台風19号 飯山 千曲川避難勧告発令の2

2021-06-16 13:19:18 | 日記

さて「その1」では次の様に述べた。

『6、飯山市街地に対する避難勧告の発令はなし。そうして上記4か所以外の浸水被害発生は表面上は無い事になってはいるが、実は千曲川からの浸水被害は発生していた。・・・』

それでまずは実際に千曲川からの浸水被害があった事について語ろう。

・日光川樋管 河川事務所の管理責任放棄の件

戸狩の日光川樋管では左側ゲートが途中までしかおり切らず、そのために樋管を通じて千曲川の泥水が大量に戸狩側に流入した。閉めるべき樋管が実は半分、開いていたのである。そしてこの事実は今まで長年に渡って見逃されていた事であった。

それでこの事は樋管の動作確認・メンテナンスを行うべき責任をもつ河川事務所の大きな手抜き、失敗であった。その不具合を指摘したのは当方である。それで現状はその指摘に対応する形で一応、左ゲートの不具合は復旧している模様である。この件、内容詳細については注1の記事を参照のこと。(注1)

しかし市役所の報告ではこの場所の浸水被害は広井川、あるいは今井川からの浸水による「内水氾濫である」とされている。

・有尾樋管 消防団ゲート閉め忘れ市役所管理責任放棄の件

有尾樋管は本来の閉めるべき時間に閉められず、翌日の昼ごろになってようやく閉鎖された。したがってこの樋管を通じても千曲川から大量の泥水が有尾側に流れ込んだ。この樋管の閉め忘れの件は市役所、消防団共に認めている事実である。

この場所には皿川からの水も越水してきてはいるが、その時間はたかだか2時間であり、他方で千曲川からの浸水時間はその何倍にもあたるのである。(注2)

それで、この場所の報告はそのようにして千曲川からの外水氾濫がメインであるにもかかわらず、皿川氾濫による「内水氾濫」とされている。

・JAの葬儀場 :飯山市の報告では黄金石エリア浸水とされている場所:だが実際は有尾樋管開きっぱなしでの千曲川からの逆流泥水がここまで流れてきている。

・静間樋管 消防団ゲート閉め忘れ市役所管理責任放棄の件

静間樋管は本来の閉めるべき時間に閉められず、ずうっと開けっ放しだった。したがってこの樋管を通じても千曲川から大量の泥水が県町側に流れ込んだ。だがしかし市役所と消防団は「静間樋管は所定の時間に閉めた」と主張している。

それで、この場所の報告はそのようにして千曲川からの外水氾濫であるにもかかわらず、皿川氾濫による「内水氾濫」とされている。(注3)

しかしながら近ごろ報告された飯山市の資料によれば「県町の氾濫は皿川からの水ではない」と訂正された。(注4)

・皿川樋門 開けっ放しで台風19号を向かえる、という飯山市立案の水防計画にそって、実際に皿川樋門は開けっ放しだった件 (注5)

さてこの件は公式には「皿川の内水氾濫である」とされているものではあるが、実際は皿川樋門は当初の水防計画にしたがって「ずうっと開けっ放しだった」というもの。そうして千曲川からの逆流泥水による被害たるや甚大なものではあったのだが、皿川上流からの水が氾濫した事の陰に千曲川からの逆流泥水氾濫の事実は隠されてしまい、「誰にでも一目でその事実がわかる」と言う状況ではなかった。

だが丹念に状況を確認してみれば、千曲川からの逆流があった事はたしかであり、それはつまり河川事務所が「皿川樋門は閉じた」と主張している事は事実ではなく、「皿川樋門は実際には開いていた」という事である。

その事を主なテーマとしてまとめたものが「シリウス日記」であり、内容については : 飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧/ :にあたっていただくのがよい。

そうして、その中でも端的な目に見える形で、というならば 

: ・その9・千曲川河川事務所が皿川樋門を再び開けた時刻を公開しました。
情報公開請求によりダンマリを続けられなくなった千曲川河川事務所。しかし開示された記録は机の前で行った河川事務所の作文だった。
・・・
このページの追伸に逆流が起きていた時の決定的な写真を追加・掲載した。
是非とも読者各位のご確認をお願いしたい。(2020/1/27) :を参照していただくのがよい。

但しページ内の動画へのリンクは、かつてはそれで見る事が出来たが、いまはリンクが切られている様である。そのかわり、と言っては何だが一連の静止画が掲載されており、内容は十分に確認可能である。

さて以上の内容に続いて『こうした実際の目に見える形の被害の発生とは別に「ルール無視により飯山市民に対して無用のリスクを負わせた」という「目には見えないが非常に危険な行為を飯山市がやっていた事」はページをあらためて「その3」で記述する事とする。』

注1:戸狩の日光川樋管での左側ゲート不具合の件

・その33-1・日光川樋管の左側ゲートが途中で引っかかっていて半開きだった件

本来は全閉としなくてはいけない状況にもかかわらず、ゲートの不具合によって樋管が半開きであり、そこから千曲川の水が日光川に逆流し、その場所で何度も浸水被害を引き起こしていた。

・その33-2・台風19号の時もそのようであり、そのためにこの場所では浸水被害がでた

・その33-3・台風19号の2年前の台風でも、この場所で浸水被害が出た。

追記(2021/8/17):8月15日からの大雨対応で日光川樋管のゲートがおろされた。そうして問題の左ゲートも今回は正常に下りた事を確認できた。ちなみに今回、柏尾橋ピークは11.85mで2017年の台風21号と同等以上であった。にもかかわらず、台風21号の時には発生した浸水被害は発生せず、今井川の遊水池もまったく満水にはならなかったのである。

注2:有尾樋管 消防団ゲート閉め忘れの件

・32-1・有尾樋管が開けっ放しで、有尾地区に浸水被害をもたらした件 

飯山市は「内水による氾濫」としていますが、実は主要因は千曲川からの有尾樋管開けっ放しによる逆流水による氾濫、が正しいのであり「内水+外水による氾濫」と分類するのが正確であります。

・32-2・どうして有尾樋管が開きっぱなしだったのか?市側の回答は事実なのか?

市議会でこの件について問われた市役所は「市街地各所に出水があり、消防団へ他からの出動要請があったため」有尾樋管を閉じる事が出来なかった、と言い訳をしていますが、有尾樋管を閉じるべき時刻には市内のどこにも水はあふれておらず、したがって「消防団へ他からの出動要請があった」と言う内容は事実と反している、ですから飯山市の回答は「虚偽答弁である」という事になります。

注3:静間樋管 消防団ゲート閉め忘れの件

・その34-1・県町区の氾濫は皿川からの氾濫水による内水氾濫ではない。

さてそうなりますと市役所も認めるであろう「県町住宅の駐車場を60センチの浸水深で満たした泥水はどこから来たのか」という事になります。

・その34-2・県町区の氾濫は静間樋管を逆流した千曲川からの氾濫水による外水氾濫である。

県町を中心とした場所に流れ込んだのは千曲川からの逆流泥水である。

・その34-3・さて「台風19号での静間樋管での氾濫は3回目である」という証言を得ている。

「前回は平成18年であった」と聞いているので、その例について検証した。

注4:「県町の氾濫は皿川からの水ではない」と訂正された件。

・飯山市まちづくり基本計画(都市計画マスタープラン・立地適正化計画)令和3年 3月:https://www.city.iiyama.nagano.jp/soshiki/machizukuri/keikaku/oshirase.htm/oshirase.htm

 ・第四章 立地適正化計画:https://www.city.iiyama.nagano.jp/assets/files/keikaku/20210506-041036.pdf :P112およびp113に今回の台風19号での市街地浸水エリア実績表示あり。但し有尾地区への浸水実績は表示されていない。<--千曲川からの外水氾濫と皿川氾濫が混在していた為かと思われるが詳細は不明。但し県町エリアの浸水被害については「皿川からの氾濫水ではない」と市役所が認めている表示になっている。<--静間樋管の閉め忘れによる、千曲川からの逆流泥水による氾濫である、と認めている。

注5:今回の皿川氾濫がおこる前までの10年間、台風の時に皿川樋門は開けっ放しで大丈夫だった。だから今回も開けっ放しでOKと読んだ飯山市。

・その7・なぜ2年前の台風では皿川樋門は開きっぱなしでよかったのか? ーー>「その8」
2年前はピーク水位が8mであり、この値が皿川樋門あけっぱなし対応の限界値。
10年ほど前までは台風の時は皿川樋門を閉じてすぐに排水ポンプ車で排水をしていた。

・その8・合理的な検証抜きで、経験則のみに頼っている飯山市と河川事務所の判断ミス -->「その20」
皿川樋門開きっぱなし対応の限度は千曲川水位が8.0mまで。

・その20・過去の3つの災害事例と今回の台風19号事例についての要因分析
千曲川の水位の上昇タイミングと皿川上流域にいつ、どの程度の最大降水量が発生したかがポイントとなる。
そのような複合タイプの基準で皿川の状況を判断しないと今後も判断ミスをすることになる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

台風19号 飯山水害の研究・一覧