたら30㎝も浸水していてビックリした。慌てて車をNTTの駐車場に避難し、近所へも知らせた」』という報告が上がっています。(注6

そうして5時には「1-2、5時時点でポンプ場貯水池オーバーフロー状態(栄川の城見橋で浸水5センチ)」となったのでした。(注7

あるいは福寿町Eさん(注6
「5時頃に近所の人の知らせで浸水に気づき、お客様から依頼された書類や、業務用のコンピュータを2階にあげた後、水の中で車を避難した。水の中を走ったこともあり、結果的には6台の車を廃車せざるを得なかった」

それで「5:40 城山雨水排水ポンプ場のポンプ室内に浸水が始まるが、土嚢等で防止」(注8)5時40分にはポンプ場のあたりでは貯水池から水があふれだしその周辺を30センチから40センチの水位で満たしていました。

それで6時40分には「1-1、ポンプ場が動いていても6時40分時点で市役所(福寿町)地点、40センチ浸水 」でした。(注9

さて以上みてきました様に、13日の3時までの状況は「排水ポンプを3台動かしたにもかかわらずポンプ場貯水池の水位は市街地に降った雨水だけで上昇し続けた」という事がわかります。

つまり「城山の雨水排水ポンプ場の排水能力は不足していた」のです。

ちなみに3時以降はこの状況に加えて皿川からの氾濫水がポンプ場に到達しはじめますから、ポンプ場の貯水池は簡単にオーバーフローしたのでした。


こうして明らかになった様に「ポンプ場のポンプが空回りしている事に気が付かない対策本部」は「排出できていない雨水と皿川からの氾濫水を排出できているもの」と思い込むという「致命的な判断ミスをしていた」のでした。

その為に「皿川の氾濫を確認」しても「空回りするばかりのポンプ場」を頼りにして「すみやかに市内全域に対する警報を出す」という「とても基本的で大切な事をしなかった」のであります。

そうしてまた付け加えますれば、飯山市が残念そうに言う「ポンプ場さえ浸水で停止せずに動いていたならば、、、」という主張は全く意味をなさない、という事も分かるのです。

何となれば千曲川の水位が9.6m以上になるとポンプ場からは千曲川に水が排出できなくなり、唯ポンプが空回りを続けるだけだからです。そうであれば13日の3時以降12時過ぎまではポンプがいくら回転をしていてもポンプ場からは水は千曲川には排出されなかったでしょう。(注10

つまり「市内の浸水状況はポンプ場のポンプが回転していようが止まっていようが13日の3時から12時までは全く同じであった」という事になるのです。

従いまして「ポンプ場の耐水化だけ」では全く意味をなさず「ポンプそのもののオーバーホール」、場合によっては「ポンプの新規差し替えが必要になる」という事になります。

 

注1:・令和元年台風19号関連災害経過報告【第2報】 3ページ目、「7.樋門、ポンプ等」 を参照願います。

注2:・水位データ詳細: http://archive.fo/lMbFk

ポンプ場貯水池の水位については・その26-2・ポンプ場周りのその他の情報について の「追記2(2020/10/21):栄川樋管の千曲川出口底の標高に関連して。」を参照願います。

注3:この時点では皿川からの氾濫水はポンプ場には到達していない、2時の時点では「皿川右岸堤防から越水がはじまったかな」というタイミングです。

注4:・「皿川氾濫・決壊に対する避難勧告発令」の3 の「1-3、25m道路アンダーパス北側エリア(@福寿町)は2時過ぎには浸水が始まっていた」を参照願います。

注5:25m道路アンダーパスの北側では2時以降も浸水が続き(近所の方の証言有)、つまりは「3台目のポンプが稼働したにも関わらず水位は低下する事はなかった。」という事になります。

そうしてまた3時までは皿川からの氾濫水はポンプ場には到達してはいなかったと推測されますので(この部分の推測は市長もその様に主張しており、珍しい事に唯一市長の発言の中で同意できる部分となります。)、したがって「雨水を排水するのに3台排水ポンプを回しても足りなかった」という結論になります。

注6https://archive.fo/114f5 :この件、左記の記事を参照願います。

『田町のBさん
「朝3時ごろには栄川が仲町通りの辺で溢れ始めていた」』

場所については : https://archive.fo/vBpse を確認願います。十字クロスで示された場所が言及されている所であり、その場所の標高値が314.2mである事が左下に示されています。

上町地区のAさんは25m道路下のアンダーパスの南側にお住まいであり、そのありの場所はここになります。: https://archive.fo/FxhKZ :十字クロスで示された場所が言及されている所であり、その場所の標高値が313.9mである事が左下に示されています。

注7:・「皿川氾濫・決壊に対する避難勧告発令」の3 の「1-2、5時時点でポンプ場貯水池オーバーフロー状態(栄川の城見橋で浸水5センチ)」を参照願います。

注8:・令和元年台風19号関連災害経過報告【第2報】 の最後にある時系列表を参照願います。

注9:・「皿川氾濫・決壊に対する避難勧告発令」の3 の「1-1、ポンプ場が動いていても6時40分時点で市役所(福寿町)地点、40センチ浸水 」を参照願います。

注10:・「城山の雨水排水ポンプ場は能力不足」の1 の「2、ポンプ場に流入する雨水が増えてもいないのに、何故3台目のポンプを動かす必要があったのか?」を参照願います。bbb


追記真面目な市役所担当者さんの「情報統制前の回答」について

・飯山市のHP :令和元年10月 台風19号に関する被害状況等
(令和元年10月13日 10:00現在): https://archive.fo/K9Uxa :から引用

『令和元年10月 台風19号に関する被害状況等
(令和元年10月13日 10:00現在)

避難に関する情報
・・・
10月13日
・・・
5:34 瑞穂地区の戸那子区全域、富田区の一部、中組区の一部、関沢区の一部に避難勧告発令
6:37 内水の能力を上回る増水により、飯山地区の福寿町区、本町区、肴町区、上町区、新町区、鉄砲町区、奈良沢区、栄町区、県町区と秋津地区の北畑区に避難勧告発令
・・・』

の「内水の能力を上回る増水により、」の部分の意味がよく分からなかったので、市役所に質問したのでした。(質問の送信はHPの問い合わせからです。)そうしたら当日夕刻に真面目な担当者から以下の様な回答が返ってきました。

飯山市よりの回答メール 13日 18時04分時点  

『お問い合わせいただきました件について、ご説明いたします。

「内水の能力を上回る増水により、・・・」についてですが、以下のとおりとなります。

本日未明より、市街地の広範囲に(千曲川本流ではない)河川からの流水等に
よる内水氾濫が発生しております。

千曲川本流の水位が、市街地に流れる河川の水位より高く、自然流下しないため
通常開放している水門等を閉め、流れ込んだ河川の水を複数台でのポンプ等に
より排水処理を行うのですが、流れ込む水量の方が多いことにより、水が徐々に
溜まり、引きにくい状況となったものです。

内水の「排水」能力が雨水等による河川水位の増加に対応できなかったという
説明のほうがわかりやすいかもしれません。

以上となります。
よろしくお願いいたします。』

↑ 真面目な担当者さんの「まだ対外的な情報操作・統制がなされていない時のすなおな現状認識がよく表れている文章」となります。

そうして「流れ込む水量の方が多いことにより、水が徐々に溜まり、引きにくい状況となったものです。」という所はもちろん「(市内に降った雨水と皿川右岸堤防決壊場所からの氾濫水がポンプ場貯水池に)流れ込む水量の方が(城山の雨水排水ポンプ場の3台の排水ポンプによる千曲川への排水量よりも)多いことにより、(飯山市内に)水が徐々に溜まり、(その水が増え続け、現在でも市内に氾濫した水が)引きにくい状況となったものです。」と言っておられるのですね。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

台風19号 飯山水害の検証報告・一覧

 

 


「城山の雨水排水ポンプ場は能力不足」の1

2021-08-08 14:03:27 | 日記

「その26-1」では以下の様に「栄川樋管からの逆流水がないと説明できない」という結論になっていました。

・その26-1・城山雨水排水ポンプ場のポンプ稼働状況と浸水深さについて検証した。
3号機を動かす必要がないにも関わらず動かしている。-->栄川樋管からの逆流が疑われる。
皿川からの氾濫水だけでは13日7時15分時点での飯山市の浸水状況は到底説明できない事がわかった。

しかしながらこれは市長の説明にミスリードされた結果の結論でした。

それで市長が市議会答弁で答えた内容は以下の通りです。(注1

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ・飯山市  令和 1年 12月 定例会(第370回)  12月13日-04号 : https://archive.fo/z1jCi

◆7番(市川久芳) 
 市長さん。6時40分まで旧市街地に避難勧告が実際出せなかったわけですよね。それが週刊誌にも大きく載っているわけです。これはやっぱり行政に大きな落ち度があると思います。そういう中で、この間の記者会見だと、マニュアルが無かったというのはとても理由にはならない。どうして出さなかったか、詳しく説明してください。

◎市長(足立正則) 
 避難勧告につきまして、時系列に経過を含めて説明をしていきたいというふうに思いますので、お願いします。

・・・

そして、このときには、城山の雨水排水ポンプも3台フルで動いておりました。
当時の状況では、それぞれ1分間に110トンの能力のあるポンプが動いていたわけでございますけれども、このうち市街地の部分の内水は2台で足りるというような状況でございます。
したがって、皿川からあふれた水につきましても、城山の雨水排水ポンプが排出をしていたということでございます。

これは推測でございますが、皿川の越流が流入してきたと思われるのは、午前3時ごろでございます。
そして、皿川の水がさらに増えてきまして、城山の排水ポンプ場が停止となって動かなくなってしまったのが7時ということでございまして、この間約4時間ちょっとでございますが、この間に約7万6,000トンの水を排出したということでございます。・・・

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「市街地の部分の内水は2台で足りる状況。3時には皿川からの氾濫水がポンプ場に届いていた、そうしてポンプが異常停止する7時までの間に毎分330トンの水を千曲川に排出できていた。」という説明になっています。

さてこの市長の主張、説明は成立していたのでしょうか?

「市街地の部分の内水は2台で足りる状況」は成立していたのか?

・その26-1・城山雨水排水ポンプ場 の第一章によれば

上記気象庁の表面雨量指数と稼働ポンプ台数の関係でいえば
黄色エリア出現~継続状態ーー>排水ポンプ1台稼働
赤色エリア出現~継続状態ーー>排水ポンプ2台稼働
で十分の様にみえます。
従いまして13日1時50分では本来は
『1:50 城山雨水排水ポンプ場 3基にて稼働開始。』
ではなく
「1:50 城山雨水排水ポンプ場 2基ーー>1基にて稼働」
と言うように記述されるべきでありましょう。
気象庁はそのように言っているのであります。
そこには「排水ポンプを3台稼働してまで排水する必要のある雨水はない」のでありますから。という結論になっています。

つまり「本来であれば排水ポンプ2台稼働で市内に降った雨水の処理はできたはずである」という結論であり、これは一見すると市長の主張である「市街地の部分の内水は2台で足りるというような状況でございます。」を支持している様に見えます。

しかしながら実際には『1:50 城山雨水排水ポンプ場 3基にて稼働開始。』としなくてはならなかった。

逆に本来のポンプ性能が出ていたとしたらこの時には『1:50 城山雨水排水ポンプ場 3基にて稼働開始。』ではなくて「1:50 城山雨水排水ポンプ場 2基ーー>1基にて稼働」と言うように記述されたでありましょう。

さて何故そうできなかったのか?

ポンプ場の排水ポンプの性能が出ていなかったから」であります。

その為に本来であれば一台稼働で十分であったはずのポンプ稼働台数が三台稼働となってしまっていたのです。

そであれば13日の1時50分時点で市長の主張である「市街地の部分の内水は2台で足りるというような状況でございます。」は成立しておらず破たんしていた、と言うのが事実です。

さらにいえば「三台稼働してもその時にポンプ場に流れ込んできていた雨水を千曲川に排出するには十分ではなく、雨水はポンプ場の貯水池に溜まり続け、貯水池の水位は上昇する一方だった」と言うのが事実となります。(注2

そうであれば市長が言う「皿川からあふれた水につきましても、城山の雨水排水ポンプが排出をしていたということでございます。」は成立していない、と言うのが事実です。

ポンプ場に流入する雨水が増えてもいないのに、何故3台目のポンプを動かす必要があったのか?

実は1時50分の時点ではそれまでよりもポンプ場に流入する雨水の量は減っていました。にもかかわらずポンプ場貯水池の水位は上昇を続け、つまりは2台の排水ポンプを稼働させただけでは排水量が足りず、したがってポンプ場の担当者は3台目のポンプを稼働させることになったのです。

ほほう、何故そんな事になるのですか?

千曲川の水位が上昇した為です。

13日の2時時点の千曲川水位は8.86m。標高換算で315.96m≒316mです。

他方でポンプ場≒貯水池ふちの標高は314.7m。

つまり2時時点で千曲川水位はポンプ場標高よりも1.3m程高かったのです。

そうして、この状況では二台の排水ポンプを動かしても排出量が足りなかった、という事になります。

言い換えますと「二台のポンプでは吐出漕の水位を1.3m程度までしか持ち上げられなかった」という事です。(注3

それで三台目のポンプを動かしたのですね。

しかしながら「三台のポンプを動かしてもポンプ場の吐出漕の水位を1.3m+0.7m程度までしか上昇させることができなかった」のです。

その時の吐出漕水位2mという値は千曲川水位に換算しますと9.6m程であり、13日の3時の時点での千曲川水位が9.58mでしたから、3時以降はポンプ場の排水ポンプのエンジンがいくら回転していてもポンプ場から千曲川には水は排出されなかった、という事になります。(注3

さてそうなりますと市長が言う所の

「これは推測でございますが、皿川の越流が流入してきたと思われるのは、午前3時ごろでございます。
そして、皿川の水がさらに増えてきまして、城山の排水ポンプ場が停止となって動かなくなってしまったのが7時ということでございまして、この間約4時間ちょっとでございますが、この間に約7万6,000トンの水を排出したということでございます。」

については、「3時以降はポンプ場から千曲川へは排出量ゼロ」でありますから、「約7万6,000トンの水を排出した」というのは全くの事実誤認、でたらめという事になります。

市長が言う「雨水排水ポンプ場のポンプは1分間に110トンの能力がある」というのはウソなのか?

ポンプ場の吐出漕の高さは4.5m程。貯水池の水位が満水状態であればポンプは水をその位置から4.5m上昇させる能力があれば吐出漕のトップまで水を満たすことが出来ます。

つまりは今回台風19号の折、千曲川の最高水位11.1mであったのですが、その時でさえ吐出漕の水位は千曲川よりも0.9m高くでき、したがってポンプ場に集まってきた水を千曲川に排出できていたのです。

しかしながら、貯水池を満水にしてポンプを運転する事はまずないのであれば、たとえば「満水状態より1.5m程下の水位で運転する」とします。そうなるとポンプは水を1.5m+4.5m=6m程持ち上げる力が必要になります。

ちなみにこのポンプが水を持ち上げる事が出来る高さを全揚程といいます。そうであればこの場合は「全揚程が6mのポンプが必要」という事です。そうして、その程度の性能を持つポンプが雨水排水用ポンプとしてメーカーによって準備されているのです。(注4

さて雨水排水ポンプ場のポンプは横軸型ではありますが、基本的な性能、仕様は縦軸型と同じでありましょう。そうであればしっかりとメンテナンスされていればカタログスペックの「全揚程は6mで毎分110トンの排出量」というのは可能であったはずです。

しかしながら実際の飯山のポンプはメンテナンス不十分であった為「全揚程は2m~2.5m程度でしかなかった」という事であり、これは飯山市の「水防設備にはお金はかけない」と言うスタンスの結果であり、飯山市の不作為の結果であります。

、排水ポンプが稼働している時に「どうやって実際に水が排出されている事」を確かめるのか?

排水ポンプ車の場合は排水側のホースから水が千曲川に流れ出しているのを目で見て確認する事が可能です。

このタイプの「堤防天端をこえて水を千曲川に排出するポンプ」は実際に正常にポンプが作動している事を簡単に目視確認できます。そうして、ポンプ場でいえば「広井川排水ポンプ場のポンプ」がこのタイプのポンプになっています。(注5

それでこのタイプの排水の仕方では常に水を堤防天端まで持ち上げる為、千曲川の水位に関係なく安定して水を排出する事が可能となっています。

それに対して吐出漕を使って水を排水するタイプの排水機場・ポンプ場の場合は千曲川の水位が上昇するにつれて水が排出されにくくなります。

それに加えて千曲川の水位が排水口となる樋門・樋管の出口高さよりも低い場合は堤防の上から目視確認が可能ですが、千曲川水位が上昇して排水出口高さを超えてしまうと目視では本当に水が排水されているのかどうか確認が出来なくなります。

実際に13日の2時の時点で千曲川水位は8.86m。標高換算で315.96m≒316mでした。他方でポンプ場≒貯水池ふちの標高は314.7mであって、この時には栄川樋管の出口は水の下にかくれてしまい、本当に水がポンプ場側から千曲川に排出されていたかどうか、目視では確認できなくなっていました。

しかしながらポンプと名前が付くのですからポンプにはそれぞれ流量計が付いているはずです。そうであればポンプ場担当者はそれを見る事で「実際にどれほどの水がポンプ場側から千曲川に排出できていたか」確認していたものと思われます。

こうしてポンプ場の担当者は「3時にはポンプ場のポンプは回っていたものの、ほとんど排水できていなかった」という事を確認していました。しかしながらその事実は決して公表される事はありません。

そうして市長は臆面もなく「これは推測でございますが、皿川の越流が流入してきたと思われるのは、午前3時ごろでございます。
そして、皿川の水がさらに増えてきまして、城山の排水ポンプ場が停止となって動かなくなってしまったのが7時ということでございまして、この間約4時間ちょっとでございますが、この間に約7万6,000トンの水を排出したということでございます。と言うのでした。

ちなみに「目視確認ができないタイプのもの」としては雨水排水ポンプ場とおだての排水機場がこのタイプの排水設備となります。

 

注1:・参考資料 補足・市長は何と言ったか :・今回水害に対する飯山市長の弁解、言いのがれ、正当化、謝罪なし、反省なしの「とんでも発言集」参照の事。

注2:・「皿川氾濫・決壊に対する避難勧告発令」の3 :左記の「1-3、25m道路アンダーパス北側エリア(@福寿町)は2時過ぎには浸水が始まっていた」を参照願います。

2時の時点でポンプ場貯水池の水位はあふれ出す高さにあと50センチまで上昇していました。そうして市長の主張する所によれば「皿川の越流が(引用注:ポンプ場に)流入してきたと思われるのは、午前3時ごろでございます。」であれば、2時から3時までの間はポンプ場に流入していたのは市街地に降った雨水だけでした。

しかし「25m道路アンダーパス北側エリアの浸水」は2時以降も継続しており、その浸水深さは増えていった、と言うのが住民の方の証言であります。

そうであれば1時50分時点で3台の排水ポンプが稼働したにもかかわらず、3台合計の排水能力はそこに流れ込む雨水の量を千曲川に排出するには不十分であった、という事になります。

つまり「ポンプ場の貯水池の水位は順次、上昇していった」のでした。

これはつまり「もし皿川が越水・決壊して氾濫しなかった、としたらその時は市街地に降った雨水だけでポンプ場の貯水池は満水を越してオーバーフロー」となり、堤防沿いの場所は雨水による浸水被害をうけ、従って「ポンプ場の能力不足が誰の目にも明らかになっていた」という事を示しています。

しかしながら今回台風19号の折には皿川が氾濫したことによってポンプ場の能力不足が皿川からの氾濫水によって隠されてしまい、見えなくなってしまいました。

そうではありますが、皿川堤防が強化され、皿川が氾濫しなくなると次回の台風19号並みの台風襲来の折には今度はポンプ場の能力不足が誰の目にも明らかになる事になります。

注3:ポンプ場のポンプは吐出漕に一旦水を排出します。そうしてその吐出漕の水位と千曲川の水位の差分でポンプ場側から千曲川に水が排出される事になります。

そのために千曲川の水位が上昇するにつれてポンプ場側から千曲川への排水量は減る事になり、吐出漕水位と千曲川水位が同一になるとそこで排水量はゼロになります。

この事を説明した飯山市公開のイラストはこちらから入れます。:・中央排水区(城山雨水排水ポンプ場)のしくみ : https://archive.fo/db83r

ちなみにこれはイラストの中で説明されているポンプからポンプ場の壁を貫いて外に出て、そこから地下に潜りこみそこで水槽(吐出漕)と接続している太い(直径90センチ程度)吐出菅と吐出菅と地下でつながっている吐出漕の画像です。:吐出菅 https://archive.fo/T2ku7 :吐出菅(拡大) https://archive.fo/ZoWyM :吐出漕 https://archive.fo/OmoEq

但し上記イラストの中に一つ、事実と異なる絵があります。それは水槽(吐出漕)の高さです。イラストでは堤防よりも水槽の高さが高くなっていますが、現物は堤防の高さまでしか吐出漕の高さはありません。

つまり「堤防高さと同じくらいに千曲川水位が上がると、ポンプ場からは水は千曲川には排出できない」のです。そうしてこれは「設計上の制約・しばり」となっています。

注4:雨水排水設備 : https://archive.fo/qYWev

縦軸型ポンプの紹介記事になっていますが、基本的な性能は横軸型の要求仕様・要求性能を引き継いでいるものと思われます。

そうして下段に仕様が載っていますが、雨水排水用のポンプは吐出量毎分90トン~180トンで全揚程が6mが可能である、と記されています。

なお動画にて「柳原排水機場(長野市:千曲川)に導入された排水ポンプの試運転の状況」が紹介されています。その動画を見る場合は次のアドレスから入ってください。

https://www.tsurumipump.co.jp/projects/case/108.php

注5: https://archive.fo/NR6hy :左記の記事の写真によれば皿川の方に排水ポンプ車の給水ホース、千曲川の方には排水ホースを堤防をまたいで配置している事がわかる。

 https://archive.fo/jR65B : 広井川排水機場に設置されている排水ポンプ群とそれにつながっている9本の排水パイプ。これが堤防天端程の高さで堤防をくぐって千曲川側にある排出出口に通じている。(・広井川ポンプ場 排水管群 : https://archive.fo/SqmnF )ここの場合も堤防の上から水が千曲川側に排出されているかどうかは一目で確認できる。

ちなみに台風19号の折、熱心な市議会議員さんは12日午後9時すぎに運転を開始したポンプ場を訪れてポンプの状況を確認したのち中央橋から実際にポンプ場から栄川樋管を通じて水が排出されているのを目視確認されている。

それで午後9時での千曲川の水位は4.8mであり、これは河川敷に水が上がるかどうかと言う程度の水位であった。したがって栄川樋管からの水の排出を目視確認する事ができたのである。

しかしその確認行為は13日の3時の時点で、確かにポンプ場ではエンジンが回転しポンプは動いていたのでしょうが、その時にポンプ場から千曲川に水が排出されていた、という事の保証にはなっていないのである。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

台風19号 飯山水害の検証報告・一覧

 

 


「皿川氾濫・決壊に対する避難勧告発令」の3

2021-07-30 07:30:08 | 日記

さて次は最も避難勧告が遅れたエリアについてである。

・氾濫3時間後に避難勧告 すでにひざ下浸水、千曲川支流 (朝日) : https://archive.fo/3Lsij 

上記は飯山市の報告にある

『10 月 13 日(日) 
 6:40 福寿町・本町・肴町・上町・新町・鉄砲町・奈良沢・栄町・県町・北畑 避難勧告』

について朝日新聞が報じたものである。

(・令和元年台風19号関連災害経過報告【第2報】 :4.勧告等 を参照のこと)

記事によれば『飯山市は「・・・排水機能が失われることは想定外で、その時点では精いっぱいの判断だったと捉えている」としている。』と主張している。

実際に職員が現地で皿川氾濫を把握したのが2時半であるから、実はほぼ4時間後に上記市街地のエリアに避難勧告を発令した、という事になる。それほどにこのエリアに対して避難勧告の発令が遅れた理由として飯山市は

・排水機能が失われることは想定外で、その時点では精いっぱいの判断だった

と正当化しているのである。(注1

さてそれで、これほどに避難勧告の発令が遅れたもう一つの市長が言った言い訳は「夜は暗くて避難をするのが危険だから、朝になって明るくなるのを待った」という「いかにもあとからこじつけた釈明」もあるが、これについては改めて後程検討するものとしたい。(注2

それで、このページで検討するべき内容は「城山雨水排水ポンプ場が動いていたら」つまり「ポンプ場が耐水化されていて、ポンプ場外に氾濫水が水位1m程も押し寄せてもポンプ場内に氾濫水が浸入する事はなく、従ってポンプが異常停止する事が無かった」としたら、飯山市の主張は本当に成立していたのか、という事になります。

勿論この場合の飯山市の主張は「避難勧告を出すエリアは有尾区、北町区、そうして田町区で十分であった。」という事ですね。

つまり「それ以外の場所には氾濫水は押し寄せる事はなかった」と飯山市は主張しているのであります。

その主張は「氾濫水は北町区、田町区を浸水するものの、雨水排水下水路に流れ込んで排水ポンプ場に導かれ、そこから千曲川にポンプアップされて排水されたであろう。」という事になります。(注3

それはまた「排水ポンプ場の能力は飯山市街地に降った雨水を排水する事に加えて、皿川からの氾濫水を千曲川に排出するのに十分な余力があった」という主張でもあります。

さて以上の主張は成立していたのでしょうか? 

実はポンプ場の排水能力は不足していた

1-1ポンプ場が動いていても6時40分時点で市役所(福寿町)地点、40センチ浸水 : 福寿町区 https://archive.fo/TWjQy

以下、上記で紹介した「飯山市プレス発表第二報」の最終ページにある時系列表からの引用になります。

『5:40 城山雨水排水ポンプ場のポンプ室内に浸水が始まるが、土嚢等で防止。
城山雨水排水ポンプ場3台フル稼働等しており、市街地の内水対策は、機能していた。
・・・
6:40 福寿町、本町、肴町、上町、新町、鉄砲町、奈良沢、栄町、県町、北畑に避難勧告
・・・
7:00 城山雨水排水ポンプ場が、浸水によりポンプ3台が機能停止に陥った。』

つまり飯山市は「7時まではポンプ場の排水ポンプによって皿川からの氾濫水は千曲川にしっかりと戻されていた」、したがって「上記で示した避難勧告発令エリアには皿川からの氾濫水の浸水は無かった」と主張している事になります。

・・・あれれ、おかしいですよねえ。新聞記事によれば

『ただ、市役所などがある地域に避難勧告を出したのは午前6時37分だった。その時点で市役所付近ではひざ下まで浸水している状態だったという。』(注4

という事だそうで、この事は後日の飯山市議会での飯山市の答弁でもそうなっていました。

さてそうすると「6時40分、この時はまだポンプ場のポンプは停止しておらず、千曲川に排水を続けていたはず」ですが「市役所ではすでに40センチほどの浸水があった」という事が事実であります。

つまり6時40分時点では「ポンプ場のポンプが正常に稼働していても皿川からの氾濫水を千曲川に排出するだけの余剰能力はポンプ場には無かった」と言うのが事実なのです。

1-25時時点でポンプ場貯水池オーバーフロー状態(栄川の城見橋で浸水5センチ)

この事に関連してもう一つの事実を挙げておきましょう。

『市街地で洋品店を営むYさんはこう話しています。
「13日午前5時ごろ家の横を流れる川は、道路から5㎝程まで水位が上がっていた。大急ぎで商品を高いところに上げ始めたが、水が店に入って来た。水が床上20㎝ぐらいまで作業を続けたが、どんどん水が入って来て1時間程で70mになり2階に避難した。
もう少し早く皿川の危険性や、越水の情報が早ければ、商品を濡らさずに済んだのにと思う。』(注5

https://archive.fo/GkFwJ : 上記で言及している川は栄川であって、この画像はそこにかかっている橋(城見橋)を示しています。

それでこの場所の道路の標高は315.1mであって、従ってこの場所で午前5時には315.15mまでこの周辺の水位が上昇していた事になります。

他方でポンプ場の標高は314.7mであって、従って午前5時の時点でポンプ場外周部では最大で45センチほどの水深であった可能性があります。

という事は少なくとも5時時点でポンプ場貯水池は満水状態をこえて水はそこからあふれ出していた、という事です。

事実、飯山市の報告(上記第2報)では「5:40 城山雨水排水ポンプ場のポンプ室内に浸水が始まるが、土嚢等で防止。」とされており、5時40分時点でポンプ場周辺の水深が20センチ~30センチほどであったとしている。

つまり5時40分時点で市街地に降った雨水と皿川からの氾濫水でポンプ場に到達していた水を加えたものはポンプ場の貯水池には収まりきれずにそこからあふれ出しており、ポンプ場周りの水深は30センチにも達していたのです。(注6

しかし飯山市は事実がそのようであるにもかかわらず

『5:40 城山雨水排水ポンプ場のポンプ室内に浸水が始まるが、土嚢等で防止。
城山雨水排水ポンプ場3台フル稼働等しており、市街地の内水対策は、機能していた。』

と主張するのでした。

しかし事実は5時時点ですでにポンプ場貯水池はオーバーフローしていたのです。

つまり「ポンプ場の排水ポンプは貯水池に集まってくる雨水+氾濫水を十分に排出できなくなっていた」という事になります。

にもかかわらず、よくもまあ飯山市は「5:40 ・・・市街地の内水対策は、機能していた。」などと言えたものです。

ちなみにYさんは「栄川が増水によって氾濫した」と認識していますが、実はこの時にYさんの店を襲った水は4時15分に皿川右岸堤防が決壊し、濁流となって市内を北から南側に流れだした皿川からの氾濫水なのでした。


さらにもう一つの事実を以下に示します。

1-325m道路アンダーパス北側エリア(@福寿町)は2時過ぎには浸水が始まっていた : 福寿町区 https://archive.fo/TWjQy

この場所の標高は314.2mでありポンプ場貯水池のふちの標高314.7mよりも50センチ程低い。(注7

そうして2時の時点では飯山市の第二報によれば『1:50 城山雨水排水ポンプ場 3基にて稼働開始。』であって、もちろん皿川は越水はしておらず、ポンプ場に流れ込む水は市街地に降った雨水だけでした。

しかし2時の時点でポンプ場貯水池の水位はあふれ出す高さにあと50センチまで上昇しており、従って2時過ぎには「ポンプ場の排水ポンプを3台動かしたにも関わらず」「25m道路アンダーパス北側エリア」では雨水下水路のグレーチングから雨水があふれ出していたのです。(近所にお住いの方の証言から引用)(注8

勿論アンダーパス南側は北側よりも標高が低い(313.9m)のであれば、2時前にはその場所(上町区 堤防沿い : https://archive.fo/gPk9C )で雨水下水路(中央下水路)のグレーチングから水があふれ出していたのです。(注9

そうであれば『上町区堤防沿いのAさん・・・「13日4時に起きたら30㎝も浸水していてビックリした。慌てて車をNTTの駐車場に避難し、近所へも知らせた』というような証言が出てくるのです。(注10

但しこの時にAさんをびっくりさせた水は皿川から越水してきた氾濫水ではなく、ポンプ場が排水できなかった雨水でありました。そうして後ほど時間が経過するにつれて皿川からの氾濫泥水がここまで流れてきて、このあたりを1m以上の水位になるまで満たしたのです。


さて、以上みてきました様に、「飯山市の雨水下水路は2時前には機能不全に落ちいっていた」のであります。(注11

そうしてその原因はもちろん「ポンプ場の排出能力不足」です。

そうしてそれはまた「飯山市がポンプ場の排水ポンプのメンテナンスを怠ってきたから」というのがその能力不足の根本原因です。

そういうわけで「排水ポンプ場の能力は飯山市街地に降った雨水を排水する事に加えて、皿川からの氾濫水を千曲川に排出するのに十分な余力があった」という飯山市の主張は成立していない事が分かります。

それどころか「市内に降った雨水を千曲川に十分に排出できていなかった」という「本来ポンプ場が果たすべき役割すら十分に行えていない」という状況でありました。

これは「現在飯山市がもっている内水処理の重大な欠陥」であり、飯山市が公表したがらない事実であります。

 

注1:この「ポンプ場が動いていれば大丈夫だった」という主張はその後の飯山市議会の答弁の中でも飯山市が再度、公言している釈明でもあります。

注2:・参考資料 補足・市長は何と言ったか :・今回水害に対する飯山市長の弁解、言いのがれ、正当化、謝罪なし、反省なしの「とんでも発言集」参照のこと。

『・・・しかし深夜で真っ暗だったわけです。
それで飯山市街地の人口というのは、避難勧告をしました北町等を除いて、およそなんですが、6,000人ぐらいの方々がいらっしゃるわけなんです。
この中には高齢者の方もいますし、それから子どもさんもいますし、赤ちゃんもいらっしゃるということで、これは安全に避難させることが何よりも重要であるというふうに私は考えたわけでございます。・・・

したがって、そういう中で、明るくなって大勢の方々が安全に避難できるのが私はベストだというふうに判断をしたわけでございます。』

注3:・飯山市HP記載 雨水排水系統図 : https://archive.fo/Mfb18

図中の城北1号および2号下水路が飯山市が想定したであろう「皿川氾濫水をポンプ場まで誘導する下水路」となります。

注4:・氾濫3時間後に避難勧告 すでにひざ下浸水、千曲川支流 (朝日) : https://archive.fo/3Lsij 

福寿町 : 田町のさらに南側に隣接するエリアで市役所もこのエリア内にある : https://archive.fo/EY2a8

注5:・もう少し早く皿川の危険性や、越水の情報が早ければ、商品を濡らさずに済んだのにと思う。2020-01-20  : https://archive.fo/07r7c :から引用。ちなみにこの方のお住まいは田町区(避難勧告発令は4時50分)であって道を挟んで向こう側が福寿町となります。

その意味では田町も福寿町も標高には変わりなく、田町に4時50分に避難勧告を出したのに、福寿町への避難勧告が6時40分になった、と言うのはどう考えても説明ができない、「異常な事」であります。

注6:栄川は上記注3の「雨水排水系統図」では「栄川下水路」と表示されているものになります。そうして城北1号および2号下水路と栄川下水路の3つともにポンプ場前の貯水池につながっており、雨水と皿川氾濫水はそこで合流してポンプ場内のポンプでポンプアップされ、千曲川に排出されるであろう、と飯山市は想定していたのでした。

しかしながら、なにぶんともに排水ポンプの能力が不足していた為に、貯水池に集まってきた水はそこですでに貯水池からオーバーフローしていたのです。 

・貯水池 : https://archive.fo/87wUx

・ポンプ場と内水ゲート このあたりが5時40分ごろに20~30センチの浸水。写真で示されている線は浸水ピーク時の水位 : https://archive.fo/whxFk

・中央排水区(城山雨水排水ポンプ場)のしくみ : https://archive.fo/db83r

注7:ポンプ場の貯水池と雨水排水下水路(中央下水路、真宗寺下水路)とそれぞれの場所に設置された、本来はそこからその場所近傍に降った雨水を下水路に流し込む為のグレーチングはサイホンを構成しています。・サイホンの絵 : https://archive.fo/04yhA

この絵から分かる様にポンプ場の貯水池と雨水排水下水路でつながっているそれぞれの場所のグレーチングがある入り口部分はポンプ場の貯水池とサイホンを構成しているので、ポンプ場の貯水池の水位とグレーチングのある入り口部分の水位は同じ高さになります。

そうして残念ながら25m道路下のアンダーパスのあたりの標高はポンプ場の貯水池のふちの標高よりも低いのです。・ポンプ場貯水池の写真 : https://archive.fo/fgyIC :この池のふちの高さはアンダーパスのある場所の高さよりも高い。

そうであればポンプ場の貯水池が満水になってしまうと、ポンプ場ではぎりぎりで水は外にはあふれませんが、アンダーパス周辺ではグレーチングから水が噴き出す事になります。

そうして台風19号の折にはまさにそのようにして「市街地に降った雨水だけでポンプ場の貯水池は満水となり、2時の時点でアンダーパス周辺で浸水被害を発生させていた」のでした。 

注8: https://archive.fo/0BeoE : アンダーパス北側から南側を見る。手前に2つ、グレーチングが見えるが、ここから水があふれ出した。

アンダーパスの北側入り口から南側を見る :  https://archive.fo/8juyB

注9: https://archive.fo/TgPQH : アンダーパスの南側のエリアからアンダーパス方向をみる。黄色の車の左奥がアンダーパスになっている。アンダーパスの上を走っている道が確認できる。

少し遠くからの画像 :  https://archive.fo/Ikfu7 : このアンダーパスに通じる道沿いにいくつもの中央下水路のグレーチングが配置されており、そこから雨水が逆流しあふれ出した。: グレーチング :  https://archive.fo/Semwd

注10: https://archive.fo/114f5 :この件、左記の記事を参照願います。

注11:飯山市が主張する「市街地の内水対策は、機能していた。」という状態は「市内のどこにも雨水による氾濫、浸水被害がない」という事と同じであり、したがって「上町の堤防沿いで浸水被害が出ていた」ということは「市街地の内水対策は、13日の2時には機能していなかった。」という事になります。

追記:上町地区のアンダーパス北側、堤防沿いの場所は市街地の中ではもっとも標高が低い場所のひとつであり、従って2020年7月豪雨として記録されている飯山水害でもこの場所が浸水被害に遭いました。

  ・なぜ同じところで浸水被害が出るのか~すぐに検証し対策を急ぐべき~15日夜~市街地の浸水 (2020-07-16 ) : https://archive.fo/753H6

この時のこの場所の状況は台風19号襲来の折の13日の2時前の状況と同じであり、上記で説明した様に「このときもポンプ場の貯水池が満水に近づいたためこの場所で浸水被害が発生した」のでした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

台風19号 飯山水害の研究・一覧

 

 

 

 


「皿川氾濫・決壊に対する避難勧告発令」の2

2021-07-22 10:28:56 | 日記

前のページでは以下の様に記した。次はこの部分に続くところから始めよう。

『そうして上記初動対応で出された避難勧告を以下に示しておく。

10 月 13 日(日)
 3:20 北町 避難勧告 (3時05分の市民からの皿川越水の第二報を受けて)

 これ以降の避難勧告については初動対応とはいえず、対策本部は状況を見ながら以下の様に順次出していく事になる。そうしてこの部分については「なぜもっと早く避難勧告が出せなかったのか?」と大いに非難されたのである。

4:00 有尾地区(皿川沿い一部) 避難勧告 

 4:50 田町 避難勧告(田町は北町の南側に隣接したエリアであって、2時~3時に北町に流れ着いた水は当然3時以降には田町地区を浸水していった。)

 6:40 福寿町・本町・肴町・上町・新町・鉄砲町・奈良沢・栄町・県町・北畑 避難勧告 』

避難勧告の遅れ(皿川越水確認以降、皿川堤防決壊直前まで)

1-1「4:00 有尾地区(皿川沿い一部) 避難勧告 」について : 有尾 https://archive.fo/euyR5

有尾区への避難勧告は市役所職員が左岸越水を現地確認・報告した2時半直後には何の問題もなく発令可能であり、またそうすべきであった。しかし対策本部はそのようにしなかった。

これは有尾区区長と懇意にしているその地区の消防団員にして委託樋門操作員、M氏が「皿川が氾濫しそうだから避難した方がいい」と2時10分に「私的に連絡を区長に入れたから」である。そうしてこのM氏が今回の皿川氾濫の真実を証言できる唯一の方なのである。ちなみにこのM氏の自宅も皿川が氾濫した場合には浸水する事になる場所にあった。(注6

その連絡に応じて区長は有尾区民を避難させ始めた。そうして、その事を知った対策本部は「避難勧告は市長にしか出せない」という事を忘れていて「ああ、それなら有尾区は避難連絡済み」とした。

だが4時に至ってようやく「避難勧告は市長にしか出せない」という事を思い出して、それで遅まきではあったが正式な避難勧告を有尾区に対して発令した、と言う次第である。(注1

この事から分かる様に「当時の対策本部は混乱の極みに在った」。

したがって前ページで検証したように「初動対応で対策本部がやった事」は「左岸越水を確認した事」と「3時20分に北町区に避難勧告を発令した事」だけだったのである。(やる必要があった15項目の内2項目しかやっていない、まことに出来の悪い対策本部なのである。

1-2「 3:20 北町 避難勧告」について : 北町 https://archive.fo/HS5Vk

この避難勧告は3時05分の市民からの「皿川右岸越水」という「皿川越水の第二報」を受けて発令されたものである。この時に有尾橋右岸でひざ下10センチ、それは水深40センチほどの浸水が発生していた。

同様にまた右岸北町住宅あたりでは3時に水深30センチ、かろうじて自動車の移動が可能であった状況であった。

さらにはその場所から皿川橋に通じる市道に出て道沿いに南に350m程行った場所では2時~3時頃にすでに浸水が始まっていた。(注2

同市に住む40代男性は、10月12日の夜は2階の寝室で寝ていたが、翌午前3時ごろ、1階から異音が聞こえたため様子をのぞき込むと、既に床上1メートル近く浸水していたという。
 防災無線より前に鳴っていた半鐘には気づいていたが、無線による避難指示はなく、避難をためらった。同3時半ごろ防災無線の避難勧告を聞いて家族での屋外への避難を決意。水につかりながら安全な場所に逃れた。注3

コメント:上記は北町区に住んでおられる方の報告でしょうが、1m以上の水に浸かりながら避難しなくてはならない状況、というものは「明らかに避難勧告が遅かった」という事であります。

Yさんは台風が上陸した10月13日の午前3時ごろ、1階の居間で就寝中、足に違和感を覚えた。起きてみると、足元にまで水が来ていることに驚き、衣服や通帳など必要なものを慌てて取り出して避難の準備をした。その最中にも浸水が続き、屋外に避難しようと玄関に向かった。
 居間に置いてある市の防災無線が避難を呼び掛けたのは同3時20分だったが、玄関付近にいて、膝まで水につかっていた状況に動揺もあり、無線は「聞こえなかった」という。
 同時刻に無線を聞いた隣人は「城山公園に避難する」と膝まで水につかりながら避難していったが、山本さんは「もう避難できる状況じゃない」と屋外への避難を諦め、2階にとどまることを決めた。無線より前に地元の消防団が皿川の堤防決壊に気づき、半鐘を乱打して知らせたが、皿川から離れた山本さん宅には聞こえなかった。注3

コメント:この方も北町在住の方です。隣人は膝まで水に浸かりながら高台に避難。ご当人は2階に避難です。そうしてやはり「避難勧告が遅かった」という事になります。


参考として時間帯は異なりますが、いま議論している場所についてのドローンによる撮影画像があります。

・水門の閉鎖、国伝えず 長野・飯山の皿川、堤防決壊 (中日) : https://www.chunichi.co.jp/article/39265 <-写真をクリックすると拡大できる。皿川で排水作業中のポンプ車1台、確認可能。ちなみにこの画像は昼ごろ飯山市がとばしたドローンによるもの。

画像右側の住宅は北町区に相当します。水がない時はこんな感じであり、当時は一階部分が完全に水没していた事が分かります。: https://archive.fo/6KNKR

この画像から推察できる事は安全な場所、たとえば「城山公園に避難する」のでさえ大変な事であったという事が分かる。

つまり「 3:20 北町 避難勧告発令」ではこの時点ですでに遅かった、という事です。

なぜそうなったのか、といえばもちろん「皿川は氾濫しない」という飯山市の思い込みのせいです。

ちなみに2時半に市職員が「左岸越水を確認」した直後に左岸には避難指示、右岸には少なくとも避難勧告を出す事が必要でした。(注4

1-3「4:50 田町 避難勧告」について(田町は北町の南側に隣接したエリアであって、2時~3時に北町に流れ着いた水は当然3時以降には田町地区を浸水していった。):田町 https://archive.fo/nNy6T 

田町区住民の例

市街地で洋品店を営むYさんはこう話しています。
「13日午前5時ごろ家の横を流れる川は、道路から5㎝程まで水位が上がっていた。大急ぎで商品を高いところに上げ始めたが、水が店に入って来た。水が床上20㎝ぐらいまで作業を続けたが、どんどん水が入って来て1時間程で70mになり2階に避難した。
もう少し早く皿川の危険性や、越水の情報が早ければ、商品を濡らさずに済んだのにと思う。注5

4時50分に避難勧告が発令された時点では田町のこの場所ではすでに浸水が始まっていた模様である。そうしてこの方が指摘している様に「もう少し早く皿川の危険性や、越水の情報が早ければ、商品を濡らさずに済んだのに」そうしなかったのは飯山市の落ち度である。

隣接した田町地区には2時半の時点で避難勧告を発令するのが妥当であった。少なくとも「皿川越水の情報」は伝えて、警戒態勢をとる必要があった。

それで、そのように対応できていなかったのは、飯山市の判断力、対応力の無さを示すものである。

そうして前の記事でも述べたが「皿川は樋門を開いておけば氾濫しない」という「勝手な思い込み」の為に皿川氾濫の可能性を排除し排水ポンプの事前準備を怠り皿川水位の監視を怠った市役所の怠慢が上記3つのエリアへの避難勧告の遅れを招いたのである。

 

注1:・水門閉鎖、飯山市に通知せず 国交省 皿川 30分後に越水 (信毎 紙面): http://archive.fo/Q7J1l :左上囲み記事部分に「樋門操作員が2時10分ごろに地元区長(有尾区長)に『・・・避難した方がいい』と連絡。」との取材報告あり。

注2:・消防団がいてくれたから気付いた・市の情報もっと早ければ対応できた (北信ローカル) : https://archive.fo/YhORN :『12日3時には浸水が始まっていて、、、』

・消防団の経験生かす・車とバイクは高台へ (北信ローカル) : https://archive.fo/SJ1gS : 『13日 2~3時頃から水が入りはじめ、4時には濁流でタイヤや軽いものが流れてきた。1階の車庫と倉庫が約1m、腰の高さまで浸水し、、、』

上記よりこの濁流は北町の南隣、田町に向かって流れ込んだものと思われます。

注3: https://archive.fo/gmlh4 : 台風19号 豪雪地帯・飯山ルポ 戻らぬ生活、迫る厳冬 浸水の1階住めず、災害ごみ山積み /長野 :毎日 2021年6月5日(土)

注4: 被災地のいま 飯山市 住民の意識に深い爪痕 : https://archive.fo/oxFSY

注5:・もう少し早く皿川の危険性や、越水の情報が早ければ、商品を濡らさずに済んだのにと思う。2020-01-20  : https://archive.fo/07r7c :から引用。ちなみにこの方のお住まいは田町区(避難勧告発令は4時50分)であって道を挟んで向こう側が福寿町となります。

注6:但しこのM氏の車は無事に避難が出来たそうです。M氏曰く「避難できたのは消防団の特権」だそうです。さて今回の水害では飯山中で200台を優に超える車が水没ー>廃車になった模様です。そうであればこのM氏が主張するような「一部の特権をお持ちの方のみ避難が出来る状況」というものは、改善される事が必要であります。

ちなみにM氏の自宅も浸水被害を受けた模様で、公費で取り壊されて家を建て直され、いまでは新しくなった家に住んでおられる模様です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

台風19号 飯山水害の研究・一覧

 

 

 

 

 


「皿川氾濫・決壊に対する避難勧告発令」の1

2021-07-12 11:23:42 | 日記

千曲川についての避難勧告の状況は前述した通りである。

従って次は皿川氾濫・決壊に対して飯山市がどのように避難勧告を出していたのかを、市長と飯山市の主張を交えながら見てゆくことになる。

事前準備

10月11日~12日にかけて 「台風19号襲来に備えて皿川樋門を閉める」という水防計画を立てなかった。(飯山市がしなかった事の1)(注1

これは「皿川樋門を閉める必要がある程の千曲川の水位上昇が起こりうる」という事を飯山市が理解していなかった為である。あるいは言い換えれば「どのような台風がきても皿川樋門は開きっぱなしで大丈夫である」と勘違いしていた、という事でもある。

そうしてまた、それゆえに皿川に対しては今井川、日光川に対して行った様な「事前の排水ポンプ車の手配」を行わなかった。(飯山市がしなかった事の2)(注2

加えて「飯山市街地の住民が避難する事態の発生」を想定しておらず、そのための避難所の開設の準備もしていなかった。(対策本部がしなかった事の3)(注3

それから台風19号襲来の折、対策本部は飯山市にある水防上重要な樋門・樋管について、そのゲートが今開いているのか、閉まっているのかという情報を全くつかんでいなかった。(対策本部がしなかった事の4)(注4

氾濫に対する初動対応 (2時15分 左岸越水~3時20分 北町区 避難勧告発令まで)

10月13日 2時15分 皿川越水・氾濫(市民目撃の第一報)

『だから「溢れたよ」の第一報(しかないけど)を入れた時、電話の相手が「え!溢れた?」って反応だったのか』11月8日記事 (注5

市役所はこの情報をうけて職員一人を現場確認の為に現地に派遣。皿川橋に到着した上下水道課の職員はそこから下水道中継ポンプ場に越水している皿川の水を確認した。(2時30分ごろ:市議会答弁から引用

状況を確認した職員は電話で対策本部に連絡。だが対策本部は水があふれ出している左岸有尾区への避難勧告を越水を確認した職員からの連絡を受けた後で速やかには出さなかった。(対策本部がしなかった事の5)(注6

そして対策本部が左岸有尾区への避難勧告を出したのは、なんと越水を職員が確認してから1時間半後の4時である。

同様にして皿川氾濫で影響が生じる可能性がある右岸、市街地側に対して「皿川左岸に越水した」という情報を防災無線で知らせず、市民に対する注意喚起を怠った。(対策本部がしなかった事の6

また対策本部は確認した左岸越水場所に対しての土嚢積みを消防団に指示しなかった。(対策本部がしなかった事の7

同様にして消防団に対して半鐘をたたいて知らせる様に依頼しなかった。(対策本部がしなかった事の8)(注12

そうしてまた皿川越水・氾濫を確認したにもかかわらず、河川事務所に対して「早急に排水ポンプ車をよこせ」と依頼する事をしなかった。(対策本部がしなかった事の9)(注7

同様にしてまた消防団に対して「排水ポンプで皿川の水を排水せよ」と依頼しなかった。(対策本部がしなかった事の10)(注13

同様にまた対策本部、および現場で左岸越水を確認した職員は「右岸堤防は大丈夫なのか?」という事に注意を払わず、現地確認担当の職員は右岸堤防の上を歩いて状況を確認する事を怠った。(対策本部がしなかった事の11

市長はその言い訳として「夜は暗くてそのあたりまで見通せなかった」と「夜の暗さの為」と説明している。(注8

この怠慢の為に飯山市は皿川右岸堤防で何が起こっているのか、当時はそれを全くつかむ事が出来ていなかった。(対策本部がしなかった事の12)(注9

従って越水し始めた右岸堤防の、その後は決壊に至る場所ではあるが、その場所に対して速やかな土嚢積みの指示を消防団、あるいは北信建設事務所に出すことをしなかった。(対策本部がしなかった事の13)(注10

それゆえにまた右岸北町区への避難指示を適時(2時半過ぎ)に出すことをしなかった。(対策本部がしなかった事の14

それで市民からの「右岸にあふれた」の第二報(3時05分:有尾区の司法書士事務所よりの連絡)を受けてようやく3時20分に北町区への避難勧告を発令したのである。(注11

 

まとめ : 以上の事から分かる様に「氾濫するはずがない皿川が氾濫した」という事実は対策本部を混乱の極みに落とし込んだ。

したがって「初動対応で対策本部がやった事」、「やれた事」は「左岸越水を確認した事」と「3時20分に北町区に避難勧告を発令した事」だけだったのである。

その原因はもちろん・水防計画の失敗による事前準備の不足 であり、それが致命的であった。

加えて飯山市の・想定外の事態が起きた時の対応力の無さ が露見したものでもある。

ちなみに上記初動対応で出された避難勧告を以下に示しておく。

10 月 13 日(日)
 3:20 北町 避難勧告 (3時05分の市民からの皿川越水の第二報を受けて)

 これ以降の避難勧告については初動対応とはいえず、対策本部は状況を見ながら以下の様に順次避難勧告を出していく事になる。そうしてこの部分については後日「なぜもっと早く避難勧告が出せなかったのか?」と大いに非難されたのである。

4:00 有尾地区(皿川沿い一部) 避難勧告 

 4:50 田町 避難勧告(田町は北町の南側に隣接したエリアであって、2時~3時に北町に流れ着いた水は当然3時以降には田町地区を浸水していた。)

 6:40 福寿町・本町・肴町・上町・新町・鉄砲町・奈良沢・栄町・県町・北畑 避難勧告 

 

注1:この事についての内容詳細は以下の記事を参照願います。

・その7・なぜ2年前の台風では皿川樋門は開きっぱなしでよかったのか? ーー>「その8」
2年前はピーク水位が8mであり、この値が皿川樋門あけっぱなし対応の限界値。
10年ほど前までは台風の時は皿川樋門を閉じてすぐに排水ポンプ車で排水をしていた。

・その8・合理的な検証抜きで、経験則のみに頼っている飯山市と河川事務所の判断ミス -->「その20」
皿川樋門開きっぱなし対応の限度は千曲川水位が8.0mまで。

・その20・過去の3つの災害事例と今回の台風19号事例についての要因分析
千曲川の水位の上昇タイミングと皿川上流域にいつ、どの程度の最大降水量が発生したかがポイントとなる。
そのような複合タイプの基準で皿川の状況を判断しないと今後も判断ミスをすることになる。

注2:この事についての内容詳細は以下の記事を参照願います。

・その10-1・今回初めて排水ポンプ車の事前準備なしで皿川樋門を閉じました。
今回の飯山皿川の悲劇は「妥当な水防計画を飯山市が立てる事ができなかった」という事にすべて起因しています。注記にて飯山市が手配した今井川、(日光川)、広井川への排水ポンプ車の手配状況を記述した。

注3:唯一事前に計画され実行に移されたのが「常盤・木島地区対象の避難勧告発令とそれに合わせた避難所の開設」であった

『10 月 12 日(土) 20:15 常盤・木島地区 避難準備情報
         20:45 常盤・木島地区 避難勧告 

5.避難所
 10 月 12 日(土)21:30 当初設置箇所(飯山市開設は2か所のみ)
 城南中(50 名)<--飯山市開設:避難対象者 木島地区
 城北中(50 名)<--飯山市開設:避難対象者 常盤地区
 木島平村若者センター(90 名) <--木島平村開設 協定により飯山市木島地区の避難者も受け入れる』:・令和元年台風19号関連災害経過報告【第2報】 :より加筆、引用

残念な事にそれ以外の避難所の開設はずっと遅れており、この事が市街地の住民に対する避難勧告の遅れにつながった一つの大きな要因であると推定できる。

注4:飯山市の職員がゲート操作をする事になっている唯一の場所である城南樋管の状況はつかんでいた。また常に開けっ放しである事が正常である飯山樋管と栄川樋管の状況も了解していた。

だがそれ以外の飯山にある残り30数か所の樋門、樋管のゲートの状況を対策本部はリアルタイムでつかんではいなかった。

注5: https://archive.fo/lEUqK : 皿川の水門を閉めたのは… : https://archive.fo/F45JX

注6: 飯山市の言い訳は「千曲川以外の河川については避難勧告を出す基準がない」と言うものであるが、皿川については基準は存在し、マニュアルに記載されていた。:

・「避難勧告等の判断・伝達マニアル」変更履歴 : https://archive.fo/Hr34x

・「避難勧告等の判断・伝達マニアル」内水氾濫発令基準 : https://archive.fo/Ge9M7

さて現物によれば「判断基準」も「避難区域」も決められている。くわえて目の前で川から水が住宅地に向けてあふれ出している時に「基準が・・・」という様に考える対策本部のアタマはおかしい。まずは「逃げろ」と言うのが常識であろう。

注7:『3:30 皿川へ排水ポンプ車の配備を千曲川河川事務所へ要請。』:・令和元年台風19号関連災害経過報告【第2報】 :最終ページの時系列表参照

注8:・11月29日付「北信ローカル紙」の報道 : https://archive.fo/DdTXX :2019年11月の市長の記者会見の様子

注9:『皿川右岸のJR鉄橋の上下流から越水。(後日の聞き取り)』と言うように「13日当日には右岸の決壊場所で何が起きていたか、把握していなかった」: ・令和元年台風19号関連災害経過報告【第2報】 :最終ページの時系列表参照

注10:『5:00 頃 皿川の越水箇所への土嚢積みを指示。』と言うように「右岸越水の連絡を受けてから2時間後に土嚢積みの指示をだす」という対策本部の怠慢。:・令和元年台風19号関連災害経過報告【第2報】 :最終ページの時系列表参照

注11:・ひざ下10cmは、40cmもの浸水~「住民から避難勧告は出ないのかと電話」~緊急事態なのに~ : https://archive.fo/Pl49q

注12:・https://archive.fo/gmlh4 : 台風19号 豪雪地帯・飯山ルポ 戻らぬ生活、迫る厳冬 浸水の1階住めず、災害ごみ山積み /長野 :毎日 2021年6月5日(土)ーーーーー↓

・『同市に住む40代男性は、10月12日の夜は2階の寝室で寝ていたが、翌午前3時ごろ、1階から異音が聞こえたため様子をのぞき込むと、既に床上1メートル近く浸水していたという。
 防災無線(引用注:3時20分 防災無線で北町への避難勧告を聞いた)より前に鳴っていた半鐘には気づいていたが、無線による避難指示はなく、避難をためらった。同3時半ごろ防災無線の避難勧告を聞いて家族での屋外への避難を決意。水につかりながら安全な場所に逃れた。』

コメント:この防災無線での避難勧告の連絡よりも前に鳴っていた半鐘は、消防団の団員が個人の判断でたたいて周辺住民に警報を出したものと思われます。そうして、この「皿川が氾濫した」と言う情報は消防団長には伝わっていなかった模様であり、消防団としての統一された組織的な対応はこの時点では行われた形跡が見当たりません。消防団長はこの時(どこで何をしていたのか、不明ですが)半鐘が鳴っていた事を知らなかったものと思われます。

そうであれば「皿川左岸越水場所に土のうを積む」という消防団が防災訓練の時にやっていた土のう積みを実際の場面で生かす、という事はかったのである。

注13:消防団が排水の為に動員されたのは13日の朝方、明るくなってからでした。このあたり木島平村の対応とは大きく異なります。木島平村では夜通しの必死の排水作業が消防団によって行われていました。

・消防団出動 : https://archive.fo/kaAqM  :10月13日午前8時ころ 中央橋西詰から城山雨水排水ポンプ場ポンプ場方面を見る

動画 : https://twitter.com/zakkey_zzr/status/1183155046533386241?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1183155046533386241&ref_url=https%3A%2F%2Fmatomedane.jp%2Fpage%2F39432

その様に出動したのは「何もしなかった事よりはマシ」ではあるが、その出動も昼過ぎには終了し消防団は撤退した模様。遅れて出勤し、誰よりも早く帰る、サラリーマンの鑑であります。

長野県飯山市における 2019 年台風 19 号水害について: https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/science/life-nature/activity/assets/iiyama-suigai.pdf :の冒頭にある右側の写真が 図2飯山市水害状況(10 月 13 日 13 時iネット提供):この空撮画像はiネットが13日の13時ごろの千曲川堤防付近を撮影したもの。拡大すると良く分かるが、朝方から堤防に排水の為に出動していた消防団はこの時にはもうそこには見当たらない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

台風19号 飯山水害の研究・一覧

 

 

 

 


飯山市と河川事務所の芝居は成立していない

2021-07-08 19:24:18 | 日記

さてそれで次の話題は「飯山市と河川事務所の芝居について」である。もちろん素人がやった芝居だから正確には「田舎芝居」という事になる。

まずは時系列に注目すべきイベントを見ておこう。

10月13日 2時15分 皿川越水・氾濫

13日中の市から県への報告 バックウオーターにより中継ポンプ場浸水:千曲川からの逆流が原因の認識 :  https://archive.fo/pl709 

14日~16日 どのようにプレス発表するのか河川事務所と飯山市との間で相談が行われ、その結果「バックウオーターが氾濫の原因」は取り下げられ、実際は開けっ放しだった皿川樋門ではあるが、「樋門を閉めた」と発表する事になったと推察する。

17日 第一報プレス発表 皿川樋門は2時に閉めた:操作員2時頃に連絡(どこに連絡したかは明示されず):・令和元年台風19号台風関連災害経過報告

19日・氾濫3時間後に避難勧告 すでにひざ下浸水、千曲川支流 (朝日新聞記事): https://archive.fo/3Lsij 

21日・基準がない 避難勧告遅れた飯山市 支流氾濫は想定外 (朝日新聞記事): http://archive.fo/i0unC

28日 第二報プレス発表 皿川樋門は1時44分に閉めた:操作員2時頃に連絡(どこに連絡したかは明示されず):・令和元年台風19号関連災害経過報告【第2報】 (注1)

28日 議員全員協議会開催:そこで市より市議会議員全員に示された資料はプレス発表第二報そのものであった。


11月21日 河川事務所 信毎を呼んで河川事務所の主張を伝える:「皿川樋門を閉めて操作員を退避させたことを飯山市に知らせていなかった」とした。(注2)

24日 信毎記事:皿川の水門閉鎖、国交省が飯山市に通知せず 30分後越水し中心部浸水 :飯山市は「河川事務所との間で『情報共有などの連携がうまくいかなかった』と説明。」した。:https://archive.md/jBxn9

25日 市長記者会見 :「(河川の氾濫に関する)状況がよく分かるので、本来であれば水門を閉めた後に(引用注:河川事務所から)連絡をもらえればよかった」(12月2日中日新聞記事より:ソースは下記参照)

29日 「北信ローカル紙」の市長記者会見報道 :https://archive.fo/DdTXX


12月2日 中日新聞 皿川氾濫取材と市長記者会見フォロウ記事 :水門の閉鎖 国 伝えず :中日新聞は専門家の意見として「情報伝達の仕組みの整備が必要」と伝えた。:http://www.gensai.nagoya-u.ac.jp/wp-content/uploads/2014/05/20191202_sonaeru170.pdf

◯12月3日(火)市議会始まる

2019・12・11 飯山市議会議事録 一般質問 : https://archive.fo/gzfZi :から以下引用

『◆4番(飯田健一)  ・・・
 次に、皿川の氾濫をめぐる経過であります。・・・

信毎の報道では、皿川樋門閉鎖を(引用注:河川事務所は)市に通知していなかったとしてありますけれども、

10月28日の議員全員協議会では、皿川の樋門は1時44分に閉鎖としたと操作員から報告ありとの説明が(引用注:市役所から議員に)ありました

市は、皿川樋門が閉まったことをいつ誰から報告を受けたのですか。

◎総務部長(栗岩康彦) 
 皿川の樋門が閉まったことの報告ということでありますが、樋門管理受託者から(引用注:13日の)2時過ぎに情報提供があったということでございます。

・・・

◆13番(小林喜美治) 
 あまり時間をかけたくないんですが、ただ、これも今問題となっている皿川について、マスコミの報道では、閉めたということが国のほうから飯山市のほうに連絡がなかったということが、つい最近の新聞であったと。しかし、飯山市の時系列の中には、何時に閉めたというのを、その樋門を管理している人が飯山市のほうへ来ていると、閉めましたという、そういう連絡が(引用注:飯山市の方に)来たというのが、飯山市の文書の中に入っているんですよ。

問題は、樋門を閉めれば内水の処理が求められるわけで、この千曲川河川事務所との連携共有というのが十分だったのかどうかという問題、

それから何か所、何か所とさっき箇所数を言いましたが、地元区となっているんですが、地元区と同時に消防団にもお願いしてあると思うんです。
そういう判断がどうだったかということも、たしか消防団の中には優先順位があってどうのこうのという話もちらっと聞いたことがあるんです。

 だから、そういう中ではあるんですが、千曲川河川事務所との連携はどうであるかという、その辺については確認をしたいと思いますが、よろしくお願いします。

◎建設水道部長(坪根富士夫) 
 皿川の件に関して申し上げますと、国のほうからは飯山市のほうには特段連絡はございませんでした。

◆13番(小林喜美治) 
 無かったというのは事実なんですね。(注3)

・・・

以上の市議会での飯山市の答弁から分かる最初の事実は「河川事務所から直接、樋門を閉めた、と言う連絡はなかったのは事実である」という事。

だがしかし2つ目の事実は「樋門操作員は樋門を閉めた後2時過ぎに飯山市に樋門を閉めたと連絡をいれた、と飯山市が認めている事」。

但しここで注意が必要な事は「実際に皿川樋門が閉められたのかどうか」という事はまた別の問題である、という事であり、その事についてはここでの議論とは切り離して論じなくてはならない。(注4)

ここで議論している問題は「飯山市と市長は、それから河川事務所も、国から飯山市に連絡をいれなかった事があたかも避難勧告の遅れを生んだ原因であるかのような発言をしている。」という所にある。

そうであれば足立市長は信毎の報道を受けて

25日 市長記者会見 :「(河川の氾濫に関する)状況がよく分かるので、本来であれば水門を閉めた後に連絡をもらえればよかった」(中日新聞記事)

と言うような発言を記者会見の席上で言っているのである。

そうしてそれに誘導される形で中日新聞が『水門の閉鎖 国 伝えず 』と言う記事を書きそうして中日新聞は専門家の意見として「情報伝達の仕組みの整備が必要」と伝える事になったのである。

これが飯山市と河川事務所が必要とした最終的なマスコミの飯山水害に対するとらえ方であった。(注5)

そうであればこの中日新聞の記事こそが飯山市と河川事務所が行った芝居の目的が達成された姿なのである。


だが実際は「樋門操作員から樋門を閉めた後で連絡をもらっている」と飯山市は認めている。

ここでポイントとなる事は「その事実を知っているのは市議会議員だけである」という事であって「マスコミに対してはその事実は公開されていない」という所にある。

こうして中日新聞はまんまと飯山市と河川事務所の芝居にだまされた、という事になったのである。

しかしながら市議会でのやり取りを含めた形で全体を見渡すならば「飯山市と河川事務所の芝居は成立していない」という事が明らかになるのである。

 

注1:だが一番最後のページに付けられた時系列表をみると「河川事務所と樋門操作員のあいだでやり取りがあった」かのような記述がされた。これによって「樋門を閉めた後で樋門操作員が報告をしたのは河川事務所である」と資料を読む者に思わせる効果が生まれている。

注2:しかし注1で述べた効果はあまりにも暗示的すぎてあまり期待したような結果を飯山市にはもたらさなかった。したがって「より明示的な誘導策が市長記者会見の前にとられた」と推察される。

この辺りの状況詳細については以下の記事を参照願います。

・その18・黙っていればバレないのに自分からミスをばらしていく、不思議な河川事務所についての考察
当初飯山市は県に対して「皿川樋門は開いていた」と取れる報告を上げていたが、それがいつの間にか「皿川樋門は閉じていた」に変わっていった、というお話。

注3:一般質問のこの辺りのやり取り詳細については以下の記事を参照願います。

・参考資料の2 : ・飯山市議会議事録から 国が飯山市に水門を閉めた という連絡を入れなかったのがまずかった という河川事務所と飯山市の主張の不自然さについての考察。実際は樋門操作員から2時過ぎに市役所に連絡が入っており、だがしかし、市役所はその連絡を受けてもポンプ車の手配等、必要な事はなにもしなかった、という事になる。

注4:皿川樋門が本当はどうであったのか、については以下の記事を参照願います。

飯山水害 皿川樋門は開いていた

「河川事務所の報告は成立していない」の1 

「河川事務所の報告は成立していない」の2

「河川事務所の報告は成立していない」の3

注5:河川事務所は「確かに樋門は閉められた」という認識をマスコミに与える事、ひいては世間に与える事に成功した。

そうしてまた飯山市は「国が飯山市に連絡をしなかったのが悪いのだ」と言う印象をマスコミに与える事、ひいては世間に与える事に成功したのである。

追記:河川事務所が出してきた報告書にも「操作員はゲートを降ろした後で飯山市に連絡した」という記載がある。

・情報公開請求によって河川事務所から提示された皿川樋門操作記録:https://archive.fo/NOD6b  : https://archive.fo/ffrn2

そうであればもともと河川事務所は信毎を呼んで「我々が飯山市に連絡をしなかったのが悪いのだ」などという様な事を言う必要などどこにもないのである。

なんとなれば委託契約をしている担当者が河川事務所が定めた手順に従ってちゃんと市役所に連絡している事になっているからである。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

台風19号 飯山水害の研究・一覧

 

 


皿川氾濫・「飯山市の主張は成立していない」

2021-07-06 01:38:44 | 日記

次に皿川氾濫対応についての飯山市の主張を見ていきましょう。

・氾濫3時間後に避難勧告 すでにひざ下浸水、千曲川支流 (朝日) : https://archive.fo/3Lsij : 2019年10月19日 12時58分

『皿川の氾濫(はんらん)情報から少なくとも3時間以上経った後に避難勧告を出した地域があったことがわかった。』<--つまり「避難勧告の発令が遅すぎるのでは?」という批判に対しては、

小さな川すべての氾濫情報までは把握できない。

排水機能が失われることは想定外で、その時点では精いっぱいの判断だったと捉えている。

と飯山市は主張している。

そして次のニュースでは

・基準がない 避難勧告遅れた飯山市 支流氾濫は想定外 (朝日) : https://archive.fo/l3CPz : 2019年10月21日07時48分

『市が想定したのは千曲川の氾濫。ところが今回は支流から市街へと水がなだれ込んだ。想定外の事態に慌てた市は、会議を開くものの「基準がない」ために勧告を出せないまま。その間に市役所1階を含む市街地が水没した。・・・皿川は市街地の北を西から東に流れ、千曲川に注いでいる。氾濫を想定していないのだから、氾濫した場合に被害がどう広がるかも考えられていなかった。』

この時点での飯山市の主張は2つ。

皿川氾濫は想定外であった。

「基準がない」ために勧告を出せなかった。皿川氾濫時の浸水範囲の想定はしていない。

以上の4つの主張について順に見ていきましょう。

 

小さな川すべての氾濫情報までは把握できない。

飯山市は市議会答弁で「重要水防箇所は巡回・監視していた」と答弁している。それらの重要水防箇所は「過去に水があふれた事のある場所」あるいは「水があふれると大変な事になる場所」の事である。

そうしてもちろん「皿川は重要水防箇所に指定されるべき場所」であった。だが飯山市は今回の皿川氾濫があるまでは皿川を「重要水防箇所に指定していなかった」。これは飯山市の怠慢、「皿川は県の管理だから県に任せておけばよい」とでもいうようなものである。

それで皿川を「小さな川」と表現するのであれば、その時にすでに飯山市は自分の責任を放棄している、自分の出来の悪さ、能力のなさを示している事になる。そうしてこのようなあきれてしまう様な「開き直りの態度」というものはこれからもしばしば目にするのである。

それで実際に今回は皿川樋門を閉める対象から外し、したがって排水ポンプ車の事前配置もなしとし、当然そこにいるべき樋門操作員もそこにはおらず、誰も皿川を監視してはいなかったのである。これはあきらかに飯山市がたてた水防計画のミスである。

排水機能が失われることは想定外で、その時点では精いっぱいの判断だったと捉えている

この言い訳は飯山市の本音であろうか、その後の市議会の答弁でも「その様な言い訳」を繰り返している。つまり「排水ポンプ場が動いてさえいれば、こんなには浸水範囲は広がらず、避難勧告が遅れた、と非難される事もなかった」という態度である。

この飯山市の主張は以下の2つの点で間違えている。

一つ目の間違いは「排水ポンプ場の排水能力には十分な余裕があった」という認識である。実際には市街地に降った雨水を十分に排水する事すら出来ていない状況であった。したがって、それに加えて皿川からの氾濫水を千曲川に排水する事など始めからできなかったのである。

だが飯山市は「いや、動いていれば、浸水によってポンプ場が異常停止する事さえなければ排水できた」という。これは全くの間違いなのであるが、詳細をここで述べるのは長くなりすぎる為に今は結論だけを示しておいて、内容詳細については後述することとする。(注3

二つ目の間違いは「市内に排出された泥水の量の読み間違い」である。「13日当日では皿川堤防は越水だけなのか、決壊したのか、対策本部はつかんでいなかった」と言っている。だが実際は堤防は決壊しており、そこから皿川の水と皿川を逆流した千曲川の泥水が大量に市内にあふれ出したのである。

そのような「最悪の状況」であったにも関わららずその状況をその時にリアルタイムで把握する努力を怠り、単に「楽観的な推測で」「皿川からすこし水が越水しただけだ」とし、従って「ポンプ場の排水ポンプで対応可能である」と読んでその様に行動した、つまり「ぐずぐずと避難勧告を後回しにした対応」に終始したのである。

そうして、付け加えるならば「水があふれた」ならば「避難勧告」ではなくて「避難指示」を発令すべきだった。この点ですでに飯山市は「発令すべき内容そのものを間違えていた」という事ができる。

皿川氾濫は想定外であった。

1番で指摘した内容と重なるが飯山市は「皿川については樋門を開けっ放しにしておけば大丈夫、何の問題もない」と判断していた。そうであれば飯山市にとっては「想定外」であったであろうがそれは飯山市の出来の悪さを示す以外の何物でもなく、そこで「想定外」と言い切るのは「飯山市の無能力さを示すもの」である。

「基準がない」ために勧告を出せなかった皿川氾濫時の浸水範囲の想定はしていない。

飯山市はここで事実と異なる事をマスコミに伝えている。「基準はなかった」のではなく「基準はあった」。それを書いたマニュアルは存在したのである。以下に現物を示す。

・「避難勧告等の判断・伝達マニアル」変更履歴 : https://archive.fo/Hr34x

・「避難勧告等の判断・伝達マニアル」内水氾濫発令基準 : https://archive.fo/Ge9M7

さて現物によれば「判断基準」も「避難区域」も決められている。という事は「存在していた基準」を「存在しない」とマスコミに伝えていた訳だな、飯山市は。そういうのは世間では「ウソつき」と呼ばれるのだよ、市役所の諸君。(注1)

その事に関連して以下に市議会でのやりとりも載せておく。

飯山市 令和 2年  6月 定例会(第372回) 06月16日-02号

◆6番(松本淳一) 
 松本淳一です。
 発言が許されましたので、通告に基づいて順番に質問をしてまいります。5点質問したいと思っております。

 まず、昨年の水害時の水害のマニュアルというのがあるんですが、その内容と実際の運用についてうかがいます。
 昨年の市街地の水害では、新聞などでマニュアルが存在しなかったかのように報道されていました。
しかし、実際は存在をしております。「避難勧告等の判断・伝達マニュアル」といいます。(引用注: マニュアル詳細は https://archive.fo/aBN7N )

コメント:新聞社に、マスコミにウソを言ってはいけないよ、市役所さん!それはつまり「世間をだます、市民をだます」ということだな。

(松本淳一) 昨年の台風19号で、「避難勧告等の判断・伝達マニュアル」とそのマニュアルの実際の運用についてお尋ねをいたします。
 まず、マニュアルはどのような経緯で策定されていったのかお尋ねします。
初めて作られたのは、いつのことでしたでしょうか。

◎総務部長(北爪英紀) 
 最初にマニュアルが作られたのは、平成24年度でございます。

・・・

◆6番(松本淳一) 
 再度おうかがいしたいんですが、お答えになれないところもあったんですけれども、全体として見ると、千曲川の場合も皿川の場合も、マニュアルが使われていないんじゃないかというふうに私は思っているんですが、この点いかがですか。

◎総務部長(北爪英紀) 
 千曲川と皿川ということでよろしいでしょうか。
 昨年の台風のときには、避難勧告の発令に際し、判断の参考として活用しておりました。

◆6番(松本淳一) 
 それでは、端的な聞き方ですけれども、警戒本部にはちゃんとマニュアルがあったというふうに判断してよろしいですね

◎総務部長(北爪英紀) 
 ございました。』(注2)

さて以上の様に対策本部にはマニュアルがあり、基準がありそれを見ていた。だがマスコミに対しては「基準がない」と事実と異なる事を伝えていた。

さてどう思いますかマスコミの諸君。こういう飯山市の態度・やり方については?

さて実はマニュアルに書かれている事を読めば1、の「無視してもよい小さな川」には皿川は相当しておらず、当然皿川は監視対象とするべき河川であったことが分かる

そうしてまた3、の「皿川氾濫は想定外であった。」というのもウソで「すでに想定は済んでいた」が事実である事が分かる。

まあそういう訳で「飯山市の主張は成立していない」という事になるのである。

 

注1:関連するブログ記事については以下を参照の事。

・千曲川氾濫危険水位の見直しに対応した「避難勧告等の判断・伝達マニアル」の改訂と~市民への周知を~ (2020-10-10 ) : https://archive.fo/aBN7N

注2:市議会でのやり取り詳細については以下の記事を参照願います。

・参考資料の13-1 :・松本議員の「存在しない、とマスコミには答えていた避難マニュアルが実は存在した」という件と、そうしてそのマニュアルにかかれている内容を市役所はまるで無視していたという件についてのやり取り、あるいは単なる市役所の逃げ。関連して水害発生時についての新聞記事(複数)の紹介。

注3:この件、内容詳細につきましては以下の記事を参照願います。

22・「城山の雨水排水ポンプ場は能力不足」の1 :

『2、ポンプ場に流入する雨水が増えてもいないのに、何故3台目のポンプを動かす必要があったのか?

実は1時50分の時点ではそれまでよりもポンプ場に流入する雨水の量は減っていました。にもかかわらずポンプ場貯水池の水位は上昇を続け、つまりは2台の排水ポンプを稼働させただけでは排水量が足りず、したがってポンプ場の担当者は3台目のポンプを稼働させることになったのです。

ほほう、何故そんな事になるのですか?千曲川の水位が上昇した為です。・・・』

23・「城山の雨水排水ポンプ場は能力不足」の2 :

『・・・当初我々は「それはどこからかは知らないが雨水のほかに排水ポンプが排除しなくてはならない水が貯水池に流れ込んできたためだ」と推測しました。(注3)これは市長の「1台あたり1分間に110トンの排水能力をもつ排水ポンプだ」という主張を鵜呑みにした結果でした。

しかしながら市長のこの発言・主張は千曲川の水位上昇の影響を排水ポンプが受ける事を無視した「お話にならない主張だった」のです。

事実はと言えば「1時50分のタイミングでは2台の排水ポンプが動いていたにも関わらず貯水池の水位は上昇し続け、あふれ出すまであと50センチを残すほどにまでなっていた」のです。・・・』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

台風19号 飯山水害の研究・一覧

 

 

 


「河川事務所の報告は成立していない」の3

2021-06-29 11:14:56 | 日記

「1時44分にゲートを閉めた」とされている樋門操作員の活動形跡がない

河川事務所の報告 : ・情報公開請求によって河川事務所から提示された皿川樋門操作記録:https://archive.fo/NOD6b  : https://archive.fo/ffrn2 :によれば「12日の20時55分に皿川樋門に出動し13日の1時44分にそこを退避した」となっています。

しかしながら「ゲートを閉めた時刻が1時44分」ですから、その操作をした後でゲートが実際に降りたのかどうか室外に出て確認し、それから操作室内を片付けて明かりのスイッチを切ってドアをロックしてその場所を離れるのですから、「2時頃に皿川樋門を離れた」という事になります。

しかしながら ・飯山水害「なぜ皿川は氾濫したのか」の2 で示した様にその樋門操作員の活動形跡が皿川の水位を確認するためにたびたびその場所に出向いていた方によってまったく目撃されていないのです。さてこれは一体どうしたことでしょうか?

そうであれば「実際は操作員は皿川樋門では活動していなかった」という事になります。

ゲートを再び持ち上げる為にその場所に現れた樋門操作員は存在しない

報告によれば樋門操作員が再びその場所に出動したのは13日の14時とされる。その時には皿川樋門の前では排水ポンプ車が一台、排水作業にあたっていた。

13日9時頃の皿川樋門前の状況: https://archive.fo/8RpSJ 

14時であれば周囲はもっと明るくなっていた事であろう。そうして排水ポンプ車を操作している作業員はそこにいた。だがその作業員は再出動した樋門操作員を見る事はなかった。

そのかわりにもっと不思議な光景を目にしていた。樋門操作員が現れた形跡がないのにもかかわらず、樋門のゲートがすでに上がっているのを確認していたのである。

皿川樋門のゲート全開時のゲート上端の高さはその場所の水位標読み値で8.5m。ちなみにこれは実は皿川樋門入口側に立っている水位標の高さと同じ値である。

・ゲート上端高さ 8.5m : https://archive.fo/nms1F

それはつまりその場所の水位が8.5mになるとゲート上端が水面に現れる、という事である。そうしてその時刻は13日の午前10時頃。水面上に何やら見え始める。

12時には水面上に1m程ゲートが飛び出す。そうしてポンプ車がそこを退去してもっと南側に移動した時刻、午後3時には水面の上に2mもゲートが姿を現す

排水ポンプ車の作業担当者は「ゲートが開いていたのならこの場所で排水作業をしても無駄だな」ということで、15時にそこを移動した、と飯山市は議会で答弁している。(注1

まことにもっともな判断である。

だが報告書を書き上げた「だれかさん」はその点を見逃した。そうしてゲートを上げた時刻を13日の15時30分と書いてしまった。

しかし「物事の整合性をとる必要性」からいえば、「ゲートを開けた時刻は15時」としなくてはならなかった。

そうしておけば「ゲートが15時に開かれたので、排水ポンプ車はその場所を移動した」となり「つじつまがみごとに合った」のである。

15時30分にゲートを上げた、その時の内水位は6.40mではない

報告書では「13日15時半の皿川ダム湖水位は6.4mであった」としています。これを標高になおすために+309.1mを足しこむと315.5mとなり、これが15時半の水位の標高となります。

ところで決壊場所の最終的な姿はこうでした。:水が引いた後の景色 : https://archive.fo/0O1iv 

決壊場所のすぐ外側は遊園地になっており、滑り台がある事が確認できます。さてそれでこの場所のこの時の標高はいくつでしょうか?地図読み値では316.3mで、それプラス堆積した土砂分という事になります。: ・公園 滑り台の写真 : https://archive.fo/3BKlo 

・・・という事はいずれにせよ皿川ダム湖の水位315.5mよりも高い、つまり「午後3時半には皿川決壊場所からの泥水の流出は止まっていた」と主張している事になります。


さてそれで、横丁大家さんは市内にあふれた水位の経時変化を記録・報告されています。まずは水位上昇変化の写真。

・「ときでん」周辺~10月13日午後5時近くに最高浸水深~標高315・8mまで上昇~洪水発生源は~ : https://archive.fo/cigGj :時系列浸水深の写真

それらの写真から上町あたりの屋外での水位の経時変化を出してグラフ化したものがこれ : https://archive.fo/qk2dU

上町あたりでの水位のピークは17時である事がわかります。(注3

そうしてこの時は千曲川堤防の上でポンプ車6台+消防団の排水ポンプ(複数台)が動いていました。それでも皿川決壊場所からの流入泥水が多いため、17時まで市内の水位は上昇を続けたのです。(注4

あれ、おかしいですよねえ。河川事務所は「午後3時半には皿川決壊場所から市内への流出は止まった」と言ってますが、実は止まってはいなかった。(注2

少なくとも17時過ぎまでは市内への流出は続いていた、つまり「15時30分に皿川ダム湖の水位は6.4mではなくもっと高かった」と言うのが事実なのです。

その値は、といいますれば「河川事務所主張の内水位よりは概算で1m以上は高かった」という事になります。


さて実際に3時半に皿川樋門の場所にいて内水位を計測していたら、こんな「明らかに違う数字を報告書に書く」という事はなかったでありましょう。つまり「河川事務所が主張しているような樋門操作員は15時半には皿川樋門にはいなかった」というのが結論となります。

さて以上が当方が「この報告書は情報公開請求があったので、あとから机の上で作文されたものである」と主張する根拠となります。

 

注1:飯山市議会議事録から : ・参考資料の5 

『◆6番(松本淳一) ちょっと先に進みますが、排水ポンプあるいは樋門についておうかがいします。
 皿川から排水ポンプを6台使って排水をしたというふうに報告されているんですが、スタートの時間は多分書いてあったと思いますが、6台になったのは何時ごろですか。

◎建設水道部長(坪根富士夫) 
 皿川では、13日の5時から15時まで排水を行っております。
皿川の自然流下が可能になった時点で移動し、皿川付近の国道117号で市街地の内水排除のため、排水ポンプが13日の22時から6台体制になっております。

◆6番(松本淳一) 
 ちょっと説明がよくわからなかったんですけれども、13日の5時から15時の間というのは何台だったんでしょうか。

◎建設水道部長(坪根富士夫) 
 排水ポンプ車1台でございます。

◆6番(松本淳一) 
 市街地のところをもう一回ちょっとご説明ください。ちょっと聞き取れなかったので。皿川ではなくて、市街地のほうの排水をしたという部分、もう一回ちょっとご説明ください。

◎建設水道部長(坪根富士夫) 
 皿川付近の国道117号、具体的に申しますと、栄川樋管と飯山高校のグラウンドのあたりで、排水作業を行いました。』

注2: ・北町住宅東端上階からの13日午後3時2分時点での撮影・堤防決壊場所の写真 : http://archive.md/U0QfF : https://archive.md/HaLqS <--このページの一番下にある写真です。この写真をクリックすることで拡大表示する事ができます。

午後3時2分時点でこの水位である。(水位の程度はJR鉄橋の橋げたと水面の距離から概算可能)。この時間で堤防決壊場所からはまだ左側に泥水が流れ出している事が確認できる。

さて河川事務所はこの水位から1.5m~2m程の水位の低下をたった一台の排水ポンプ車で30分でやれた、と主張しているのである。

そうしてもちろん現実にはそんな事は不可能であって、実際はこの場所からの泥水の流れ出しは17時を超えて続いていたのであった。

ちなみにその場所からはよく見渡すことが出来た千曲川堤防の皿川樋門前には飯山市の報告通りに排水ポンプ車は排水作業を終えて移動していた為に姿がみえず、撮影する事はできなかった模様。

注3:以下13日18時04分時点での飯山市の認識

・飯山市のHP :令和元年10月 台風19号に関する被害状況等
(令和元年10月13日 10:00現在): https://archive.fo/K9Uxa :から引用

『令和元年10月 台風19号に関する被害状況等
(令和元年10月13日 10:00現在)

避難に関する情報
・・・
10月13日
・・・
5:34 瑞穂地区の戸那子区全域、富田区の一部、中組区の一部、関沢区の一部に避難勧告発令
6:37 内水の能力を上回る増水により、飯山地区の福寿町区、本町区、肴町区、上町区、新町区、鉄砲町区、奈良沢区、栄町区、県町区と秋津地区の北畑区に避難勧告発令
・・・』

の「内水の能力を上回る増水により、」の部分の意味がよく分からなかったので、市役所に質問したのでした。そうしたら当日夕刻に真面目な担当者から以下の様な回答が返ってきました。

飯山市よりの回答メール 13日 18時04分時点  質問はHPの問い合わせフォームから

『・・・お問い合わせいただきました件について、ご説明いたします。

「内水の能力を上回る増水により、・・・」についてですが、以下のとおりとなります。

本日未明より、市街地の広範囲に(千曲川本流ではない)河川からの流水等に
よる内水氾濫が発生しております。

千曲川本流の水位が、市街地に流れる河川の水位より高く、自然流下しないため
通常開放している水門等を閉め、流れ込んだ河川の水を複数台でのポンプ等に
より排水処理を行うのですが、流れ込む水量の方が多いことにより、水が徐々に
溜まり、引きにくい状況となったものです。

内水の「排水」能力が雨水等による河川水位の増加に対応できなかったという
説明のほうがわかりやすいかもしれません。

以上となります。
よろしくお願いいたします。』

↑ 飯山市の「まだいろいろと対外的な情報操作していないこの時のすなおな認識」がよく分かります。

そうして「流れ込む水量の方が多いことにより、水が徐々に溜まり、引きにくい状況となったものです。」という所はもちろん「(皿川右岸堤防決壊場所から市内に)流れ込む水量の方が(堤防で排水中の排水ポンプ車6台+消防団所有の複数台の可搬式排水ポンプによる千曲川への排水量よりも)多いことにより、(飯山市内に)水が徐々に溜まり、(その水が増え続け、現在でも)引きにくい状況となったものです。」と言っておられるのですね。

注4: 消防団の対応

次に排水ポンプ車による排水量の計算です。
皿川エリアには合計6台の排水ポンプ車が配置され、皿川担当に1台、残り5台は市内に流出した水の処理にあたりました。そうして皿川担当の1台は午後3時に市内担当に合流しました。
それから地元の消防団が可搬式の小型ポンプ7台で排水の補助をしています。
http://archive.md/KRvw4

この部分は本来は動画になっています。午前7:58 · 2019年10月13日
https://twitter.com/zakkey_zzr/status/1183155046533386241?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1183155046533386241&ref_url=https%3A%2F%2Fmatomedane.jp%2Fpage%2F39432

追伸:(2021/7/12):皿川樋門のゲートが降りていなかった、という決定的な、直接的な画像がありました。

・水門の閉鎖、国伝えず 長野・飯山の皿川、堤防決壊 (中日) : https://www.chunichi.co.jp/article/39265 <-写真をクリックすると拡大できる。皿川で排水作業中のポンプ車1台、確認可能。ちなみにこの画像は昼ごろ飯山市がとばしたドローンによるもの。

拡大画像で皿川樋門を見てください。ゲートが降りていない事が確認できます

見にくい時は150%に拡大しましょう。はい、お疲れ様でした。貴重な画像を提供していただいた飯山市には感謝する次第であります。

おまけ:◎総務部長(栗岩康彦) 
 ドローンにつきましては、13日の午後1時半ごろからドローンによる撮影をして、市街地の状況調査を行っているところでございます。

おまけの2:近づいて堤防の上からゲートを見るとこう見えます。: https://archive.fo/nms1F

おまけの3: https://archive.fo/dHJuW

補足皿川樋門関連 ゲート上端位置と千曲川の水位について

・ゲート上端高さ : https://archive.fo/7pRbN :写真からわかる様に8.5mである。そうしてこの数字は皿川側にある水位標の高さと同じである事をしめす。

・外水位計 水位標 : https://archive.fo/xF3E6

・ゲートが開いた状態での千曲川側からの画像 : https://archive.fo/pzIvW :ゲートが降りた場合は手すりが写っている作業用の通路の部分あたりまでゲート上端が降下する事になる。

ゲートが降りた状態では・外水位計 水位標の値で5m以下にゲート上端が降りる。これは飯山水位観測所の数値に換算すると7m以下になる、ということである。

いっぽうでゲートが開いた状態では上端は8.5m、水位観測所の数値に換算で10.5mの位置にある。

さて13時半の千曲川の水位は9.17m@水位観測所である。

そうであればこの時にゲートが降りていたならば、その上端は千曲川の水の下にあって、上からでは見えない。

他方でゲートが開いていたならばその上端は千曲川の水面上に1.3m程出ている事になる。

さてそういうわけでドローンが13時半に撮影した皿川樋門の写真にゲートが写っていた、という事は「13時半にはゲートは開いていた」という事である。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

台風19号 飯山水害の研究・一覧

https://archive.fo/uDJrB