その1・飯山水害に関係する樋門・樋管について、飯山市とのバトルの記録

2021-09-13 01:53:18 | 日記

まずはここから話を始めましょう。

皿川が氾濫して飯山市街地が泥水の中に沈んだ。その最初の報告が10月17日に出された(プレスリリース 第一報)飯山市
令和元年台風19号台風関連災害経過報告 令和元年 10 月 17 日午後 4 時現在 : https://www.city.iiyama.nagano.jp/assets/files/senryaku/press/1017iiyama.pdf : になります。

この中で飯山市は 7.樋門、ポンプ等 として

 10 月 12 日(土)午前中 木島坂井樋門 閉鎖確認
 午前中 小沼中島樋門 閉鎖
 14:30 木島第 1・第 2 排水機場 運転開始
 19:17 木島雨水排水ポンプ場 1 号機運転開始
 20:30 戸那子樋門閉鎖(ポンプ稼働中)
 20:35 御立野排水路ゲート 閉鎖
 20:40 御立野排水路ポンプ 稼働
 20:50 城山雨水排水ポンプ場 1 号機運転開始
 21:00 城山雨水排水ポンプ場 2 号機運転開始
 21:00 彦四郎排水ポンプ(3 台)稼働
 22:05 広井川ゲート 閉鎖 ポンプ 稼働
 10 月 13 日(日) 2:00 頃 皿川樋門(国管理、委託管理者から2:00 に閉鎖したとの報告があり) 

と報告しています。

さてそれで、上記記述の中で飯山市街地の水没に関連した部分はどこでしょうか?

20:50 城山雨水排水ポンプ場 1 号機運転開始
 21:00 城山雨水排水ポンプ場 2 号機運転開始
 ・・・
 10 月 13 日(日) 2:00 頃 皿川樋門(国管理、委託管理者から2:00 に閉鎖したとの報告があり)

これだけです。
それ以外の記述は飯山市街地の水没にはまったく関係ありません。

最も被害が大きく、最も重要視しなくてはならない場所について、それに関連する「樋門、ポンプ等」の報告としては「全く情報が不足している」あるいは「意図して情報を隠ぺいしている」とさえ言われかねない状況です。(注3

実際には飯山市街地の水没に関係をもつ樋門・樋管の数は6つあります。
その中で上記報告で言及されているのは皿川樋門、ただ一つだけというありさまです。
それ以外の残り5つの樋門・樋管についてはまったく書かれていません。
そうして、飯山市との「樋門・樋管についての情報公開の戦い」は全て、ここから始まったのでした。

まずは河川事務所に対して「皿川樋門を閉じた時刻は分かったが、それでは何時に再び開けたのか?」と尋ねました。ところが一向に答えがかえってきません。何度かコトバを変えて要求したのですが、無視され続けました。そんな事を一か月間ほどやっていたでしょうか。(注1

仕方がないので飯山市にも「皿川樋門のゲートを開けた時刻を公開せよ」と要求したのですが、こちらにも無視されました。

おかしいですよねえ。閉めた樋門ゲートは再び開けなくてはなりません。そうして実際に樋門を閉めたのならまた開けなくてはならず、そしてその時刻については樋門操作員から河川事務所に報告を上げる事になっています。そうであれば河川事務所は樋門ゲートを再び開けた時刻を答える事に何の問題もないはずですが、、、。

しかし一向に答えは返ってきません。まるでそこには「答えることが出来ない秘密があるのだよ」と教えてくれているかの様でした。(そうして実際、とんでもない秘密が隠れていました。)

それでその様にして「樋門・樋管の閉・開時刻が重要である」と考えたのは当方だけではありませんでした。

・千曲川の樋管や樋門の閉・開時刻を明らかにすることが今後に生かす道〜台風19号内水氾濫
2019-12-10 : https://archive.fo/G6YTb : 

『・・・市街地への内水氾濫が、皿川からの氾濫だけだったとは思われません。
⑴静間樋管
⑵飯山城南樋管
⑶飯山樋管
⑷栄川樋管
⑸皿川樋門
⑸有尾樋管
などが何時に閉じられ、何時に開けられたのかを明らかにするとともに、そのことにより内水の氾濫があったのかどうかを早急に明らかにしていただきたいと思います。』

まあしかしそれでも飯山市と河川事務所は無視し続けたのです。

それでこの事態が動いたのは12月25日でした。

・外水位6・23m、内水位6・43m時点で皿川樋門を閉じ退避〜退避時点で市役所等に連絡〜
2019-12-25  : https://archive.fo/cHyH4 

『皿川樋門の台風19号の樋門操作記録が明らかになりました。
樋門操作記録は、日立市にお住いのMさんが、情報公開により入手されたものです。・・・

操作の際に行った通知の状況 飯山市役所および樋門周辺区の区長へ連絡
ゲートの操作状況等 10月13日1時44分 1号ゲート・2号ゲート閉操作
          外水位 6・23m 内水位 6・43m 
                              10月13日15時30分 1号ゲート・2号ゲート開操作
          外水位 6・38m 内水位 6・40m 
なお、令和1年10月28日報告   報告受理年月日 令和1年11月  1日となっています。・・・』

こうして我々はようやくにして河川事務所が主張する所の皿川樋門の閉・開時刻を知る事になったのです。

ちなみに11月1日にこの情報を樋門操作員から河川事務所が受理していたなら、簡単に当方の質問に答える事が出来たはずですが、河川事務所はそのようにはしませんでした。どうしてでしょうか? 本当に不思議です。

本当に台風19号襲来の折に樋門を閉めて、そうしてまた開けたのなら、また本当に10月28日に樋門操作員が報告書を書いて11月1日河川事務所がそれを受理していたのなら、「樋門を開けた時刻を回答する事には何の問題もないはず」でした。

さてこうして皿川樋門については一応、河川事務所からの回答を得ることが出来たのですが、それ以外の残り5つの樋管については未だに何の情報開示もありませんでした。

それで次はH氏の出番となります。

・千曲川樋門樋管ゲート開閉状況(市街地)という文書があります~情報公開開示文書
2020-05-30  : https://archive.fo/SbbTB 

『令和2年4月23日付の回答文書

この文書は、令和2年3月31日日付で飯山市内の「H・I」氏が、情報公開請求を行い、令和2年4月23日付けで回答されました。・・・

台風19号により、飯山市全体では777戸が浸水し、しかも、そのほとんどが飯山市街地での被害という、未だ経験した事のない大被害の原因を明らかにする上で、また、今後の水害に備える上で、樋門・樋管の開閉操作についての検証は欠かすことができないことです。
この文書により、非常に重要な事実が分かりました。
とりあえず、評論を加えないままお知らせします。』

この文書によってようやく我々は残りの5つの樋管について、台風19号襲来時の状況を知るに至りました。そうしてその文書からはいくつかの非常に重要な問題点が浮かび上がってきたのです。

ちなみに以下の文書は飯山市から同時に公開されたもう一つの文書です。

・樋門・樋管閉会操作一覧表~栄川樋管2時、飯山樋管は2時30分に~ゲートを開けて退避したと記述!
2020-05-31  : https://archive.fo/u2CUw 

この文書の内容は前の文書の内容と同じですが、樋門・樋管のゲートの状況を時系列に並べ直してあります。

以上が我々と飯山市との間で繰り広げられた「情報開示バトル」の第一章になります。そうして本来であればこれらの情報は我々からの情報開示請求を待つまでもなく、飯山市が情報公開するべきものであったのです。しかしながら飯山市はそのようにはしませんでした。

これは残念ながら今に続く飯山市の「市民にとっては重要な情報は市民には公開しない」という「飯山市の市民軽視の秘密主義の現れ」であります。

 

注1:上述したように11月1日に河川事務所が樋門操作員からの報告書を受理していたのなら、11月下旬までに数回にわたって当方から出された「いつ樋門ゲートを開けたのか」という質問に答えるのは簡単であったはずですが、実際はそうはなりませんでした。(注2

どうしてでしょうか?

それは11月1日には河川事務所にはその報告書が存在していなかったからです。そのことは以下の事例からも推察できる事です。

・ 千曲川河川事務所からの回答 2019年12月24日 : https://archive.fo/aO0Sf

『12/04に送った質問の回答が来た

楽農家 様

平素より国土交通行政の推進にご協力頂きありがとうございます。
ご質問がありました皿川樋門の操作時の状況については、以下の通りです。
なお、回答が遅くなり大変申し訳ありませんでした。

1.10/13午前1 時半の皿川樋門での水位ではなく、立ヶ花観測所の水位で閉門を指示した理由を教えて下さい。

(回答)
立ヶ花水位観測所では10/13 0:30 に計画高水位を越え、・・・』

12月24日までに日立のMさんに情報公開した事と時期を同じくして、楽農家さんからの皿川樋門についての質問にも河川事務所は回答し始めました。

それで12月4日に楽農家さんが出した質問に答えるのに何故20日間も時間が必要だったのでしょうか?

それは台風19号襲来の折に皿川樋門の状況がどうであったのか、どのように回答したら良いのか、そのストーリーを作り上げるのにそれだけの時間が必要だった、という事です。

そうして、ようやく12月23日になってその作文が完成しましたので、日立のMさんにも、また飯山の楽農家さんにも「回答メールが届いた」という次第であります。

注2:この件、詳細につきましては次の記事を参照願います。 :

 ・その4・皿川樋門は本当に閉じられたのか? 
「地元の委託された樋門操作員」は本当に実在するのか?この疑問に白黒をつける事を拒否している千曲川河川事務所。

注3:特に有尾樋管について言えば13日の10時頃まで開けっ放しであり、その為に有尾地区が千曲川からの逆流泥水によって浸水被害を受けた、という事実がありながら、その事についての報告がプレスリリースには一切書かれていません。

これは飯山市が行った「明らかに意図的な情報隠ぺい工作である」と言えます。

それが明らかになったのは、「H・I」氏が、情報公開請求を行い、仕方なく飯山市が情報公開したからであって、それがなければいまだに飯山市は「知らぬ、存ぜぬ」であった事でしょう。

・樋門操作記録1(飯山市情報公開請求回答) : https://archive.fo/4Llh6

・樋門操作記録2(飯山市情報公開請求回答) : https://archive.fo/PeSqm

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台風19号 飯山水害の検証報告・一覧