シリウス日記

そうだ、本当のことを言おう。

その34-1・飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討

2020-11-13 14:08:13 | 日記

新情報:飯山市まちづくり基本計画(都市計画マスタープラン・立地適正化計画)令和3年3月 : 第四章 立地適正化計画 :注1

上記pdf資料「立地適正化計画」113ページに今回の台風19号襲来時に氾濫した皿川による飯山市街地の浸水状況(実測)がのっている。

その資料を見ると分かるのだが、「県町地区を埋め尽くした泥水は皿川からのものではない」と飯山市が認めている事がわかる。

さてそうなると、その泥水はどこからきたのか?

答えは「静間樋管が消防団と道路河川課の手抜きによってゲートがおろされる事なく開けっ放しであった事による、千曲川からの逆流泥水であった」と言うものである。

そうして、その事実は市議会答弁においても隠されていて「事実とは異なる答弁がなされた」のである。

2022年5月追記

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1、県町(あがたまち)地区を中心とした浸水について

この地区の浸水被害については飯山市報(pdf)にも記載があります。

このpdfの2ページ目に今回の浸水被害があった場所が地図上に示されています。
拡大して確認してください。

そこに「飯山市街地 ・県町区・北畑区 内水の氾濫による浸水」と書かれた場所があります。
その中で今回のテーマは「・県町区(あがたまち区)」となりますがその地図では北陸新幹線の線路より下側に示された浸水エリアとなります。 

・航空写真1

航空写真1では画面中央に「県町」と書かれた場所がちょうど「県町住宅の駐車場」の位置となり、この場所を含めて浸水被害がありました。

地図での表示ではこうなります。

・地図表示1

ここには4棟の5階建ての「県営県町住宅」がありその敷地を「県町」と呼んでいる様です。
そうしてこの県町を中心としてこの場所で浸水被害、ここの駐車場で60センチ近い浸水深を記録しています。

その場所を旧国道117号線から見るとこうなります。

・県町1

手前右側と奥に5階建ての「県町住宅」2棟とその駐車場が確認できます。

さてそれで、2019年11月号の台風19号被災報告(上記pdf)では「県町区 内水氾濫」となっており、その地図上の表示を見ると「あたかも皿川から氾濫した水が新幹線のガード下をくぐり県町区に到達した」かのような表示となっています。

さあそれで「この飯山市の報告は事実であろうか?」という事になります。

当方が調査した限りでは「県営住宅 県町団地の駐車場が60センチの浸水深さで泥水が氾濫していた」ということであり、これについては市役所も同意するものと思われます。
但し市役所の主張は「その泥水は皿川から流れてきたものである」という事になっていますが、、、。
さてその主張は本当でしょうか?

2、皿川からの氾濫水は県町区に到達できたか?

皿川からの氾濫水が県町区に到達できるパス(道順)は3つあります。

 一つ目は綱切り橋から市街地に降りる為の取り付け道路の下に設けられた東側アンダーパスを通る、というもの。
このルートはかつての国道117号線にそって氾濫水が南下した場合を想定したものです。

ここで話している東側アンダーパスを通り越して南側から見るとこうなります。

・東側アンダーパス1

アンダーパスの上の道が右側にある綱切り橋につながっており、そのパスの奥には千曲川本堤防が見えています。
そうしてこの道が旧国道117号線なのですが、この道の左右にある建物は北陸新幹線関連の設備となります。

南側からそのアンダーパスをくぐるとこうなります。

・東側アンダーパス2

この道は上り坂になっており、改修された本堤防の高さよりも低い場所に坂の頂上が確認できます。
そうして、かつての改修前の堤防へはその頂上から道がつながっていたのですから、どの程度に千曲川本堤防がかさ上げされたかある程度は分かる、というものです。

ちなみに現在の国道117号線はこの改修された堤防の上を走っています。

さてそういう訳でこのルートは却下されます。
氾濫水が坂道の北側からそこを登る事は一目瞭然で無理である事が分かるからです。


 二番目に想定できるルートは、新町区の住宅街を水浸しにした水がこの東側のアンダーパスを通る、と言うものです。
ここのアンダーパスの左側には新町の住宅街が広がっており、確かに皿川氾濫水はそこを水浸しにしました。

それでアンダーパスの出口から左側を見るとこうなります。

・東側アンダーパス3

しかしながら写真から分かります様に、住宅街がある場所はこのアンダーパスよりも低く、ここのアンダーパスに来るには「上り坂になっている」様です。
さあそうなりますと「皿川からの氾濫水はこの上り坂を登れたのか?」という事になります。

それはつまり「市内に氾濫した皿川からの氾濫水の最高水位はいくつであったか?」と問う事と同じです。
そうしてその答えはまちづくり課の諸君の手によってポンプ場の壁に「GL+1m」と示されていました。

ポンプ場のGL(グランドレベル)は314.7mですから氾濫水の最高水位は315.7mとなります。
そうして、この「東側アンダーパスの標高」は地図から316.4mである事がわかるのです。

つまり「氾濫水はこの坂道は登れなかった」のです。


 さて最後に想定できるルートは「ここより西側にあるもう一つのアンダーパスを通る」というものです。
そうしてこのルートは市役所が公表している、上記pdf資料に書かれているものの様に見えます。

さてそのアンダーパスはここから坂道を下っていくと左側に現れてきます。

・西側アンダーパス1

このアンダーパスをくぐって振り返るとこう見えます。

・西側アンダーパス2

このアンダーパスの標高は地図から315.8mである事がわかります。
地図の標高データには多少の誤差がありますので、最高水位315.7mの氾濫水はこのアンダーパスをぎりぎりで通れた、としましょうか。

しかしながらこの氾濫水が県町地区に到達する為には上記写真の奥に見えている旧国道117号線を横切る事が必要になります。
そうしてその道の標高は316.3mなのです。

つまり「綱切り橋につながっている取り付け道路のアンダーパスをくぐれた」としても「氾濫水はそこからは50センチの上り坂を、どのルートをとるにせよ登らなくては県町地区には到達できない」のです。
そうしてその事は最高水位が315.7mしかない氾濫水にはどうやっても不可能な事なのでした。

ちなみにこの写真の奥には堤防が写っていて、この取付け道路は「千曲川にかかる綱切り橋」につながっています。そうして堤防手前左側には「東側アンダーパスの入り口」が見えています。

3、ここまでの結論ー>県町区の氾濫は皿川からの氾濫水による内水氾濫ではない。

以上の事より市役所の公表している「県町区の浸水は皿川からの氾濫水による内水氾濫である」という内容は成立していない事が分かります。

さてそうなりますと市役所も認めるであろう「県町住宅の駐車場を60センチの浸水深で満たした泥水はどこから来たのか」という事になります。

そうして泥水でありますから「この場所に降った雨水が排水されずにそこに溜まりこんだ」と言う話では説明になっていません。

雨水氾濫の場合は明らかに氾濫水に泥は含まれておらず、今回の様に「水が引いた後その場所に残された泥をダンプカーで何回にもわたって運び出す」ような必要はなかったはずですから。

注1: https://www.city.iiyama.nagano.jp/assets/files/keikaku/20210506-041036.pdf <--飯山市まちづくり基本計画(都市計画マスタープラン・立地適正化計画)のアドレス

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