訂正の追記:(2021/8/5):
第一章については変更はありません。
第二章の記述は「動かす必要のないはずの第三ポンプを何故動かさなくてはならなかったのか?」という事についての考察ですが、ここも一部を除いて訂正する必要はありません。
第三章の記述は
『さてこの時間帯、城山雨水排水ポンプ場のポンプはフル稼働していましたから、1分間に330トン、330m^3の排水をしていました。
これは3時間では59400m^3を排水していた事になります。』という、これは市長の市議会答弁の中に現れる数字ですが、それを基にした数値です。(注7)
しかしながらこの市長の発言は事実と整合しておらず、間違っています。(下記の追伸(2020/10/6)参照)
そうしてそれは第二章でほのめかした事
『まるでそこには「新たに排水しなくてはならない、毎分110トンの水が新たに出現したか」の様であります。』が「市長の発言によってミスリードされた推論であった」という事につながります。(ちなみにこの『 』内の記述部分が第二章で訂正が必要となる部分です。)
事実としましては「ポンプ場にあふれた水は雨水と皿川起因の氾濫水だけ」と言うのが正解であり、こうして訂正された結果は第三章の後半部分の記述の全面的な書き直しにつながります。
そう言う訳でこの事についての訂正内容詳細につきましては
22・「城山の雨水排水ポンプ場は能力不足」の1
で行っておりますのでそちらを参照願います。
以上、ご理解の上で以下の記事をお読みいただくようにお願い致します。
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さて次は城山雨水排水ポンプ場について考察してみよう。
第一章 それぞれの位置関係
まずは皿川決壊場所と城山雨水排水ポンプ場の位置関係についてだ。
http://archive.md/w5nPx
皿川は文字が表示されている。
その川と飯山線が交差する地点が皿川右岸堤防の決壊場所だ。
そこから下に見ていくと「飯山城跡」やら「飯山武道館」の文字が見える。
その飯山武道館の文字のあたりを千曲川堤防の方に見ていくとこうなる。
http://archive.md/WRb2w
上の方に長方形のプール、下に2つの小さなプールがあり、それに挟まれた少し大きな建物の屋根が見える。
この建物を堤防から見るとこうなる。
http://archive.md/twbVt
これが「城山雨水排水ポンプ場」だ。
直線距離と標高差も見ておこう。
直線距離は628m。
http://archive.md/nmWbQ
城山雨水排水ポンプ場の標高は314.7m。
http://archive.md/LESv9
決壊場所の標高は公園側で316.1mでしたから標高差1.4mとなり、決壊した水はこの場所をめがけて押し寄せる事になります。
堤防下のこの辺りは他の場所よりは標高が低いのはまあ地形上自然な事ではあります。
そうして堤防下の標高を見ていきますと、ここより低い場所もあれば高い場所もあります。
ちなみに話題の飯山市役所の駐車場の標高は314.4m。
http://archive.md/MP1kt
この数値はやっぱり結構低い値だ。
そうして以下に出てきますが、上空からの撮影ではこの場所近辺で相当数の自動車が水没しているのが確認できます。
http://archive.md/XICCz
第二章 出所不明の水の存在について・あるいは動かす必要が無いはずの第3ポンプの稼働について
次は表面雨量指数の再確認です。(注1)
台風19号での飯山の状況確認。
https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/meshjirei/jirei03/suigaimesh/inund.html
例によって地図を拡大し飯山まで移動してくれ。
飯山、木島、野沢ぐらいが見れる拡大率でOKだ。
飯山市街地の位置がよく分からんので
飯山地図
https://www.google.com/maps/place/%E9%95%B7%E9%87%8E%E7%9C%8C%E9%A3%AF%E5%B1%B1%E5%B8%82/@36.9168818,138.2593844,11z/data=!3m1!4b1!4m5!3m4!1s0x5ff61a9363101c59:0x6683365a43b813e0!8m2!3d36.8517344!4d138.3654889
をつけておく。
後は時間を追って見ていくだけだ。
ちなみに表示される最少正方形は1km四方である。
まずは12日13時に黄色が見える。
これは14時にこの場所が「注意報級」に達した事をしめす。
表示されているのは「1時間後の予測値」であるから表示値に+1時間を加えた時刻で以下表示とする。
12日
14時 黄色出現
14時40分 黄色が消えた
15時40分 黄色再び出現
16時 黄色エリア拡大
17時50分 赤色エリア出現、黄色エリア急拡大
18時 なお、各エリア拡大中
19時~19時20 この辺りがピークか
19時40分 赤色エリア消滅
20時 黄色エリアふたたび拡大
20:50 城山雨水排水ポンプ場 1 号機運転開始(飯山市第2報)(注2)
21時 赤色エリア再出現
21:00 城山雨水排水ポンプ場 2 号機運転開始(飯山市第2報)
22時50分 このころからようやく減少に転じる
23時30分 赤色エリア消滅
13日
1:50 城山雨水排水ポンプ場 3基にて稼働開始。(飯山市第2報)
5時10分 黄色エリア消滅
以上終了
さて疑問がある、とすれば12日~13日に日付が変わった頃からは排水ポンプ場に流れ込む雨水の量は減少に転じているはずなのに、何故2時間後の「13日の1時50分に3台目の排水ポンプを稼働させなくてはならなかったのか」ということであります。
まるでそこには「新たに排水しなくてはならない、毎分110トンの水が新たに出現したか」の様であります。
ちなみに1時50分時点では皿川からの越水は発生してはいませんので「この新たに発生したように見える水」は皿川起因では無い事は明らかです。(注5)
上記気象庁の表面雨量指数と稼働ポンプ台数の関係でいえば
黄色エリア出現~継続状態ーー>排水ポンプ1台稼働
赤色エリア出現~継続状態ーー>排水ポンプ2台稼働
で十分の様にみえます。
従いまして13日1時50分では本来は
『1:50 城山雨水排水ポンプ場 3基にて稼働開始。』
ではなく
「1:50 城山雨水排水ポンプ場 2基ーー>1基にて稼働」
と言うように記述されるべきでありましょう。
気象庁はそのように言っているのであります。
そこには「排水ポンプを3台稼働してまで排水する必要のある雨水はない」のでありますから。(注6)
第三章 やっぱり皿川からの氾濫水だけでは説明がつかない市街地の浸水状況について
さて飯山市の報告によれば(注2)
『5:40 城山雨水排水ポンプ場のポンプ室内に浸水が始まるが、土嚢等で防止。』
とされ、しかし
『7:00 城山雨水排水ポンプ場が、浸水によりポンプ3台が機能停止に陥った。』
とありますように、その後も皿川起因の水と出所不明の水によってその場所の水位上昇が続き、ついには「7時15分にその水位が室内で80センチに至りポンプ停止に追い込まれた」と飯山市の第一報には記されています。(注3)
「5:40 に城山雨水排水ポンプ場のポンプ室内に浸水が始まる」のですがこの時にはポンプ場の外側では多分40センチ程度の水位があったものと思われます。
さすがに排水ポンプ場ですからその床面高さは地面よりは20~30センチは高かったものと思われます。
http://archive.md/whxFk
そうしてこの時に排水ポンプ場の外側にたどり着いていた水は4時15分に皿川堤防が決壊し、それ以降その場所から流出したであろう水も含まれていた事でありましょう。
それからも皿川からの流出泥水は城山雨水排水ポンプ場に押し寄せ続け、7時15分には室内水位で80センチ、室外では1mを越えていたものと思われます。
4時15分から7時15分ですから、3時間ですね。
皿川からの流出量はいままでのページで計算済ですから分かりますので、以下にそれを示します。
皿川流域雨量指数と水位、流速、流量
水位 流量
13日 m m^3
4時 5.3 1.86 17945 (4時15分から5時まで)
5時 5 1.75 22032 (1時間分)
6時 5.1 1.79 22660 (1時間分)
7時 5.2 1.82 5823 (7時から7時15分まで)
合計 68461
但しこの水量計算は「その25-4」の以下の部分を参照とし
『楽農家さんの水位観察記録から1時には内水位が5.85mであったと推定されます。
これが2時20分で8.4mになったのですから、80分で2.55mの上昇、35分間に換算しますと1.12mの上昇となります。
そしてこの上昇スピードは河川事務所の主張の56%に相当する、つまりほぼ半分という事になります。』
という、当方が妥当であると想定している皿川の1時から2時20分における水位上昇速度に基づくものになります。
さてこの時間帯、城山雨水排水ポンプ場のポンプはフル稼働していましたから、1分間に330トン、330m^3の排水をしていました。
これは3時間では59400m^3を排水していた事になります。
したがって7時15分時点で城山雨水排水ポンプ場のポンプに残っていた皿川起因の水量は
皿川起因の水量=68461-59400=9061m^3
となります。(注4)
この水量で1mの水深を作るにはその広さは9061m^2です。
これはほぼ100m平米で十分となります。
つまり城山雨水排水ポンプ場のポンプを囲んで100m四方のエリアが1mの水深となれる程の水量しか皿川は流出させてはいないのです。
しかし実際はこれほどのエリアがこの時には水没していました。
https://www.youtube.com/watch?v=mQUmaD5mWEc
この動画は堤防道路を走る車の様子などから夜明け直後、堤防に地元の消防団が展開する前であり午前7時~7時30分頃の撮影であろうと思われます。
http://archive.md/KRvw4
あるいは消防団が活躍するこの部分は動画にもなっています。午前7:58 · 2019年10月13日
https://twitter.com/zakkey_zzr/status/1183155046533386241?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1183155046533386241&ref_url=https%3A%2F%2Fmatomedane.jp%2Fpage%2F39432
そうしてこの全9秒の動画中7秒付近に今注目の城山雨水排水ポンプ場が出てきます。
http://archive.md/twbVt
以上の検討からも「飯山市街地に氾濫した水は皿川起因のみである」とする飯山市と千曲川河川事務所の主張が「到底現実を説明できない、単なる作り話である」という事が分かってしまうのでありました。
注1
表面雨量指数そのものの話は「その23」を参照ねがいます。
・その23・飯山市街地の浸水害状態を表すとされる「表面雨量指数の状況」の確認 -->「その26」
台風19号での「表面雨量指数の状況」の確認結果と、飯山市の主張「5時40分時点で内水対策は機能していた」を合わせて考えますと「5時40分時点では市内には水はあふれておらず、浸水害は発生していなかった」という事になります。
さて、しかしながら事実はどうだったのでしょうか??
注2
さて飯山市公表の第二報によれば
https://www.city.iiyama.nagano.jp/assets/files/senryaku/press/1028iiyama.pdf
『12日
20:50 城山雨水排水ポンプ場 1 号機運転開始
21:00 城山雨水排水ポンプ場 2 号機運転開始
13日
1:50 城山雨水排水ポンプ場 3基にて稼働開始。
・・・
5:40 城山雨水排水ポンプ場のポンプ室内に浸水が始まるが、土嚢等で防止。
城山雨水排水ポンプ場3台フル稼働等しており、市街地の内水対策は、機能していた。
・・・
7:00 城山雨水排水ポンプ場が、浸水によりポンプ3台が機能停止に陥った。』
とされ、これが市長の主張でもあります。
注3
飯山市第一報
https://www.city.iiyama.nagano.jp/assets/files/senryaku/press/1017iiyama.pdf
『○まちづくり課関係
・城山雨水排水ポンプ場 10 月 13 日(土) 7:15 ポンプ異常停止(床上 80cm の浸水による)』
注4
ここに排水ポンプ車4台分、1台毎分30トンの3時間分の排出量7200トンを差し引きますと残りは1861m^3。
1mの水深では100m*19mのエリア相当となります。
まあそういう計算もできますが、ここでは「7時15分まではこのエリアでは排水ポンプ車による排水作業はなかったもの」と想定して計算しています。
注5
この「新たに発生したように見える水の出所」ですが一番疑わしいのは「栄川樋管からの逆流の存在」であります。
しかし飯山市および千曲川河川事務所は飯山樋管を含めてこの2つの樋管についてゲートを下した時刻および再び上げた時刻、それからその時の千曲川のそれぞれの樋管位置での水位の情報については公開していないのであります。
追記(10月6日):飯山市は市内への氾濫に関係するとした樋門・樋管の閉・開時刻を公開しました。
詳細につきましては下記リンク一覧から「その27-2」の注1にてご確認願います。
追記の2(2021/5/23):「13日1:50 城山雨水排水ポンプ場 3基にて稼働開始。」とありますが、3号ポンプを何故このタイミングで稼働させなくてはならなかったのか、ということについて、従来は新たな水の流入という事で考えていましたが事実はそうではない様です。実際は千曲川の水位上昇に伴いポンプ場からの排水量が減少し、従ってポンプ担当者は3号ポンプを稼働させることになった、と言うのが実情の様であります。
しかしながら残念な事には3号ポンプを稼働させてもその排出能力が1号、2号ポンプと同等であれば、やはり千曲川へは十分な量の雨水を排出する事はできなかったのであり、この点についての飯山市の主張、「内水排除は機能していた」は成立していなかったものと思われます。
注6
ご参考までに城山雨水排水ポンプ場に集まる雨水の経路を示しておきます。
http://archive.md/QZGdk
注7:・参考資料 補足・市長は何と言ったか :・今回水害に対する飯山市長の弁解、言いのがれ、正当化、謝罪なし、反省なしの「とんでも発言集」の中の・飯山市 令和 1年 12月 定例会(第370回) 12月13日-04号 :記述参照の事。
追伸(2020/10/6):上記注6に関連した事ですが、その後飯山市が6月市議会での一般質問に答える形で関連する情報を公開しました。
公開された情報詳細については「その後の状況報告・3」の「2、栄川樋管が台風19号襲来の折に開いていた件」でご確認願います。
「その後の状況報告・3」には下記のリンク一覧から入れます。
↓
追伸 その2(2021/3/31):上記、雨水排水ポンプ場から千曲川に排出されていた水量については足立市長の説明、「排水ポンプ1台あたり1分間に110トンの排出量」を参考にして考察しています。しかしながらその後の調査によって排水ポンプの能力は千曲川の水位上昇とともに急速になくなる事が判明しました。
その事実を足立さんは知ってか知らずかは知りませんが、そうなりますと足立市長の説明は間違いである、少なくとも市役所の中で排水ポンプを担当している部署はこの事実を知っているにも関わらず、足立市長に市民に対して間違った説明をさせている。
この行為は虚偽報告であり万死に値します。
そういうわけでこの事についての詳細報告は以下のページで行っていますので、ご参照願います。
・「城山の雨水排水ポンプ場は能力不足」の1 NEW! ポンプ場の事など
・「城山の雨水排水ポンプ場は能力不足」の2 NEW! ポンプ場の事など