台風19号 飯山 千曲川避難勧告発令の1

2021-06-16 12:37:54 | 日記

さて避難勧告についてここでは見てゆく事とする。そうしてここでは「千曲川増水に対して適切に避難勧告が出せたのかどうか」という点に焦点を合わせる。というのも飯山地方は過去に大きな被害を出した千曲川、樽川、そうしてそれ以外の千曲川に流れ込む支流による氾濫を警戒しなくてはならない場所であるからであって、それらの河川全部に対する避難勧告の在り方を一度に扱う事は無理があり、混乱を招くだけであるからである。

飯山 千曲川に対する避難勧告発令状況

まずは市長の言い分から。

『千曲川の氾濫であれば上流域も含めて水位などの情報が得られて「避難勧告を出す体制は確立している」』というものである。 :  https://archive.fo/DdTXX

さて、この主張は本当であろうか? 「令和元年台風19号台風関連災害経過報告 令和元年 10 月 17 日午後 4 時現在」 : https://www.city.iiyama.nagano.jp/assets/files/senryaku/press/1017iiyama.pdf :から以下、引用する。但し( )内数値は対応する時刻の千曲川水位@飯山観測所であり追記したものである。

『3.勧告等  
 10 月 12 日(土) 
 20:15 常盤・木島地区 避難準備情報 (4.31m)
 20:45 常盤・木島地区 避難勧告(4.64m)
 
 10 月 13 日(日)  
  2:50 上組(一部)・中山根(一部)・伍位野(一部) 避難勧告(9.46m)
 
 4:00 大久保(バイパス沿い一部) 避難指示(10.20m)
 
  5:30 関沢区(一部) 避難勧告(10.84m)
 
 川面地区および静間バイパスに対する避難勧告の発令はなし。だが浸水被害発生。

飯山市街地に対する避難勧告の発令はなし。

そうして上記4か所以外の浸水被害発生は表面上は無い事になってはいるが、実は他の場所でも千曲川からの浸水被害は発生していた。ーー>有尾地区、県町地区、そうして皿川をバイパスしての飯山市街地の浸水は千曲川からの浸水である。
 
 9:15 木島・常盤(冠水部分を除く)・伍位野・ 上組・中山根・ 避難勧告 解除(10.63m)

10 月 14 日(月) 9:00 市内に発令していた全ての避難指示・勧告 解除(3.5m未満)』

そうして、以下は避難勧告 判断基準水位である。

『・台風19号襲来当時の飯山市の避難勧告等の飯山水位観測所での基準値一覧 :注意 現時点での基準は変更されている可能性があり、下記数値とは一致しない場合がある。

 飯山水位観測所  発令水位基準    観測水位(13日実測データ)

 ・避難準備:高齢者等避難開始 9.0m   2時  8.86m

 ・避難勧告          9.4m   3時  9.58m

 ・避難指示         10.0m   4時 10.20m』

以上の事から分かる事をまとめる。

常盤・木島地区 避難勧告 は異常に早い。

この2つのエリアは過去に大きな水害に遭っており、したがって住民の水害に対する警戒意識も高く、また事前避難についての要求も高い。したがって市役所は対応する避難所の開設も早くしており、相当前にも関わらずに避難勧告が発令できたのである。 

上組(一部)・中山根(一部)・伍位野(一部) 避難勧告 はルール通りに見える。

但しルールではこのような(一部)と言うような「場所限定の勧告」は定めておらず、従ってたとえばこのエリアに関係する宮沢川樋門の操作担当者からの発令依頼、あるいは地元区長からの依頼に応じたものであると思われる。とはいえ、この辺りの水位で発令されるのが本来の避難勧告の姿である。

大久保(バイパス沿い一部) 避難指示 は「越水、浸水している」の現地からの報告を受けたものである

この時刻以降のものはすでに千曲川からの浸水を受けた後の市役所の対応である。

関沢区(一部) 避難勧告はルールの基準水位を大幅に超えており、ほとんど千曲川のピーク水位到達時刻である。という事はこの場所も「すでに浸水した後での避難勧告発令である」という事が分かる。

川面地区および静間バイパスに対する避難勧告の発令はなし、これら2つのエリアについては対策本部は事前想定をしておらず、そのために「何もできていない状況」であった。そしてこの場所の実際の浸水状況は以下の記事で確認できる。 : ・台風19号 飯山での千曲川の状況 :

飯山市街地に対する避難勧告の発令はなし。そうして浸水被害発生は表面上は無い事になってはいるが、実は千曲川からの浸水被害は発生していた。

そうしてまた、こうした実際の目に見える形の被害の発生とは別に「ルール無視により飯山市民に対して無用のリスクを負わせた」という「目には見えないが非常に危険な行為を飯山市がやっていた事」はページをあらためて「その2」で記述する事とする。

、木島・常盤(冠水部分を除く)・伍位野・ 上組・中山根・ 避難勧告 解除(10.63m)。飯山市が持っている避難勧告マニュアルには発令基準はあっても、解除基準がない模様である。そうであれば計画高水位10.4mを水位が十分に下回らなくても平気で避難勧告を解除しているのである。

以上の内容が「客観的な評価結果」というものである。この結果をみればわかる様に足立さんが主張しているような『千曲川の氾濫であれば上流域も含めて水位などの情報が得られて「避難勧告を出す体制は確立している」などというレベルには遠く及ばす「まるで達していない」というのが飯山市の実力なのである。

そうしてまたこれで分かる様に「事前に想定していた状況、事態」であれば「決められたシナリオに従って行動する事は出来る」のではあるが、「事前想定を超えた事態の発生」に対しては、飯山市はまるで無力である、ということも分かるのである。

ちなみに、その程度のレベルにある飯山市であれば、「市街地に避難勧告を出す時に参照するべき水位として立ヶ花と並んで市川橋の水位」をあげて説明、答弁している。これはマニュアルにそう書かれているから、その様に答えているのではあるが、飯山市街地より相当に下流にある市川橋の水位を何故参照しなくてはならないのか、少しも疑問に思わず、マニュアルを棒読みして答えているのである。

マニュアルに市川橋の水位が書かれているのは、もちろんその場所よりも下流域にある場所に対して避難勧告を出すかどうか、判断する為のものである。

そうして、その程度のマニュアル理解であれば、戸狩エリアを含んで柏尾橋から市川橋までの間の場所の避難勧告判断については柏尾橋の水位を判断基準にしなくてはならない、という事が分からない。

したがって、その様に避難勧告マニュアルを改訂しなくてはならない、という事にもまるで気が付かないのである。

そうしてこれが市役所が川面地区に避難勧告を出せなかった理由でもある。

追記:上記で述べている浸水被害を受けた場所の位置詳細については次の資料の後ろから2ページ目を見られたい。

令和元年台風19号関連災害経過報告【第2報】 https://www.city.iiyama.nagano.jp/assets/files/senryaku/press/1028iiyama.pdf :時系列については最後のページに載っている時系列表を参照願います。

 

台風19号 飯山水害の研究・一覧