シリウス日記

そうだ、本当のことを言おう。

その8・飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討

2019-12-22 14:26:10 | 日記

以上、ここまで話してきたことをこのあたりでまとめておきます。

2000年以降災害記録があるのがH16(2004年)とH18年(2006年)です。
そうしてこの時の飯山観測所での水位記録も飯山市報にのっています。

これを見ますとH16,H18とも9mを超えており、特にH18は10mになろうかという値です。
しかしこの時までは台風の時には皿川樋門を閉め、そこに事前準備された排水ポンプ車で即時の排水作業を行っていたのでした。

台風の時は皿川樋門を閉めて、即時排水ポンプ車で排水を行う、と言うのは内水氾濫が許されない場合の樋門操作の基本であります。(注1)
そうしてその基本に忠実にH18年までは対応してきました。

そうであれば10mになろうかという水位であっても皿川は氾濫せず、飯山市内は乾いたままだったのです。

さてここで2010年以降で飯山地方に24時間で70ミリ以上の降水量があった日を見てみましょう。
2010年から~
13年 9月16日 降水量79.5ミリ 立ヶ花水位ピーク7.80メートル
13年 10月16日 降水量89ミリ 立ヶ花水位ピーク2.18メートル
14年 該当日なし
15年 該当日なし
16年 該当日なし
17年 10月23日 降水量119.5ミリ 立ヶ花水位ピーク8.22メートル
飯山ピークは8メートル
18年 該当日なし
19年 10月12日 降水量98ミリ 立ヶ花水位ピーク12.44メートル
ちなみに立ヶ花は13日にピークの12.44メートルを記録しています。
飯山は13日に11.17メートル

それから飯山市報の水位データも参照します。
飯山市報 2019年11月号
https://www.city.iiyama.nagano.jp/assets/files/kikakuzaisei/koho/r01.11/2-11.pdf
この2ページ目下段に水位グラフあり。

それで分かります事は、2010年以降は2017年の台風まで水害の記録はなく、そうして2017年の台風の時を含めてここ10年間は皿川樋門は開きっぱなしであっても結果的には何の問題もなかった、という事です。(注2)

さてその様な経験を積み重ねた飯山市と千曲川河川事務所は「今回の台風でも皿川樋門は開けっ放し対応で何の問題もなかろう」と判断したのでした。

但しこの判断には何の数値的な、合理的な根拠もなく、ただ単に「この10年間は皿川樋門は開きっぱなしでも何事も起らなかった」という、単なる経験則に従った、誤った確信に基づいたものでした。

しかしながら「その7」で示しました様に、数値的に検証した場合は千曲川水位が9.3mが限度であり、それを超えた場合で皿川樋門を開けっ放しにしていた場合には皿川側に氾濫が発生するのでした。


そうして今回の台風19号でのピーク水位は11.17m。

こうして見事に皿川は氾濫し、そして洗掘による皿川堤防の決壊を引き起こし、飯山市内を泥水で満たしたのであります。

結論
皿川が氾濫し決壊したのは皿川樋門を閉じたから、ではなく
皿川樋門が開いていたからである。


注1
【水門及び排水機場の役割】
http://www.hrr.mlit.go.jp/chikuma/jimusho/shisetsu/index.html : https://archive.fo/5GP6d 

上から3つ目のイラストが「城山雨水排水ポンプ場」の説明になります。
そうして皿川樋門の様に常設の排水ポンプが無い場所では樋門を閉じた時には事前に待機させた排水ポンプ車により即時の排水作業を行うことになります。

飯山市皿川で排水ポンプ車実働訓練を実施しました(2009年9月)
http://www.hrr.mlit.go.jp/chikuma/news/kawa-dayori/090901iiyamashi/index.html

以上の様に樋門を閉めた時に内水氾濫を防ぐためには排水ポンプによる排水作業が必須のものとなります。

・河川事務所と電話で話しました。
https://minkara.carview.co.jp/userid/2158429/blog/43577225/ : https://archive.fo/AdVsE 
『・・・・・
「平成16年だか18年だかに閉めた時はポンプ車居たぞ。青と白の蓮の格納庫に配備されてたポンプ車が来て皿川の水を本流に排出してたわ。その後、消防団が樋門を早く開けたから皿川橋の護岸が破壊したよな」
・・・・・』

注2
そうして2017年の台風の時を含めてここ10年間は皿川樋門は開きっぱなしであっても結果的には何の問題もなかった・・・

千曲川河川事務所からの回答
https://minkara.carview.co.jp/userid/2158429/blog/43569920/ : https://archive.fo/aO0Sf 
より
『質問2.以前はポンプ車と監視員の設置をしてから閉門だったのに、今回からポンプ車設置しなかった理由も教えて下さい。』

従来(H18年まで)は皿川樋門を閉じる時には常にそこには排水ポンプ車が待機していた、という証言になっています。
そうして、そのような手当をしないまま樋門を閉めたのは今回が初めてである、と言っています。

追伸
この話の続きは「その20」になります。

飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧