シリウス日記

そうだ、本当のことを言おう。

その10-1・飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討

2019-12-27 19:56:56 | 日記

第二章
12月27日・記述
さて「その9」で紹介した楽農家さんの投稿内容を見ておきましょう。
千曲川河川事務所からの回答
https://minkara.carview.co.jp/userid/2158429/blog/43569920/ : https://archive.fo/aO0Sf

・千曲川河川事務所からの回答(10月24日投稿分)
『質問1.10/13午前1 時半の皿川樋門での水位ではなく、立ヶ花観測所の水位で閉門を指示した理由を教えて下さい。
回答(一部分のみ引用)
・・・
また、飯山市周辺でも計画高水位を超過する危険な状況が近づいており、非常に切迫した状況でした。
このため、当時の皿川樋門では、
千曲川本川の水位上昇が早く外水氾濫の恐れを防ぐことが急務であった点、
台風接近時であり夜間の風雨時の危険な操作作業であった点、
確実な水門操作と操作後の操作員の安全な退避を考慮し、
総合的に判断して指示をしています。』

さて1時44分に河川事務所から「ゲートを閉めろ」と言う指示に従って操作員がゲートを下しました。
そうして上記情報公開によって入手した資料より、そのときの皿川樋門での千曲川水位が6.23mとわかりました。
それをビジュアルにしてくれた方がおります。

http://archive.md/mFWbQ

これが河川事務所が言う「計画高水位を超過する危険な状況」であり「非常に切迫した状況」なのだそうです。
しかし写真の水位を見る限りとてもその様な状況には見えませんねえ。
河川敷にようやく水が上がったか、という状況であります。

このようにして矛盾点が明らかになるのは、前回提示した2つのブログの情報を合わせて検討したからです。
逆に言いますと、河川事務所はこの2つの情報を別々に提示することで、その間にある矛盾点を隠すことができていたと言えます。

『質問2.以前はポンプ車と監視員の設置をしてから閉門だったのに、今回からポンプ車設置しなかった理由も教えて下さい。』

従来は皿川樋門を閉じる時には常にそこには排水ポンプ車が待機していた、という証言になっています。
そうして、そのような手当をしないまま樋門を閉めたのは今回が初めてである、と言っています。

『(回答)
排水ポンプ車の派遣は、各市町村等からの要請を受けて、浸水状況などを総合的に判断して派遣しております。
今回洪水では、飯山市からの要請を受けて、広井川樋門、今井川樋門へ順次派遣をし、排水作業を実施しておりました。』

今井川樋門については飯山市の要請により事前に3台(国、県、市)の排水ポンプ車が事前に配置されていました。
広井川樋門については排水ポンプ場の排水ポンプトラブル対応の為に県のポンプ車が1台、先行で移動し稼働していました。
国にも広井川と今井川に向けて各1台づつの追加出動要請がありました。
しかしこの追加要請分は皿川氾濫の連絡を受けて、広井川、今井川には行かずに皿川に行き先を変更したものと思われます。(注1)

『皿川樋門については、飯山市からの追加要請を受けた、10/13 4:00 に派遣をしています。』

3時半に飯山市からの皿川氾濫の報告を受けて1台出発した、というのがこの記述です。(注2)

『なお、排水ポンプ車については、これまでも個別の樋門操作と一体とした運用は行っていません。』

排水ポンプ車の事前配置準備及び追加出動要請は各自治体の責任である、と言っています。
しかしこの話は各自治体が妥当な水防計画を立てる事が前提となっています。

そうして今回の飯山市の悲劇は「妥当な水防計画を飯山市が立てる事ができなかった」という事に起因しています。
その為に皿川については一切ノーケアであり、住民からの「水があふれた」という連絡をうけて、初めて皿川に注目するという「大きなミス」を犯しています。

しかしこれまでの飯山市の公式な見解では「飯山市にはミスがなく、台風19号が全て悪い」と総括されているのであります。


もう一つ指摘しなくてはならない事は「飯山市が立てた今回の水防計画」については河川事務所は、なるほどその計画を立てる当事者ではありませんがアドバイザーとしての位置にはついていました。(注3)
従って、今回の計画・プランAについては事前の合意が飯山市と河川事務所との間にはあったと見るのが妥当であります。

そして河川事務所は「アドバイザー」でありますから飯山市が立てたプランAの内容についても相応の責任がある、というものです。
そうしてそのプランAでは「皿川樋門は開いたままで対応する」と言うことになっていました。(注4)

しかしながら、その合意に反して本当に河川事務所が「独自判断で皿川樋門を閉めた」とするならば、それは計画変更時に飯山市と相談をしなかった、という事になります。
これはあきらかに河川事務所の飯山市に対する「裏切り行為」「信義則違反」です。
そうしてそのことが原因で皿川堤防が決壊し飯山の住民は大変な苦労を強いられております。

今までにニュース等で発表されている情報からはそういう風に理解されます。
そうしてそのような情報に基づいて上記質問を河川事務所に対して出した楽農家さんもそのように理解し、したがって同事務所に疑問をぶつけ、抗議しているのであります。

さてしかしながら皆さんは本当に河川事務所が「そのような仁義の無い行為をした」と思われますか?
当方の見解ではそうは見えないのです。

河川事務所が今の様なウソを言わざるを得なくなった状況に追い込まれた、それで仕方なくそうしている。
さて、そのような状況に追い込んだのは誰でしょうか?

飯山市であります。
しかしその事を飯山市が公表することはなく、飯山市のスタンスは「水害を受けた被害者」というものであり、しかも「その一因は河川事務所にある」とも主張しているのです。
(注5)

注1
↓今井川対応(今井川樋管)
飯山市ーー>国、県に対し事前の排水ポンプ車の出動を依頼
           飯山市保有の1台の排水ポンプ車も出動
↓県の報告
https://www.pref.nagano.lg.jp/bosai/documents/7re.pdf
『今井川 いまいがわ 飯山市
県 排水ポンプ車稼働 ・国、県、市ポンプ車各1台出動 12日23:30~ →13日19:00 完了』

今井川に対しては事前に国、県に出動要請し12日の夜から合計3台にて排水作業を行う。
そして今井川樋管を閉じたのは12日23:30である事がわかる。(樋管を閉めてから排水するのが手順。)

広井川対応(広井川樋門と広井川救急排水機場)
飯山市が県に対して排水ポンプ車1台の出動を要請したと推察。
飯山市のプレス発表から

22:05 広井川ゲート 閉鎖 ポンプ 稼働
しかし別口の情報源からは「その時にはポンプ場のポンプが動かず、したがって県に排水ポンプ車の出動を要請した」となっている。

このポンプ車が広井川について排水を開始したのが13日1時55分。
そして3時20分ころにはトラぶった排水ポンプ場のポンプが復旧し、13日の11時で排水を完了した、という事である。
その後この県のポンプ車は皿川支援に向かったと思われる。

同上の県の報告より・・・
『広井川 ひろいがわ 飯山市
県 排水ポンプ車稼働要請 ・県ポンプ車1台出動 13日1:55~3:20 →排水機にて排水13日11:00 完了』

広井川は広井川樋門と広井川救急排水機場が一体運用されていると思われ、保守点検は国がおこなっているものの、実際の排水機場および樋門の操作を誰が行ったのかは不明。
(樋門は地元の方で、排水機場の操作は委託業者である、という情報がある。)

↓皿川対応(皿川樋門)
飯山市ーー>事前準備は何もしていない模様。<--住民の方の証言有。


さて国の報告「台風第19号(令和元年10月15日)の対応について(第7報)」によれば
http://www.hrr.mlit.go.jp/press/2019/10/191013press4.pdf
令和元年10月13日3時30分現在
『7.支援状況
10 月 12 日 広井川樋門(千曲川管内) 排水ポンプ車 照明車 1台 1台 現地へ移動中
10 月 12 日 今井川樋門(千曲川管内) 排水ポンプ車 照明車 1台 1台 現地へ移動中』
とあり、このポンプ車は12日中に飯山市から河川事務所に今井川への事前準備分1台とは別に追加の出動依頼が出されていたものと思われます。

このように広井川および今井川に対しては事前、あるいは台風襲来時にも相当に慎重な対応をしていますが、皿川に対してはまったくその様な事前および台風襲来時の対応はなされていません。
そして後手に回った皿川対応が今回の被害の拡大をもたらした、という事は明らかであるように見えます。

注2
さて「飯山市が3時30分に河川事務所に依頼した皿川対応用のポンプ車の事」が
国の報告に登場するのは
「台風第19号(令和元年10月15日)の対応について(第10報)」においてであり
http://www.hrr.mlit.go.jp/press/2019/10/191013press10.pdf
令和元年10月13日9時00分現在
『飯山市 皿川樋門(千曲川 管内) 排水ポンプ車 照明車 1台 1台 現地へ移動中』
と書かれています。

こうして国が飯山市に派遣した排水ポンプ車の数は事前配備の1台を含めて合計4台となり
これは飯山市の報告
『○排水ポンプ車の配置 10 月 12 日(金)~14 日(月)
国土交通省 4台、長野県 2台、飯山市 1台
広井川 1台 配置 (県)広井川終了後皿川に移動
今井川 3台 配置  (国、県、市)3台中1台を残し2台は皿川支援に移動
皿 川 6台 配置』 (国3、県1、市1、国ないしは県1)
という説明に現れる「国土交通省 4台」という数と一致する事が分かります。

そうして飯山市の報告
5:30 皿川で千曲川河川事務所の排水ポンプ車1台が稼働。

に書かれている「最初に皿川に到着した国のポンプ車」は飯山市が3時30分に河川事務所に依頼した1台ではなく、3時30分時点ではすでに飯山に向けて出発していた広井川および今井川の為に出動依頼をした先行分のなかの1台目であろう、という事が分かるのです。
(つまり先行分の2台は移動途中で行き先が広井川および今井川から皿川に変更された、という事になります。)

その結果、皿川には少なくとも国の排水ポンプ車は3台、事後的に配置された、という事になります。

注3
・その6・木を見て森を見ない飯山市と河川事務所の対応を参照願います。

注4
・その8・合理的な検証抜きで、経験則のみに頼っている飯山市と河川事務所の判断ミスを参照願います。

注5
・台風19号の皿川内水氾濫・水門閉鎖伝わらず対応に課題 長野・飯山市
『これに対し足立市長はきのうの会見で「国や県に対し治水対策の抜本的な見直しを求めるとともに、・・・』

自分たちが立てた使い物にならなかったプランAのおかげで水害を引き起こしておきながら「水害の責任は国や県にある」とても言わんばかりの市長さん。
こういうのを「盗人猛々しい」と言うのであります。

・市民からの情報が入ったが、ハザードマップが無いため、どこまで浸水するか分らず避難勧発令に苦慮した

追伸「楽農家さん投稿第二弾」について書かれていた記事内容は
「・その10-2」に移動しました。

飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧